イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

株式会社マジルミエ:第1話から第3話までの感想

 株式会社マジルミエ 第1話から第3話までを見る。

 ジャンプ+連載の魔法少女お仕事モノであり、なんで社会の片隅で埋もれていたのかサッパリ解んない人格とスペックをした超新星主人公が、厚労省管轄の怪異災害民間対応業者”魔法少女”業界に裸一貫飛び込む! というお話。
 もはや一大ジャンルとなった変則魔法少女モノの一つだが、少女の憧れとしてのキラキラに真っ向向き合いつつ、大企業からベンチャーまで色んな大人が乗り込む”産業”となった魔法少女を、パワフルに描いている。
 主人公カナちゃんを筆頭に、クセと嫌味のないキャラ造形、お仕事モノとしての手堅い構成が、魔法少女が在る世界を気持ちよく飲ませる。

 

 第1話で運命の出会い、第2話で味方チームの掘り下げ、第3話でやや変則的で難度の高いミッションと、極めてスタンダードかつ手堅い構成でもって、魔法少女というお仕事を教えてくれる話運び。
 これに乗っかって物語を牽引するのが、周りにダメダメと言われすぎて自分のことをダメだと思っている、記憶力と気配りの怪物・桜木カナである。
 ガッチリ資料を読み込み、適切なタイミングで記憶から引っ張り出せる頭のキレと、初めて遭遇するピンチにもパニクらない腹の太さ、信頼できる同僚相手にちゃんと言うべきことを言える積極性。
 社長じゃなくても思わず号泣、とんでもない逸材が未来を切り開く様子は、見ていて気持ちがいい。

 『一見クセが強いけど、蓋を開けてみたら超優秀&人格者』つうのは、度胸満点なヤンキー魔法少女・越谷パイセンにしても、なぜか女の装いを当たり前に着こなす社長にしても、ナード気質のスーパーエンジニア・二子山くんにしても、マジルミエの全員に言えることで。
 このクセ強メンバーをお外に出して交渉させると色々ヤバそうなので、営業の翠川くんがスゲー普通なのは、良いバランスなんだろう。
 あの人もあの人で色々抱えてそうだが、そこら辺は業務が元気よく暴れていく中で見えてくるものだろうし、今後の楽しみである。
 死んだ眼で稼ぎまくってる石田ヴォイスと、社長の因縁とかもね…。

 

 新人・ベテラン・エンジニア・営業・社長。
 専門分野と強みがそれぞれある五人が、顔が見え声が聞ける距離感で有機的に連動して仕事をしていく…その中で、主役の成長を通じて魔法少女産業の形が見えてくる。
 世知辛い現実に理想を吠える夢物語として、コンパクトなベンチャー企業を主役に据えたのは凄く良いと思う。
 各セクションがリアルタイムでやり取りしながら、ヴィジョンを共有しながら突き進んでいく”人間的”なやり方は親しみやすいし、零細企業に収まらない優秀さが清々しい無双感
を生んでもいる。

 しばらくはマジルミエ式の、一人ひとりに寄り添い非効率的な業務の善さが描かれるんだろうけど、古賀社長がジワリと滲ませた、銭と効率で回っているメジャーリーグのやり方が、どういうタイミングで殴りつけてくるかな、という感じ。
 本来アマチュアの慈善活動で世界を救う”魔法少女”が、職業として成り立つほどに成人化し、一般化してしまっている社会では、それが背負うものも既に変質しているのだろう。
 同時に変わらないキラキラがあるからこそ、マジルミエの皆は理想を真っ直ぐ追いかけ、清く正しい(金になりにくい)魔法少女イズムを信じ続ける。
 この現実と理想の衝突点が、印象的なエピソードとともに掘り下げられていくと、作品独自の面白さが出てきて良いんじゃないかなと思う。

 怪異災害が公官庁管轄の「あって欲しくないけど、まぁまぁ起こるのでちゃんと対応しなきゃいけないイベント」になってて、個人の異能一つで何もかも解決なんて出来ないスケールになってる世界も、なかなかに面白い。
 綺羅びやかな衣装に反して、この物語の魔法少女は専門技能と度胸を問われるトラブルシューターであり、人命を守るレスキュー職種でもある。
 人間が解明も対応もしきれない”魔法”という新技術に出会ってしまって、それに適応しつつも制御しきれない矛盾が吹き出した時、迅速に対処する…結構な肉体労働。
 彼女たちが流す汗の熱さが、しっかり伝わる話になっているのは、作品独自の”魔法少女”観を良く教えてくれる。

