ぼっち・ざ・ろっく! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
文化祭ライブ、出演るや出演ざるや! という、自意識パンパン人間の逡巡を描く助走回。
…なんだけど、きくり別格の存在感や喜多ちゃんから見たギターヒーローなど、これまで見えにくかったポイントを的確に攫って、お話に奥行きが出る良いエピソードだった。
第1話から猛烈に叩きつけられ、僕らを振り回しつつ作品に惹きつけた、後藤ひとりの過剰な自意識。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
それは荒唐無稽な妄想と、それが叶わないリアルな吐き気の間で過剰に揺れて、なかなか落ち着きを得れない。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/2HwPmQoyxb
世間に全力でチヤホヤされたい、甘ったれた喝采願望を体内に秘めつつも、『チヤホヤされたいです!』と叫んで、それに相応しいリア充仕草を取ることが出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
むしろ『一致団結!』という言葉が出れば失神し、モテ願望をぶん回す一般的文化祭バンド活動には、ぶん殴られてヘロヘロにもなる。
結束バンドでの活動を通じて、後藤ひとりの不安定なヤバさは少し足場を得たけども、魂の根っこは簡単に変わってくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
現実の惨めで何も出来ない(という思い込みに、ヒーローを閉じ込めている)後藤ひとりを、全部ふっ飛ばして夢叶えてくれるホームランを、浅はかに求め続ける。
そんな妄想がコミカルに軽薄に、現実感のないひとクスグリとして重なり続けるほど、それを越えて…優しい人達のおせっかいで越えさせられてたどり着く、後藤ひとりのリアルな青春の手触りは良く伝わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そこに上っ付いた妄想はなく、生身のダメさとリアルな音がある。
それは後藤ひとりのソロでは当然なく、誰かが勝手な妄想を優しくぶん殴り、ぶっ壊して自分を差し込むことで紡がれていく、力強いバンドサウンドだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
それが間近に確かにあって、自分を支えてくれる。
望んでいる自分に、一歩づつ近づけてくれる。
その実感を、心底己に引き寄せられたら…
ぼっちの青春すごろくは”あがり”である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
しかし早々簡単には完結しないから調子こいた妄想と、過剰な自己卑下の間でフラフラするし、色んな人が自分を見てくれる視線を彫刻刀に、過剰に膨らまずやせ衰えもしてない、後藤ひとりのリアルを削り出せもする。
その一人が、後藤ひとりLOVEがマジデカいのに上手く伝わない不器用人間である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
店長…誰より早く後藤ひとりの実力を見抜き、その本領を発揮させるべく優しいおせっかいを叩きつけたアンタのこと、俺は好きだよ…。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/qFe7Bkwt2n
半地下の薄暗い”我が家”こそ自分にふさわしい居場所なのだと、勝手に納得して夢を諦めようとしたぼっちの手を、店長はグイッと掴んで引き寄せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
アタマん中、勝手にこねくり回して出つつ合う結論をゲロらせて、バンド仲間に共有させ、相談させ、思いの外クラかったリョウの本音も暴く。
ぼっちは感受性と思い込みが特段強い女なので、自己防衛のためにも惨め(になりそう)な現実に先回りして、勝手に結論を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
しかしそれじゃ、本当に望んでいるものは掴めない。
キラキラな自己充足と自己実現は、上っ付いた喝采妄想ではなく、地道に友情し青春する中で掴める。
同じく超然と掴みどころがなく見えるリョウが、ド滑りしたライブを悪夢に見るリアリティ…後藤ひとりのクラさとの共通点があると解ったのは、凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
真意は掴みにくいけど、完全に分かり合えないわけでもない。
そんなリョウの不思議な存在感に、新たで大事な色が加わった感じだ。
ピカピカに見える虹夏ちゃんや喜多ちゃんだって、人間である以上影を背負って、それでもピカピカになった方が自分も他人も楽しいから、頑張って光ってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そんな四人が集まって”結束バンド”なら、その音が重なって魂の宿った音楽が生まれるのは、必然と言えるだろう。
そのためにはバカで夢見がちな部分も、ビビって沈み込む部分も、さらけ出し共有しなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そういう剥き出しを通じて、”後藤ひとり”がどんな人間なのか、ぼっち自身が確認していかなければいけない。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/6lR4nesI5B
長い廊下を一人でフラフラ歩いてたら、ぼっちは参加申込書をゴミ箱に放り込んで、都合のいい夢で自分を騙して、それで終わりだったろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
でもそこには、喜多ちゃんがやってくる。
勝手に夢を未来に押し出して、明るく可愛くキターンな笑顔で武装して、身勝手な夢を形にするべく突き進む。
優しく他人思いな喜多ちゃんを、そうさせた欲望が”後藤ひとり”に向いていること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
誰よりも最強なわたしのヒーローが、布団の中でガタガタ震えてるだけなんて納得できないから、勝手に手握りしめて、勝手に運命に一緒に飛び込んだこと。
その”強さ”が、僕は好きだ。
それは…後藤ひとりが『喜多ちゃんって、そういう人』と思い込んでる喜多郁代を、自分含めた多くの人が感じ取ってる彼女の”今”を、裏切ってカチ割る行為だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そういう事をさせる引力が後藤ひとりからは確かに出てて、人間ひとり狂わせる力強さがあるから、喜多ちゃんは勝手をした。
そうやって、自分を縛り支えるイメージをぶっ壊して新たに生まれ直していくのは…凄くロックンロールだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
自分の心から湧き上がる影やら、なかなか願ったとおりにはならない現実なんかと殴り合いながら、確かに小さく変わって、変えていく歩み。
その震源であり、受授者でもある少女たち。
その共鳴が、アルコール臭い息吐き出すクズ人間を震わすッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
廣井きくり……後藤ひとりが好きすぎるッ!!
