機動戦士ガンダム 水星の魔女を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
エランくんとの決闘後編…であり、早すぎるサヨナラを告げる回。
戦闘含めたスレッタとのふれあいは彼に、生まれた意味を取り戻させかけたが、ガンド技術の負荷と企業の冷徹なシステムは、強化人士が”製造日”を誕生日に変えることを許さない。
人間の在り方を書き換えるサイボーグ技術の怖さ、巨大企業の冷たい方程式と、このお話が宇宙時代に新生した宮廷ロマンスであると同時に、サイバーパンクSFでもある事実を、”四人目”を贄に強烈に突きつける話となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
まぁ、企業政治のド真ん中に身を投げてるなら、そうなるよな…。
裸一貫退寮からの、コーヒーゴクゴクあす△キャン生活キメてた我らのマスコット、グエル先輩へのジェターク家の仕打ちの方がなんぼかマシに思える、冷徹な結末。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
待ちぼうけのスレッタを見ていると、PROLOGUEで示された残酷な世界観が、結局学園を包み込み出口はないのだと思わされる。
ここら辺上手く揺らしている所で、厳しい台所事情をやりくりし、宇宙戦対応を間に合わせてくれる地球寮や、サディークが『おかしくなってる』と評したスレッタの善き影響力は、主人公の行いによって世界が善くなってくれる可能性を強くアピールする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
檻を壊し、クソみたいなルールの外に出るのだと。
しかしエランくんの末路と、決闘に勝ってなおその背後の事情をスレッタが全く知り得ない現状を見ると、人命を薪にして回る巨大なシステムに子どもが出来ることなど何もないのだと、思いたくもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
果たして物語は、どちらに転がるのか。
希望の方向にバランスが揺らいでた所で、良いパンチが入った。
顔を奪われ呪いとともに生まれ、否定可能な資産としての扱いを最後まで貫かれた、”エラン・ケレス”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
彼の本名も真実の顔も僕らは知らないという事実に、切なさはより強く燃える。
二人目の魔女として、あるいは”四人目の母”として、ペイルに身を寄せ守ろうとしたベルメリアの思いも、風前の灯と消える
彼が『何もかも持っている』と羨んだスレッタは、では見た目通りの無垢な少女なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
土壇場でエアリアルが起こしたガンド・バーストともいうべき現象の中で、強化人士が見た少女の幻影は、どんな呪いを語っているのか。
つーかプロスペラさん、『21年前』ってどういうことでしょうか……。
謎は未だ多く、否応なく心揺らされるショッキングな話運びに上手く、見ているものを引き付ける形で埋め込んだものだと関心もするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
一つヒントになりそうなのは、魔女との親子関係という意味でも、ガンダムパイロットという立場でも、スレッタとエランくんは相互照応しながら書かれていた点だ。
この世界は人間型の、幸福を望む心を持った資産を生産し、消費しうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
PROLOGUEが『21年前』だとすれば17歳というスレッタの年齢はつじつまが合わない。
…女の腹からしか人が生まれえず、それ故”自然”であることに尊厳が生まれる旧式なヒューマニズムからすれば、だが。
技術的にも倫理的にも、社会システムとしてもそういう古臭いやり口は超越…あるいは破綻していることを、エランくんの末路は教えてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
”人間”なるものは唯一絶対の価値では最早なく、複写され消費され、甘やかな家族幻想に覆われた残酷を母体として、呪いは夜に放たれていく。
その尖兵として、スレッタとエアリアルがいるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
前に進んだ結果勝ち取ったはずの『エランさんのこと』を、何も知り得なかったスレッタの無垢が僕を見つめ返して、水星の魔女の事を何も知らないことを思い出させる。
僕らが勝手に、当たり前だと思いこんでいる人間の定義、常識…倫理と技術の埒。
地球の引力から遠く離れた水星でも、それが維持されているのだとなぜ言えるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
それが当たり前だからスレッタは言葉にしていないだけで、あまりにも我々の人間定義からかけ離れた歴史と現象が、彼女の周囲では渦を巻いているのかもしれない。
ペイルが今回見せた、企業の冷徹。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
ジェタークが振り回す、”家”の凶悪。
まだ理解しやすいそれらの逸脱を、遥かに超えた破綻の中に水星の魔女達はいて、一見全き親子関係、無垢にして善良な幼さに見えるものが(我々の判断基準からすれば)おぞましく邪悪である可能性。
それを、確かに触れ合いつつ救えず終わっていった二人の物語は、凶悪に睨みつけている感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
僕はPROLOGUE視聴時に ↓ みたいなことを描いたが、エランくんの犠牲によって性別というパラメーターが、無条件に救済と破滅を分けないことは解った。
解ってしまった。https://t.co/B4N9x0Sa1F
企業の冷徹な牙、ガンドの呪いは男女の別なく子どもたちを…”人間”を食う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
同系対決となったことで、エアリアルとその背後にあるシン・セーの技術が圧倒的であることも良くわかった。
…その優越を得るために、魔女は何を捧げたのだろうか?
