イマワノキワ

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想星のアクエリオン Myth of Emotions:第1話『彼女の語る』感想ツイートまとめ

 想星のアクエリオン Myth of Emotions 第1話を見る。

 超前世系ぶっ飛びロボアニメの四期目…にして、ヴィジュアルから温度感からなんもかんも全部ひっくり返してきた意欲作。
 初報届いた段階で「攻めてるな…」って感じだったけども、蓋を開けてみたらかわいいカトゥーン調にそぐわぬ(からこそマッチする)閉塞感とナイーブな不気味さで、大変良かった。

 匂いとしては”ラーゼフォン”あたりのテイストなんだが、バリバリ前世と超古代が話の本筋に絡み、日常をぶっ壊していくお話として”アクエリオン”をやるなら、むしろこの味わいが正道…という感覚すら、ヤラれた今だと思う。
 めっちゃ良かったです。

 少女の葬列から始まる重苦しいムードは、音響を削ぎ落とした描写でより強まっていって、見慣れた江の島の景色から超絶ロボが飛び出す異様な感覚で、一気にクライマックスへブチ上がる。
 …というシンプルな対比でまとめるには、「Go! アクエリオン」なアゲ感が作品世界の”正解”だっていう感じがなくて、そこが逆に気持ちよかった。
 ロゴスの(あえて言わせてもらうけど)惨状を経ての四作目、自分たちが何を作っているのかつう批評的な視座が絶対必要なタイミングに来てるとは思ってて、ノリと勢いでなんもかんも解決してしまえるネアカ感を、一旦封じて重苦しくやっていく選択は適切かな、と思う。

 

 

 

 

 

画像は”想星のアクエリオン Myth of Emotions”第1話より引用

 花守ゆみり小市眞琴豊崎愛生と、当代随一のショタ声優をずらりと揃え、心のどっかが欠けた中学二年生のナイーブな感性を、ジトジト湿って描く筆は大変冴えている。
 顔の見えないモブが、無責任なノイズを葬式にすら垂れ流す、ありふれて恐ろしい日常の光景。
 それを描く筆致は猛烈なディフォルメを暴れさせて美しく、日常に埋没しない”何か”を描こうとする姿勢が、キャラデザと色彩設定から既に漏れている。
 こういう描き方を選んだ以上は、異様な”何か”を抉り出そうとする野心が確かにあるのだろうと、慄き期待したくなる第一話だった。

 やはり若き少女の葬列から始まり、死んだはずの彼女が”特別なクラスメイト”として少年たちの隣に当たり前に立っている、目眩を覚えるような導入が良い。
 頭のイカれた終末論者の叫びこそが、世界の真実をえぐってしまっている狂った世界の、真実に気づかぬまま横並びで、白い菊を備えるモブ達。
 そこに染まらぬ真紅の気持ちを持つ主人公は、制服を着ない社会の異物でしかなく、恐怖を感じるレセプターが壊れているからこそ、命懸けのパルクールに面白くもないのに挑み続けている。

 

 義務として適切に涙を流して、人間のふりをしている醒めた顔の少年も。
 好奇心と自信に欠けた、弱々しい男の子も。
 学園モノの薄皮を被りつつ、主役も作品世界も極めて歪でどっかが壊れている…からこそ、過剰な何かを外部から輸血しなければ、バランスが取れない現状を、巧く可視化し発火させてくれていた。
 この静謐で息苦しい不気味の中、世界で唯一自分をわかってくれていた女の子のために撫子の花を捧げられるから、サッコが主人公なのだと伝わる演出、初手にして良いぱんチだったな…。
 詩が上手いアニメが、やっぱ好き。

 世界を滅ぼす敵に対抗しうるマシンは、マナと呼ばれる感情のエネルギー以外では動かないわけだが、心の六角形がぶっ壊れた子どもが謎めいた予言機械によって、そのパイロットとして選ばれる。
 雲も月もいびつなこの世界で、人間の在り方はもっと歪で、しかしそれはホラーというよりはファンシーな、可愛らしい色合いで飾られ…だからこそなお悍ましい。
 この精妙にキモカワイイ感じを見事に選び取ったのは、大変いいと思う。

