機動戦士ガンダム 水星の魔女を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
ド派手なプレゼンバトルで株式会社ガンダム構想を持ち出したミオリネだが、な~んも考えてないまま地球寮を巻き込んでの企業で事態はてんやわんや! というお話。
なんのためのガンダムか、話の根っこを楽しく掘りつつ、シャディクとの決闘への滑走路も整える。
相変わらず手際が良くて充実感があり、毎回見たいものと前とは違うものを手渡してくれて、楽しいアニメである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
会社設立にまつわるゴタゴタに絡めて、アーシアンの精神的・社会的立ち位置とか、けして一枚岩ではない地球寮の面々とか、うっすら漂う仲良し親子の不穏な気配とか、色々見応えがあった。
株式会社ガンダムはなんのために存在し、どこを目指して未来に突っ走るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
ミオリネがクソ親父への反骨心、花婿とその家族可愛さにぶち上げたガワに、参画するみんなが中身を入れていくのが、今回の背骨である。
思い込んだら一直線、有能なれど強引が過ぎる生き様が、デリングそっくりだね…。
軍需企業グループを母体とし、そのショーケースでもある学園において、兵器は栄達の道具であり、銭を稼ぐツールでしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
しかし紛争と貧困と搾取にあえぐ地球では、兵器は死と不幸を撒き散らす実在であり、それを金儲けの道具にするのには倫理的忌避感が漂う。
そういうマトモな生身の感覚から、遠い場所でエリートの徒弟が純粋培養され、MS決闘で色んなモノが決まってしまう歪さも、地球寮の面々にクローズアップする中で見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
そうやって暇と特権を持て余して、やることはグエル先輩に水ぶっかける事だからな…カスの温床だよ選良学園はッ!!
最初は『ガンダム=兵器=マネー』だったミオリネも、21年前に封印された過去に触れ、生き残った魔女と触れ合う中で、別の可能性に近づいていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
それは彼女の部下であり、同じ寮の対等な仲間でもあるアーシアンから、血の通った反応を貰って見えてくるものでもある。
ラストの爆エモ星空デートで、スレッタが上手くまとめていたように、会社設立を巡って地球寮の皆の声を聞き、自分達の未来を『殺して稼ぐ』以外に設計出来たことは、孤独だったお姫様にとって良いこと…のはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
二人の出会いにおいて、ガンダムは救命道具として使われた。
命を守り、縁を繋ぐ道具としてGUND-ARMを再発見することは、ヴァナディースの理想を現代に甦らせる、大事な一歩となるはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
しかし『ガンダム=医療器具』という理念で世間が納得しているのなら、PROLOGUEの惨劇は起きていない。
パーメット粒子を体内に埋め込み、人間定義を書き換えるガンド技術。
それが(プロスペラが教えこみ、スレッタが無邪気に信じるような)善き魔法なのか、デリングが焚刑に処した呪いなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
未だ、真相は見えてこない。
あるいは真相なるものは未来にこそあって、医療企業であることを選んだ”株式会社ガンダム”の青雲の志とクソダサPVが、これから作るものかもしれないが
ミオリネの剛腕で無理くり”社員”にされてしまった地球寮の面々には、それぞれ異なるバックボーンがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
戦災孤児は兵器を売って稼ぐ現状をシニカルに飲み込もうとし、ギャンブラー気取りのお坊ちゃんはそんな現状の反発を示す。
二人の少年の小さな衝突と和解は、大変良かった。
端役に思える彼らにもそれぞれの意地と意志があり、それを踏み潰し差別する大人の現状ではなく、顔を見て声を聞けるより良い未来へと、一歩ずつ”株式会社ガンダム”は近づいていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
それを空疎な理想としないためには、ガッツリ稼いで社是を世論に変えていく影響力を、確かに蓄える必要がある。
ミオリネの横暴にキッチリ荒れた声を上げて、見てる側の『そーだそーだ!』を上手く引き出してたチュチュ先輩が、”株式会社ガンダム”が選んだビジョンに賛同するところ、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
簡単にはデレない彼女が、家族の苦境と搦めて良しとするのなら、その夢は間違ってない。
そう思える。
同時に世界はキレイな夢を認めてくれない厳しさに満ちていて、その尖兵としてシャディクも動く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
ミオリネと過去を共有し、助け合うには距離がある不思議な関係が、なかなかに湿度高く匂い立つ。
お前一人だけ黒薔薇編なんだよなぁ…。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第8話から引用) pic.twitter.com/hKmWC4Folt
色んな人に優しい顔を見せ、甘く囁くその舌が、蛇の巣で生き延びるための生存戦力にすぎないことを、ミオリネは知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
だから温室の入り口までは許しても、中に入って至近距離に近寄ることは許さないし、買収の誘いにも乗らない。
間近に聞くのは、あくまで社員と花婿の声だ。
ガンダム抹殺を命じる義父の生き様を、『狭すぎる』と断じる瞳に、一体何が写っているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
次回久々の決闘に挑むライバルの、奥を探りたくなる良い誘いが元気で、これも良かった。
シャディクは作中最も”経済”に適応した学生で、ミオリネ達が不器用な仕草で大急ぎ参入した場所で、既に活躍している。
銭金と信頼、暴力と策謀で動く世間のリアルを、良く肌で知っているからこそ、ミオリネが今回選び取ったのとは違う形の夢(あるいは悪夢)を、この世界のスタンダードに抱いているのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
企業の選抜を生き延びた戦災孤児の瞳に、この世界は、抗う幼なじみは、一体どんな風に写っているのか?
