漫画版U149を、的場梨沙編が始まる前の第67話まで読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
『…なんでこれを原作にして、あのアニメが出力されるんだ?』という衝撃を受ける、少女アイドル頑張り物語の超王道だった。
くすみも陰りもなく、ただただ真っ直ぐに子どもたちの個性と努力、意思と決意が未来を切り開いていく話。
かといって甘っちょろいヌルさが悪目立ちするわけではなく、エピソードごと、アイドルごとに適切な試練と発見、それを乗り越えて拓く地平がしっかりある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
ピンチの作り方も斜に構えた感じがなく、生きていれば立ちふさがるものが、必然的にそびえ立ってる感じ。
これをアイドルちゃん個人の頑張りと、プロデューサー含めた仲間の支え、第3芸能課の外にも沢山ある輝きとの出会いで乗り越えていって、一歩ずつアイドルを知り自分を知り、世界を知っていくお話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
そうして磨かれるキャラの個性も記号的ではなく、生きた人間としての手応え、可愛さとして描けている
冷静で世界がよく見えるから、色んな荷物を抱え込む子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
元気で楽観的で、だからこそ思わぬ見落としをする子。
”子ども”と一括りにせず、年や個性によってその在り方は様々で、でも嫌なぶつかり方はしない。
みんなそれぞれのやり方で、目の前に広がり新たに出会うものと、ちゃんと手を繋ごうとする。
全体的に柔らかな融和のムードで話は進むんだけども、ライバル視や過剰な意識含めて色んな色合いの目線が作中にあって、これがピリッと心地よいスパイスになって、優しい群像劇を引き締めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
ありすから桃華への視線、それを引き付けるにふさわしいお嬢様の気位がバチってて好き。
濁りのなさはプロデューサーにもいえて、誠実で生真面目で熱心な…子供の側に絶対いて欲しい人物でありながら、生真面目だからこそ仕事や子どもやアイドルのことを必死に考えて、時に追い込まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
でもその重荷が良いウェイトになって、担当アイドルに最高のサポートを差し出す力が生まれる。
アイドルの物語を略奪せず、むしろより力強く爽やかな所まで引っ張り上げるブースターとして、プロデューサーの優しさと強さ、公平な生真面目はしっかり機能していて、チャーミングな作り方だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
モノローグが多めで、色んなことを考えているのだと良くわかる作風が効いてる印象。
あと絵がメチャクチャ良くて、アイドルちゃんたちの弾むような生命力と可愛さ、彼女たちが生きている世界の質感がちゃんと伝わる、伝達力の高いヴィジュアルを作れているのは強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
第3芸能課の友達と元気に過ごしている時の表情、仕事に挑む時の絞まった顔、困難に向き合う時の影。
必要なものを適切に、勝負どころでは読者の想像以上に、しっかり作れている感じがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
ともすれば説経節になってしまいそうな成長譚を、流れる汗と弾ける笑顔に思わず引き込まれてしまう漫画としての引力でもって、とても素直に食べれる味わいにまとめている。
特に印象的だったエピソードを一つ上げると、小春ちゃんとみくのお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
苦言を呈する役は成長に不可欠な触媒であり、ふわふわお姫様が大好きな動物と向き合うと凄い! …の、一歩先にある場所まで持っていくには言わなきゃいけないことがある。
言わせる役のチョイスとして、前川みくは最適だ。
真面目で周りをよく見て、アイドルという仕事が好きで小春ちゃんを共に進む仲間だと思えばこそ、色々言ってくれる前川先輩が、”余計無い一言”に思い悩む様子にかなりの尺を回す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
それは彼女を悪役にして作られる、分かりやすくてエグみが濃いドラマに逃げないための工夫だろう。
出てくる人誰もが素敵に見える作風は、サラッとした喉越しに反して作り上げるのが凄く大変だと思うけど、力みなく楽しく毎回、沢山のキャラを活かしていて力強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
小さなセリフや仕草に、その子らしい可愛さや健気がギュギュッと詰まっているから、さり気なく情報密度が高いマンガなんね。
Pちゃんを愛されるべき大人物としてしっかりかけているので、彼に子どもらがなつき信頼するのも納得だし、この体重のかけ方が大きな飛躍に繋がる展開も、待ってましたで受け止められる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
色んなアイデアでチャンスを沢山手渡しつつ、焦りすぎて転ばないよう立ち止まる賢さもある。
このバランスの良い保護者に支えられればこそ、子どもらが自分らしく未来を目指す、思い切った踏み込みも可能になってて、みんながお互いを思いただただ自分であることが、良い結果に繋がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
アイドル成り上がり物語として、着実に仕事の成果が積み上がっていく手応えも良い。
アイドルの物語なので『この子たち、上手くいってほしいな…』と心底思えるかどうかは特に大事だと思うけど、Pちゃん含めてすごく素直に応援できて、この期待がスカされない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
こっちのヌルい予測は上手く外しつつ、描かれてみれば必然の展開で、適切に沈んで浮かび上がるダイナミクスもある。
読んでいくうちに『次はどんなコトが起こるのかな?』と、作りての手際を信頼して運命を待てるのは、なかなか凄いことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
それはやっぱり、お話の必然として選び取ったものが僕の見たいものにピッタリ重なり、新しい面白さを次々教えてくれる楽しさが、作品にあるからだ。
焦点を当てたアイドルがどんな子なのか、記号の奥の心情…のさらに奥、出会いと試練が擦れあって生まれる魂の火花まで、絵筆が届いてキャラクターと出会い直す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
こういう体験が毎回紡がれているのが、それを生み出すために不要な負荷を作品にも読者にも強いらないのが、精妙な作りだと感じます。
物語を追っていると、第3芸能課の子たちをどんどん新しく知っていって、好きになって、彼女たちを守り育んでくれるあの場所も、もっと好きになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
そういう幸福なエンジンが元気に動き続けているのは、とても素敵だと思います。
これを動かす燃料として、ヤダ味濃いネタをあえて跳ね除けているのも。
最善を尽くした上で届かないものとか、ぶつかってみなければ解らない壁とか、そういうモノこそが人間を新しい場所に進めるのだという信念が作品を強く貫通してて、大人含めてみんな精一杯の本気なんだと感じるのは、読んでいてとても爽やかです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
それを子どもの特権にも、大人の占有物にもない。
”アイドル”に勤しむ人たちがみなその素晴らしさを信じて、もっと素晴らしくなるように全力で頑張って、力を合わせてようやくたどり着ける、眩い輝き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
それをずっと見つめ続けているお話だと思いました。
とても良かったです。こっから続き読みます。
・68-71話 的場梨沙編
68-71話、的場梨沙編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
12歳だからこその自負が生み出す焦りを、子ども…というより人間を良く見つめた大人たちが、的場梨沙と同じ時間を過ごす仲間たちが、何よりもプライドに満ちた的場梨沙自身が善き方向へ導いていくエピソード。
あまりにも心地よい”落選”で終わらす所が凄い。
12歳だからこそ梨沙に見えている景色は、例えばこずえが見据えている無邪気で幸福な場所とは違うかもしれないけど、掠れてくすんで惨めなわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
幼子と成熟の中間地点で、行き着く先が見えない背伸びを続ければこそ、今だけ手が触れる場所。
そこが、的場梨沙の戦場だ。
そこに誇り高く、自覚しているよりも優しく立っている梨沙のことが第3芸能課の仲間たちは大好きで、晴を筆頭に彼女たちが差し出す手のひらが、悩みつつもそれを吐き出せない混濁に道を示していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