あ、最悪の借金カスを前にして、虹夏ちゃんがだれにでも優しいきらら菩薩じゃないと理解るの、大変良いです有り難いです。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/z99o9JTAvj
虹歌かーちゃんに正座させられて当然なクズであるけども、きくりは結束バンドの仲間が差し出せないものを、自意識に沈み込むぼっちに差し出せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
その顔を覗き込む視線には、過去の自分を…音楽(あと酒)でしか救われなかった敗残者を見落とせない、人間としての視力が宿る。
八方破れの激ヤバ人間なんだが、こと後藤ひとりの人生を照らす役割においては圧倒的に特別で、的確な”大人”しとる廣井きくりが、やっぱり僕は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
自分と同等以下のクズだからこそ、差し出された未来へのチケットをぼっちも受け取れる。
そういう話でもあろうし。
”SICK HACK”のライブが近づくに連れ、序盤優勢だった上っ付いた妄想は画面から薄れていって、生っぽく新宿を切り取る細緻な描線が強くなっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
それは後藤ひとりがステージから受け取る、確かなリアリティの予感だ。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/pZWnzdnjbn
”SICK HACK”は経済活動の安定感も、音楽表現のステージも、メンバーの凸凹感も、”結束バンド”のありえるべき未来として、目指すべき”大人”として、確かな存在感を示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
酒関係の激ヤバ力はさておき、”こう”なっていけば良いんだという手近な指針、憧れ、目標は、少女たちの夢を現実に定位していく。
不確かで、不鮮明で、だからこそ楽しい青春の一歩一歩を、より生っぽく踏み出すために必要な、リアルへの灯台。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そういう存在に必要な特別な光を、”SICK HACK”が確かに宿していることを、ライブ前みっしり詰まった客席と、そこに宿る期待と熱量が既に教えている。
この手近な生っぽさは、何かと夢に逃げたり自虐に沈んだりする前半のぼっちを、現実に繋ぎ止める引力としても機能する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
散々翻弄されて制御できず、逃げられない妄想の引力圏から、強引に引っ張り込んでスイング・バイさせてくれる、廣井きくりという青色巨星(ブルージャイアント)。
それがサイケデックに燃える時、後藤ひとりの瞳が光る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
三年間、押し入れの中シコシコロックに向き合ってきたぼっちの感性は、”SICK HACK”の演奏がなぜ人を熱狂させるか、凄まじく的確に掴み取る。
だから、感動もする。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/4ATI6HydkO
他人と喋るのはマジ苦手なぼっちが、”SICK HACK”の音楽性がどこからやってくるのか、凄く的確に、ロジカルに分析できているのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そういう解像度はおそらく”結束バンド”一高くて、夢に溺れるばっかりじゃないシビアでリアルな実力は、見えて解ってしまう賢さが下支えしている。
同時に前半散々ぼっちを翻弄してきた妄想力は、きくりが放つ強烈なメッセージに先導されて、おそらく会場の誰よりも豊かに”SICK HACK”の音楽を受け取る感受性へと、昇華され花開く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
それは後藤ひとりの弱さが、強さに変わる瞬間だ。
これを武器にすれば、ぼっちは青春に勝てる…かもしれない。
曲を聴いて、世界の色が変わり輪郭が解け、カリスマに抱かれて天に上がる実感を受け取れる感性は、実は相当にレアだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
その事実に気づいていないから、ぼっちは自分を分不相応な性交妄想に投げ込んだり、過剰な自虐に沈んだりする。
しかしそれは確かに、後藤ひとりの内側にあるリアルだ。
リョウが作詞を任せ面白がっている、ぼっちだけの色で見つめる世界の形。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
それは世間に吠える意義が十分以上にあるのだと、ぼっちだけが気づいていない。
『もしかしたら、自分はそんな風に特別なのかも』と思い込みつつ、実感を得る手段を掴めぬまま、夢を砕いて不格好に溶けてきた。
しかし後藤ひとりという存在は、三年間ギター抱えて積み上げた実力は、時にヤバい場所に自分を連れて行く過剰な想像力と感受性は、確かに色んな人に届き、期待と信頼を生み出してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
何かを変えて、何かを繋いで、何かを突き動かす後藤ひとりの特別は、もう他人が見つけてる。
受け取っている。
ぼっちが心揺さぶられ、天まで引っ張り上げられた廣井きくりの特別と、同じものをきくりも、喜多ちゃんもぼっちの中に感じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
ぼっちが奮起し、再起し、勝手に感じ取ったヒロイックな可能性が躍動する時、喜多郁代の瞳は強く輝く。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/F3f9vXivTe
クソ陰キャとしてのオリジンをさらけ出し、酒に溺れ設備と人生を破壊しながら”音楽”続けてるきくりの歩み寄りに、ぼっちは自分の未来を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
それはステッカーまみれの壁のように生々しい存在感で、ぼっちを翻弄した野放図な夢とは違う形で、その眼前に迫る。
感動してしまうことは時に暴力的で、散々身悶えさせられたぼっちのセルフイメージは、きくりが見せてくれたサイケなヴィジョン…それを感じ取る自分の実感に押し出されるように、後藤ひとりから逃げ出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
心が震えてしまって、この人みたいになりたいと思って、『なれるよ』と手を握られて。
後藤ひとりはもう、ゴミ箱に夢を投げ込んで、それで良かったんだと思い込む自分には戻れないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
そういう暴力性を、喜多郁代に対してギターヒーロー後藤ひとり、既に果たしてしまっている…と繋げていくのが、とても気持ちの良い回でもある。
ぼっち気づけ…郁代の瞳から迸る炎にッ!