 

 学園に設えられた宇宙防衛施設だの、死んだはずのクラスメイトだの、明らかイかれてる状況に男の子たちはあまり動揺を見せず、流されるままに受け入れていく。
 その従順さが彼らの歪さ、普通じゃなさを語っているようであり、ナイーブで不気味な作品世界にたっぷり尺を使いつつ、主役ロボ顕現まで一気に話を進めるテンポの良さに、上手く寄与している感じもあった。
 ザラリとした違和感を確かに感じつつも、救世主として戦うべく引かれたレールから降りようとはしない、奇妙な生気のなさ。
 その低体温が、アクエリオンなのに全然音鳴らさないストイックな演出と、日常の奥に狂気が潜む作品世界と、良いハーモニーを奏でていた。

 前世、オカルト、陰謀論
 少し前ならネタで済ませれたアレソレが、フィクションと現実の垣根を超えて怪物的な力を発揮してしまっている現状において、バリバリ前世系なこの物語が不気味で抑圧的なものとして描かれるのは、凄く適正だなと感じた。
 サヨが図書館で探っていた神話やオカルトは、立ち向かうべき世界の真実そのものなのだが、日常に身を置くモブ達…あるいはそこに擬態できるリミヤは、真実に向き合う彼女を「陰気で排除すべき、理解不能な異物」として扱ってきた。
 オカルトなんてネタでしかない現実の奥に、神話スケールの真実が眠っていて、しかしそれは秘匿されるべき狂気にしかならない、醒めた現代。

 

 ここにぶっ壊れた心を抱え、欠落故に英雄たりうる少年たちが、どう戦いの系譜を刻んでいくのか。
 待ってましたのアクエリオン出陣にも、テンションバチ上げつうよりストイックな印象を貫いたこの第一話が、見据えているものはなんなのか。
 第四のアクエリオンが何を描くのか、とても楽しみになるスタートだった。

 心が入り交じるお馴染みの合体シーケンスを、男の子たちが「気持ち悪い」っていってたの面白かったなぁ…。
 快楽のリビドーで常識を突破してきた物語は、解り合い混じり合う気持ち悪さを、そのスタート地点に選んだのだ。
 気持ちよくはない合体が、どういう物語を編んでいくかは本当に楽しみ。

 あとEDでチラ見せされていた前世パートが、ゴリッゴリに濃い口のデザインな”アクエリオン”っぽさで、カトゥーン味のMoE現実と真逆で違和感すごいの、大変期待を持てる。
 違和感を感じつつも、前世とかネタでしかない現実を生きてきた男の子たちにとって、降って湧いた一万二千年前の神話は異物でしかない。
 そのザリッとした感覚を、表現メディアの違いで大胆に可視化してきた施策は、かなり面白い化学反応を作品にもたらしてくれそうな期待感を、バリッと立ち上がらせてくれた。
 具体的にそれが活きてくるのは次回以降になるんだけど、抑圧効きまくりの”アクエリオン”っぽくない現代の描写が冴えていたので、ぶち込まれた時の反応に期待大です。

 

 というわけで、前世系ロボをイカれたオカルトに閉じ込め、歪で欠けていればこそ何者かになりうる少年たちが秘された真実と出会う、ナイーブでストイックな第一話でした。
 大変いい意味でキモくて、僕の好きな味わいで良かったです。
 このキモさが、濃くて暑苦しい”アクエリオン”らしさ(とされているもの)とどうぶつかり、新たな風を生み出していくのか。
 待ってましたの機械天使降臨で気持ちよくヒイた後、どういう物語を展開していくかがとても楽しみになる、素晴らしいスタートだったと思います。

 あ、キャラみんな可愛いのマジイイっすね。
 僕はサヨちゃんのそばかすが好きです。
 次回も楽しみ!!