ツンツンバチバチしているように思われるアニマル柄少女を、年下がマジ慕っているの最高。
そう思われるだけの振る舞いが、彼女のピーキーな生き方から日々滲んでいるからこそ、宿題とか遊びまで一緒にする”仕事場”の戦友が、梨沙のこと気にかけているわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
特別なイベントでなくても、むしろだからこそ積み上がっていく情感の手触りが、キャラの立ち居振る舞いに良く出ている。
イノセントな多幸感(今回もう一人の主役であるこずえちゃんは、その結晶みたいな子だ)を全力でぶん回しつつ、幸せなだけでは終わらない…からこそ楽しい”アイドル”の難しさを描くのに、梨沙というキャンバスは最適だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
友達もこの場所も大好きで、でもその気持を素直にはいえない。
”ツンデレ”で記号化するにはちと手触りが複雑な、かけがえない魂の過渡期に滲む涙、生まれる笑顔。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
全力でガチってくれた監督もそうだが、子どもをナメてる人がいないからこそ、一人ひとり個別の生き様が幼い総身に満ちているのだと、良く伝わっても来る。
ここで無垢なこずえちゃんを、魂の成長痛に悩む梨沙の”答え”にしちゃう作りもあったと思うが、天才ゆえの孤独を彼女なり傷深く受け止めていて、だからこそふわふわ伸ばした手を梨沙も受け止めてあげたくて、でもなかなか出来なくて…ならダチが本気でぶつかって受け止めさせてやりゃー良いだろ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
という、試練設定とその解決が巧みな回でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
サッカーというチームスポーツに勤しむ晴は、自分がゴールを決める以上に仲間をアシストする、チームが機能する瞬間が好きで、梨沙から貰ったアシストをけして忘れないという描き方、めっちゃ晴の値段上がる。義に篤い人すき。
こずえちゃんの意外な才に嫉妬も反発もするけども、その実第3芸能課の”姉”としてちゃんと受け止めてあげたかった梨沙が、パパに見せたい自分とはまた違う、新入りの髪を梳いてあげる自分を掴み直せたのが、人間の話として本当に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
そういうモンを握ることで、なんとか歩ける道だらけよ。
着る・飾る・印象を作るというのは、ファッションに強い梨沙を書く上で重要なファクターだと思うが、ニ度の面接で装いを変える中その意味合いが削り出されていったのも、強い語り口だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
個別の細かい仕事描写で、真面目にアイドル活動頑張ってる感も濃く出るし。
こうなりたい自分と、こう見られる自分と、こうである自分と、こう見られたい自分。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
社会と他者に乱反射しながら、12歳の自我は複雑な立体感を得ていく。
自我形成のよろめきと輝きを、すごく鮮明に丁寧に描くエピソードで良かったです。
そういう頃合いであるという事実に、ちゃんと膝を正している。
あと特別編”志希の暇つぶし”が6ページの爆弾過ぎて、凄まじい火力だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
子どもたちを見守る自分の気持ちを”観察”といってしまうほど、客観を研ぎ澄ませた天才児がなぜ、子どもたちを見てしまうのか。
失われたもの、自分は掴み取れなかったものへの、燻る残り香。
これをフレデリカがフワッと受け止め、まだその炎が胸の中、優しく残っていることを教えることで、見守りつつ憧れていた灯火に優しく抱きしめられ、抱きしめることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月1日
俺ァこういう、当たり前でかけがえのないお話が大好きなので、めっちゃ良かったです。
・72話-77話 藍色鈴々ラジオ編
72話-77話 藍色鈴々ラジオ編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
前回に引き続き新加入の顔見世も兼ねた回で、今回はミステリアスであんま喋らない雪美ちゃんと、元気爆弾みりあちゃんを反応させるエピソード。
ラジオという仕事の手応え、生放送を乗りこなしていく手応えが分厚い。
イベントの手伝いからオーディション、ラジオ番組などなど色んな仕事が全部”アイドル”の領域であり、その一個一個に個別の難しさと楽しさがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
精度の高いお仕事描写を活かすことで、エピソードごとに違った味わいを生み出し、多彩な魅力を引き出すことに成功しているのは偉いし凄い。
前回が時間を使ったオーディションでの変化だったのに対し、今回はブースという閉鎖空間でリアルタイムの反応に向き合い、ギュッと濃縮したライブな時間を広く届けていく作りだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
こういう仕事の風景においても、メリハリが効いて横幅が広いのは、この漫画の目立ちにくい美点だと思う。
喋りすぎるみりあちゃんと、喋れない雪美ちゃんがややギクシャクしつつも、ブース内のお姉さん二人とブース外の大人に見守られ導かれる形で波長を合わせ、お互いの短所を世間に爪痕残す武器にしていく流れは、仕事を通じて自分を見つけていく手応えがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
ブースという閉じて狭い場所に終始留まりつつ、ラジオが持っている公益性、開放感を上手く生かした話運びも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
毎回選んだモチーフが秘めている詩情と可能性を、最大限活かしてアイドルを彩る武器に使えているのは流石だ。
閉じて緊張した場所から、電波を通じて広い場所へ。
顔の見えない未来のファンにも、遠くで聴いている大事な友達にも、二人の個性と魅力はちゃんと届いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
そういう希望が真っ直ぐ力強いのは、とても良かった。
善意と元気の塊だからこそ、赤城みりあが生み出してしまう天性の圧力を、譲って制御し、適切に炸裂させる。
この奮戦に支えられる形で、自分を語るのが苦手な雪見ちゃんも訥々と自分の思いを伝え、好きになってもらえる個性を輝かせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
喋らないキャラである雪美ちゃんを綺麗なお人形で終わらせず、戸惑いもときめきも胸に詰まった、一人の人間であることをリスナーと読者に教える。
相変わらず描いているアイドルの何処が最高なのか、自信を持って強度のある描写を積んでいって、読むほどに彼女たちに出会える感覚が楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
知っていく(知った気になる)快楽は読む行為の一番デカいものなので、ラジオの仕事固有の呼吸や勘所含め、食べごたえがあるエピソードだった。
特別編は桃華&舞ちゃんとお化粧。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
俺はお姉さん達がチビにめっちゃ優しくしている描写が好きなので、めっちゃ触れ合って構っていてすげー良かった。
心構えと歓びを創る、向精神薬としてのメイクの意味にしっかり切り込んでいて、だからこそ気楽に楽しめと伝える。
お姉さんたちのメッセージを的確に咀嚼し、大人であることの象徴としてメイクの形骸へ背伸びする危うさを、その奥にある価値を身にまとうよう成長する桃華の描き方も、彼女らしいエレガンスが分厚い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
人格も実力も太い桃華は強キャラなのだが、そんな彼女の欠落もちゃんと書き続けてるのは偉いね。
・78話-83話 夏休み開始&アートフェス編
78話-83話 夏休み開始&アートフェス編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
ラジオ編で『この子たちを売る! 世間に見つけさせる』と強く決意したPちゃんが、ガッツンガッツン前に出て道を切り開き、暑い夏の魁となっていく展開。
小さく、しかし確かに変化していく状況に応じて、彼の認識する世界、目指すべき場所も変化する
彼個人が見つけた目標をエゴで埋もれさせず、『誰かのため』という美名にも酔わず、適切で誠実な距離感でもって他人や世間と向き合いながら、着実に結果を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
数字にこだわり過ぎず、子どもらが健やかな体験で己を育めるよう、配慮し努力する。
マジ頼もしい。
夏休み開始編は第3芸能課の子たちが、それぞれどんな日々を過ごしているか、”アイドル”と繋がっている児童としての香りが熱気に照らされていい塩梅に上がっていて、日常ものとして凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