あ、三枚目は><ってしてる虹夏ちゃんが可愛いので、思わずキャプりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
やっぱ喜多ちゃんがテンション高く勢い良く、ちょい早口でまくし立てる所最高に好きなんだよな…。
『モー、タクサンクエ!』の所、二百回くらいリピートした。今後もガツガツ行きたい。
というわけでぼざろ名物、明暗の中に乱反射する複雑な心旅、そのキャンバスたる瞳の描写だよッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
身勝手な己の欲望を吐露し、ぼっちの身悶えを無視して夢に踏み出した後ろめたさに陰る喜多ちゃんと、彼女の光になってるぼっちが最高に良い。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/5oVRUJJlQv
ここまでのお話で、救いがたいド陰キャたる後藤ひとりは、つねに影の中にいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
それを導く光が結束バンドのメンバーであり、ついに本領を発揮した廣井きくりだったわけだが、その実、喜多ちゃんの先生として間近にい続けた後藤ひとりも、また誰かの光りたり得ていた。
憧れて大好きな人が消えてなんて欲しくないから勝手なことして、その後ろめたさに沈みかけて、でもそれはヒーロー自身の願いでもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
下げた頭に見えない表情を、顔を上げて見つめる視線は、星を見上げる仕草に似てる。
後藤ひとりは、ずっと喜多郁代の星だったのだ。
キテんな~”ぼ喜多”。
ぼっちの狭い一人称で進んで、きくりの八方破れなヒロイズムで風穴空いた話が、ここで喜多ちゃん一人称視点でギターヒーロー・後藤ひとりを見つめ返す視線が好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
お前は廣井きくりへの感動に当てられ未来に進み出しているが、その実お前自身の光が、眩しく喜多郁代を導いている。
今、急にじゃない
ずっとそうで、シコシコギター練習に付き合ってきた日常が、友達としてワイワイ騒いで自宅行ったり江ノ島行ったりした日々が、喜多ちゃんの星にお前を押し上げているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
お前もまた、誰かを感動させて別の場所に連れていける、特別な存在足りうるのだ。
そういう、反転する語り口。
ぼっちに感動し続けていた喜多ちゃんが、勝手に投げ込んだ申込書は、ぼっち自身が望む未来への切符でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
身勝手な欲望が不思議に重なり合って、生まれるハーモニーに包まれ、喜多郁代は”上”を目指す。
道を示す星は、彼女のヒーローだ。
(画像は”ぼっち・ざ・ろっく!”第10話より引用) pic.twitter.com/Y8ruuW77cT
ぼっち先生がシコシコ練習し続けて生まれた強さは、それを一番間近で浴びてきた喜多ちゃんが知っとるわけだし、星に近づくために自分に出来ること、頭下げて全部やりに行くガムシャラ…泥臭くて大変良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
その熱に押されて、へにゃってなってる後藤も可愛い。
とか思ってたら文化祭当日、ぼっちまさかの失踪ッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
どうするどうなる”結束バンド”ッ!! …ってところで、次回に続く。
風が迷路を抜けて強く背中を押し始めたところで、この一大事。
クライマックスに相応しい運びで、大変いいじゃないの…。
というわけで、後藤ひとり青春ののたくりを追いかけつつ、既に星と輝いてるぼっちの現状を、喜多ちゃん鏡に照らす回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
実力と才覚で図抜けてる廣井きくりが、ぼっちの特別として深く入り込む様子…そこに人生生きにくいクズ同志の連帯が香ったのも、大変良かった。
廣井きくりは後藤ひとり好きすぎるし、後藤ひとりにとって廣井きくり特別すぎるんだよなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年12月10日
感動が暴力的に繋ぎ合わせる縁に、黙ってみてれず全霊で当たる喜多郁代の”決死”も滲んで、絡み合う女女のデカさもありがたい回でした。
下北沢感情銀河の中心は、今間違いなく後藤ひとり。
次回も楽しみ!