イマワノキワ

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鬼滅の刃 柱稽古編:第6話『鬼殺隊最強』感想ツイートまとめ

 鬼滅の刃 柱稽古編 第6話を見る。

 最終決戦前の戦力補強で、どっぷり1クール!
 冷静に考えるとずいぶん狂った柱稽古アニメも、遂に最後の一人となった。
 残り三話、まずはフィジカルでどうにかなる部分をゴリっと前に勧めていく感じで、ド脳筋な地獄の体力づくり修行を一話じっくり。
 かまぼこ隊が全員揃い、村田さんなんかとも再開して、死地を前に花咲く同窓会みたいな味もある回だった。
 あとトゲの取れた玄弥のデレな…迷妄の地獄から抜けると、みんなあーいう感じで根っこはいい人なんです。
 そういう人らが鬼スレスレの修羅になんだから、鬼どもの所業はやっぱ良くねーよな…って話。

 

 話としてはマージで一話まるまる修行してて、滝に打たれたり丸太持ち上げたり岩押したり、ただただハードコアなフィジカル鍛錬を炭治郎が頑張っとった。
 宇髄さんや無一郎くんは鍛錬の中でコミュニケーション取ったりもしてたけど、悲鳴嶼さんは自分の足下に大岩押して近づいてくるまで何もしねーので、ひたすら炭治郎のストイックな異常性が際立つ修行だった。
 脱落するモブとの対比で、常人が這いつくばる才能や努力の壁をあっという間に突破して”最強”に近づける主人公が、どんだけ特別なのか見えてくるのも、柱稽古編の面白さなんだろう。
 あんな全身傷だらけの歴戦が、ドロップアウト覚悟するってまー相当だよね…。

 現実でも超精鋭特殊部隊の選抜試験なんかは、腕に覚えありのエリートが心も体もズタボロにされて諦めるものなので、過酷さそれ自体が上弦を前に戦える資格を問う、厳しい篩みたいな仕事してんだと思う。
 ここで引き返すのならば、一瞬で肉塊にされる道しかないんだから、納得して後方下がってくれ…みたいな。
 そうやって分を知って”主役”じゃなくなっていく人にも、炭治郎は礼を尽くし心を繋ぐ。
 ハードコアな修行一本槍で目ん玉三角にするでなし、地獄唯一の楽しみである食事を美味しく振る舞い、人間当たり前の幸せを自然と広げていく。
 そこがやっぱ、この話の主人公一番の強さなのだろう。

 

 岩柱修行はすげーシンプルにキツそうなので、負けん気が強くて前向きな伊之助がコミックリリーフ的に追加され、ちょっと空気が明るくなるのはありがたい。
 出会った時はあんだけ俺様無敵だけがアイデンティティだった少年が、炭治郎に先を越されて素直に『負けたッ!』と言ってるの、俺好きだな。
 煉獄さんに眼の前で死なれた時に、無敵でもなんでもない自分を思い知らされた上で、託された重荷に押しつぶされない自分であるために、あのバカなりに色々考えたんだと思う。
 結果至らぬこともある己を真っ向から受け止め、バクバク噛み砕いてガンガン前に進む、いわば”シン・猪突猛進”みたいな心持ちに、今なってんだろうな。

 炭治郎が大岩を動かす金剛力を自分の中から引っ張り出すのも、煉獄さんから継承した熱が魂を燃やすからだ。
 1エピソードで退場するにはあまりに影響力が大きい男だが、だからこそあそこで殺すのが作劇上ベストだったということも、話が転がっていく中で解ってくる。
 死んでも消えないものがあり、殺しても死なないものがあるという、鬼どもの物理的不死を越えていく鬼殺隊の”不滅”に説得力もたせる上で、煉獄さんの存在は大きいな、と思う。
 圧倒的暴力で理不尽な死をもたらす災厄を前に、塵芥に過ぎない人間が戦える理由、負けない意味を問いただす作品において、あの人があのタイミングで死んだ意味は極めて大きかったのだろう。

 意味を持たせるために、炭治郎も伊之助もドキツい修行にかじりつき、あっという間に結果を出している…つうことなんだろうけど。
 鬼どもが首落とされる時の回想には、おんなじような執念が確かに宿っているのに、片や少年漫画の王道を行く過酷で健全な修行に身を投じ、片や自分の原点も忘れて妄念に焼かれ他人を食う。
 この境界線は思われているより全然薄くて、鬼を斬っても嗤わない炭治郎は、そこに自覚的なんだと思う。
 己を内省し世界を客観し、どこにいるべきなのか考える内省の力ってのも、鬼になると失われちゃうしなぁ…。
 だからこそ鬼は強いし、その強さは何も生み出さない虚しい強さだ…って話なんだろうけど。

 

 虚しくない強さを鍛え上げるべく、炭治郎はひたすらに体を鍛え、自分の中の可能性を独力で引き出す。
 それで壁にぶち当たった時、ともすれば殺し合いしてたような相手が手を差し伸べてくれるのも人徳の不可思議であり、角が取れた玄弥との対話がヒントになって、炭治郎は新たな領域へ進み出す。
 お兄ちゃんを失って以来、自分がどこにいるのか、どこに行きたいのか見えなくなってた玄弥にとって、里での共闘は無権の闇に灯る燈明、焦燥を吹き飛ばす涼風だったのだろう。
 まーそれで第二の人生を前向きに進められるのも、生き残ってこそではあるので、ホントあそこで死ななくてよかったよ。
 この後みんな揃って死地だがなッ!

 お兄ちゃんとの思い出を取り戻した無一郎くんもそうだけど、里編でのメインキャラは(人格ずっと変なテンションで安定してる恋柱除いて)家族との繋がりを絶たれて自分を見失っていて、激戦を経てそれを取り戻す。
 少年たちが自分を見つける、普遍的な成長を描くキャンバスとして血みどろのバトルを描く少年漫画の正道を、修羅のなりかけが駆け抜けた後の風景。
 無一郎くんや玄弥の、素直で幼い表情を見ると、柱稽古編はやっぱりスペシャルファンディスクというか、主人公が何を成し遂げてきたか成果確認をする意味合いが強いなぁ、と感じる。
 炭治郎は何が強くて、どこまで行けるのか。
 それを、終章前にスケッチしてる感じ。

 

 色んなことを成し遂げてきた主人公が、己の中の炎を呼び覚まし大岩を動かして、遂にたどり着いた鬼殺隊最強の足元。
 初対面での印象最悪(柱はだいたいそう)だった悲鳴嶼さんが、どういう人なのかガッツリ掘り下げるチャンスをアニメがどう描いてくるのか。
 彼の過去は原作でもいっとう好きなエピソードなので、いい感じに涙の修羅の原点を描いてくれると、大変嬉しいです。
 次回も楽しみッ!