イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

LAZARUS ラザロ:第11話『RUNNIN' WITH THE DEVIL』感想ツイートまとめ

 LAZARUS 第11話を見る。
 スキナーへたどり着くまでの行きつ戻りつの遍歴と、唐突に「オッス俺達障害役!」という顔で暴れ倒す陸軍情報部&双竜大先生への対処。
 二つのクライマックスがあんま混ざり合うことなく、ミクスチャーというかチャンプルというかな味わいで展開していく、薬害黙示録最終盤戦である。

 今までの生っぽい質感を異次元にぶっ飛ばし、好き勝手絶頂超人ぶっこいてる双竜先生の暴れっぷりは大変面白いが、やっぱ急に話の潮目が変わった感じは否めない。
 色んな場所で生きるか死ぬかの大ピンチが展開してハラハラはするが、それが有機的に連動して大きな織物を編む感じは、相変わらず弱い。

 

 というか作品全体を覆う大きなテーマとかヴィジョンとかは、これ以上無いほどダイレクトに語ってるし描いているんだけども、だからこそ物語として個別に切り刻み、作品独自の火力と味付けで良く煮込んで柔らかくして、見ているものに消化させる構成があんま届かない…というか。
 多彩で素敵な具材がそのまんま流し込まれて、繋がり合わず響き合わずでここまで来た感じは、やっぱ強い。
 これはアクションシーン個別の強さ、美術やデザインの冴えもひっくるめての話で、ブッチギリにすげぇ絵がバンバン飛び出すけど、それが大きなドラマのうねりの中、どういう仕事をしているのかという感覚が伝わりにくい作品だと思う。

 幽霊のように唐突に現れ、死を撒き散らす双竜に対し、アクセルは軽やかに命を投げ捨てて飛び、自分の移動経路とそのコストをしっかり示す。
 殺しても死にそうにないタフガイ二人、鏡合わせの生と死を描く筆は大変元気なのだが、そうして相照らされるべき何かがアクセルの中にあると、ここまでのエピソードで適切にクスグれたとは言いにくい。
 彼がハプナ・オリジナル唯一の生存者であり、今回のどう見ても致命傷から生存するLAZARUSであることは、タイトル回収にも繋がる大きなネタではあろう。
 ここら辺、どう見ても死にそうなパルクールを軽々こなす、軽妙なタフさの演出とも響き合ってる部分ではあるが。

 

 ドラマ以前のムードで色々示し、語らぬからこそスタイリッシュは筆運びはこの作品の特色であり、多分渡辺信一郎の味でもあろう。
 アクセルは一番コストを掛けて描かれたキャラクターでもあり、そういう語らずの筆致でもなんとなく彼のことが分かり、好きにもなれるいいポジションに来れたわけだが、彼を危険に導き命がけの危機を手渡すスキナーとハプナ禍の方は、聖者特有のボンヤリ感があんま抜けずに、鮮明な像を結んでくれない。
 「どう考えてもやべーだろ」と感じた第一印象を、裏切るように世界はのんびりしていて、しかしやっぱりヤバかったと、この期に及んで自己保身に奔る情報部の独善が語り直しもする。

 ここら辺のフラツイた印象、「世界全部がやべーのに、んなことやってる場合かよ…」感に、独自の生っぽさというか、「まぁ黙示録って、そんなもんだよね!」という個人的な納得を、まぁまぁ得てもいるのだが。
 バビロンシティ、イスラマバード、フォート・ベルボア。
 世界中を股にかけ、遠く離れても一つの意思で繋がっているチームの奮戦は待ってましたの一体感があるし、いつのまにか帰るべき場所になっていたアジトの温もりも、それなりに好きなんだけども。
 やっぱ作品全体を貫通する芯のなさというか、まとまりの悪さ、押し出しの弱さは消えてくれない。
 場面場面、瞬間瞬間の興奮を、靭やかにまとめ上げるグルーヴが薄い感じ。

 

 まぁこのボヤケた感覚は今始まったこっちゃないし、むしろLAZARUSという作品全体を縁取る”個性”ですらあると思うけど。
 ここまで11話、どっか噛み合わず響ききらないドッタンバッタンに付き合い、肩透かしと妙な悟りと近未来の多彩で魅力的なスケッチを見続けてきた身としては、「ダメ!」とバッテン貼り付けて切り捨てるには惜しい、妙な魅力も確かにある。

 なんとなく制作者たちが大事にしたそうな匂いもちったぁ嗅げるし、それを生み出すために色々足りてない(と僕は感じてしまう)モノに目をつぶれもしないし、最後までLAZARUSとの距離感は難しい。
 その俺とナベシンの間にある面倒くささも、悪くないのだが。

