イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

UniteUp! -Uni:Birth-:第5話『見つめないと 』感想ツイートまとめ

 背中を見せて先を行くものも、その影から見上げるものも、みな揺れる水辺にいるのなら。
 二期初のJAXX/JAXX回も陰湿で重ぇ~ぞッ!!
 UniteUp! -Uni:Birth-、第5話である。

 

 というわけで満を持してのサードユニット回なのだが、masaさんの歌唱力が段違いの存在感を裏打ちする、楽翔をNYに切り離して展開するテクニカルな回だった。
 才能で先を突っ走る(ように見える)連中と、その背後に置いてけぼりにされるものの視野差はこれまでも幾度か描かれたが、REGITのアダルト担当がメッチャ湿ってた二期第2&3話で助け舟出してくれた、ほまれ兄さんが今回湿りに湿る。
 その湿度の受け皿になる一澄くんは一期第9話でエピソードの主役担当していたわけで、ここまでの話数を踏まえてリフレインさせる作りだなぁ、と感じた。
 こういう重層性が出てくると、人数多い話を長くやってる手触りが出てきて、なかなか面白い。

 僕はアニメでしかこのプロジェクトに触らないファンだけども、そんな僕でも楽翔の喉は特別性と感じるし、才能を見初められてワントップで駆け上がる展開にも納得する。
 一期第9話でも、エピソードに説得力を与えていたのはEDで聞こえてきたmasaさんの歌唱だ。
 その頭抜けた感じを話の真ん中に持ってきたのは、違うユニットでも似た者同士、お互い様な感じを出す上で良かった。

 

 

 

 

 

 

画像は”UniteUp! -Uni:Birth-”第5話より引用

 年下の眩い才能に、大人っぽさを取り繕ってる男が湿り気たっぷりの視線を投げかけ、それをどう追いかけたものか、迷いながら内心を吐露して突破を図る。
 この構図自体は楓雅回と同じなわけだが、あの時仲間の苦しさを半分背負ってやった”頼れる兄さん”が、自分の内側にカメラを向けられたら似たように苦悩を抱え込んでいるという平等さは、個人的には大変好みだ。
 万能無敵の天使など何処にもいなくて、それぞれの悩みと強さを秘めた”人間”だけが、キャラの数だけいる。
 そういう視点で物語を作っていると、感じられるのは嬉しい。

 このお互い様感、自分が投げかけた言葉を手渡し返してくれる、楓雅との間にだけあるわけではなく、一期第9話で劣等感の泥の中のたくってた一澄くんとか、眩しく遠い光の中にいるはずの楽翔とも共有しているものだ。
 あらゆる人が自分らしさを、自分に出来ることを、自分がするべきことを探し悩みながら、水辺を歩いている。
 泥酔嘔吐まで飛び出した悩める水際というロケーションを、NYの楽翔と共有することで、遠くに思えたエースが実は自分と同じ人間なのだと、ヴィジュアルで刻んでくる表現はこのアニメらしくて良かった。
 一般ウケはしなさそうな内省的表現を、意地でも貫く姿勢はやっぱ好きなんだよな…。

 

 NYで自分が見えなくなった楽翔の相談は、取り残されて悪酔いし、全て吐き出して強がりの鎧を外したからこそ届いたものだ。
 やっぱそういう自己開示と内心の共有こそが、人と人をつなぐ大事な橋なわけで、そのためには「どう伝えるか」と同じくらい、「何を求めるか」が見えないといけない。
 ここを探る必要があるからこそ、意味深な構図をズバズバ突きつけ、引いたカメラで客観的に遠く、内心を情景に反射させる表現を選んでいるアニメなんだと、僕は思う。
 そのアングルが否応なく背負ってしまう、内向きの湿度、ある種の離人的な遠さも、的確に使いこなせてるかっていうと…ちょっと難しいかな?