少女たちのポートレートを、詩情豊かに自然に切り取れるのは、この漫画の強み。
アートフェスは”芸術”という硬く動きのないイメージのあるテーマを、公開参加型のライブペインティングを活写することで気持ちよく裏切って、それが持ってる弾むような楽しさ、生まれる繋がりとうねりをしっかり書いたのが、アートの物語としてとても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
このお話は題材に選んだ仕事がどんな文化的価値を持ち、個別の強さと面白さ、難しさを持っているか、しっかり掘り下げた上で適切に伝えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
この取材力と構成力が、挑戦から少女たちが何を得るのか、はっきりと描いて納得が強く、展開を飲み込む助けにもなる。
真っ直ぐ己の志を見つめている吉岡さんのキャラが爽やかで熱く、夏という季節にピッタリだったのも良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
彼女にヒントを貰い認められて、”芸術”に一番向いていなさそうな薫ちゃんと晴は自分たちなりの絵を仕上げていく。
生まれる楽譜には、力強いコンセプトと真夏の活力が弾んでいた。
これから自分たちを世間に突き刺す”アイドル”として、描く過程自体が表現となり、また観客を巻き込む(子どもを喜ばす)ステージにもなってるライブアクトは大正解だし、そこに”歌”があるのも、豊かな奥行きだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
この太いコンセプトを、直感勝負の薫ちゃんが心底考えて出したのが偉い。
”らしくなさ”で摩擦することで、記号として硬直した”らしさ”の奥にある地金を引っ張り出す手腕は作中プロデューサーの戦略としても、メタ的に作品全体の手際としても、意識して続けられていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
感性だけで届く表現はできないし、考えることで感覚がより鋭い形に研ぎ澄まされるときもある。
こういう話を薫ちゃんでやって、ひまわりのような眩さを一切殺すことなく描ききって、『俺…この子好きだな…』と思わせた上で、その眩さで晴を陰に置く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
暗く悩ましいからこそ、奥深くまで自分を探れる場所。
”アイドル”やるなら潜らなきゃいけない場所。
今回薫ちゃんが見つけ、言葉と形にしたもの
そういうモノへの導線も、しっかり引いて今後に活かす準備をしてある手際も、この漫画の沢山ある強さ、その一つであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
悩ましい影に引きずられて沈んでいく、重たすぎる道に絶対少女たちを進めない信頼感も分厚くあるので、この沈思黙考がどう生きるか。
今後が楽しみである。
・84-85話 真夏のスケッチ編
84-85話 真夏のスケッチ編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
大きな話が動き出すまでの、合間の物語。
群像の描き方・捌き方が魅力的かつ的確なので、こういうスキマなエピソードでもしっかり魅力的だ。
生真面目ゆえに焦るありすが、憧れの後ろ髪を掴みかけて立ち止まる回と、こしゃまっくれたガキどもがデートする回。
先輩アイドルの存在感がデカく、その引力にスイングバイされる形で子どもらがガンガン前に進んでいくの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
このお話の魅力的な基本構図だけども、満を持しての渋谷凛、構えることなく橘ありすの焦りを飲み込んで、現実見せて地面に足付けさせる仕事を果たした。
教えたのは現実と夢が切り離された無味乾燥ではなく、繋がればこそ険しい高み、そこにたどり着くための歩みの価値であり、今のありすに一番必要な助言だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
ありすはとても頭が良いので、周囲を隠く観察して過剰な背伸びをしてふらつくし、届かない場所を見上げて焦る。
その危うさの奥にある熱をこそ、渋谷凛は”アイドル”だと感じていて、蒼い潜熱はありすの魂とも響き合って、なにか新しい音が生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
ありすから凛ちゃんに向いている視線が、同期をライバル視するのとも憧れのお姉さんを追うのともまた違う、独特な光を宿していてとても面白い。
その裏で仲間でライバルが何やっとるかと言うと、おしゃれタウンで死ぬほどデートしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
好きなコトを全力で楽しむことは、同時に目的意識を有した自分磨きでもあり、四六時中より高みに登るべく何したら良いのか考えながら過ごす梨沙は、”大人びた”という定型句以上に大人だ。
楽しみ遊ぶなかで己を律し、必要なものを見定めて掴み取るのは、相当難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
楽しさに流されず、生真面目を免罪符にもせず、やりたい事とやるべき事を合致させながら視野を狭めず、友情を大事にも出来る。
的場梨沙の優れた資質が、一見気楽なデートの中で溢れ出す特別編だった。
駄菓子屋のキャッキャウフフは、そういう所からちょっと外れたオフタイムであり、そういう時間からも何かを学んでしまうのが第3芸能課の子たちでもあり、みな幸せそうでとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
こずえちゃんはぽよぽよしてて、本当に可愛いねぇ…(小さくぽよぽよしてる子が特に好き)
ぽよぽよしてる子は何が楽しくて何考えているのか、表情や言葉からは読み切れない難しさがあり、しかしそこには必ず彼女たちなりの喜びや悩み、難しさがあるはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
なにしろ、人間として今この世界に生きてんだから、見えているほどにはぽよぽよしていない…はずなのだ。
そこを作中の描写を噛み砕きながら、探って受け止めていく手応え…キャラを知っていく楽しさが好きだから、ぽよぽよちゃんが特に好きなのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
児童という書物を優しく紐解かせてくれる、丁寧にしおりが入った筆致が好きだな、やっぱ。
・84話-90話 横山千佳編
84話-90話 横山千佳編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
魔法少女に憧れる9歳、横山千佳をメインに据えたヒーローショー編である。
相変わらずアイドルたちが挑む様々な仕事の解像度が高く、それぞれの居場所でプライドと優しさを持って”仕事”をしている人たちに、敬意を持ったお話を作っている所がまず気持ちいい。
仕事のパートナーになった仁奈ちゃんと同い年ながら、千佳ちゃんはややリアルな9歳児の造形をされている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
自分と他人、夢と現実の境目が少しずつ鮮明になってきて、今ある自分となりたい自分の乖離をどう埋めるべきか、悩んだり苦しんだりしながら、学び引き寄せ始める時代。
そんな彼女の懸命な”背伸び”を、幾度か印象的に描くエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
踵を地面から上げれば体勢は不安定になり、グラグラと自我が揺れだすけども、そうやって手を伸ばしたい場所がある時に隣に立った人間がするべきなのは、肩を押さえつけて無理をさせないことなのか。
周りの友達が段々とプリキュア離れしだし、ずっと抱いてた”好き”と生身の自分が一緒に入れないかもしれない分離不安を見つめながら、Pちゃんは担当アイドルが、自分が守るべき子どもが見ている世界を少しでも理解るために、夜通しアニメを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
アイデアを出し、頭を下げて筋を通す。
今回は客に向けたステージを演じきること、自分の望みに相応しくカスタマイズすることと同じくらい、バックステージで自分のために戦ってくれる大人の背中を見て、背伸びをする意味を千佳ちゃんが見つける、内向きの話でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
大きくなるって、良いことだな。
Pちゃんの汗で生み出された魔法に護られながら千佳ちゃんが感じたことは、自分より幼い子どもの涙を聞き取り、悲しい思い出ではなくいっぱいの楽しさを抱えて家に帰れるように、頑張って走った千佳お姉さんが、ファンに見せてあげた魔法でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
そうやって奇跡を手渡ししながら、人生は続く。
特撮ヒーローをロールモデルとする南条さんと、悪の女幹部…を名乗るにはあんまり”情”がありすぎる小関さんが少し年上の責務を背負い、堂々背筋を伸ばして問いを投げたり答えを助けたり、大変頑張ってくれたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
