イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

豚のレバーは加熱しろ:第10話『決まりには必ず理由がある』感想

 遂に旅の終わりにたどり着いて、立ちはだかる謎という壁。
 冴えてる豚が最後の意地を見せつけ、危機を乗り越えて乙女のために道を拓く、豚レバアニメ第10話である。

 謎めいた世界を解きほぐすミステリという側面もあったこのお話、生態監視装置だったへっくりぽんの存在意義を暴き、正しい問いかけを為すべき相手に投げかけて嘔吐への道が拓いた。
 自称・豚の、けして豚とはいえない冴えた頭が最後に生きた形だが、頭だけ使うわけではなくクズどもの襲撃をなんとか躱し、あるいは魔法アイテムで罠にかけ、キッチリ体を張って戦ってもいた。
 うら若き乙女とキャッキャする特権に、豚になることで溺れてもいい立ち位置なんだが、他人の心を考えない変態はあくまでポーズ、豚は最後まで高潔な豚であった。
 今まで純粋さの象徴として、暴力と無縁なところに遠ざけられてきた(遠ざけるために豚が体を張ってきた)ジェスが、泥と血に塗れてる絵面はいよいよクライマックスだなぁ、という感じがして良い。
 そういう状況に追い込まれても、豚の気合と意地でなんとか守りきり、二人で狂った世界の真相に踏み出す展開は、なんだかんだ1クール付き合った身としては感慨深かった。

 前回相当ヘロヘロだったアクションも、豚の短い手足で罠を仕掛ける感じに切り替わったことでまぁまぁ違和感なくて、なかなか良かった。
 三つの御札ならぬ三つの魔法具を活用して、腐れイェスマ狩りを撃退する流れになったが、事ここに至っても豚はダイレクトな人殺しはしないの、面白い調整だなと思う。
 殺し殺されのイヤっぷりはブレースの犠牲で骨身にしみたので、そういう狂ったルールと主人公が一線を画すのは大事で、しかし狼寄せのスイッチ押すってことはまー『犬に食われろッ!』つう、紛れもない殺意を孕む。
 それでもクズどもが狼の餌になったのか逃げ延びたのか、豚とジェスの視野外に置くことで、狂った世界の犠牲になりかけた乙女に寄り添い、旅の最後まで付き従う物語が形を保ったと感じた。
 あるいはそういう、直接的で血みどろな”活躍”から距離を取るべく、主役が豚だった……のかもしれない。

 

 そんな豚最大の見せ場となった、今までのヒントをかき集めての謎解き。
 大体の所は自分も推測したところに重なっていたので、結構スルッと飲めた。
 明らかにイェスマを巡る制度設計は不自然で、不条理で不合理な処理装置に彼女たちをブッ込むために世界ができあがっている歪さが軋んでいた。
 生体監視装置であるへっくりぽんにパスワード打ち込まないと、王都への道が開かないやりすぎてる感じは、ゴールさせるのではなく道中で殺すのが主目的で、イェスマ最後の旅が設計されてる感じを受ける。
 明らかにイェスマへの殺意が高すぎる異様な世界が、どういう理屈で出来上がっているのか。
 いよいよ、最後の謎解きとなりそうだ。

 道中が超ロクでもなかったので、世界とイェスマの成り立ちも同じかそれ以上にヤバい匂いがプンプンしているが、そういうモン鼻先に突きつけられた時、我らが豚はどういう対応するのか。
 次回は暴かれる真実以上に、主人公とヒロインがどういう未来を選ぶのが気になる回になりそうだ。
 常に生贄を求め続けるイカれた世界が、しきたりに従って王都にたどり着いたから変わってくれるとも思えないけど、転生者である豚の行く末と合わせて、どういうケリつけるもんかは気になる。
 我らの豚は自制の効いた豚なので、ジェスへの純情も身勝手な振り回し方セず、彼女が幸せになれるよう気を配って、最後まで行きそうだなぁ……。
 でも真相がどうあれ、イェスマが行きていくには終わりすぎているあの世界でのジェスの”幸せ”って、そもそもなんなのか。
 そこら辺までガッツリ掘り切って結論出してくれると、豚と乙女の旅を締めくくるにあたって、なかなかいい塩梅かなと思う。
 次回も楽しみです!