UniteUp! -Uni:Birth- 第12話を見る。
葛藤と成長の物語は前回の明良くんで終えて、今回は二期を通じて描かれたユニットバトルの集大成を、まるまる一話ステージに使って届けるフィナーレ。
やっぱ楽曲…というかステージ演出や観客席の広さまでひっくるめて、アイドルが作り出す舞台の表現はこのアニメ、大変強いものがあると感じられる仕上がりになった。
回転する三角形のように、お互いがお互いをプロデュースしあう形になったわけだが、ユニットバトルで示した「自分たちが感じる自分たちらしさ」を越えた表現が随所にあり、集大成としての手応え、ここから続いていく可能性を感じ取ることが出来た。
二期はクリエーターとしてのアイドルにフォーカスが当てられ、自分たちのユニットがどういう個性を持っているのか、それをどうファンに届けるのか、私的な関係に苦悩しつつ形にする歩みが描かれた。
各ユニットなり、ユニットバトルに挑むに相応しい楽曲やパフォーマンスをどう仕上げて、どんな己で勝負を仕掛けるのか、過程と出力を見届けるのがとても楽しかったので、最終話がそういう彼らなりのゴールを越えて、「誰かから見た自分たちらしさ」を示す形だったのは、二期全体のテーマを回収する意味でも良かったと思う。
全ユニット、いい意味で”らしくない”所があるステージに、ちゃんとなってたからなぁ…。
前回明良くんが己のヒロイズムに迷う中、答えは狭っ苦しい自分の中だけでなく、その外側から自分を見てくれる人(あるいは自分が発した答えを受け止めてくれていた人)にある事を示したが、ファンの反応が幾重にも積み重なる今回のステージは、その補論としても良かった。
明良くんとPROTOSTARが、勝ってしまった側、白紙の芸歴に一つづつ答えを綴っていく側として誠実に出した答えが、間違っているわけではない。
自分たちを輝かせてくれる絆はしかし、途絶えても幾度も繋がりなおす絆でもあり、思い出を深く刻み込む絆でもある。
自分たちと世界の真実は、たくさんあっても良いのだ。
色んな答えがありうるのだと示すために、3ユニットが一つの事務所に所属し、切磋琢磨しながら個性を形にしていく物語でもあったのだろう。
まぁ厳しくお互いを試す…というには、やや甘ったるい身内感が濃すぎる部分もあるが。
今回他ユニットの視点に導かれて「これも俺達だ!」とファンに示すステージを見届け、そんな初期設計は確かに一つの形をなしたな、と思えた。
最終話にガッツリ、絆とアイドルの存在意義を言葉で回収する展開にもなったが、一番大事に描くべきことはしっかり、言語を超えたパフォーマンスによって示せていたと思う。
やっぱ自分だけの身体性で何かを伝えようとする”アイドル”が好きなので、ラストステージ良かったです。
11人全体に光を当てつつ、今回は3ユニットセンター…特にPROTOSTARの明良くんに、これまでの全部を託すような作りになった。
前回個別回の仕上がりが良かったので、アンカーとして最後の一歩を刻む仕事を明良くんがやるための納得は、しっかり自分の中にある。
自分が見つけた答えの先を、他ユニットの表現の中に感じ取り、たどり着いた高みのその先へと続いていくフィナーレを宣する特権は、やっぱあの子にしかないと思う。
桜の季節がもう一度巡ってきて、すっかり”アイドル”になった明良くんが踏み出す、最後にして最初の一歩。
それをちゃんと感慨深く見届けられて、僕も嬉しい。
総決算としての納得感の中に、未だ変化し発見していく驚きと喜びをねじ込んでいたのが、野心のある作りで良かった。
発展途上だからこそ無限の可能性を秘めたPROTOSTARを、ユニットバトルの勝者として選んだこのお話。
2クールを費やして出した答えが完璧なんかじゃなく、しかし確かに意義ある答えで、だからこそどんどん変化し、呼応し、より善くなっていけるのだと、前向きな足取りで幕を閉じていくのは、大変”らしい”と思う。
この白紙な無限大を背負えるのは、やっぱPROTOSTARしかおらず、だからこそ彼らが勝者になったんだろうなぁ…とも感じた。
この結果を未だ引きずり、燻らせた感情をファンの前で言葉にしない時が進まない、大毅くんの湿り気もたまんない。
まぁ君は、そうしなきゃ進み直せない人だよね…。
スパッと未練を斬り伏せて、客の前に顔を出すに足りるエンターテイナーたらんと自分を作った楽翔の答えと合わせて、負けてしまった連中に見えている景色、そこからの一歩をしっかり刻んだのは、わざわざユニットバトルという形式を選んだ二期に、しっかりケジメを付けた終わりだった。
まぁどこまでいっても身内なので、ある種の難しさはずーっと付きまとうのだが…。
というわけで新曲連発!
