イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

君のことが大大大大大好きな100人の彼女:第9話『愛と魂をかけた聖戦』感想

 五股の蛆虫、女心を弄ぶクズ。
 世間に何を言われようとも、愛で結ばれた絆は本物。
 『果たして真実そうなのか、囚われのお姫様展開でガッツリ試すぞ!』という、100カノアニメ第一期最終エピソード開始である。
 アバンで後の展開を軽くくすぐりつつ、素敵なお花畑に6人で来て幸せ満載、ドタバタ騒がしくもハッピーかわいい時間を過ごす。
 いきなり羽香里争奪戦に突入するのではなく、その土台となるポリアモリーな生活がどんな手応えなのか、ちゃんと描いたのが良かったと思う。

 謎のゴリラ連合だの空飛ぶ妖精だの神のくれたエアバッグだの、イカレ力の強いアレソレはポンポン飛び出しつつも、恋太郎を中心とする人の輪には笑顔が絶えず、私服の皆もとても可愛い。
 世の常識や一般的倫理で測れば規格外のイカレ集団であるけど、そこにあるのは凄くフツーの幸せであり、ネジがぶっ飛んだ奇人変人である以上、彼女たちは恋太郎という人類の規格外に抱きしめられることでしか、幸せになれない感じもある。
 ならどんだけイカれていようが、目の前にたしかにある幸せを、お互いを思いあう温かい気持ちを大事に、”ファミリー”で暮らしていきゃ良いんじゃねぇの……。
 そう思える前半戦だった。
 そう思っている時点で9話分、イカレアニメのイカれた勢い、どピンクの可愛い幸福に脳髄ビッシャビシャにされているわけで、こういう狂った共犯関係を創作物と結べるってのは、レアで幸せなこったなぁ思う。

 

 羽々里が強引にブチ込んでくるツッコミはいちいちご尤もで、フツーの人間で構成されるフツーの社会が多重恋愛を許容しないのは、人間一人を真剣に受け止める行為は、負荷が大きいからだ。
 一対一でも総力を振り絞りボロボロになりながら向き合うのに、五人同時交際なんてどっかテキトーに、目の前の空いての幸せをホンキで考えてない不誠実が漏れ出るだろう。
 それが常識的な判断である。
 しかしハイテンション超絶ぶっ壊れラブコメであるこのお話、彼女たちも相応にぶっ壊れであるし、主役たる恋太郎はこの作品を成り立たせるためにドンドンと、人間が人間で居るためのネジを外し、超人類へと進化を遂げつつある。
 フラワーパークでのやり取りを見ていると、恋太郎一人が人間の規格外へぶっ飛んでいるわけではなく、彼女たちも面白くもねぇ常識を積極的に蹴っ飛ばして、隣り合う彼女仲間のこと本気で好きで、一緒にいるのが本当に楽しいよう、結構頑張って(でも無理はせず)生きてる様子が見て取れる。

 シリアスな常識とやらが我が物顔でぶん殴ってこようが、『この愛と幸せだけが、私らの真実なんじゃいッ!』とはねのける、暖かな力強さみてーのが恋太郎ファミリーには確かにある。
 それはフツーの物差しからは大きくはみ出す狂気そのものなんだが、しかしイカれたこの作品内部で実際にそこにあり、人が癒やされ救われるものだ。
 そこら辺の狂いきった幸福がどんな手触りか、空飛ぶ静(妖精さんみたいで可愛い)とそれを受け止める天然エアバッグ軍団が、上手く示すAパートだったと思う。
 100カノ、脂ぎった支配の視線ではなく、めっちゃ透明で真っ直ぐな『豊かな女体は……豊かでいいな!』という目線でもって女の子の体を見据え、描いてくれてる感じ好きよ……。
 それが過剰な清潔感重点ではなく、『豊かだから……ちょっとムラムラもするな!』と、湧き上がる感情を鷹揚に受け入れ肯定している描き方と併存してるのも、また良い。

 

 つーわけで最高はぴはぴクレイジー家族の休日を描き、ピンクの淫乱が囚われの姫になる展開開始である。
 幸せだろうと満ち足りていようと、イカれてはいる恋太郎の恋愛事情に、1クールのアニメも収まらんとするこのタイミング、実力行使で待ったをかけてくるキャラが居るのはええことだ。
 家族からすりゃ実の子どもがヤバいカルトに堕ちたとしか思えない状況なわけで、羽々里の荒療治もある程度納得というか、そういう常識的な対応を横合いからぶん殴るのが、ぶっ飛びコメディの本領発揮というか……。
 日常的に自作のセクシーブロマイド集送り付けてくる、エロスの自家製原子力発電所に”フツーの幸せ”押し付けてる時点で色々ズレてる感じもあるが、まぁ必然の対決ではある。
 遂に公式に突っ込まれてたけども、俺は羽香里が淫乱ピンクなの本当に好きだからね……。

 いざ突入となる前に、”始まりの二人”の片割れである唐音が持ち前の侠気を見せつけ、安全圏に座ってられない彼女気質を全開にしてきたのも、また良かった。
 ゴリラ連合との戦いで、持ち前のフィジカルをひっそりアピールしていた唐音、ただ暴力が強いだけでなくいざという時まっさきに前に出る、心の強さが頼もしい。
 これが自分の恋心になると、ツンデレネジ曲がって素直にはなれないところが、オーソドックスなツンデレ属性を突き詰める所まで突き詰めた、彼女の美味しさである。
 使い古されたように思えるベタ足の属性を、イカれ度振り切った作品世界で真っ直ぐやることで、『あ、この属性こういう味するんだ……』みたいな再発見の楽しさあるの、属性ラブコメジャンルの捻じれが来る所まで来た手応えね。
 そういうメタ領域にぶっ飛んだ作風を交えつつ、作中の恋はあくまで本気、キャラクターが向き合うたった一つの真実として体温高く、嘘少なく大真面目に向き合っている所が、やっぱこのお話の良いところだ。

 

 羽々里がどんだけ真っ当な心配しようが、欠片も真っ当じゃねぇ監禁転校即お別れコンボを勝手に決めようが、恋太郎と彼女たちにとってはイカれた多重恋愛こそが、世界の全てだ。
 このお話が常時抜き身で構えている、そういう真剣さを問いただす上で、羽香里奪還戦はとても良いイベントだと思う。
 『考えてみると”囚われのお姫様を取り返す”って、ロマンスの基本中の基本だな……』などと思いつつ、幸せの花が狂い咲く物語最後の盛り上がり、アニメがどう書くのか。
 次回もとっても楽しみです!