イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

未ル わたしのみらい:第5話『待ってて、今行く』感想ツイートまとめ

 未ル 第5話を見る。

 

 今回は第3話に続くMIRU誕生秘話…って感じで、最終話にしてここまでと結構毛色の違う味わいだった。
 ここまで見てきて、このアンソロジーに自分が感じた面白さって、真っ直ぐすぎて不器用ですらある機械神が、愚かでも必死に生きてる人間の未来に共に寄り添い、超絶パワーで世界を切り開いていく部分にあったわけだが。
 今回はMIRUが生まれる話なので、それは最後の最後にファンタジックに叶えられるお話しであり、軸足はアイルとイズミフっていう人間側にあった印象。
 …なんだけども、その二人がどーも掴み所がないというか、どこを好きになればいいのか分かりにくいキャラとお話しだったかな。

 いきなり世界がぶっ壊れてるところから始まるわけだが、絶望的な状況の割にはアイルのキャラ付がふわっとしすぎてると感じたし、イズミフのあたりは強いしで、クセの強いキャラを噛み砕いて腹に落とすうちに、話が終わってしまった感じがあった。
 結局過去に旅立って崩壊世界を後にするのなら、そこを花で満たす意味はどの程度あるのかってのも、自分の中で掴みにくかったかな?
 提示される状況から、こっちが勝手に推測するキャラのあるべき行動がズレてて、いちいち「こんなコメディ味で話進めてる場合なのかな…」とはなった。
 たった一話の勝負、あんま重たい味わいにしたくなかったのかもしれないが…。

 

 「希望の種はポチマルの回路に撒かれ、未来へ繋がる過去に花咲いた…」つう構図なんだと思うが、SFとしての道具立てがあんまりにふわっとしすぎてて、もうちょい硬さのある手応えを勝手に期待してた側としては、結構な肩透かしだった。
 まぁ5社に一話ずつ依頼したアンソロジーなので、テイストが統一されていないのは当たり前だし、ここまでの話もふわっとしてる所はめっちゃフワフワであったが、なんだろうなこの感じ…。
 AIを人間側に寄せて扱えば、どんな困難をも切り開く魔法のパートナーになってくれるという、人間中心主義な扱いは…一話で扱い切るにはしょうがないかな、とも思う。
 ここまでも、結構そういう味だったし。

 やっぱアイルにとって母の遺志を継ぎ、花を咲かす旅がどんな意味を持っているのか、そのシリアスさが僕に上手く伝わらなかったのが、エピソード全体の輪郭がぼやけて感じる理由かなぁ、と思う。
 シビアな状況に負けず、希望を持ち続けているのは好ましいし、その希望がMIRUを完成させてここまでの物語がある…って構図だとは思うが、もうちょい一貫してて奇跡の担いとして納得感がある造形だと、もうちょい飲みやすかったと思う。
 ここら辺、イズミフの造形にコクが薄くて、あんま対比での共鳴が生まれてなかったのが効いてるかなぁ…。
 言葉はキツくなってしまうが、凄く類型的な造形に思えて、このキャラ達だけの味が感じられなかった。

 

 演出なり見せ方なり、異様なテンションなり、どっか一個ぶっ飛んだ歪みがあったらそういうプレーンな部分も魅力に変わっていたんだろうけど、正直全体的に”置き”に行った印象を拭えず、全五話のフィナーレを背負うにしては腰が弱いと感じた。
 まぁ変に力まれて、魅力的なほつれではなく意味不明な破綻になられるよりは収まりいいほうがありがたいけど、トンチキな企画なんだからトンチキなハチャメチャをこそ、最後に見たかった気持ちはある。
 もうちょい花咲かじいさん要素を全面に押し出して、民話SFとしての味わいがあったら、また印象も違ったのかな?

 あとアンソロジー共通のテーマだった”バタフライ・エフェクト”の使い方がビッとしてなくて、(僕が勝手に感じていた)MIRU感が弱かったのも残念だった。
 色んな場所、色んなアイデア、色んな描き方の雑多さが、”バタフライ・エフェクト”という一本の軸でまとまる感覚が好きだったので、最後にそこがビシッとハマってくれると、より納得できたかなぁと思う。
 最後にMIRUの期限を描いて終わる構成自体はとても良かったので、ここでスコンと心にハマるエピソードが来て欲しかったけども、まー自分にはあんま響かなかった。
 やっぱ全話共通で顔を出す、MIRUってキャラに軸足置いて、僕はこのアニメを見ていたのかもね。

 

 

 

 というわけでヤンマーが若年層の認知度向上のために、相当なハチャメチャぶっ込んで形にした5話のSF短編アンソロジーも終幕。
 各話色んな語り口、表現、テーマで”未来を創る”機械の活躍を描いたが…総じてとても面白かったです!
 コマーシャルとしてはあまりに規格外に力みすぎているのだが、そのやり過ぎ感が異様なテンションを生み出していて、企画自体を好ましく見れました。
 出てきた作品も、各々の制作会社とスタッフの味が出ていて、個性があってよかった。
 やっぱ第3話の仕上がりが特別良くて、メロウな味わいと合わせて一番好きかな。

 

 全体的に描くべきテーマがカッチリした、あんま深夜アニメっぽくない生真面目な作りだったけど、僕としてはそここそが良かったと思う。
 まぁ複雑な背景や事情が絡む諸要素と、ガチで取っ組み合うには時間が足りなかった部分も多々あるけど、現在進行系の諸問題をヤンマーの生み出した優しき機械神と、ちっぽけな人間の小さな決意が希望へと導いていく展開は、前向きで良かったと思う。
 綺麗事過ぎて胡散臭いネタが、「ヤンマーは…お前らの未来によりそうんや! 一緒に作る未来は明るいんや!」と、コーポレートフィロソフィー全力でブン回してくる異様な力みによって、不思議なパワーを得ていて面白かった。

 人を殺さず瓦礫を片付ける、超越重機としてのMIRUの描き方が徹底していたことで、ロボアニメとしても相当独自な味になっていたのも好きだ。
 そらーヤンマー謹製の神様ロボが人殺しの道具になったら、若年層の認知度向上どころの話ではないわけだが、徹頭徹尾逞しく優しく、人間を襲う困難に共に立ち向かってくれるMIRUの姿には、独自の魅力があったと思う。
 あんま深夜アニメで掘り下げない、環境問題やら扮装調停やら扱っていたこと含め、異形の企画だからこその独自性を、しっかり持てたんじゃないかなと感じた。
 やっぱ優しい機械が人命救助しまくるの、見てて気持ちが良いわ…。

 

 この異形の企画が狙い通り、ヤンマー知らない層に届いてその認識を変えるかは、正直全然分かりません。
 ”未ル”という蝶の羽ばたきが何を生み出すかは、観測不能な未来に投げ出された一つの問いかけになったけど、これもこのアニメが5話描いてきたものらしくて、自分としては好きだ。

 少なくとも自分は、極めてトンチキな力み方で、あんまりにも本気なアニメを世間に叩きつけてくれた会社のこと、とても好きになりました。
 SFアンソロジーとしても好みのお話が多く、この後もこういう歯ざわりの物語があってくれると、ありがたいなぁと感じます。
 とても面白かったです、ありがとう。