気合の入ったステージ表現で、2クール見守った視聴者を彼らの晴れ舞台へいざなってくれる、素晴らしい最終回である。
延々楽曲が続く臨場感と特別感は、表現者の物語が最後にたどり着いた場所として満足感と説得力があり、大変良かった。
どデカい箱を様々な色合いに染め上げ、音圧ブリバリの特別な舞台で描かれる、それぞれのステージング。
別ユニットから見た自分たちの色が、新しくもあり鮮烈でもあり、見ごたえのあるフィナーレとなった。
PROTOSTARが末っ子感を消してどっしりセクシーな味を醸し出したり、JAXX/JAXXが楽器を置いて”ザ・アイドル”な表現に挑んだり、新しい味わいを引き出されつつもやはりダンスの冴えが飛び抜けているREGITだったり。
「プロデュースを担当した仲間は、ここに各ユニットの良さを見出したんだな…」と、自分たちで答え合わせ出来るような表現だったのは大変良かった。
それは(後に明良くんがファンの前で語る、2クール通じたアニメ全体のメッセージのように)個別に違っていて良いし、だからこそ面白い。
それぞれが見たかった、見たいと思えた”アイドル”の姿が、3ユニットの間を行き交い、乱反射して眩しい。
ガッツリ稼いでしっかり動員する、sMiLeaプロの商業的スケールを最後に確かめるステージでもあって、各種演出のパンッパンに力んだ感じが、臨場感を高めたっぷり楽しませてもくれた。
こういうデカい船に乗ればこそ、PROTOSTARが未完成な魅力を保ったまま一つの答えにたどり着けた感じもあるので、それを最後に味わえたのは、良かったなと思う。
「もうちょい泥臭く切実な部分が、あっても良かったかな?」と思わなくもないが、しかしそれは作品全体に漂う思弁的で上品な雰囲気…僕が感じるUniteUp! らしさを損なうかもしれないので、扱い難しいよなぁ…。
どちらにせよ、ここまでのじっとり重たく内省的な歩みを積み重ねてきたからこそ、今の自分達をファンに示すステージの完成度、そこから伝わる彼らの”今”が感慨深かったのは、大変良かった。
今回はアイドルの外向きの顔を誇り高く描き、彼らとこの物語の到達点として掲げるエピソードなわけだが、その足元にはあの意味深な情景とか、あのずっしりした情念の炸裂とか、マジ色んなことがタップリ埋まっている。
この内向きと外向き、相反しそうなんだけど補い合ってる二つのベクトルが、作品の根っこだったのかなと、最終話に感じた。
「ちゃんと、身内以外に顔を作れる奴らだったなぁ…」と思って終われるのは、大変ありがたい。
他ユニットに未知の可能性を引き出してもらう相互プロデュースにしても、そうして生まれた輝きを堂々示すパフォーマンスにしても、ユニット内部、事務所内部、あるいは自分自身への内省を、内向きに重たくやってたからこそ生まれるもので。
ともすれば作品の空気をこもらせ、湿ったものに変えてしまうそんなお話の特性に、ある種の開き直りを見せた二期があればこそ、今回”アイドル”が魅せたファンという外部への炸裂は、一つの答え、一つの境地としての感慨を宿す。
あんなに内向きにジメジメしていた連中が、だからこそ嘘偽りのない自分たちを、己の外側に向けて強く叫べているという、確かな手応え。
ファンひとりひとりの顔が判別できないほど、広くて眩しい(だからこそ影も濃い)舞台に立つからこそ、そんな手触りもより鮮明だった。
やっぱアイドルは表現者なので、最後の答えは自分たちの身体、自分たちの歌、自分たちのステージで示して欲しかったんだよな…。
自分を掘り下げて何かを掴み、それをどうすれば他人に届く形に研ぎ澄ませるのか。
クリエーターとしての彼らが鮮明だった二期の終わり、こういう舞台を描いて幕引きにしてくれるのは、見たかったものを見れてる気持ちよさに満ちてて素晴らしい。
2クール(あるいは三年)UniteUp! 見てきた自分に、解答用紙を手渡してくれたような気持ちだ。
そうして非言語(あるいは超言語)のメッセージを堂々踊り切る中で、明良くんはステージで感じられる絆の意味を仲間と探り、仲間に跳ね除けられる。
同一を意味する”Uni”をタイトルに冠し、だからこそ生まれる(Birth)絆を追いかけ続けてきた物語が「俺達、違うね」で終わっていくのはマジ凄いなと思うが、同時に安易な融合だけを答えにしない姿勢は、とてもこのアニメらしい誠実さだ。
勝ったもの、負けたもの。
立ち返るべき歩みがすでにあるもの、白紙の未来へ震えながら踏み出すもの。
それぞれ、見える答えは違う。
それでいいし、そうあるべきだし、だからこそ面白いんだという最後の答えは、3ユニット支え合い競い合った果てにたどり着くものとして、風通しの良さと納得、両方を感じられた。
「アイドルと絆」つう、作品が描くべきテーマを最後に舞台のど真ん中、超真っ直ぐ言葉にして終わっていく姿勢も、フィナーレに相応しいと思う。
んでこの、広範で公平な答えを自分に引き寄せて語る(プログラム書き換えてでも、語らなきゃいけない熱がある)役目は、やっぱ明良くん担当だよね…とも。
その優等生っぷりが、いまいちハジケないお行儀の良さにも繋がっていたが、しかし己のヒロイズムに迷い、だからこそ探る主役として、走りきってくれた。
その最後の一歩は、見つけた答えを超えて未来へ伸びていく。
永遠に続いていくその歩みを切り取って、お話しが終わっていくのは凄く良い。
明良くんは物語が始まった場所に戻ってきて、その物語を閉じる。
古式ゆかしい”ゆきて帰りし物語”での大団円は、やっぱ満足度高いね。
同じ場所に帰ってきたように見えて、旅の途中手に入れた宝物が、新たな自分を照らしてくれる。
ヒーローになりたくて、でもなり方を見失っていた少年が新たな道に飛び込み、手に入れた一つの答えと、その先。
結び合い、高めあう旅の最後にふさわしい、素敵なラストカットでした。
お疲れさま、ありがとう。
楽しかったです。
というわけで2クールに及ぶ男子アイドル神話、無事完結! である。
凄く面白かったです、ありがとう!
