イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブルバスター:第8話『吠えよ武藤!時代に取り残された男の悲哀…そして大企業・塩田の思惑とは?』感想

 忠犬シロを生贄に捧げ、まぁまぁいい塩梅の距離感で堅物新人が落ち着いた波止工業。
 降って湧いた本社からの視察を受けて、さぁ融資だ合併だ! と吹き上がる隣で、時代の波に乗れないオッサンの愚痴が酒場にこだまする。
 次回予告は超不穏、生臭い手応えが再びドバっと吹き出す寸前、ブルバスター第8話である。

 まだまだ鉛くんと沖野くんの間にギクシャクは抱えつつ、巨獣の謎解明に向けて一歩踏み出した汐止工業。
 タイムカード廃止の流れを見ても、効率重視の鉛くんがバリバリ近代化を進める波と、武藤さんが代表するアナログ根性論がぶつかりそうな気配はムンムンである。
 酒場でみゆきちゃんと沖野くん相手に愚痴ってる時の、破裂するほどでもなく同調も出来ない据えた空気の生っぽさ、本当に凄かったな……。
 武藤さんががなり立てるアレソレがスムーズな仕事になんの寄与もせず、変化についていけないオッサンが年と立場をかさに来て下のモンに厄介押し付けているだけなのが、鉛くんが周囲に一切の配慮なくぶん回す最速効率化と良い対比だった。
 数字だけ見るなら鉛くんのやり方が当然正しいのだが、武藤さんのどーしょうもなくどこにももって行き場がないモヤモヤも、人間が仕事している以上当然そこにあるもので。
 そしてそこに宿る感情のややこしさは、島民の郷土愛と期待に否応なく向き合わなければいけない、汐止が無視できない……しちゃいけないものでもあろう。
 なんもかんも効率的に割り切っていくイマドキイズムを、どう土と汗の匂いがする人間生活に馴染ませていくのか。
 先鋭化するテクノロジーと人間の歩調をどう合わすかという、結構今っぽいネタも表に立ってきて、終盤に差し掛かってきた感じもある。

 

 まだまだ問題山積のまま、杉田声の上司がテストステロンの匂いをプンプン漂わせながら、現地視察→合併融資のフルパワーコンボを一気に決めてきた!
 武藤さんの荒っぽい態度を問題視しなかったのも人間出来てて鷹揚……っていうより、生で巨獣を目にして欲望加熱したからそれどころじゃないっぽいなぁ。
 ミサイルの本数にガミガミがなり立てる、万年金欠企業にとっちゃ渡りに船の囲い込みだけど、ここまで描かれた塩田のやる気の無さを考えると、裏ありそうと思うのはmぁあ当然で、次回予告でキッチリ回収もされていた。
 いい感じの空気が漂うとすーぐ厄介事が起こり、対立の中でちったぁ未来に希望が持てるネタを拾い上げていく、生々しいシーソーゲームはこのアニメの味でもある。
 絶妙に信用できないやり手を、デザインと配役で上手く形にしていて、鷲津はなかなかいいキャラだと思う。

 対外的にはこの合併でしばらく揺れるんだろうけど、沖野くんが鉛くんにいらねー反発を常時ピキピキ言わせまくってるのと、鉛くんがそこら辺にヤスリ掛けて人間関係滑らかにするつもりが欠片もないのは、引き続き会社内部に抱えた爆弾。
 どっちの肩持つかは人によると思うけど、鉛くん悪気はマジでない(周りと上手くやる気もない)ので、仕事バリバリやってくれるだけ鉛くん派かな、俺は……。
 沖野くんもスーパーロボ作って頑張ってくれてんだけど、ヒーロー願望の強い陰キャがようやく手に入れたい場所を、奪われたくない防衛意識でかーなり性格悪くなってて、武藤さんに言わんでも良いトゲぶっ刺してるのとか、生っぽくイタかったね。
 キャラが抱えたトゲトゲした生っぽさを、多分最後まで抜き切ることなく等身大で進んでいくドラマなんで、まだまだクソ若造どもはクソのまんま進むとは思う。
 結構リキ入れて進めてただろう、クラウドファウンディングが頓挫してもサラッと執着ない感じとか、細かく鉛くんの人品が見えてくる場面あって、そういうのが沖野くんにもあると嬉しいかな?

 

 という感じの、嵐の前の順風満帆でした。
 『ぜってーこのまんま進まないよ……』と思っていると、いい感じのEDの途中で超ロクでもない未来が予告されるドライヴ感、このアニメ独特で好きだな……。
 ネタバレっちゃあネタバレなんだが、不要に引っ張りすぎない構成が作品のアクをタイミング良く抜いてくれてる感じもあって、作風にあってる次回予告だと思う。

 急な合併買収を持ちかけた塩田は、一体何を狙っているのか。
 古巣が孕んだ腐臭を前に、田島社長はどんな選択を果たすのか。
 まーたアル美ちゃんがつらい目にあっているブルバスター、次回も楽しみです!