宇崎アニメ名物珍妙な地域タイアップ回が帰ってきた! 今度の舞台は箱根小涌園ユネッサン!! な、二期第9話である。
二次元美少女が露骨に浮かび上がる写真背景、乱発されるローカルネタと実在商業施設アゲ、異様に爽やかで毒がない立ち回りと紹介ノルマを立て板に水の勢いでこなすグルーヴ感。
2020年最も珍妙だったアニメエピソード、宇崎一期第10話
を引き継ぐ……と思いきや、同じローカル案件でもテイストが結構違い、あの珍妙極まるグルーヴは当時の二人のキャラ性とか、話の展開とか、大人の事情とか、色んなモノが奇跡的に噛み合って生まれた一瞬のものだったんだな……などと、妙な感慨に耽ることになった。
原作者・丈先生直々脚本のアニオリということで、実は二期アニメのテイストともまた違った脂っこさ、原液っぽさが漂い、そういう意味でも結構独特な回である。
クソネコ関係のシーンが異様に多かったり、案件なのに荒い運転やらナンパやら、不穏なネタがねじ込まれていたり、それが関係が進展しないままヌッルいオタクのモラトリアム・ファンタジーを展開してた一期の空気に似てたり、そう思って考え直すと二期はかなりアクが抜けてたり。
残り話数も少なくなってきたタイミングで、妙にこのアニメのことを色々考えることになった。
話としては宇崎家にフォーカスした変則水着回であり、ダディの厄介な変人ぶりが大変クドく暴れまくり、女たちは女たちなりにスパリゾートを楽しみ、先輩と偶然の邂逅を果たしつつもいい感じの空気が発生し、みな幸せに休日を過ごして楽しい日々……という塩梅。
『やっぱ一期10話の過剰で異常な鳥取推し、フツーじゃなかったんだな……』くらいの温度感で小涌園は扱われており、あくまで愉快な家族旅行&宇崎花の青春を彩る魅力的な背景に留まる。
正直あのゴリゴリこっちの事情も考えずに押し込んでくる、なりふり構わぬ販促っぷりを今一度摂取したい気持ちもあったので、キャラとドラマに足場を取った作りになっていたのは、奇アニメ愛好家としては残念であった。
いや、こっちの作りが正しいんだけどさ……宇崎と先輩が二人の世界を作るところ、色々グラグラ煮立ってきた状況の中で何が大事か、しっかり確認できる場面で凄く良かったし。
グダグダ気恥ずかしさに飲み込まれつつも、宇崎花の純情にしっかり向き合って答えを返す先輩が好きだし、なんだかんだ先輩だけには『可愛いよ』って言ってもらいたい宇崎も見れたし、ドタバタやりつつ青春ラブコメの核は、しっかり抑えた回だったと思う。
そんな感じの、家族と観客にサービス満点な箱根回でした。
次回は青年たちの一大イベント、クリスマス!
特別な日の特別な空気を背中に受けて、二人の関係に進展はあるのかないのか。
次回も楽しみであります。