模倣から始まりオリジナリティへ、ヒーロー創作論の側面があるのも豊かだ。
家や観客席でただ見つめているだけなら、まだ求められない揺らがぬ”自分”というものを、第3芸能課の子たちは常に求められる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
顧客と観客のニーズに応え、存在感をアピールして芸能界をサバイブしていく必要性が、危うい背伸びに挑む理由が彼女たちにはあるのだ。
それは世間が彼女たちに課した重い試練であると同時に、彼女たち自身が何かを望んで、あるいは成り行きに流される形で、手を伸ばした夢だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
それがどんな手触りをして、どんな顔を持っているか”仕事”を通じて探すことは、そこに反射する個別の自己像を削り出す作業でもある。
ヒーローショーの仕事を通じて、自分や世界や大人の在り方、在るべき姿を見つけた近ちゃんは、”アイドル”という(とあるギフテッドいわく歪な)仕事をとても健全な足場に使って、高い場所に上がって広い景色を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
そういう成長の手応えが、毎回鋭いエッジを立てて磨き上げられている。いい漫画だ。
・91話-92話 衝突と通り雨編
91話-92話 衝突と通り雨編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
ケンカしなさそうな二人がぶつかり合うお話と、雨中の情景スケッチを描く回。
ほわほわしている小春ちゃんが桃華に噛みつくのも、桃華が自分らしさを見失って過剰な成果主義に焦るのも、全部仲間たちが大好きで大事だからなのがLOVEに満ちてて良い。
ガキをナメずに目を見て、伝わる言葉を毎回探して手渡すのが漫画版Pちゃんの大変良いところだが、ハコの例えは自分たちが何に苛立ち衝突しているのか、俯瞰で見るのが難しい立場と年頃の二人に、凄く適切なプレゼントだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
こういう人が間近にいたらそらー信頼も篤くなろう、という納得がある
新入りぽよぽよ二人が、お姉ちゃん達がバチバチする奥にどんだけのLOVEがあるのか確かめさせてもらって、幸せそうに笑っていたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
小春ちゃん達も当然怯えさせたいわけではないので、Pちゃんの手助けを生かして本意を共有し、求めていた場所へ一緒に進み出す流れになって最高。
やっぱ第3芸能課が愛で紡がれた優しい寝袋で有り続けてくれるのが、この漫画見てて凄く嬉しい部分で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
小さな子どもですら、あるいはだからこそ自分の大好きで、大事な人を守りたいと思う。
守られるべき存在だからこそ、護られるだけではない。
そういう公平と努力で、夢の寝床は作られている。
雨中の三作は肩の力を抜き、雨空の詩情を豊かに広げた、これまたU149らしいお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
情景のポエジーが毎回色濃く、少女たちが進み出す世界が色彩豊かに、無声の歌声に満ちていると描ける筆力は、間違いなく作品の根っこを支えている。
雨の境界に入り込んだ瞬間の、強烈なファンタジー。
ああいう瞬間をしっかり書ける観察眼、想像力、構成力が、努力と絆で困難を乗り越え、なりたい自分を引き寄せていくおとぎ話を、嘘っぱちにしないためのアンカーになっていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
素敵な場所がそこにあるなら、素敵な夢が叶っても良い。
そう素直に思わせるのは、技芸と信念の賜物だ。
・93話-99話 福山舞編&夏休み編
93話-99話 福山舞編&夏休み編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
デパートの着物ショーに超優等生元子役が挑む話と、12歳組がアイドル女子寮に一晩ご厄介になる話。
”いい子”の内面がどういう形に構成されているのか、丁寧に踏み込んで掘り下げる手付きが良い。
カメラ芝居とライブアクトの違いを、新鮮に感じる舞ちゃんも。
天候を筆頭に色んなモノが台本道理には行かないナマの仕事を、丁寧な事前準備を武器にしてきた優等生はどう受け止めていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
アドリブを『しなきゃいけない』という義務の軸で受けることしか出来ない序盤の頑なさと、それを突破して心を震わせる体験の熱量、今までの自分を崩しての挑戦まで。
やっぱローティーンの少女がどんな世界に身を置いて、何を見ているのか…何を見つけるのかのシミュレーション精度がとても高いと感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
大人びた”仕事”への哲学を描く関係上、作中のキャラクターはしっかりと大人びている事が多いが、同時に未だ柔らかな感性、経験不足と裏腹な純粋さを大事に扱う。
舞ちゃんの行動理念は『間違えないこと』をベースに進んできて、台本に着実で使い勝手の良い子役人形というロールにハマることで、家庭でも仕事場でも立ち位置を得てきた経験が反射する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
やや悪し様な結果になったけども、愛され恵まれている居場所にも、そういう不自由は否応なく貼っ付いても来る。
同時にその不自由は堅牢な土台であり、間違えないために準備を積んで、丁寧に勝ち筋を叩き込んでいくスタイルは、舞ちゃんの欠点ではなく武器…のはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
これを武器にする経験値を積むべく、フリーダムな感性派の大槻唯と仕事するチャンスを、Pちゃんは率先して掴んだわけだが。
生きていれば、何もかもが台本通りに進むことはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
そこに失敗への不安を見つけるか、未発見の面白さを探し出すかは、心持ち一つの問題でも在る。
オンオフがハッキリして結果を出す唯ちゃんは、その心持を支える成功体験と自信が、大変分厚いのだろう。
これは子どもたちが望んでもすぐには手にはいらず、必要だからこそPちゃんが色んな仕事を持ってきている武器だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
今回のステージで三人が何を選び、どう歩いたか。
計画どおりになった部分も、望み通り上手くは出来なかった体験も、全てが少女たちの内側に堆積していく。
それが善きものになるよう、Pちゃんは凄く細やかな心配りをして、舞ちゃんの震えに気づいたり、後ろめたさをかき消す強い言葉を託したり、大変に頑張っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
生乾きのままな人格に、悪い筋道とか深い傷を残さず、豊かなものが乗っかる土台を整える配慮を欠かさないのは、マジ偉い。
かくして舞ちゃんは子どもの自分が前に出て、やりたいことを伝えて世界を変えていく手応えと面白さを、アクシデントとアドリブに満ちたステージで学び取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
優等生のおしとやかな笑顔ではなく、ちょっとワルい微笑みで新しい場所に進み出していく。
それでいいし、それがいいのだろう。
夏休みの女子寮訪問は、いーっぱいアイドル出てきて賑やかだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
親に庇護されつつもそれが窮屈にもなる、ナイーブな年頃が雁首揃えて、お姉さんたちの生活にふれあい言葉を受け取り、中二階の私達を特別な環境で見つめ直す。
サマーライブ直前、結構長めな準備のまとめとして大変いい感じ。
10代というくくりは共通しつつ、親元を離れ家事もある程度背負って、自分の方に生活を乗せている年上の少女たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
第3芸能課ではお姉さんな12歳たちが、自分たちの居場所をすでに通り越した先輩に、適切な助言をもらえるいい機会だ。
現場の熱量で魂を熱して、ガッコンガッコン叩いて整え直す話もいいけど、こうしてややBPMを抑えめにすればこそ、お互いの内心や環境を語り合える場面があるのも、なかなかいい味わいである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
ガサツに見えてナイーブな、結城晴の葛藤が家とか仕事とか、色んな領域に広がってると理解るの好きだな…。
なにしろ感受性が鋭く賢い子が多いので、作ってもらった体験から何を手に入れるかとか、そういう機会がどれだけ得難いものかは、スムーズにスマートに受け入れられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
