イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

D4DJ All Mix:第8話『アイトソラ 』感想

 ノアの尽力により新たな地平を切り開いたPhoton Maidenは、さらなる輝きを求めてLyrical Lilyとの合宿を敢行する! という、All Mix第8話。
 2ユニットを同じ屋根の下にぶっこむことで生まれる化学反応、カワイイ✕カワイイの相乗効果で脳がぶっ飛ぶだけでなく、前回ノア起点で生まれた変化の波を咲姫が引き継いで、表現者としてのPhoton Maidenが自分たちをどう形作っていくのか、そこにLyrical Lilyとの交流がどう響くか、かなり軸がはっきりしたエピソードだった。
 可能性を色として感覚できる咲姫のセンスを信じて、自分たちがより良くなっていくために楽しみながら頑張るみんなを、ちょっと引いた位置から優しく見守る。
 衣舞紀お姉さんの姉力が相当なことになってて、大変良かった。

 All Mixは新たな魅力の発掘ってのがシリーズ全体のテーマになってると思うけど、合宿を通じてリリリリとフォトンが仲良くなっていく歩みが、そのままキャラの意外な一面、新鮮な可愛さを視聴者が見つける手がかりになってて、エピソードとのシンクロ率が高かったと思う。
 一緒に御飯作ったり夜更かしに騒いだり、合宿定番イベントを楽しくこなしつつ、センター二人の星空の交流を分厚くやって、この合宿から音楽集団として何を得るか、楽しいだけで終わらせないのも良かった。
 タノシイもカワイイもガンバルも、全部欲張りに混ぜ合わせて青春していく少女たちの、弾むような快活をたっぷり味わうことが出来て、すごく良かったです。

 

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第8話より引用

 つーわけで新体制で新しい可能性を探るべく、セルフプロデュースに余念がないPhoton Maiden。
 あっという間に合同合宿の話が転がり、カワイイにカワイイ、透明感に透明感が重なる萌えのカツカレーみたいな状況が一気に整った!
 つくづく、ありがたい……。
 今回はサンジゲンらしいコミカル&キュートな表情と動きがたっぷりあって、こういうの大好きな自分としては週末の栄養補給に最適! って感じだった。
 前回は生真面目な部分を全面に押し出していた福島メンバーも、持ち前のヤバさを楽しそうに発揮していて、『良かったね……本当に良かったね……』という顔になる。

 一見背骨クニャクニャにされるカワイイの乱打(ラッシュ)ぶっ込んでるだけの話に見えるが、互いの”らしさ”を練習の中で交換しあったり、楽しさの中にも表現者としての新たな刺激をしっかり受けて、有意義な合宿になってる描写が太い。
 Photon Maidenのプレイングマネージャー……ていうかしっかり者のお姉さんポジションである衣舞紀が、センスで道を切り開いていく咲姫の繊細さを気にかけつつ、めちゃくちゃ顔色良く見てる様子も、何度も書かれていた。
 俺は血縁だの年だの無視したイデアルな”姉”っぷりが大好きなので、快活で自由なノア乙和含めて、一歩引いた所から衣舞紀がめっちゃみんなを見守ってる様子が最高に良い。
 こういう頼もしさと魅力を、ワイワイにぎやかな合宿と並走する形で展開していくの、良い書き方だなと感じる。

 

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第8話より引用

 おしとやかに見えて火吹きパワー全開な美夢ちゃんとか、ぽわぽわ天然なんだけど薪割り得意な咲姫ちゃんとか、意外な一面も合宿を通じて浮かび上がってくる。
 一緒に御飯を作って、同じ釜の飯を食い、『いつものみんな』とはちょっと違う刺激に食前のお祈りなんかしちゃったりしつつ、とにかく楽しく夏の夜は更けていく。
 このワイワイ幼い感じは、前回仕事で音楽やってるPhoton Maidenの影になっていた部分であり、表現者であり少女でも在る彼女たちの大事な一面を、たっぷりと味わうことが出来た。
 リリリリちゃんもとにかく育ちが良い純粋培養お嬢様ユニットで、その清潔感から生まれるユニットの魅力を、咲姫ちゃんの共感覚がわかりやすく可視化してるのも好みだ。
 ずっと『新しい色』を追い求めてると知ってる衣舞紀が、それと出会って満面笑顔の”妹”に自分もニッコリなところとか、多幸感過ぎすぎて前頭骨ぶっ飛ぶわ……。
 この無邪気な多幸感は、やっぱこのアニメの強みだと思うなぁ……キャッキャウフフに濁りがない。

