GUILTY GEAR STRIVE: DUAL RULERS 第1話を見る。
1998年の初代以来、メインタイトルだけで七作、格闘ゲームからメーレーアクションまで色々出ている頂戴な中二病格ゲーサーガ、最新作のアニメ化である。
マジで色々あって自分たちの物語を終えた初代主人公たちに見守られながら、身体だけがデケェ純情ショタが新たな運命に挑む! という感じの、フレッシュなスタート。
想像(あるいは恐怖)していた数倍の気合でファンサービスもアニメとしての仕上がりも頑張ってくれて、長年のファンとしては大変嬉しいアニメ化となった。
色々過去作に目配せ入れつつ、何よりシンの話であろうという姿勢が見えたのが良い。
とにかく歴史が長いので付随情報の取捨選択が重要だと思うが、そこは杉田さんの声優腕力で一気に押し切る形にし、ケレンとナレーションでもって大胆に進めていく方針は、とても良かったと思う。
コンテの人数が多いのと関係があるのか、各シーンごとの見せ方が凄く多彩で、今後もこの魅力的なカオスを繋ぎ合わせて話を編んでいくのか、それとももう少し落ち着いていくのかは、気にかけて見ていきたい。
静止画を効果的に使ってメリハリを出す演出は面白かったし、サンジゲンらしい独自のコミカルがシンの可愛げを生み出してもいたので、あんま見たことない味わいを今後も期待したいかな~。
シンプルに、画作りに面白さがあった印象。
話の軸はディズィーとカイの愛の闘争がようやくゴールに辿り着いても、なお残るギア差別との戦いを、愛の結晶であるシンが渦中に飛び込んで突破していく感じ…になりそう。
総再生時間200時間超えてそうな長大なサーガを超えて、真っ直ぐすぎる正義バカと時を超えた復讐者が共に、伴侶を手に入れ自分たちの物語を落ち着かせた後にも、まだまだ続いていく物語。
その担い手として、シンがどういう奴なのかちゃんと描こうとする姿勢が元気で、大変いい第1話だったと思う。
ガチムチマッチョでまつ毛バチバチなの、凄い好き。
とにかくシンのガタイが良くて、「はい! 殴り合いをするゲームの主役です!!」という説得力があった。
その癖暴れ熊にも情をかけ、父母を殺しかけた仇の悲しい瞳にも目を向けてしまえる、優しいやつだと言うことを幾度も強調していて、そこが良かったなぁと思う。
原作どんだけやってようが、今回襲撃かけてきたユニカは動機も背景も解らねぇ超新参であり、怒りのまま暴走する彼女を鏡に、シンの優しさと強さが今後際立ってくると面白いかなと感じた。
シンが積極的に敵の顔を見ようとする少年なので、どんだけ画面が荒くれてもどっかに優しさが漂うのは、独自の味わいで好きだ。
どっかに童話的な味わいが残るというか…。
そんなショタマッチョを導く四人の父母であるが、実の父母は初手で氷の奥に封印だし、義理のオヤジは伴侶を置いて旅に同行する感じで、まぁまぁ整理されていた。
文字通り時空を超越した因縁で結ばれ、なっがいメインストーリーを経てようやく人間としての子合わせを手に入れたフレデリックとアリアの姿が、初手から見れたのは嬉しかった。
本当にマジでゲーム何本も出るくらい色々あったカップルなのだが、そこら辺の複雑さを力強く「ソルの伴侶!」でぶった切り、新世代を担うシンに話しのハンドルを預けていたのは、いいバランスだったと思う。
オタクはちょっと匂わせてくれれば、勝手に感慨深くなるから…。
ギルティはド派手なスケール感とバトルの荒々しさでもって、ナイーブな情感や執着を逆に際立たせてくる作風だと思う。
他人を拒絶する荒くれた態度の奥には、簡単には語りきれない運命や思いがあって、戦いの果てにそれを共有し、手を携えて突破していく、結構熱血ど真ん中な話運びが、僕は好きだ。
カイやソルもそういう尖った部分を己の物語の中で正し、あるいは自分の中から取り出して愛する人、信頼する仲間に手渡した結果、今回描かれたような落ち着いた強さを手に入れた。
世界規模のド厨房能力バトルを経て、すげースタンダードな成長を果たし、かつての主役たちは”大人”になったわけだ。
