初心者主人公いきなりの初コース! な”空色ユーティリティ”第2話である。
特別な才能が開花するでもなし、ハーフで100叩く散々なデビュー戦…なのだが、同行者たちの穏やかな応対に助けられて、「ゴルフ続けたい!」と思える楽しい体験となった。
やっぱ遥さんの鷹揚な包括力が作品をまったり落ち着かせていて、ややハシャイだところのある青波とのマッチングが心地良い。
”スペシャル”を毎回サブタイトルに挟んでいる割に、極めて落ち着いた現実目線で、特別でもなんでもないゴルフに費やす一日を、丁寧に追いかける筆致も良い。
特別を掴み取ることに躍起になっている主人公を取り巻く物語が、極めてまったり落ち着いて、かけがえない日常の一部として”ゴルフ”を描いていく筆致に満ちているという矛盾が、作品の方向性を静かに伝えてくる。
青い鳥はいつでも、自分の側にいるのだ。
スーパーショットも才能の開花もなく、メチャクチャまったり生っぽいコース巡りで一話使う話運びは、結構合う合わない分かれそうだなという手触り。
しかしその焦らないアダージョが、ゴルフを通じて出会った二歳上のお姉さんと関係を作っていく手つきとか、逆にお姉さんの優しさに包まれながらゴルフを好きになっていく様子とか、テーマに選んだスポーツとの向き合い方を、極めて丁寧に削り出してもくれている。
やっぱこの筆致は独特の味わいがあって、自分としては非常にしっくり来る。
今後も日常系女子ゴルフアニメとして、このアニメにしか出せない味わいを追求して欲しい。
…ド派手なインチキ味は、既に先駆者いるしね。




というわけで、青波のコースデビューを丁寧に追いかける第2話である。
可愛らしいデフォルメをアクセントとして活用しつつ、スコアとしては散々な時間は極めて楽しく、夜が更けるまで過ぎていく。
競技的に見れば”失敗”になりそうなラウンドが、数字にこだわらず一生懸命になればこそ楽しいものだと描かれているのは、分かり易い”スペシャル”を求める青波への静かなカウンターとして、結構好きな作りだ。
失敗を笑わず、全ての時間が楽しくなるよう心を配ってくれる人と共にいれば、あらゆる瞬間が特別になっていく。
そういう化学反応のフラスコとして、”ゴルフ”を書く。
後ろ向きでネガティブなようでいて、それをポジティブに変えていくために色々チャレンジする元気がある青波には、物事を楽しむ才能があると思う。
しかしそれは一人で開花するものではなく、ド素人のノロノロプレイにイライラせず、むしろ一緒にいることを心から楽しんでくれる同行者がいればこそ、”失敗”すらも楽しくなっていく。
目の前にいる人と心を通じ合わせ、楽しい時間をともに作る社交的アクティビティとしての”ゴルフ”が、青波の初プレイをじっくり追いかける中でだんだん形を得ていく。
このじんわりテーマの本質が伝わってくる感じは、第1話から引き続きな作品の背骨かなと感じるね。
ワチャワチャ色々手間取りつつも、眼の前の”初めて”に全力で取り組もうとする青波の可愛げは、彼女がゴルフを始めてくれて凄く嬉しい遥さんの気持ちと、僕らをシンクロさせていく。
彼女の成熟したマナーと心配りに目が行くけども、彼女自身も青波と一緒にいることで満ち足りた時間を過ごしていて、初心者と元日本代表はスコアに関係なく、共にコースを歩くものとして対等だ。
そういう風通しの良さも、作品独自の良さかなと感じ始めていて、スッキリベタつかない距離感をコミカルな表現活かして上手く作ってるところ含め、地味ながらこのアニメ独自の善さが見えてきた感じがある。
何かと近視眼的になりがちな青波の視線を、遥さんが高く広く導いて、初めてコースで吸い込む”ゴルフ”の善さを(視聴者も含めて)たっぷり味わせてくれるのが、親切で良かった。
この体験が青波のなかでどう結晶化して、どういう変化を生み出していくかは今後の物語の中で描かれるとは思うのだが、1日中一緒にいて楽しい人と、日が暮れるまで走り回った体験が、心地よい疲れと爽やかな後味に満ちているのだと、見てる側に伝わるエピソードだったのはとても良い。
このまったり落ち着いた読後感は、派手な記号をキャラに背負わせすぎず、じっくり善さを煮出してくる語り口とも響き合ってるかな、という印象。
プレイ後お互いの体をケアしながら、今日という体験がどんなものだったか、ゴルフを好きになってくれたか尋ねる時、遥さんが軽い緊張をまとっている様子を、静かに切り取ってくるシーンが好きだ。
余裕満点、「なんでも解ってるし受け入れますよ」という態度で、青波にスペシャルな体験を手渡してくれた遥さんも、そういう心地よさが一日を包み込むように、かなり気を使って時間を作っていた。
青波がゴルフを好きになるよう、イヤな気持ちにならないよう、自分を律して「頼れる先輩」を頑張っていた。
そのこわばりに、未熟で一生懸命な青波は当然気づかないわけだが、遥さんだって無敵のゴルフマシーンではなく、当たり前に人間だ。
ここですよね……この”体温”の描き方、かなり好きだ。
そういう人たちがじっくり一日を使って、心を近づけていくためのアクティビティとして、主人公のコースデビューを書けたのは良かったな、と思う。
スコアとしては散々な”100点満点”であっても、ゴルフという趣味(競技、スポーツ、あるいは文化)に深入りする一歩目としては説得力のある幸福感が、しっかり描かれていた。
遥さんとオジジ達に見守られて、爽やかで心地よい体験を持ち帰れた遥の笑顔を通じて、見てるこっちも”ゴルフ”が好きになれる、良い第二話でした。
二人の関係構築の話としても、相当どっしり構えて心の揺れとふれあいを切り取ってくれてたのはありがたい。
こっから積み上がっていくワケよ…。
青波の散々なデビューを、極めて楽しい体験として描いたことで、「このアニメは勝負にガッついた方向には進みません!」という宣言を出してもいる回で、作品の方向性を肌で感じられたのも良かった。
こっからもう一人仲間が増えて、青波のゴルフ修行…それに隣り合う遥さんの青春は、もっと面白いものになっていくだろう。
そういうポジティブな期待感を、力まない自然さで生み出してくれるエピソードで、大変良かったと思います。
派手で分かりやすいパンチ求めるより、ジワッと煮出されていく澄んだ旨味を味わう作品かな~と、アニメとの向き合い方なども探り掴みつつ。
新たな女(ひと)が顔を見せる次回、とても楽しみです!