 衣舞紀が仕上げたサラダに、イタズラなアレンジを加えて新しい味を引き出すシーンは、すごくAll Mixらしくて良かった。
 僕は胡桃ちゃんの悪戯が、他人を不快にするためではなく驚きを通じてちょっとでも楽しくなってくれるように行われるのが、メッチャ好きなんだけども。
 彼女の突飛なアイデアが”おかし”っていう、子供っぽくてチャーミングな……つまりすごくLyrical Lilyっぽい形に結晶して、Photon Maidenで一番しっかりしてる衣舞紀が完成させたものにプラスされるのって、この合宿をギュギュッと凝縮した表現だと思ったわけ。
 個別エピソードを終えて。今後どういう語り口で話が転がっていくかまだ掴みきれないけども、ユニットがぶつかり混ざり合うことでそれぞれの良さを引き立て、あるいはそれに刺激を受けて新しい自分たちを見つけていく、このアニメの狙いは今回良く見えた。
 それを頭ごなしの硬い表現ではなく、とにかく可愛く快活な青春の絵巻物として見る側に届けてくれるのが、このアニメの良いとこだとも思う。
 ほんっと今回、全シーンみんな可愛いからな……最高。

 

 

画像は”D4DJ All Mix”第8話より引用

 他メンバーがガチホラーに楽しくはしゃぐ(後ろでマジビビリしてる衣舞紀お姉さん、素晴らしい)中、二人のセンターは共に星を見上げる。
 薪割り得意だったり、桂剥きが出来たり、星をよく知ってたり、合同合宿っていう新しい環境で、僕の知らなかった咲姫ちゃんがバンバン出てくるの、このイベントやってる意味がググっと前に出てくる感じで凄く良い。
 ぽわぽわした印象が強い子だったんで、衣食住の描写が強い合宿の中で地に足の付いた魅力が煮出されてくると、今までよりもっと好きになれてありがたいよね……。
 こういう生っぽい手応えを削り出せるのは、”合宿”っていうシチュエーションの強みなんだろうな。

 んで星空の下でのWセンター対談も、最高に良い。
 『美夢……ちゃん』とちょっと遠慮がちな距離感から入っていって、同じ空を見上げている特別な感触にだんだん心の壁が溶けていって、自分が求めているものを映し出してくれるかけがえのない鏡として、目の前の新しい友達を見つめる。
 こういう青春の律動がズバンと最後にまとめてくるの、充実感が分厚くてすンごい最高。
 感じたままを素直に告げれる咲姫ちゃんのピュアさと、それを鷹揚に受け止めて豊かに広げていける美夢ちゃんの器、両方が響き合って高めたって生まれるジュブナイル・レゾナンス……おお神よッ!!!!!!
 対話を通じて、迷ってた咲姫ちゃんんが見つけるのが星海の原点なのも、そこからずっと見守ってくれてた衣舞紀と光の明日へ進みだしていくのも、豊かな詩情を感じれていい表現でした。
 コミカルとリリカルのバランスが、特に良い回だったな今回……高橋さんの味かなぁ。

 

 というわけで色んな輝きがたっぷりと描かれ、大満足の合同合宿でした。
 単独のエピソードとしてもめっちゃ良いんだけど、前回描いた貪欲に新境地に挑んでいくPhoton Maidenの音を途切れさせず、Lyrical Lilyという新しい音符と混ぜ合わせることで、さらに発展させていったのがすごく良かった。
 12話のセットリストとして、どう繋げて膨らませていくか、構成への意識がどんっどん冴えてきてると感じる。
 ここら辺まさにDJ的感覚で、選んだテーマと実際の表現がシンクロして生まれる強さだと思います。
 この熱く美しい夏を引き継いで、次回何を描くのか。
 とても楽しみです。