体験の受容効率が、同年代の子に比べて格段に高いことが、”アイドル”という高負荷な戦場に立ててる理由なんだろうなぁ。
もちろん幸運や才能に恵まれてトントン拍子で結果を出し、デカくなってく話もあるんだろうけど、この漫画は”アイドル”という仕事の厳しさや求められる資質の高さ、それ故簡単には結果が出ないナマっぽさを、大事に話を作ってきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
だからこそ大勝負のサマーライブまで、時間を使っての”修行編”だ
それがこの家出学習で終わりを告げて、次回からいよいよ本番。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
開放されてる話数をまたぐくらいこれがなげー訳だが、子どもたちが色んな場所で、色んな人と積み上げた成長が生きる舞台になると、とてもいいなと思います。
・100話-104話 サマーライブ・レッスン編
100話-104話 サマーライブ・レッスン編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
大勝負となるライブに向けて、ずっと続けてきた”お仕事”ではなくみっちりレッスン漬けの日々を描く回。
アイドルのド本命といえる”歌って踊って”に必要なものは何か。
集団として個人としてステージに立ち、観客に訴求するための武器をどう作るか。
アイマスの”プロデューサー”には、アイドルに寄り添う全ての職種が混ざっていると思うが、コーチとしての側面が濃い回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
アクターの熱意が焦りになり、致命的な結果で思いを引き裂くより早く、適切に足を止めさせて自分のアイドルを…子どもを守る。
ケアラーとしての仕事でもあるか。
大人であることを果たすべきミッションと定め、頑なさを残したまま走ってるありすの根っこにある、愛への渇き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
簡単には触れられない思春期の爆弾に、最適距離から待ったをかけて、上手く内面を仲間の前で吐露するチャンスを作ったのが、Pちゃんファインプレーだった。
なにしろ濃厚な体験を浴びているので、第3芸能課は子どもたちにとって大事な場所になりつつあり、表面だけなぞった”仕事”で終わらせるには温度がありすぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
だからクールを装うありすの気持ちがどこで燃えていて、その余波がどう彼女を焦らせているか、共有しておくのは必要だったと思う。
というか至近距離で魂が触れ合ってる以上、内側に何を抱えているかは語らずとも感じ取れていて、でも語ってはくれないもどかしさが、怪我の功名にほぐれた…という感じか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
アクシデントをチャンスに変えれたのは、Pちゃん達が子どもらをよく見て、震えながら正しく導いた結果だ。偉い。
Pちゃんは自分の担当するアイドルたちがどんだけ凄いのか、毎回感動しながら受け止める立場にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
彼女たちの実力と可能性を信じればこそ、子どもに預けるには難しい荷物も、慎重に重さを図りながら手渡して成長を促す決断をする。
それがいつも自分のエゴでなく、相手を思っての行動なのが爽やかだ
無論担当の手柄は自分の手柄であり、愛する人が何かを成し遂げた喜びには身勝手で個人的な色がつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
そういうエゴの領分をちゃんと見据えた上で、”自分のため”が”あなたのため”にも繋がっている幸福な共犯関係を作り上げながら、Pちゃんは子どもらが夢に進む道を造っていく。
自分がダンスに混ざることで、アクター視点に体重がかかりすぎていたアイドル達に客観性を足して、自発的にパフォーマンスを修正するきっかけを作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
アイデアが豊かに目的地につくよう、適切な語り合いの技法をさり気なく教える。
身体表現を高みに押し上げるために必要な、広い視野と確かな見識。
フェスが終わった後も、アイドルでなくなった後も生きるだろう武器を、Pちゃんが沢山手渡していてとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
それが驕った確信ではなく、常に自分のやり方を疑いながらも、手渡される側が不安にならないよう背伸びしながらなのだと書いてるのが、なお良い。
あとメアリーと莉嘉を描いた特別編が、16ページの爆弾すぎてすごかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
中学生と小学生、大型ユニットとデュオ。
天真爛漫に見えて複雑な内面を持った女の子が、一緒に夢に進んでいくパートナーをどう見て、何を思っているか。
繊細で温かい描き方で、とても良かった。
子どもである私、大人ではない私の形がどんなものなのか、思い悩み始めるのがメアリーの年頃だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
それは自分の内側に深く潜る以上に、隣りにいてくれる大事な誰かに反射してようやく見える像であり、城ヶ崎莉嘉はいつでも優しく、格好良く、メアリー・コクランの現在地を教えてくれる。
それは進むべき未来への指針でもあって、対等に肩を並べながらもその背中を追って、少女は輝く場所へと自分を勧めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月2日
そう思える誰かが側にいてくれることを、ちゃんとありがたく思える心が豊かに、メアリーに息づいている事を教えてくれて、とても良かったです。かわいいね…みんなかわいいね。
・ 105話-109話 本番直前編
105話-109話 本番直前編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
現場入りしてリハ通して、本番前の緊張に飲まれそうになって、客入れ始まってさぁ決戦! という流れ。
ここまでの物語一つの総決算として、メチャクチャ沢山アイドルが出てきて、メチャクチャ沢山の因縁が一気に結実していく。
メチャクチャ気持ちがいい。
僕は約2日で109話、一気にU149の漫画を”入れた”立場なので、文脈が発酵するより早くここにたどり着いちゃった感じがあるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
連載開始時から、あるいはその前からゲームを通じてアイドルに親しんできた人は、こんだけ多彩で奥行きのある描写で”世界”を感じられる展開は、相当キマる気がする。
僕は基本アニメ以外でデレマスと付き合わない人なので、出てくるキャラクターの人格や背負った物語を知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
各メディアで展開・蓄積されたピースをつなぎ合わせ、自分の感覚や体験と紐づけながら自分だけの星座を、自分の中に作っていく体験は薄い。
だからまぁ浅くて薄い客なのだけども、どっぷりデレマスに使ったディープ&コアなファン以外にも、大きなうねりの余波は良く届く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
それは文脈依存してない普遍的な部分を、しっかり作り込んでいる成果だと思うし、気づく人には気づく塩梅の加減がちょうどいいからだとも思う。
この漫画は顔も名前もない人たちと仕事で出会い、みな最良の結果を求めて全力を尽くしている様子を大事に描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
アイドルだけが頑張っているわけでも、第3芸能課だけが特別なわけでもなく、みな立ち位置は違えど同じ高みを目指す同志として、手を携えて必死に頑張る。
ひよっこアイドル部隊である第3芸能課に、お姉さんアイドルたちが見せる顔もまたその一環で、彼女たちなり当然悩みはありつつも、後輩にいいところ見せ子どもにいい体験をしてもらえるよう、真に迫ったアドバイスを手渡し、闘志を煽り肩を貸してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
想定外の事態に飲み込まれそうになりつつ、周りに助けてもらいながら、ステージに上がれる自分を作っていく描写の中で、共演者たちとの約束も発火していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
晴と志希、ありすと凛。
今までの仕事で学んだ体験が、緊張を乗り越える助けになっても行く。
雪美ちゃんとこずえちゃん、同じように控えめで不思議な雰囲気をまとっているように(僕には)思える子が、大舞台をどう捉えるかの差異…そこに反射する天性の違いの描き方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
天衣無縫に思える大物少女が、”みんな”であることにどれだけ大きな喜びを感じているか。
二人の悩みが落ち着きどころを見つけた所で、あれだけ”間違えない”ことに呪われていた舞ちゃんが自分の優しい欲張りを、友達に伝える場面が、特に印象に残る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