あれだけ非人道的にやって、なお安定しないガンド技術。
その炎に焼かれず風の精霊を乗りこなしているスレッタは、どんな呪いと祝福を得ているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
そこら辺も、これまでひっそり埋められ、今回吹き荒れた物語の荒波で表に出てきた疑問点であろう。
どこにも誕生日がないなら、誕生日を創れば良い。
シンプルで真っ直ぐで、気持ちのいい子どもたちの答え。
それを真正面から焼き切り、その残酷さすら告げず無邪気に『ハッピーバースデー』を歌わせる構図には、見えているものが見た目通りではないと思い知らせる、心地よい裏切りが宿る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
この話数を見てしまうと色んなもの疑わざるを得ず、そしてその不安定はお話が転がりだした時から、ずっとそうなのだ
己を焼くガンドの炎の奥に、確かに生誕を祝われた思い出を見て。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
コクピット越し繋がった手が、鋼鉄のサイボーグが防壁を外す様子と重なる。
モチーフを重ね合わせ、暖かな奥行きを出す演出力に、体重を預けたくなる。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第6話から引用) pic.twitter.com/dwgMbinUnS
しかしこうして紡がれた縁も、繋がったはずの気持ちも、人命を食って動く巨大なシステムを揺るがしはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
スレッタが待ち望んだ『新しいお友達』は、決闘を通じて喧嘩を追えることが出来ても、世界と親が与えてくれなかった”誕生日”を空回りさせて、炎の中に消えていく。
ハッピー・バースディ。
あんまりに皮肉な響きは二度目で、『この話、根源に反出生主義があんじゃねぇかな…』などと疑いたくもなるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
生まれてこなければ良かったと、世界を呪わざるをえない残酷は、決闘ごっこに耽る子どもたちの見えない場所で確実に蠢き、犠牲を増やす。
あるいは既に犠牲になっていることを見せぬまま…
運命の車輪は回っているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
『まー、だいたいこんなもんだろ!』という予測を心地よくぶん殴り、ひょいと越えていく力の高いこのアニメ…第1クール折り返しとなるこの話数、強烈なとんぼ返りをキメてきた。
この結末で殴りつけてくるなら、どんな牙が噛みついてきてもおかしくない。
そう思えるのは、やっぱエランくんのこと気づけば好きになってて、死んじゃったのが悲しいからだわな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
グエル先輩といい、少ない手数でキャラに引き込む腕力が強い作品なので、それをテコにして視聴者にショックを与える腕前も、そらー冴えるわ…って話。
上手くて悪趣味だなッ!!
こうも『決闘学園の奇妙な友情』が正面粉砕されてしまうと、スレッタとミオリネ、地球寮のみんなが紡いでる微笑ましき日々も、いつぶん殴られるか解ったもんじゃねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
プリプリツンツンは変わんないけど、オンボロ寮に気づけば馴染み、花婿以外の友だちもできてるお嬢様、良い感じなんだがな…。
どれだけ世界が残酷でも、企業と技術が人の定義を書き換えても、揺るがぬものは確かにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
そんな素朴な青春讃歌をがなり立てるには、スレッタの待ちぼうけはあまりに無邪気で無力に過ぎる。
それでも。
それでもかけがえないものが、この奇妙な学園と青春に宿っていくのか。
”四人目”を欠いたまま…おそらく、欠いたことすら気づかせぬまま、物語は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
やりたいことリストを着実に埋め、充実した青春を駆け抜けていくスレッタが、幼い無邪気の奥に隠しているだろう秘密。
それが暴かれた時、お話はどんなふうに転覆し、狂奔するのか。
恐くも、楽しみでもある。
反出生主義にしても肥大化する企業体にしても、現在進行系の問題と強く重なるネタを多く扱うこのお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
『あり得る未来は、出口なき檻でしかない』つう決着でまとめると、あんまりにも息苦しくなるので、どっかに希望の逃げ道はあると思う。(あるいは、そう願っている)
しかし現在進行系だからこそ必要な、容赦なく真摯な問いかけを緩める気配はなく、むしろ強烈な一撃がハッピー学園ライフに緩んでた腹筋に突き刺さった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
この世界は、子どもたちを喰う。
既に知っていて、でもそれは嘘なのだと思いたかった真実が強く、牙を突き立てて刺さる。
大変に痛い。いい傾向だ
『学園を舞台にしているから”子ども”にフォーカスあたるけども、暴走する企業論理とイエの鎖が食ってるのは”人間”そのもんじゃないか』つう疑問も、ここまで来ちゃうと出るな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
企業宮廷で我欲と策謀をぶん回して、特権的なプレイヤーに思える重役諸君も、けして自由なんかじゃないだろコレじゃあ…
だからって、過酷過ぎる現状に世を儚みつつ、それでも幸せに誕生日を祝いたいと願っていた少年を、運命の薪にしていいわけないんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
起こり得てはいけないことが、当たり前に起こる。
それもまた、学園の中と外を確かに満たしている”水星の魔女”の空気なのだ。
思い知らされたねッ!
しくしくと悼む心と、グラグラと揺れる気持ちを抱えたまま、次回を待つ…って来週特番かよッ! 焦らしがうめぇな!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月8日
これで御三家の内二つが手札を晒したわけだが、残るグラスレーはどんな罪と呪いを抱えて、変質しながらも我々の日常と確かに繋がった、この世界を生きているのか。
次回も楽しみ。