 

 

 

画像は”LAZARUS ラザロ”第11話より引用

 さておきダグの奮戦でエレイナはスキナーの心臓に迫り、ハーシュは冷徹な仮面を擲ってチームのために囚われ、アクセルは地獄の暗殺コマンドー相手に大立ち回り。
 バラバラにそれぞれのミッションに挑めばこそ、チームがチームである結束を感じられる多元同時進行なクライマックスは大変いいし、情報部のキモ蔵のキモさを眼鏡の乱反射で示す演出とか、マジでよく切れてると思う。
 前回素顔の脆さと決意を示したリーランド坊やが、信頼すればこその留守番を任される展開とか、可愛くてよかったしな…。
 みんな元気だ…元ヒッキーもパキスタンの砂塵を爆走だ!!

 前々回、アクセルとリーランドの裏切りについて語らった時もそうだったが、ダグの車は”仕事の便利な道具”という立ち位置を超えて、”移動する我が家”みたいな手触りを、しっかり手に入れてきている。
 くだらなくて大事なことはここで話されるし、そのハンドルを握っていることでダグというキャラクターの静かな理性、その奥にある靭やかな情が、上手く可視化されている感じもある。
 凄腕チームの車両運転担当として、こういう削り出し方でキャラが立ったのはやっぱ良いなぁ、と思った。
 こういうじんわりした可愛げが、チームの全員にちゃんとあるのは、このお話の良いところだよなぁ…。

 

 世界滅亡を眼前にして、クソ人体実験とそれによる失脚を気にして強権ぶち込んでくる、クソみてーな足引っ張り村の住人ども。
 そのしょーもなさにガックリ来つつも、現実なるものの加速するトホホ感を鑑みると、中々生っぽい黙示録ドキュメンタリーだとは思う。

 人間全ての終わりを目の前にしても、己を鑑みて悔い改め、正しい生き方をいきなり選び取って世界を変えるなんてこたぁ、まぁ難しい。
 妙にノンキに日常を繰り返していた前半戦も、そこら辺の正常性バイアスの堅牢さ、積み重ねた悪徳と無感覚のしつこさを、シニカルにクレバーに描いた結果…とも取れるか。
 でもま、もうちょい焦ってくれてても良かったとは思うよ。

 

 さておきこのタイミング、この強度で情報部が足引っ張ってくるのなら、前半戦の空回りでもちょっとイヤガラセして、チラリと存在感をアピールしてくれてても良かったかな、と思う。
 細かく終盤に生きる描写をエピソードの隙間に埋め込んで、立体感あるドラマを構築する巧さは、正直このアニメにはあんまないので、求めても詮無いけども。
 事前に色々仕込んでくれていたら、こうして派手に炸裂する終盤戦にも納得感があって、より気持ちよく最後の花火が上がったかなぁ…とは感じる。
 画作りは世界最高峰にスタイリッシュなのに、ここらへんが無骨でゴツゴツしてるミスマッチが、気持ちよく絵の良さを飲ませてくれないんよな。

 そういう意味では、エピソードゲストの中でも屈指の存在感をもっていたポップコンウィザードが、ここで再登場してスキナーの心臓に道を開く展開は良い。
 ずーっと本部でキーボード打っていたエレイナが、ダグ命がけの助けもあって荒野に飛び出す変化が、前回はしてやられた凄腕にようやく追いついた成長に、しっかり重なっている。
 つーか今回のエレイナ、異様に気合の入った萌え力を注入されていて全体的に可愛かったの、大変良かった。
 見た当時はあんま響かなかったカルト出身のオリジンも、こうしてタフに異郷を駆けている姿を見ると、クソみてーな揺りかごから何処にたどり着いたのか、解らせて飲み込ませてくる感じね。

 

 

 

 

 

 

画像は ”LAZARUS ラザロ”第11話より引用

 そんな仲間の奮戦をよそに、一生スゲーアクションで大立ち回りしている、アクセルと双竜大先生。
 ほんっとアベルが「まさか…伝説の殺し屋か!?」とか言い出した時の目眩凄くて、ここまで上層から下層まで、未来世界のリアリティを豊かに美しくスケッチしてきたお話が、急に現実感のタガをぶっ壊してきた感覚に襲いかかられた。

 むせ返るような「なんなんだよコイツマジでよー…」感を、異様に冴えるアクションとムッツリ顔に漂うオモシロで、全部踏み倒してくる双竜大先生は、本当にズルいキャラだと思う。
 邪険にするには、あまりに動きが良すぎる…。

