PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOLを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
劣等生と傷追い人、魂の交錯…ッ! という、なかなかハードボイルドなお話である。
シェールの体と心に傷を負わせた事故が意図的でなかったとしても、”そういうモルカー”があの世界に存在してることが衝撃であり、新たに目を開かされる思いでもあった。
朝の児童番組に相応しいふわっと可愛い外装で包みつつ、思い返せば相当ダークでシビアなお話であったし、サメだの街大破壊だのやってきて、一匹のモルが傷ついたくらいで…て感覚も、自分の中にはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
しかしまぁ、ダイレクトに眼帯&トラウマなモルが描かれたのはショックだった。
散々監獄だなんだコスってきた教習所も、シェールの過去と未来を思うと、社会との繋がり方に困難を抱えてしまったモルがもう一度歩み直すための、一種のリハビリテーション基地としての側面が強いのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
監獄の本来あるべき形も、おそらく”それ”だろうし。
なんもかんも上手くはいかない劣等生のペーターは、しかし優しさと勇気だけは正しく持っていて、思い出に引っ張られて再び落ちかけたシェールを体はって受け止め…そこね、その涙に寄り添い共に遊び笑うことで、彼の再起を助けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
傷追いモルを引き受け、再起の力を鍛える施設だけでなく…
眼帯の奥に堪えてきた涙を絞らせ、辛い過去を共有して前に進む勇気を育んでくれる友達がいることこそが、シェールが教習所の外に出て、人類と新たな契約を結べる、結びたいと思える心を生み直す、一番の力になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そんな、劣等生の成し遂げたありふれた奇跡が凄く良かった。
二期は一期に比べてヒューマニズムに寄った作りになってると僕は思ってて、それは人道主義であり、人間中心主義でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
得体のしれぬ怪作から、一定以上の支持を受け取るビッグコンテンツへ。
情勢の変化は一般的なわかりやすさと、明瞭な主題と表現を求める。
それが山盛り異様なことが、こっちの処理能力を超えて起きまくる、異質なる他者としてのモルカー(僕が作品最大の魅力だと思っているもの)を削ってしまう危惧は、もうそろそろ第2シーズンが終わる今も、なかなか消えてくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
今回二匹のモルを描く筆も、ヒューマンドラマの色は濃い。
その上で、純粋にボールを追いかけ人間と遊びたかった幼さを、崖に突っ込んでぶっ壊し孤独になったシェールと、未だ未熟で幼く、だからこそ欠けたイノセンスを手渡して癒やすことが出来たペーターの交流には、傷つけられる可能性も、それを埋められる希望もある他者性が、濃く滲んでいたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
シェールの傷は『そういう事』が起こりうるあの世界の刻印で、不条理で危険な一大事が起こるシビアさの証明だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
それでもなお、自分を危機に誘ったのと同じボール、傷つけたのと同じ他者を通じて、もう一度歩み寄る希望は蘇りうる。
シェールの眼帯は外れない。
傷跡は残り続ける。
でも癒やしの奇跡が全てを治してしまうより、理不尽に刻まれた傷跡を残してなお、それでも進もうと思う…思える何かがモルの中に生まれてくれる話のほうが、より人間が生きてる真実に近いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
色んな人がいて、色んなことが起こって、色んな傷が生まれるこの世界で…
それでも可愛いモルちゃんが体現する純粋で真っ直ぐで、あまりにもパワフルなイノセンスを再生させることは可能なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そういう影の中の光を結構真っ直ぐ見つめた話で、とても良かった。
ショッキングに切開された傷跡だけが、確かに暴く実相というのは在りうるな、と思った。
シェールの傷を深く描いたことで、ペーターが運命背負って彼を受け止めるまで、壊れて歪んだまま壁の中に守ってこれた教習所の存在意義も、静かに強くなったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
お騒がせモルカー共も、あそこで育まれる優しさと知恵を通じて、自分なりの繋がり方を世界の中に見つけていくのだろう。
そうするに足りる力強さが、二期の舞台にちゃんとあると描いたことは、後もう少しで終わってしまうこのアニメに芯を入れるにあたって、とても大事なことだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
最終コーナーに差し掛かった物語が、何を描く話だったのか。
それを告げる、立派なエピソードでした。
とても良かったです。