…で終わりきれない瑕疵と個性が、結構たくさんあるお話ではあって、そこ全部ひっくるめて大好きだと、見終わった今はデカい声で叫べるけども。
世間巻き込んで大バズするには、作品全体のトーンが湿って重たすぎるし、外部不在の身内感でイチャイチャ馴れ合い過ぎだし、その癖「無敵の俺たち最強ッ!」で気持ちよくはさせてくれないし…。
いわゆる”イケメンアイドルアニメ”のフレームに収まりきれない、独特の個性がずーっと元気なアニメでした。
世評がどうだろうが、俺はそここそが好きなの!
クローズアップで人間を切り取らず、やや引いたカメラワークと美麗な情景に描くべきものを託す、やや胡乱な表現。
そこに宿る低体温の物語性が、”アイドル”を扱う上で避け得ない記号論と衝突して火花散ってた部分も、まちがいなくある。
だがそのナイーブな思弁性こそが、確かに描けたものも凄く沢山あって、俺は凄く良かったと思う。
キャラ紹介を終えた二期は特にそっち方面のエンジンがブリバリで、むちゃくちゃ重く湿ったところに全力でツッコんでいく、ツラの良い男たちの懊悩をタップリ吸えて、大変良かった。
やっぱ完成されたパフォーマーの顔取り繕いつつ、それぞれ個別の面倒くささ抱えた男食べるのが最高だから…。
二期は降って湧いたユニットバトルを回転軸に使って、一期で彫りきれなかったキャラクターの内面、ユニットの関係性と味わいを、どっぷり掘り下げてくれたのが良かった。
正直ペラいなぁ…と思っていたキャラが個別エピの真ん中に座った途端、とんでもない湿度と重力発揮してズシンと沈むの、何回見ても最高だった。
この深い内省が身内で終わらず、しっかり自分たちらしい表現に結びついて外側に拓けていったと、感じられるだけの強さをステージ表現に刻み込めていたのも、大変良かった。
マジで楽曲の仕上がり、3Dモデルによるダンスのキレ、ステージ全体を描き切る演出の強さは、作品の武器だったなぁ…。
あと主役ユニットとして”勝つ”運命を約束されていたPROTOSTARが、そこにたどり着くまでの足取りを徹底的に泥臭く、ローカルな味わいに染めたのも良かったと思う。
何も知らない若者として、ステージ稼業にも表現者としての人生にも初めて踏み込んでいく彼らが、”お客さん”になるしかない見知らぬ土地。
そこでどう自分たちらしく、純粋で真っ直ぐな未来を掴み取っていくのか。
あくまで透明度高い、ピュアな話運びを譲ることなく積み上げていく筆は、地域創生を扱ったアニメの中でも出色の出来にまとまり、とても印象深かった。
ハンパな聖地アニメより、遥かにロコだったなぁ…。
ダチが大好き過ぎて様子がおかしい小デブのファンとしては、二期になってもかっちゃんの存在感が大きく、明良くんとラブラブだったのもありがたかったです。
かっちゃんを筆頭に、非アイドルの存在を大事に扱ってくれたのが、何かと身内に纏まる湿った引力をなんとか打ち消し、風通しの良い公平さを確保する足場だったと思う。
まぁそれでも湿った感じはあるのだが、選んだ展開と構成上避けえない湿度なので、それはそれでOKッ!
最終話一個前の明良くん回で、事務所という”家”に納得行けたのが、自分の中ではデカいな…。
そう思える主人公でいてくれたのは、とてもありがたいことだ。
最終話、総決算となるステージに刻まれた”この先”の野心が、どういう形で未来に繋がっていくのか、僕には分かりません。
でも作中の彼らと、彼らを生み出し描いた創作者たちの祈りと夢が、もっと新しい物語に僕らを結びつけてくれたら幸せだと、思わせてくれるアニメでした。
正直すっげー距離感図りながら、何書けば良いのか解んなくなりながらの視聴だったけど、終わってみると爽やかで幸せで、良いアニメだったと思えています。
やっぱそういう気持ちでアニメを見終われることは、当たり前に見えてありえないほどの奇跡で、ありがたいことだなと。
ありがとう、楽しかったです。
お疲れさま、またいつか!!