イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Dr.STONE NEW WORLD:第21話『宝島』感想

 戦いすんで日が暮れて、それぞれの旅が新たに始まる。
 さらば宝島、さらば父たちよ、今鎮魂の花火が別れの空に打ち上がる!
 そんな感じの宝島編長めのエピローグ、ドクストアニメ三期第21話である。
 原作ではここまで叙情的ではないソユーズと宝島との別れを、いい塩梅に膨らますアニオリがリッチな手応えで、大変良かった。
 いつものように利益最優先の悪逆ぶっておいて、実は情を解するロマンティシストな千空ちゃんとか、そこらへんを当然理解してスルッと通訳するゲンちゃんとか、あの頃はガキのお遊びだった科学をすっかり自分のモノにしたクロムの成長とか、百夜という亡父への思いが去りゆく千空と重なるソユーズとか、継ぎ足した部分がいちいちビビッとハマっていて、”Dr.STONE”として納得行くものだった。
 千空ちゃんが相手を利用して騙すように振る舞う時は、極めて平等で持続的な関係を綺麗事抜きで受け取らせる前フリであり、ある種の照れ隠しであり、欺瞞を引っ剥がして現実を見る、科学的為政者の振る舞いだ。
 新頭首となったソユーズの元、独自の生活を重ねていく宝島をイバラのように支配するのではなく、自発的な意志で同盟させるために、常時連絡可能な電波塔を立て、最後の祭に花火を打ち上げて、いい気持で手を取らせる。
 非常に優しいことをやっとるのだが、いかにもな善人として振る舞うのを照れるシャイさが千空ちゃんにはあり、そこがまたチャーミングである。

 ここら辺のツンツンっぷりまで含めて、千空という人間を一番理解しているのはやっぱりゲンちゃんで、惚れ込んだ男のプライドや強がりもひっくるめて、願っていた形に政策を持っていくために色々やってくれる。
 ここら辺のあったけぇけど湿ってない距離感もいい塩梅に顔を出して、二人の関係が大好きな自分としては大変良かった。
 愚民をビビらせるど派手なエンタメと、打ち上げた花火の奥に秘めた鎮魂の願い。
 父祖が宇宙から流れ着いて、いつか目覚める自分を信じて託してくれた白金を受け取り、より大きな目標へと進み出せる千空にとっても、ここは大事な場所だ。
 ゲンちゃんが通訳してくれる感傷が、蘇らない父を思うソユーズの視線と重なって、傷ついてなお前に進む青年たちの魂が共鳴している様子を、花火に照らす。
 宝島住人は度肝を抜かれ、科学王国民は新しい科学のワクワクに目を輝かせ、現代人組は二度と見れないと思っていた夜空の花に涙するって対比も、大変良かった。

 

 いきなり全員石にされたり、スパイ大作戦だったり、ドテっ腹ぶち抜かれて死にかけたり、全霊をかけた総力戦に挑んだり。
 とにかく色んなことがあった宝島だが、終わってみれば知恵と勇気と友情を重んじる科学王国スタイルを貫き、人類救済の大目標のための大きな一歩を踏み出すことが出来た。
 コレまでの物語と同じく、大変だったが意義ある冒険だった。
 コハクとともにそう総括する場面が凄く美しくて、ドクストアニメが始まった時から大事にしてくれている情景美を、エピソードの締めに持ってきてくれた感じがあった。
 やっぱキメ所の美術がすげー壮大かつ美麗で、問答無用で心を動かすパワーあるの、このアニメのいいところだよ。

 かくして幾つも大事な宝を持ち帰り、遥か遠き月面決戦に向けて新たに進み出す科学王国。
 司が起きて最初の目的地が明かされた辺で一旦幕引き……って感じかな?
 三期もめっちゃ面白かったので、こっからの物語もアニメで是非みたいですが、まずはどんなフィナーレにたどり着いてくれるか、しっかり見届けたいと思います。
 次回も楽しみッ!