 あらゆる仕事がそうであるように、外野から無知と偏見のレンズを通して遠巻きに見ている時と、内側にカメラを寄せて実情を受け取った時、描かれる絵は違う。
 カナちゃんという魔法少女初心者、怪異労働初心者の目を通して、色んな規模と哲学を持って仕事をする、色んな人たちが関わる”産業”の手触りを感じられるのは、なかなか面白い職場見学である。
 そういう全体の見取り図だけでなく、主役の居場所となったマジルミエがコンパクトながら有能で、一つの理想のもとに適切なコミュニケーションが図られ、下から意見を吸い上げ上から思いが伝わる、健全な職場だという身近な手応えも、いい具合に描かれている。

 数多の魔法少女が織りなす、産業ピラミッド。
 その最底辺の最上位……マイナーリーグのエースであるマジルミエが選んだ方法論が、全部正しいってわけじゃないと思う。(正しいのなら、あんな事務所で零細やってない)
 官庁が管轄し法制が整備され、対処すべき緊急事態と脅かされる安全が目の前にある、ホットで華やかな一大産業を成り立たせている冷たい理論にも、そうならざるを得ない理由が確かにあるはずだ。
 カナちゃんの社会人修行を追いかける物語の中で、ここら辺の複雑な事情を描いてくれると、奥行きあっていいと思う。
 ここら辺は年長者特有の疲弊を背負った、社長世代の荷物として設定されてる要素…かなぁ?

 

 明文化された法制度と、業界内部の不文律が入り混じりながら仕事が回っていく感じとか、怪異対策をうっかり怠って大惨事に至る”よくあること”感とか、プログラムとして描写される魔法とか。
 ”魔法少女”というフワッとしたテーマを、極めて生臭く現実的な”お仕事”と混ぜ合わせるために、細かい描写を色々頑張ってくれているのも良い。
 この作品世界において、魔法も怪異も魔法少女も日常の隣りにあるもので、だからこそそのヤバさを忘却することで日常が営まれてもいる。
 そんな風に、魔法の特別さが日常にこすれて摩耗する中でも、”魔法少女”には華やかな特別さと、輝かしい夢が確かに宿っている。

 誰かの夢や憧れを体現するモデルとしての仕事と、命がけで災害に挑むレスキューの仕事と、最新鋭の魔法技術を実地で活用するテック業務。
 これをあらゆる仕事に共通の、人間と人間をつなげる真心、業務に真摯に向き合う心意気で包んで、思いの外多角的で欲張りな描き方をしているお話だと思う。
 最後の共通部分が熱ければこそ、魔法少女業務の特異さも伝わりやすく描けるわけで、そういう意味でもマジルミエを理想主義集団に据えたのは良い座組なんだろう。

 どんなに見慣れぬファンタジーの中でも、結局人間が生きて仕事してて、その在り方がぶつかる時だってあるし、繋がるときもある。
 ここら辺の普遍的なダイナミズムを暴れさせる素地は、侠気満載で包容力がある越谷パイセンを筆頭に、既にしっかり描かれてる感じ。
 キュアサマーとキュアコーラル、二大プリキュアが真逆の芝居で同じ職場に立ってるの、個人的にはマジおもろいな…。
 ガサツに見えて人間の一番大事な部分はけして踏まないパイセンの人間力、見ててマジ気持ちがいいので、キャラの造りと見せ方が強いお話なんだなー、と思っている。
 天才肌の感覚派だが、驕ることなく業務はやりきるし、せっかく出来た後輩は大事にしてくれるし、俺ァパイセン好きだぁ…。
 アクションがちゃんとかっこよくて、憧れれる描き方なのが良いよね。

 

 第3話は回を跨いで、ザックリ効率的なやり方じゃ解決しきれない難題に、カナちゃん達が挑むお話であった。
 第2話で自分の特性を信じてくる職場に出会い、ひらめきを結果に結びつられた成功体験を得たわけだが、そこでちょっと前に出すぎて出鼻をくじかれる描写、新人奮戦記として大変良かった。
 それがシリアスな大失敗にならず、より慎重に的確に仕事していくための発見になるのは、マジルミエという組織の健全なタフさなのだろう。

 理想を貫くのならば実力が必要で、古びた商店街の怪異退治はそれを見せてくれる、とても良いテストケースとなりそうだ。
 小さな社屋に集った夢追い人に、一体何が出来るのか。
 次回も楽しみ!