イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

黄昏アウトフォーカス:第1話『始まる前に終わる恋なんか』感想ツイートまとめ

 黄昏アウトフォーカス 第1話を見る。

 デジタルBL誌”ハニーミルク”連載、ガチンコにボーイズ・ラブのど真ん中を、ディーンと渡部監督がアニメ化したもの。
 原作未読であったが、ひょろりと細長く顔の良いシャイボーイたちが、メチャクチャキャッキャウフフしながら愛の嵐に飛び込んでいく姿が、元気で可愛くとても良かった。
 初手ノンケ不可侵宣言をカメラの前でぶち上げるものの、部活動のBL映画撮影をきっかけに愛の沼地に引き込まえていく映画バカと、どっか影をまとったゲイの不良。
 どう考えてももうルームメイトでは収まらない、熱の高い二人がズブズブになっていく様子が、しかし妙に爽やかで良かった。

 

 作中言及されるとおり、何よりもピュアで愛に真っ直ぐ向き合うBLの王道を、それ題材に映画を作るカメラマンと主演が突き進んでいくという、結構メタな構造。
 今後ネトネト愛が深まっていくにつれて、どういう扱いになっていくかは解んないんだけども、一話の段階では『映画を作る』ということに結構熱があって、そこが良かった。
 約束を破って傷つけることのにならないか、悶々と足踏みする主人公の中で展開する、撮りたい絵の精度。
 それはカリスマがある市川監督をトップに、青春を映画作成に費やしている、無邪気な真摯さが生み出す夢の結像だ。

 今後恋に取って代わられるのかもしれないが、しかし今は真央くんの真ん中にはまず映画があり、ゲイのルームメイトを嘲笑わず裏切りもしない、爽やかな誠実さがある。
 そういう彼だからこそ、一年前にカメラの前で立てた誓いをなかなか裏切れず、カメラ越しだからこそ気づいてしまった自分の中の真実に、今後メチャクチャ身悶えするんだろうなという推測…あるいは期待も、しっかり高まる。

 真実の愛は目の前にあるのに、なかなか飛び込んでいけない。
 オーソドックスで純粋なロマンスのど真ん中を、第1話からしっかり構築して作品の中核に据えてくれたのは、馬力があって良い。
 今後もどんどん、ピュアな足踏みを続け、助走をつけて高く飛んでって欲しい。

 

 誠実な誓いにしろ本物の愛にしろ、真央くんが裏切れないものい向き合うときはいつでもカメラ越しで、それが”映画”を大きなパーツと選んだ作品を、ちゃんと支えてくれてる感じもあった。
 カメラマンである自分に彼は結構な誇りがあって、それを裏切れないからこそ、ホントの事は全部カメラ越しに映る。
 そんな男が撮る映画はとても面白くなりそうな予感があるし、主演として恋した男を見つめ、題材としてボーイズ・ラブを扱う映画作成の中で、なかなか素直に踏み込めない自分の真実に、向き合う足場も固まっていくだろう。
 BLと映画、二つの題材が結構いい感じに噛み合っている手応えには、好ましい印象を覚えた。

 ここらへんは第二のカップル担当として、今後ズブズブ男男関係性の沼に沈んでいくらしい、市川監督の造形も深く食い込んでいる。
 彼は情熱あふれるクレバーな男で、スタッフに何を撮りたいのか、そのどこに面白さがあるのか、的確に指示できる。
 破天荒なようでいて真央くんの腕前を信頼し、善いものを作ろうと心ひとつに、選んだ題材に真摯に向き合おうとしている。
 このもう一人の映画バカが、いい映画を作ることに熱量高くて爽やかなことが、映画撮影に高校時代を注ぎ込む青年たちの、部活動物語としての面白さを支えてくれてる印象だ。
 今後市川監督も己の愛に出会う中で、ここら辺どう変わっていくんだろうねー。

 

 男の子たちのスラッとしたシルエットが繊細で、クローズアップに切り取られる瞳がとても美しいのも、セクシーで良かった。
 男が男に惹かれていく引力をどこに宿すか、極めてフィジカルな説得力が必要になる題材だと思うが、危険な温度に身を投げていく美少年たちの描線はしっかり、そういう要求に耐える強度を有していた。
 第1話から深夜のゼロ距離戦闘寸前まで温度上がっていたので、今後もセクシャルな描写は大事な見せ場として扱われると思う。
 身を焦がす情欲と透明度の高い純情が同居し、好きだからこそ求めるエロティシズムの熱がフィルムを焦がす第一話、大変良かったです。
  エロい話がちゃんとエロいの、エロいから偉いね。

 『こんな顔面兵器どもが雁首揃えて、モテもしねー映画撮影なんかやってるわけねーよ!』という、どーでも良いツッコミも、自分の中に無いわけではないが。
 しかしそのありえなさこそがファンタジーとしての純度を高め、嘘っぱちの夢に本気で酔う伊達を彩りもするわけで、ここらへんはむしろガンガンありえない方に、ロマンティック爆裂で突っ走っていって欲しい。
 そういうファンタジックなきらめきが、妙に高校生のおバカな汗の匂いが生々しく感じられる、いい感じの手触りな学園生活と混ざり合ってるのも、作品独特の面白さと感じた。
 彼ら夢を煮固めたBL妖精さんたちなんだが、架空高校生としての実在感が確かにあって良いわ。
 『あるわけねーだろ!』と『あったらいいなぁ』がゴルディロックス距離で釣りあってるの、優秀なファンタジーの証だよね。

 

 3組のカップルがそれぞれの恋模様を、同じ部活に描く恋愛群像劇ってことで、今後話の横幅も広がっていくと思う。
 その初撃として、誠実な誓いが壁となって愛を阻む、映画バカと不良少年の恋が燃えていく様子は、大変良かった。
 この手つきでロマンスと映画を扱いながら、色んな角度から彼らの青春を描いてくれると、なかなか面白いものが見れるのではないか。
 そう思える仕上がりで、大変良かったです。
 ”映画”という素材が持つ根源的なエモさが、誰よりもピュアな少年たちの恋を乗っけるキャンバスとして、噛み合い良いんだな…。
 次回も楽しみッ!