 今はリリースバトルの前哨戦、色んなユニットやキャラが思いを絡ませ、迷い道を歩き、自分を鍛える時間だ。
 ある意味”タメ”の時間であり、それを爆発させてスカッと何かを突破するのは先の話数…って話なんだろうけど、まー正直湿ってて暗いよな”アイドルアニメ”にしては!
 そのオリジナリティが好きではあるのだが、同時にジャンルに求められる空気感ってのも活かしては欲しくて、今更ながらなかなか難しいなぁ…という感じである。
 かなり独特のペースとリズムで転がるアニメなので、何かを突破し成長する手応えも、かなりゆっくり話数またぎで…今回の一澄くんみたいな感じで描かれるのよね。

 

 ここら辺は前回見つけた自分たちなりのやり方で、真摯にドサ回りに挑み地道に知名度を上げていく戦術に出た、PROTOSTARの描写からも感じた。
 今すぐに輝くインスタントな光より、遠い星を追い求めて一歩ずつ進んでいくことを決意した少年たちの未来が、そうそうすぐさま結果を出しても困るわけで、今回の”後日談”は凄く良かったな。
 大人だからこそ溜め込んだ心の泥を、ワインに混ぜて川面に吐き出すしか突破口がないほまれ兄さんの面倒くささと、ちょっと凹んですぐ前向き、若さ全開で突っ走るしか知らないあの子たちの対比が、それぞれの差異を面白く際立たせてもいたね。

 色んな人に背中を支えられ、ようやくわだかまりを吐き出し遠い星に向き合おうとしたほまれを、先回りするように楽翔は携帯電話越し、”人間”の顔を見せる。
 ちゃんと向き合ってみれば、自分と同じ苦しみも強さも持っている…だからこそ追いつき追い越し、先で手を差し伸べることも出来る相手なんだと、後出しの答え合わせで話がまとまる展開は、じんわりコクがあってこのアニメらしかった。
 「蓋を開けてみたら、たいがいそんなモンだよね!」という妙な親近感と、「でも決意を固め、飛び込むまでが長いよね…」という不思議な納得が、リリースバトルの真っ只中で”一回休み”を選ばされたJAXX/JAXXに、優しく伸びていた。

 

 

 

 

画像は”UniteUp! -Uni:Birth-”第5話より引用

 しかし人間万事塞翁が馬、エース不在のバラエティで披露したダンス動画が、思わぬサプライズプレゼントとなって、帰国した楽翔を驚かせる。
 一歩先んじて才能を羽ばたかせているように見えたエースが、母国を満たすバズに包囲されてるのに気づいて、”お土産”を手渡す卓越した立場から落ちる。
 Cパートの描き方、全体的に良かったな…。
 この実績をもってようやっと、「JAXX/JAXXの楽翔じゃない奴ら」は、エースに並べる自分たちを信じられる。
 思いだけじゃ証が立てられず、問答無用の結果だけが裏打ちするものって、確かにあるよね…。

 自分抜きで生まれたバズに楽翔が気づく/追い込まれるのが、駅のホームってのが好きだ。
 ホームドアはあるとはいえ、そこはいつ電車が突っ込んでくるか解んない危うい場所で、仲間の飛翔は喜ばしいことであると同時に、自分の立場(自分たちの関係)を危うくしかねない刃でもある。
 でもそういう危うさもひっくるめてユニットやっていくしかないわけで、いつでも自分が先に進んで”お土産”手渡してあげる関係性に固定されちゃうのも、楽翔の望みじゃなかろう。
 四人はエース不在の日々の中、そうやってサプライズプレゼントを叩きつけることで、対等に並べる自分たちをようやく証明したのだ。
 ここからっすよ…JAXX/JAXXはッ!

 

 

 というわけで、やっぱ三組目も湿り気たっぷりだったね!
 悩めるJAXX/JAXXの料理担当が、抱え込んだコンプレックスをゲロり前に進むお話でした。
 ”アイドル”に嘔吐させたのはかなり挑戦的な演出だったと思うが、キャラとドラマにドンピシャであり、またこのアニメらしい表現でもあったので、俺はスゲー好きだな…。

 ユニット分断されて、”一回休み”食らったと思いきや強烈にバズったJAXX/JAXXが、ここから何処に飛び立つのか。
 ライバルの飛躍を受けて、他のユニットはどう奮い立つのか。
 なかなか面白い一手をCパートで打っても来て、次回以降どう転がすか、大変楽しみです!