イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

君のことが大大大大大好きな100人の彼女:第7話『はじめましてのお薬少女 』感想

 前歯がキュートなリアリティラインぶっ壊し装置が、彼女戦線に堂々リング・イン!
 アダルト形態とロリータ形態を行き来する、ぶっ飛び薬理系彼女・薬膳楠莉のビビーンから屋上行きまでを一気に駆け抜ける、100カノアニメ第7話である。

 ここまで一話使って丁寧に、ロマンティックに耕してきた彼女との出会いであるが、今回はAパートに集約して残りはKISS☆ゾンビハザードの前フリに使う形。
 まぁここまで付き合った視聴者は、独自の作風にたっぷり脳みそコネられて、『いつもの100カノ』を飲み込める体になった輩しか残ってねぇからな……。
 開幕20秒のビビーンに『はえーよ!』と突っ込んだが、楠莉に恋心入っちゃった表現として試験管がピンクに染まるの、マジで冴えてて凄く良かった。
 彼女も増えて、駆け足にロマンティックを消費していく必要も出てきたが、要所要所でキッチリ良い演出入れてくれるおかげで、食い足りない感じはしないのはありがたい。

 

 話の展開に都合が良すぎる楠莉をバカスカ量産する楠莉は、イチイチ前フリに時間使っていられないこのお話の救世主的存在だ。
 展開の起点となりうる便利なパワフルさは、Bパートの愉快なドッタンバッタンで既に証明されたわけだが、同時にあまりにエキセントリックすぎて人界に居場所がない、愛城恋太郎の彼女になることでしか生きていけない、尖った生物でもある。
 100人の中に埋もれない、バキバキに仕上がったキャラ立ちを煮詰めていくと社会性が蒸発し、屋上に生成された恋の聖域(アジール)で生きるしかなくなる……って話なんだが、そこでしか生きられないということは、行き着くべくして行き着いた運命感を強くする。
 神様のうっかりミスで始まった彼女100人斬りではあるが、尋常な暮らしなど望むまでもないイカレ人間たちが閉じて緊密な関係を築き、イカれていようが仲良く楽しく暮らす楽園の物語として(も)、このお話は展開している。

 なので楠莉個人の恋太郎LOVEっぷり、一緒にいれて嬉しい気持ちが、きゃるるんと可愛く描かれていたのは大変良かった。
 唐音のスレンダー、羽香里のグラマラス、静のチャーミング、凪乃のビューティフル。
 彼女それぞれの可愛さを画一的な萌え記号ではなく、一個一個個別に削り出そうと頑張ってくれている所は、このアニメのとても良いところだ。
 楠莉初登場となる今回、前歯に重点した見せ方でもって彼女のハチャメチャな元気さ、八歳まで退行した子供っぽさ、そこから漏れる純情が、尿漏れとジャンキーが跋扈する強火な展開にしっかり刻まれていたのは、彼女が好きな僕としてはありがたい。
 楠莉はおもらし上等な羞恥心ぶっ壊れ人間かと思いきや、独自な所に柔らかな純情が確かにあって、自分なり相当大事にしているギャップが好きだ。
 救命行動としての最初のキスじゃなくて、彼女らしくちゃんとロマンティックにキスしたかったと、真っ赤になりながら訴えてくる様子など、いじらしくて大変良かった。
 いやまぁ、そのために人格ぶっ壊し薬をぶん投げてくる激ヤバヒューマンでは、間違いなくあるのだが。

 

 同じちっちゃい属性でも、静の控えめ小動物っぷり(うさみみ可愛かった……)とは違い、ブレーキのぶっ壊れた天才クソガキっぷりで押す楠莉。
 ヤバ薬をニトロに、化学室でスラップスティック・ラブコメディを暴れさせた後は、他彼女との化学反応を見る屋上お披露目になっていくわけだが……やっぱマッドサイエンティストキャラは便利だなッ!
 思いついたけど常識が邪魔をして実現しないネタを、『天才だから、ドラッグだから(ダダッダー)』と押し流して、強引に形にできるパワーはやはり偉大であり、ガンッガンに状況が転がっていく勢いの良さが大変良かった。
 ここでもアホバカ展開でゲラゲラ笑わせるだけでなく、彼女たちの可愛いところ、そこに恋太郎がズンドコ惚れ込んでいる様子が(半ば強引に)差し込まれ、このお話が一応ラブコメであることを思い出させてくれる。
 猛烈に本質をエグッてくる都合のいい薬に、強火のツンデレぶっ込んでくる唐音を、『君のわかりにくいところ、全部わかってるから……』ホールドで絡め取ってイチャコラする一連の流れ、『ツンデレの真価は”理解”にある』というメッセージ性が濃くて、大変良かったです。
 あとセクシー通り越して肉の怪物(モンストロ・デュ・ヴィヤンド)と化してた、羽香里の淫乱ピンクっぷりな……イキがいい時のクレしんみてぇな作画だったなあそこ……。

 ほいでもってひとしきり、楽しくドッタンバッタン大騒ぎして次回への大本命、KISS☆ゾンビハザード♡勃発ッ! である。
 キスゾンビどもがウロウロしている作画が、異様に気合はいっててバトルアニメみたいでやんした……。
 動きでもって面白さを作るのは、アニメが”動く絵”だからこその強みだと思うので、気合い入れて良いアニメになるようアニメ化してもらってる100カノは、相当ハッピー&ラッキーだなと、滑らかに異形の動きブッ込むヒロインたち見て思った。
 ゾンビとしてのキモさだけでなく、燃え盛るLOVEがピンクのハートマークとして瞳に刻印された、彼女たちの可愛さも忘れてないところ好きよ。(ハート目好き)

 

 と言う感じの、ヒロインたちのイカれた魅力が暴れまわる、とんでも舞台を整える資質が有り余ってるニュー彼女の、見事なお披露目回でした。
 Aパートを高圧縮率でスピーディーに展開した結果、作品が持つ狂気をフルスイングできる大勝負にじっくり時間を使えるようになったのは、構成的にもバッチグーだと思います。
 巻きの展開を重視しすぎて、楠莉個人の可愛さや寂しさを置いてけぼりにする……ってこともなく、シャープでいい具合の描写をズバズバ入れてくれたのも良かった。

 ひょんなことから発生した恋愛大災害(ラブハザード)は、放課後をどんな色に染め上げるのか。
 次回も大変楽しみです!