イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

美男高校地球防衛部ハイカラ!:第5話『水泳大会で ハイカラだぜ!』感想ツイートまとめ

 美男高校地球防衛部イカラ! 第5話を見る。
 「個別エピ2つやったし、そろそろ美少女消費コンテンツ名物の”アレ”やるかぁ!」とぶっ放される、赤フン水着回
 「俺達はこれから、美少年たちの膚と性器を存分に消費します!」と、気合の入った”力み”がエピソードのあらゆるところから迸り、大変良かった。

 肌色エピソードやるんならこんくらい自覚的に最悪にしてくれたほうが、個人的には消化は良いので、一見お花畑テイストの柔らかな食感に見えて、めちゃくちゃシニカルで後ろ向きな視線が滲むこのアニメに相応しい仕上がり…堪能させていただきました。
 一見バカ明るい作品の基礎が、冷たい絶望混じりの記号論で回り続けてるの、俺は好きだ。

 

 

 

 

 

 

画像は”美男高校地球防衛部イカラ!”第5話より引用

 赤フンの隙間からマヌルネコがヌルっとはみ出したり、猫間くんの陰謀がマジで殺すやつで欠片もシャレになってなかったり、水中ガボガボ戦闘があんまりにもバカだったり。
 全体的にダイナシの火力高くて良かったが、話としてはバンカラ団が押し付けてくる男らしい正しさに、ハイカラ部が”レースのキンタマ袋©ARuFa”で抗う、調捻じくれたbra-burning feminism…なんかな?
 女性を徹底的に排除した、人工的で歪な美男子水槽で話こねくり回してると、時として妙にラディカルな手応えが発生してくるの、一種のバグだと思う。

 

 今までの風呂ノルマより半歩踏み込んだ肌色が、元気に暴れまわる回でもあったが、男の子たちがかなりあっけらかんと性消費されるので、あんまヤダ味感じず見ることが出来た。
 つーか彼らを消費する”私達”の影を、徹底して画面の中の異世界から消し去ることでアクを取っているの、あらゆる存在がプラスティックな味わいしてる人造楽園らしい作りで、個人的にメッチャ面白い。

 やっぱ90年代末期から00年代初期、萌ジャンルがグツグツ煮込まれていた頃合いのやり口を、性別をネジリ年代をジャンプさせて”今”やってるミスマッチが、文化的現象として個人的に興味深いんだな…。
 欲望を向ける切り口が多分メイン消費者層とズレきってるんだけども、作品が遠くに見てる(と僕が観測/欲望している)時代が、あんまりにも僕の真芯と響き合いすぎてる。
 つーか美少女ジャンルだと、あまりに古すぎてこのカタチで残ってないんだよな、ハイカラの記号論…。

 

 記号のキメラとなった男の子たちは、存在してるのか分かんねぇ性器をちら見せして興奮を煽り、生のオーガンが彼らに宿っているのだと偽装する。
 最新鋭の美少年消費なら、もうちょい角とって自然に見せるだろうポイントで(あえてかそうなるしかないのかは、僕には判別できないけど)ゴリゴリに人工的な味わいで、そうやって使い潰される事のみ望まれて産み落とされた存在を、僕は外野から勝手に憐れみつつ楽しんでいる。

 カラフルな髪色と、何重にも捻れた”女っぽさ”を装いながら明るく微笑む彼らが、作り物の世界をぶち壊して赤い血潮をにじませる程の強度が、今後物語に宿るか。
 あるいは徹底してプラスティックなキメラとして、記号論を貫通するまでシゴくことで、独自の味わいが宿っていくのか。
 ぜーんぜん解んないのがハイカラのイイところだと、僕は思っている。

 

 「行き過ぎたエロティシズムはギャグ」みたいな転倒ともまた違う、微妙に焦点のズレたやり過ぎ感で突っ走り続ける今回は、そういうチャーミングな混濁を強化していて大変良かった。
 百目鬼会長が雲仙くんにデカすぎる感情持ってる様子と、雲仙くんがま~ったくそれに気づかず風通し良く笑ってる姿も改めてスケッチされたが、この感情の拗れをどう料理して、どういう味出してくるつもりなのか、全く読めない。
 テンプレにまとめられて、ザックリ終わらせられそうな感じプンプンしてるのが、逆に作品全体に漂うプラスティックなムードと心中する気合にも感じられ、結構ワクワクしている。

 終盤あるだろう雲仙くんの個人エピで、どんだけハイカラバカ以外の顔を削り出せるか次第だとは思うが、徹頭徹尾記号しかない萌えキメラであっても、それはそれで良いんだよな…。
 この作り物感は、未来技術を借りてキャッキャウフフしてる背景に何があるのか、ヌル&キャンの事情がどんだけシリアスかでまた手触りが変わってくると思うので、後半戦どういう料理してくるのか楽しみだ。
 どういう舵取りで走ってくれてもいいけど、物語という軌跡には自分なりの意志が宿ってて欲しい人なので、ハイカラらしくやってほしい。

 

 もともと「”魔法少女的なもの”を、男性主役で反転させつつ、その対照物となる”女”を作中から排除し男の子に背負わせて、それが不在ゆえに偏在する楽園を人造する」つう、すげー捻れた記号操作で成り立ってるシリーズだと思うんだけども。
 今回露骨なサービス回(の捻れたパロディ)が飛び出して、ぜんっぜん肉の匂いがしない清潔な裸身が見れたことで、ここら辺のコンセプト(と僕が感じているもの)の根深さ・強さがよく解った気がする。
 八方破れのギャグに暴れても、生身の垢が匂わない清潔な作り物感は、俺にとっては結構好ましいんだよな…二次元キャラ、根源的に作り物でしかないんだから。

 同時にどんだけ作りものであっても、生み出されたキャラクターとそこで展開するドラマは、嘘っぱちなりの体温をどう足掻いても宿してしまう。
 そういう宿命に創作者としてどう向き合い、防衛部シリーズを数年ぶりTV放送に引っ張り抱いてきた意味を刻んでいくのか。
 やっぱそこら辺に、自分の興味はあるようだ。

 

 俯瞰で見ると結構悪趣味なソフトポルノを、雲仙くんたちはずーっと笑いながら演じきってくれていて、そのやりきり感には凄く好感を持っている。
 歪であること、不健康な作り物であることと、作品を切り離すつもりが多分最初からない、記号論の徒花。
 こっからさらにどう咲くのか、次回もとても楽しみです。

 

 

 

・追記 プラスティック・ラブ・ラブ

 ハイカラ全体に漂う人造的な味わい…不自然で歪なそれに作品全部ベットしちゃうヤバさに惹かれる性根は、多分手塚治虫火の鳥 未来編”のタマミをガキん時脳髄にぶっ刺されたのが効いてて。
 人類が滅びの淵に突っ込む中、なんの実りも生み出さない嘘っぱちの幻想を献身的に捧げきって、人間様にとって都合のいい欲望の対象であることを誇りを持ってやりぬいた彼女の気高さを、眼球の端っこで追い続けている。

 人格の根っこに離人症的な感覚がある自分としては、作り物の嘘こそが”本当”なんじゃないかというズレがずーっとつきまとってて、そこの輪郭を縁取るより早く、タマミという存在は自分の中核を、猛烈に射抜いた。
 その残響を、超今更感漂う萌ジャンルパロディで戦おうとしているこのお話に、勝手に感じ取ってブーブー文句行ったり、ワーワー楽しんだりしている感じはある。
 ”美男高校地球防衛部イカラ!”という作品自体を、数十年ぶりのムーピーゲームだと感じてるフシが、僕にはあるんだろうな…。