 

 アクセルがその流れに身を投げて、立ち止まったり飛び込んだりする車の河に、双竜はためらいなく手榴弾を投げ込み、目的のために人を殺す。
 軽やかでウッカリ死にそう感が凄いパルクールで、街を自在に移動するアクセルに対し、双竜がそれに追いついてくる過程は描かれない。
 未だ死の渦から唯一生き残った”LAZARUS”である理由は明かされないが、アクセルは極めてフィジカルな存在感と、好き勝手やる対価に自分の命を天秤に乗せるフェアネスを、そのアクションの中にしっかり刻んでいる。
 これに対し双竜は亡霊のように存在感がなく、他人の生死を勝手に差配し、生きるためでなく殺すために飛ぶ。

 ぶっちゃけなんの因縁もねぇ二人なのだが、アクションを通じて何を表すかという動的キャラ描写においてはすごく鮮明に対比的で、このメリハリが激しい殺陣に適切な陰影を付けているように思う。
 殺さないもの、移動経路をこちらに見せてくれるもの、他人との間に生きるものが主役であり、亡霊のごとく急に顕れるもの、他人の人生を勝手に血みどろにするものが、その障害なのだ。
 ここら辺、アクションを通じアクセルを通じ、作品が見ているヴィジョンを語らず感じさせる手触りがあって、なかなか良い。
 毎回この仕上がりでアクションやれたら怪物みたいな作品だったんだろうけど、その圧倒的スペシャル感は第1話と今回だけよねやっぱ…。

 

 双竜はアクセルの首飾り…自由を象徴するような羽に、混濁した記憶の奥にある己を見出して、混乱したまま殺しを蒔く。
 それは無貌であるがゆえに無敵である混沌の羽であり、つまりは双竜のオリジンを暴き七穴を穿って”人間”にすれば、無敵のモンスターを殺せるというホラーの文法なんだろう。
 スキナーのほうが殺さぬ救世主なので、最後にして最強の障害にめっちゃ要素持っていくのは正しい手筋だと思うし、実際双竜先生にまつわる全てが異様にオモシロいんだが、全体的には歪だなぁと思う。
 歪で間違ってんのに、異様にオモシロし異様にアクションすげーから困るんだけどさ…。

 アクセルと双竜に深い因縁があって(それこそスパイクとヴィシャスのように!)、お互い譲ることの出来ない生き様を決着させるべく、最終盤運命の戦いに挑む…つう、ベタな足取りだったらこの決戦、どう感じたかなぁとは少し考える。
 収まりは良かっただろうけど、ポッとでのスーパー殺し屋様が世界の命運を賭けた旅の旅に立ちはだかる、極めて珍妙な味わいは生まれなかっただろう。
 「それでいいじゃん」という自分もいるし、「それじゃオモシロくないじゃん」という自分もいる。
 このどっちつかずの判断しきれなさが、自分とLAZARUS…あるいは今の渡辺信一郎との距離感なんだろうなぁ、と思っている。

 

 アクセルは登場以来ピンチに陥らず、軽やかにミッションを乗りこなして自在に飛び回る、物語の重力から解き放たれた存在だった。
 そいつを地面に縫い留めて、血を流す一人間としての顔を暴くために、双竜という特別性の暴力(あとオモシロ)が必要だったのかなぁ…とも思うけど。
 アクセルと並び立つくらい、フィジカルがキレてる奴が前に立たないと、彼はずーっと空を飛んで何も間違えず、傷つかず、人間じゃないまま話が終わるからな…。
 なのでここで死んで蘇って、真実復活者(LAZARUS)になるのは、主役にいい感じの陰影ツケて終わる、好みの展開だなと思います。
 いやまぁ、フツーなら死んでんだけどあの怪我…。

 この致命傷からの蘇りっぷりが、ハプナ・オリジナル唯一の生存者たる理由を暴きもするとは思うが、ここら辺の謎解きと最初から提示されていたチームの目的…スキナー確保がいまだ繋がってないのが、まぁすげぇな。
 ここら辺も、ようやくリアルワールドでポップコンウィザードに追いついたエレイナが、次週繋いでくれるとは思う。

 

 そうやってようやく、ちょっと網目が大きすぎる大きなタペストリが仕上がった時に、僕はこのお話をどう感じて、どういう距離感で向き合うのか。
 バチバチに冴えた未来像とアクションと、どーもボンヤリしたドラマの混ざり合わないチャンプルを、どう腹に収めていくのか。
 次回も楽しみです。