経験を通じて自分をどう変えて、どう変化の中で己の”らしさ”を残すか。
長尺で事前準備からどっしり見せる大舞台だからこそ…
色んな仕事に挑み、色んな人に学んできた子どもたちがこの作品世界をどう生きてきたか(どう生きていくのか)が総覧出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
二日間一気に駆け抜けた読書体験の中で、錆びた脳髄に幾度か鮮烈に刻まれた思い出が、何気ないコマに反射してまばゆい。
ああいうことがあって、今ここにいる。
その実感はライブ本番に向かって駆け抜けていく少女たちにも、それを見届ける僕にも、アツくて鮮烈だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
人数多い(多すぎる)のはデレの強みで難しさだなと、外野からひょっこり身を乗り出して読みながら勝手に感じたけども、だからこそ出来るクライマックスを、いかに描くのか。
このライブがそのキャンバスになるよう、精妙に練り上げ積み上げられた強い描写が、バッチンバッチン連発される気持ちよさが分厚い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
一つ一つの過程を大事に、丁寧に成長の階段を登らせる筆致もこのお話の醍醐味だと思うが、本番直前のこのタイミングでも少女たちは悩み、答えを見出す。
一瞬一瞬が己を向上させる好機であり、そうなるように運命に自分を開いている子たちだから、描けた物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
様々な手触りの聡明や善良を、賢く優しい子どもたちを通じて見つけることが出来るのも、この漫画のとても好きな部分なので、多彩な善さを密度濃く、賑やかに転がしていく手付きも嬉しい。
明るい子も静かな子も、夢見がちな子も現実を見てる子も、みんなそれぞれの在り方で凄く”善く”て。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
優劣を付けられない、付けるべきではない個性がそれぞれの響き合いながら、”みんな”になって輝く舞台は、もうすぐ本番だ。
そしてそこだけが最善なわけではないと、長い準備は告げている。
花咲く夢に向かって、自分の歩幅で歩いていく過程だって、キラキラと輝く星に満ちていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
それを拾い集めて、昨日の自分より好きになれる自分を作って、隣の星と線で結んで”みんな”
という星座になる。
第3芸能課みんなで挑むステージが、どんな輝きを地上に生むのか。僕はとても楽しみだ。
こうして努力の過程、個性と人格を見せることで”アイドル”を否応なく好きにさせていく描き方は、一種の密着ドキュメンタリー的な精度と引力を持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
一見ステージに無関係な仕事や生活に、刻み込まれた光と色。
それを知っているからこそ、晴れ舞台は待ち遠しい。
そういうワクワクを、嘘っぱちのお伽噺にしっかり込めることが出来たのは、やっぱり凄いことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月3日
焦ることなく、作中世界で生きているアイドルとそれ以外を大事に自分だけの物語を編んだから、この革命前夜に同席する瞬間がとびきり眩いのだろう。
ここまで読めて、よかったと思う。
・109話-118話 サマーライブ、夏の終わり編
漫画U149 109話-118話 サマーライブ、夏の終わり編を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
いよいよ待ちに待った本番!
ステージ内部と同じくらい、あるいはそれ以上に第3芸能課周辺のリアクションをしっかり削り出していく筆が、この漫画らしいクライマックスの書き方。
未来に続いていくエピローグの分厚さも良い。
サマーライブは100話超積み上げてきたものの総決算という趣があり、各キャラクターがそれぞれ作り上げてきた絆と自己像を再確認しつつ、音が出ないメディアである漫画からどうにか音が出るように、ドラマの必然性を燃料に読者のイマジネーションを震わせていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
それは自作と読者を信頼した振る舞いだ
第3芸能課の子たちがどういう人物で、どんな経験を積み上げ、何に悩んで何を掴んだのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
それを思い返せば、ならないはずの歌が心のなかから湧いてくる。
漫画で音楽を表現するレトリックは様々あるけど、一番シンプルで真っ直ぐな方法を選んだのが、”らしい”必然性に納得できて良い。
弾むエモーションを最後に一押するのが、子どもらが憧れ護られ導かれてきたお姉さんアイドルが、そのステージに観客のように喜び涙する姿だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
晴れの舞台、一瞬の魔法が小さい背丈を伸ばして、大人たちを追い抜かしていく。
そういう瞬間が子どもたちにはあるし、あっていいのだ。
この加速する夢がステージ終わった後にも残響していて、一つの山場を越えて見えた新しい地平に向かって、各々夢を語るエピローグが心地良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
既に見つけている自分を、さらに前に進めるもの。
ここに至るまでは見えなかったなりたい自分に、名前を与えるもの。
まだ確固たる自分を見つけていないけど、その不定形をこそ愛するもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
色んな子たちが集って”みんな”になった奇跡の今を、多彩な切断面で見せてくる手際が良かった。
ずっと自分たちを指し示していた”第3芸能課”を、クライマックスたるここで己らの名と選ぶのもアツい。
無我夢中の境涯を示すように、ステージの最中には擬音を削って、凛先輩のアドバイスに従ってイヤモニ外した瞬間歓声が飛び込んでくる、漫画ならではの演出。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
ステージの成果がどんなものだったか、タメることで火力を増す仕掛けが生きて、アイドルたちのやり遂げた感じが濃く伝わった。
完全に人生のピークって感じの充実感が作品を満たしているんだけども、それはあくまで人生の一歩であり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
そこを終わりにしないため、少しは先を歩いているプロデューサーがより豊かなものを子どもらに手渡すために、現在地と同じくらい到達点を見据えている様子も良かった。
幻の1StPが企画を立ち上げた裏に、『習い事のようにアイドルをしても良い』という視線があるのが、俺は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
このお話はアイドルの漫画で、それは全霊を賭してなお届かない大きな夢の物語なんだが、何もかも押し退けて余裕なく、世界を切り取狭量を意味しない。
人間がいて、子どもがいて、アイドルになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
少女たちは舞台のためのツールではないし、仕事やレッスンを通じて得た経験は、彼女たち自身の今と未来を、もしかしたら寂しかったり悲しかったりした過去を、誇り高く抱きしめていくための武器として手渡される。
そういう自分であるためには、必死こいてしっかりアイドルする必要があり、アイドル本気でやったからこそ生まれる体験が、各キャラクターの魂をそれぞれの形に、削り出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
アイドルやってると、何が良いのか。
そんな問いへの答えを、多彩な描き方に太い芯を入れて描き続ける。
大舞台を終えての事務所キャンプは、長い間頑張ってきた子たちへのご褒美であり、新しい船出に必要な力を手渡してもくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
優等生からやんちゃガールまで、色んな子が集まってる第3芸能課の”今”が豊かに踊ってたし、その意味合いを少女たちが再確認する描写も眩い。
U149の漫画は、志希の存在感が凄い強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
『早く育ちすぎた子ども』である彼女が持ち前の知性を正しく使って子どもを導き、そこから自分が手に入れられなかった過去を発掘している共犯関係。
志希が第3芸能課の面倒を見るのは、彼女いわく”観察”だけども、そういう理性的な学術言語とは…
一線を画す湿り気と執着が、サラッとはにゃーんな態度の奥に見え隠れする所(そしてフレデリカが完全にそれを理解している所)が、良い手触りを産んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
子どもらに前のめりになる姿勢に嘘がないので、差し出しているものが本気なんだと確信できるのは、面白い”先輩”の書き方。
