イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

BIRDIE WING -Golf Girls' Story-:第18話『偽りとの決別』感想

 散々コスった闇を蹴り飛ばし、超時空青春ゴルフは新時代へ!
 さらば銭金暴力ゴルフ、バーディウイング第18話である。
 とんでもない勢いで加速を続ける物語は、自分たちがお出しした嘘っぱちをド派手に蹴り上げ、その先にある魂の決戦へと飛び込んでいく。
 いやイヴさん……アンタ金稼げれば良い賭けゴルフに順応して、『こんなん玉を穴に入れるだけのビジネス』とか言ってたじゃないですか……。
 というツッコミをノリと勢いでねじ伏せつつ、記憶を失い裏路地でくすぶっていた主人公がどんだけ熱くなったのか、熱くさせたのは誰か、終盤戦に向けて理解らせてくるエピソードでした。
 王道青春スポ根としてのパワーが太いのはいい事なんだが、『ゴルフサイボーグぶっ殺しておいてどのツラで……』というツッコミが成立するのも、またこのアニメである。
 否定されるべきの偽りが、こんなにオモシロすぎるの明らかに設計ミスだろ!(個性であり強みです)

 

 つーわけで、葵とバチバチやり合うためにプロとなるには、カトリーヌおばさんの妄執が邪魔!
 なのでイチナの人生オール・インさせて、最後の闇ゴルフをサクッと蹴り飛ばすぞ!!
 すっかりイヴに甘いヴィペールさんの変化、そんなハニーに優しく付き合うダーリンとの関係性含め、ナフレス編を総決算してプロ世界編に後腐れなくツッコんでいく構えである。
 『あたしも巻き込まれて死ぬ!』と吠えつつ、『ゴルフ場までだかんね! 付き合わないかんね!!』と車出して二時間待つ。
 ヴィペールさんはそういう女だよ……マジ大好き。

 そんな感じで、出会う女出会う女軒並み狂わせるイヴに狂った日本の女第二号も、堂々のナフレス訪問。
 イヴの器量に振り回される一般人枠と思いきや、語学を磨き自分の意志で未来を選び、コスいやられ役の腹芸を読み切る眼力も、ヤバい闇ゴルフに震えつつも幕が上がれば相棒をやりきる、イチナの描き方もまた嬉しい。
 血縁のこじれもあって、葵とは素直にキャッキャ出来ない立ち位置なんで、イヴの孤独を間近に埋めるだけの存在感がイチナにあるのは、大変良い。
 休学&退部で退路を断って、イヴのもとに馳せ参じる純愛力も最高だ。
 一方的にLOVEかと思いきや、あのイヴが勝負どころで頼み込む信頼と愛情、それに応える眼力と胆力をしっかりもってるのが、良いキャラよね。

 

 んでまー勝負の方はカトリーヌおばさんの顔芸、キレ芸、驚き芸を堪能しつつ、記憶と矜持を取り戻したイヴがアメリカ裏ゴルフ界の大物を鎧袖一触、サクッと片付けた。
 思い切りよく手順をかっ飛ばし、勝つと解ってる勝負を順当に終わらせる爽快感と、本当に色んなことがありすぎた裏ゴルフを『金、権力、銃弾……なんもかんも偽りでしかねぇ! フツーのゴルフが一番すげぇ!!』と、大胆に蹴り飛ばす憩いが良い。
 テメーが自分で散々トンチキに、ケレン満載ハッタリ十分に面白く作り上げたものなんだが、まぁ死人も出てるしロクでもないからね……まじスカッと否定するべき概念だよね闇ゴルフ。
 幻の七色目、水切りショットのインディゴお披露目も気持ちよかったし、イチナとの絆を青春ゴルフストーリーの中で育んできたからこその勝利でもあった。
 見てる側が『あ、これ良いな……大事にしてほしいな……』と思ったものを、トンチキで盛大にぶん回しつつなんだかんだ、裏切らないお話なのはバディゴルの良いところだ。

 自作自演ピンチ滾り砂撒き散らしおばさんは、まぁキャラが濃いだけのトンチキ噛ませ犬なんだけども、その芝居っぷりが今回イヴが殴り飛ばす”偽り”の象徴として、なかなか良かったと思う。
 イヴのゴルフって虹を描く実父の血筋と、そのライバルであるレオのハイブリッドで、裏稼業の荒くれた経験値もまた、彼女の強力な武器。
 ハッタリにビビることなく本質を見抜き、容赦ない一撃で全てを撃ち抜いていく真っ直ぐさでもぎ取ったこの勝利が、背後から打たれる憂いなくプロを目指す道を開いていく。

 それはネトネトした赤い迷宮、親世代のクソみてーな因縁で葵と真っ直ぐLOVEれない、イヴの思いを弾丸へと変えていく歩みでもある。
 ただただ、最高のライバルと最高のゴルフがしたい。
 イヴがここで今一度、作品と自分を支える一番大きな柱を強く吠えたこと……それを数奇な運命が出会わせた、もうひとりの師の生き様が支えていると描いたことは、ここからはじまる当たらな物語にとって、なかなかいい起爆剤だと思う。
 やっぱ主役が大声で、堂々お話のテーマを吠えるアニメが好きだな俺は。
 そしてそこにたどり着くためには、本気のゴルフで惹きつけた数多の人々の助けが必ずいるのだと、横幅広い描写にもなっていた。

 

 つーわけで闇ゴルフ編の負債をぶっ飛ばし、憂いなくプロとしての決着に踏み出す準備を終わらす回でした。
 物語全体としては『カウントを整える回』なんだけども、単品としてオモシロすぎる火力を随所に宿し、笑わせときめかせ大変忙しいのが、このアニメらしくて最高。
 イチナもヴィペールさんも報われぬ恋情なんだけども、けして片思いではない塩梅が好きです。
 存在が持つ引力と、それを生み出す質量がデカいから、イヴは見てて気持ちのいい主役よな。
 そんな彼女が焦がれるたった一人の女は、どんな翼で運命の待つ天へと羽ばたくのか。
 次回も大変楽しみです。