激しくぶつかり合わなければ、自分の中にある優しさすら表に出せない旧主人公達に対し、シンはあまりに複雑な生まれに反してとても素直で、優しい少年である。
自分が感じたことは素直に言葉にするし、それを他人に手渡すことをためらわない。
もし信念を妨げられ愛を傷つけられても、その痛みのままに暴れまわって他人を傷つけたり、誰かを恨んだりはしない。
このイノセントなキャラクター性は、初回からしっかり描写され、新主人公の顔が良く見える話運びだったと思う。
あんだけのことされてなお、「ユニカには事情があるかも…」と考える器のデカさ、旧主人公たちが愛のままわがままに暴れまくった後の主役だなぁ…て感じ。
腹ペコおバカなゴリラマッチョが、「私は暴れざるを得ない事情を抱えていますぅぅぅ!」と全身で叫んでいる新ヒロインに、どういう角度で食い込んでくるのか…。
アニメの外側でゴリッゴリに関係値積んである、ヴァレンタインの乙女たちとの関係描写も含めて、大変楽しみである。
何しろ既に仕上がった物語が山程あるお話なので、シンとユニカで新しい話をやる時、そこをどう絡め裏切らないかは難しいし、とても大事だろう。
影響力がデカすぎるカイデズをソッコー氷に封じ、ジャックを見守り担当として後ろに下げた手際を見ても、人数捌くのはまぁまぁやれそうな感じだが…さてどうなるか。
ここら辺の感情のうねりを表現するのに、バトルシーンの仕上がりはとても大事だ。(何しろ格ゲー原作だからね!)
ユニカ襲撃は彼女の迸る激情がしっかり乗ってて、厨二病パワーも初手から全開で、大変良かった。
結構な勢いでメインストーリーを進めつつ、描写の端っこで「コイツラは物理法則を無視して、ナゲー旗だのデケーバイクだの出せる超人ですよ!」と、パワーレベルを描写で示していたしね。
ここら辺の感覚がちゃんと描かれてると、超人バトルを見てても目が上滑りすることなく、ガッチリ食い込む気がする。
足りない部分は、杉田のナレーション力で補おう!!
…マジ妙手だったと思うよ、あの勢い勝負。
地味に熊と追いかけっこした森とか、夫婦が穏やかに暮らす荒野の一軒家とか、美術の仕上がりが独特かつ魅力的だったのも、凄く良かった。
荒廃した世界観で一生バトルしているように見えて、思いの外自然の美しさとか、人の営みとかが大事なお話なので、それが伝わる背景が生き生き元気なのは、とても良いことだと思う。
3Dモデリングと作品全体の馴染み方も堂に入ったものだったし、そこで落ち着きすぎないよう、ラフな静止画を挟み込んでメリハリ造ってくる見せ方も好きだったし、ファンサービスで終わらないアニメ単品としてのパワーを、しっかり感じられるスタートだった。
原作ファンも「こ、こんな濃度は知らねぇ~~~~」ってなった、カイとディズィーのラブラブ英雄譚。
ずーっと彼らの幸せを願っていた人たちに報いる描写であると同時に、その清く強い愛の結晶として生まれたシンが、何を背負っているかを見せる演出にもなっていたなと思う。
ここ分厚くやることで、未だお母さんをクソ差別してくる最悪世界を恨むことなく、前向きに戦い続ける主人公の輝きも、より強くなるだろうしね。
露骨な嫌味ぶっかけマンとして登場したハマー上院議員が、思っていたよりコクのあるキャラだったのも、そういう対照での魅せ方を期待したくなる感じね。
ただ意固地な差別主義者ではない感じというか…。
まーそこらへんはユニカの背景と合わせて、今後新たに削り出されていく部分だろう。
ラストに最高カッコいい梅喧姐さんのケレンも叩きつけて、ファン絶頂な映像をたっぷり味あわせつつ、アニメならではのストーリー、シンが新たな英雄たりうる理由を、しっかり刻みつけて欲しい。
そう出来るだけの足場は既に整っていると、映像と語り口からちゃんと伝えてくれる、素晴らしい第1話でした。
頼れるオヤジを伴って、運命の荒野へ進みだした無垢なる光は、一体何と出会うのか。
ここから始まる物語にワクワクが止まりませんが、長大なギルティサーガの最新章、たっぷり堪能したいと思います。
次回も楽しみ!