これまでそうであったように、決闘は子どもたちと、彼らが包囲されている世界の真実を的確に写す鏡として、次回良く機能するだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
第1話では無敵のビット無双をかましたエアリアルが、MS戦技術においても、社会的立ち回りにおいても、対抗策を手早く張り巡らされていく様子には、緊張感があって良い
学園にも規則があり、”株式会社ガンダム”がそれに縛られる以上、美しい夢も現実的な規定に縛られ、不自由にあえぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
法令でお互いの手足を縛り合う経済政治は、大人の世界だけの話ではなく、会社を作って前に進むのなら、そこでも”ガンダム”は勝たなければならない。
厳しい現状と同時に、今回”株式会社ガンダム”という場…そこに宿った理念が形になったことで、ミオリネと仲間たちは実効ある武器を、一応は手にした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
あのオンボロPVがどんだけ世界を揺るがし、『ガンダム=呪いの兵器』という認識を書き換えて、希望に満ちたブルーオーシャンとしてアピールできるか
それが”安全な機械”たるエアリアルがどう決闘に勝つかに、ダイレクトに繋がっているのも面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
学園内部で望みを掴む限定的な立場から、発言権獲得のショーケースとして外界に拓けたものへと、決闘の値段が変化してきているのは、なかなか興味深い転がし方だろう。
ミオリネはヴァナディースの理想を継ぐ形で、”株式会社ガンダム”を立ち上げた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
このガンダム・ルネサンスに対し、蛇の顔をした魔女は何を思うのか。
プロスペラの底は、相変わらず見えきらない。
おお、母よ。眩くも邪悪なる光よ…。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第8話より引用) pic.twitter.com/suUe4kZbau
両腕を広げ鋼鉄の肌を晒し、これみよがしに『全てを率直に語っていますよ!』というポーズを作った奥に、凝るどす黒い闇。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
エアリアルとスレッタを語るとき必ず”娘たち”という言葉を選んでいる魔女が、古き理想を持ち出してきた幼き花嫁達を、どう見ているのか。
我が娘を、どう見ているのか。
スレッタ-プロスペラの閉じた関係性だと動かず揺るがないモノに、ミオリネが隣に立つことで疑念が刺さり、真実が近づいてきてる感触がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
そうして暴かれるものが、優しい夢をぶっ壊しそうな気配もプンプン漂っているが、さて…。
親離れ、あるいは親殺しの物語になっていくのは間違いなさそうね。
ママンの甘言を瞳孔ガン開きで聞いてるスレッタのヤバさと、それを間近に感じて首をひねってるミオリネ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
彼女が古馴染みなシャディクの言葉を跳ね除け、地球寮の仲間と新しく関係を作るべく歩み寄る仕草は、親を疑わぬがゆえに無垢で危うい花婿と、親を疑うしかなかった花嫁が切り開く未来を縁取る。
そうやって進んでいった先に、必ず実りある”二つ”が待ってるわけじゃないことは、強化人士四号の末路とか、垣間見える地球の有り様とか、ガンド技術の現状とかから、既に見えているけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
しかしまぁ、あんまりヒドイことにはなって欲しくないよ…みんな良い子だから。
『でもなー…そう思わせておいたからこそ横合いからぶん殴るのが作劇の基本だし”ガンダム”だよなーッ!』って気持ちも、もちろんある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年11月27日
さて、次回の決闘とその先に広がる景色は残酷と希望、どちらを少女たちに広げるのか。
あるいはその”二つ”、両方が転がるのが世界の実相か。
次回も楽しみですね。