志希が勉強が尋常じゃなく、凡人の中で浮かび上がるほどできる自分とどう付き合って、どう受容したかは、この漫画の中では明記されない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
身長149センチを越えている彼女は作品の主役にはなり得ず、ヘンテコで頼もしいお姉さんの一人だ。
間接照明で照らされ、その反射で主役を照らす。
しかし居残り組に勉強ができる意味合いを、子どもらに伝わるように手渡す仕草の奥には、彼女がそれを言えるようになった歴史が滲んでいて…つまりそれは人格、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
ここら辺はコンテンツが積み上げてきた地層特有の分厚さというか、文脈を最大限有効活用しているというか。
このお話では脇役になっているアイドルが、どこかの物語では、誰かにとっては特別な主役だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
”アイドルマスター シンデレラガールズ”を大事にしているから書けるものが、U149の漫画にはいっぱいあるんだろうなぁと、Pならざる立場からも感じ取ることは出来る。
そういう敬意は凄く原始的な圧力を伴って、インクの奥から届いてしまうもんで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月6日
原稿用紙の上の人生を、ステージが終わっても歩いていく子どもたちの未来を本気で信じて、しっかり足場を固めて夏を終わらせた筆先からも、そういう息吹を受け取れた。
良い終わりで、良い始まりだった。
・119話-124.5話 遊佐こずえ&アイドルのサイン編
漫画U149 第119話-第124.5話を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
サマーライブを終えて新たなステップへ踏み出した第3芸能課を、遊佐こずえ軸で描いていく章。
鮮烈なデビューがどれだけインパクトを生み出し、世間に見つかったアイドルが忙しくなっていく様子、潮目が変わっていく手応えがしっかり描かれていて見ごたえが太い
舞台を作っていく過程、アイドルの顔になるサインに思い悩む様子も、これまで以上にしっかりした下調べを足場に、手応えのある描写となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
子どもらが挑んでいく仕事や課題が、具体的にどういう難しさと面白さを秘めているものか、丁寧に漫画に練り込む作りは好きだ。
第3芸能課の白いポヨポヨ、遊佐こずえちゃんの天才肌がどんだけ不安定なのか、暴いていく舞台仕事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
白い虚無の中にはあって、当人が気づけない危うさをどうにかしなきゃいけない立場特有の焦燥がしっかり書かれていて、Pちゃんの心情にしっかり共鳴できた。
こずえちゃんはその天才ゆえに、あらゆるものを完璧に反射できる鏡だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
鏡自身は鏡に映らないわけで、欠けている己を他人に求め、真似することで人間の輪郭をなぞってきたこずえちゃんだが、本当にただの鏡ならその虚無に、心が傷んだりはしない。
ぽよぽよ天才顔の奥に、確かにある”なにか”
歳関係なくプロの仕事を、良い舞台を求める監督の熱心は、その不在を際立たせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
これは放置されたまんまだととんでもない怪物を産む危険な病巣で、唯一それに気づき手を差し伸べられる大人として、Pは焦る。
気づけなかった自分を、不甲斐なくも思う。マトモで立派だ。
彼が大人であるがゆえに立ちすくみ、慎重に言葉を探してしまうポイントで、あえて踏み込んだのが第3芸能課の黒いぽよぽよ、佐城雪美であったのはあまりに眩い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
前に出て何かを言うのが苦手な彼女が、かつて自分の手を掴んでくれた温もりに今報いるべく、躊躇いを振りちぎって飛び出す。
何も映さない鏡が遊佐こずえなのではなく、間近にいた私たちに既に、その魂が反射していることを分かって欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
人間が人間だからこそ迸る思いに突き動かされて、ぽよぽよ少女が似合わぬ熱血を掌から手渡す姿…アツいよ佐城さん…。
この不退転の踏み込みに豁然と目を開き、Pちゃんは覚悟を決める。
自分の輪郭が良くわからないまま、不確定な心を拙く、だからこそ真っ直ぐ伝えてきたこずえちゃんの手を取って、自分たちを何処かへ連れて行ってくれる電車に導く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
演技のことは理解らねぇが、人間のことは解っているPちゃんにしか出来ない仕事を、しっかりやり切ってくれた。
仲間たちの温もり、大人の真摯を反射する形で自分の輪郭を捕まえたこずえちゃんが、すんでの所で乗り込めた電車を見送って、一人怪物になっていく子どもが、多分世界には沢山いるんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
このお話はそういう理不尽を描きはしないけど、無視も否定もしていなくて、しっかり視界に入れている。
だからこそ今回こずえちゃんが踏み出した一歩が幸運な奇跡で、そこに手を添えられたPちゃんの『大人の、人間の当たり前』は当たり前でもなんでもない、とても尊い行いだと良くわかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
最終的にとても幸せな場所に行き着くにしても、人間が前に進むと必ずつきまとう波風は、このお話でちゃんと起こる。
こずえちゃんの天才を受け止めきれず、彼女を孤独な鏡にしてしまった前の事務所の子たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
彼女たちがこずえちゃんの今(と未来)から切り離されるのではなくて、祝福の花をちゃんと届けてくれる一コマがあるのが、僕は凄く好きだ。
ライバルとして仲間として、真っ直ぐこずえを見てくれる今の友達。
その存在はありえんくらいありがたく尊いけども、そこに入れなかった人たちにもそれぞれの物語があって、悲しい失敗として置き去りにされるばかりでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
そういう目線が行き届いているのは、やっぱ良い漫画だと思う。
鏡に何が写っているのか、仲間の仕事巡って確かめに行く場面ホント好き。
こずえちゃんの天才にメラメラ影響されつつ、自力で壁を突破していく舞ちゃんも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
失敗しないことに縛られていたあの展示場から、几帳面な丁寧さはそのままに、いろんな自分を掴んでいけるワガママさを、自分の武器に掴んできている。
担当エピ終えた子が、今どんな背丈か教えてくれるの好きよ
あと本田さんが芝居力のスカウター役として、Pちゃんより子どもらにちょっと近い”姉”として、いい仕事してたのも素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
あの子の明るさと人当たり、冷静に周囲を見る賢さが側にいてくれたから、こずえちゃんが鏡に映る自分を捕まえる一歩目を、力強く踏み出せた。
縁というのは有り難い。
その後のサインエピソードは、第3芸能課が鮮烈デビューを果たしたからこそ、アイドルの名刺として今必要なものにどう向き合っているか、見事にスケッチしてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
メインキャラを立てない横幅広いお話なので、色んな子の現状、それぞれ仲間や先輩をどう見ているかがしっかり見えて、とても良い。
晴ちゃんと縁が深い、志希と吉岡さんがインテリ力を存分に発揮して、サイン文化の深い所まで読者と子どもらにしっかり教えて、メインテーマの堀が深くなったのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
ストリート色が濃いグラフィティに、思わず反発しちゃうありすの振る舞い、キャラ濃く煮出されてたなー…。
どんな私をファンに届けたいのか、世界に刻みたいのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
アイドルにとってサインは特別なもので、今まで半分倉庫に眠っていた第3芸能課が、それを選び取るタイミングに来ている。
自分の好きと、見てもらいたい形を自在にデコって、組み合わせて描く、自分だけの表現。
一つのアートとして『アイドルのサイン』を扱うエピソードでもあって、この漫画らしい深い筆致が良く生きていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月14日
ファンの願いを受け止める大きな鏡として、彼女たちが選び取った自分だけのSignature。
それが豊かに羽ばたいていく予感が、幸せに弾んでいるお話でした。とても良かったです。
・125話-130話 結城晴&佐城雪美編
漫画U149 125話-130話までを読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
かなりのロングスパンでパスを繋いできている晴と志希の師弟関係から始まり、みんなのサインとリリースイベント、佐城雪美の新たな戦いと盛り沢山。
U149が一ノ瀬志希を描く筆は、もはや第二の主役と言っていいくらい陰影が濃く面白い。
天才的頭脳ゆえに”普通”から浮かび上がり、それ故手に入れた客観で色んなものを遠くから解析しつつ、かつての自分の匂いを残す子ども達になにか、優しいものを手渡そうと悪戯に笑う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
そんな彼女自身が、アイドルという仕事に何を感じ何を満たされているのか、間接照明で見るのが楽しい。
この漫画は第3芸能課をお互い様の共同体としてずっと描いてきて、いつか誰かを手助けしていた善意が、自身のピンチで必ず報われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
優しかったり強かったり、子どもたちがさりげなく、彼女たちらしく発露させたものは巡り巡って、迷った時に道を示してくれる。
この善因善果な手触りが気持ちいい
同時に困難はいたるところに溢れていて、比較的年長者である晴は自分がどんな存在である(べき)か、ジェンダー・アイデンティティも含めてディープに考えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
この黙考をロゴスだけで描くのではなく、アスリートらしい身体感覚で描写しているのが、結城晴の体温があって良い。
晴は体一つで動き回る剥き出しの魅力と、それを様々に飾る/変容させる衣装を組み合わせながら、幾つかのエピソードを渡ってきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
自分がどんな存在であるのか、どうありたいのか。
そんな自分を見て求める誰かは、自分に何を望むのか。
Wearはその身体と精神と社会の、着用可能な境界だ。
U149特有のどっしりした足取りで、晴は志希の挑発的言辞にも助けられつつ、一歩ずつスポーツをする自分と、衣装を着る自分の両方を重ねられるようになってきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
個人的身体と社会的身体が同調を始める季節に差し掛かっている…て感じだが、ここに梨沙の着せ替え趣味が可愛く刺さるのが良い。
悩んでいたサインもまた、自分がそうである自分/誰かがそう思う自分の境目に揺れていたモノで、ここにも晴は答えを出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
アスリートであり、アイドルでもある自分。
少年的であり、少女的でもある自分。
大人に近づいて、子どもでもある自分。
誰かが見て、私が望む自分。
世界に沢山ある断絶の、只中に身を置いて時に引き裂かれながら、かなり複雑な思考を張り巡らせて色々考え、一個ずつ答えを掴んでいく晴の歩み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
それは完璧なゴールにはまだ至らず、一個一個のパスやステップ自体が大事な、彼女だけの軌跡だ。
それを細やかに彫塑出来ているのが、作品の一番強い所だ。
第3芸能課がデビューを果たし、多くのファンを引き付けながら更に大きく、忙しくなっていく中で、サインは大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
なので話数も回る。
これが作中展開しているリアリティで収まらず、作外現実のユーザーに結構共鳴を促す話作りなのだと、気づくのが遅れた。
ここら辺、門外漢の死角か。
ゲームを通じて別世界線でアイドルをプロデュースし、ややゆっくり目なU149の足取りよりも早く、彼女たちの答えを得て物語を共有している、ユーザー≒プロデューサーの視線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
そこに特別な存在感と輝きがあるから、アイドルマスターというコンテンツには熱量が宿る…のだと思う。
そこでアイドルと出会う一番最初の体験(カードをガチャで引く行為)には、期待が弾む挨拶のように彼女たちだけのサインが飛び出してきて、そういうスタートラインへと進み出すための儀式として、漫画の中のアイドルたちはサインに悩んでいたのかな、と、今更ながら思い至った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
ゲームにおいて先取りしている出逢いに必要なSignatureを、漫画の中未だゆっくり進む少女たちが削り出す過程を、選び取った姿を積み上げることで、メディアと物語体験が孕んでいる境目を飛び越えさせて、シンクロ率を上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
そのための儀礼として、第3芸能課が”おなじみの”サインを作り上げる…
誕生秘話を漫画の中でやるのは、そこにあまり特殊な意味を見いだせない僕が考えていたよりも、最も熱心な読者にとって特別な意味を、宿していたのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
こういう推察も実感の薄いエミュレートでしかないのが、にわかの弱いところであるけども、まぁ思いついたのだからしょうがない。
リリイベもチーム一丸となって明るく可愛く乗り越え、ファンとの喜ばしい交流も果たし、第3芸能課のアイドルたちは栄光の階段を、落ち着いた足取りで進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
その歩みは明瞭な終わりにたどり着くことのない、だからこそ必ず中途で摘まれる、ソーシャルゲーム的物語を定められている…のか?
漫画U149の終わり方は、メディアが固有に持つ物語のSignatureを測る意味でも、個人的にとても興味深かったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
ここら辺の差異と合同を計測するためには、ちゃんと本筋に体浸さないとダメで、その余力がない状態であんま言及する話でもないかな、とは思うけどね。
さておき、佐城雪美の撮影修行である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
福山舞……という感じであり、プロデューサーくん……という感じである。
控えめで臆病ながら、思わず他人の目を引き付ける才能を持った雪美ちゃんとどう向き合って、どう羽ばたかせるか。
子どもも大人もメチャクチャ腰を入れて、人生を背負ってくれて偉い。
『一才お姉さんですから!』アツすぎるんだよな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
俺は小さな身の丈にリキ入れて、世界で一番壊れやすく美しいものを背負おうとしてくれるガキが一等好きなので、自身震えつつ、だからこそその振幅を雪美ちゃんの怯えと共鳴させて、お姉さんぶってる舞ちゃんがあまりに…あまりにも…。
Pちゃんもタイミングや言葉選びが人間世界記録すぎる立ち回りで、雪美ちゃんの生乾きの人格にきったねぇ足跡がつかないよう慎重に、より高い場所に飛べるよう頼もしく力添えをしていて、マジで偉かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
大人が思っているよりも賢く優しく、だから色んなものを感じ取って怯え、時に傷つく子ども達。
そこにどういう言葉とヴィジョンを差し出せば、より正しく強く、なによりも自分らしく明日に踏み出せるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
固定したルーチーンではなく、一瞬一瞬眼の前に立ち現れる相手の魂をよく見ながら、言葉を選び行動で示すPちゃんは、こっちがやってほしいこと作中で全部やってきて、マジ信頼できる。
今の雪美ちゃんには恐怖でしかない、あまたの人の囁き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
それはアイドルとしての実績がないこの段階から、誰かを夢中に出来る特別な魔法でもある。
原宿でのリアクションを通じて、こういう佐城雪美の強さが既に示されているのも、それを彼女自身が握りしめれない現状も、良く書かれていた。
自分が信じきれない、好きになれない自分をそれでも信じ、好きにしてくれる誰かの掌。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
雪美ちゃんはそれをかつて受け取って、こずえちゃんに差し出せた。
ならもう一度優しさを手渡されるのは道理だし、それは彼女が怯えず未来を見つめる契機に、必ずなるだろう。
第3芸能課の黒いぽよぽよが、なかなかうまく喋れない内心に何を抱えているのか、主役回が回ってきてディープに言語化されたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
表情や言葉に現れないから、何も感じていないわけでも、考えていないわけでもない。
そういう彼女のパーソナリティを、仲間たちが解っているのも良い。
あの半分倉庫な”我が家”で、学校とも家とも違う特別な時間を共に過ごし、育まれた縁と思い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年6月21日
そうれが少女たちを包んで守り、前へ進み出す手助けをしている様子が丁寧に描かれている、良いエピソードでした。
幸せな決着がどう描かれるのか、フィナーレが楽しみですね。