サイレント・ウィッチ 第6話を見る。




いきなり謀略と洗脳が渦を巻く会計チョロマカシ事件で始まった物語だが、モニカが学園に馴染むに従ってややペースを落としてきてる。
今回はお茶会に社交ダンスと、魔女が出会った小さな幸せが描かれて、とてもチャーミングな回だった。
才能ゆえに15歳で魔術世界の頂点まで駆け抜けてしまったモニカだが、それ故人格面での発達が置き去りな感じもあり、お茶を飲んで優雅に舞う中で、眼の前にいる誰かと向き合う体験から学ぶものは、見た目より大きい。
じんわり彼女の対人能力が育ってきてる描写も心地よく、この学び舎が規格外の天才を受け止める揺り籠だと、改めて感じる回だった。
やっぱ序盤の人間関係ダメダメっぷりをやや大げさに、笑えるムードでしっかり描いたのが効いてる印象で、それが日々の暮らしの中改善されてきた事実が、かなり見やすくなっている。
あの時のやり過ぎ感すらあるぶっ壊れ人間っぷりがあればこそ、戸惑いながらも仲間の助けを借りてダンスに挑み、誰かのためにコーヒーを淹れるモニカの今が、眩しく愛しい。
この青春のきらめきに、茶話会のテーブルを囲む友達の顔もよく映えて、モニカが今掴みつつある友情の手触りが、グッとこちらに近づいてくるのも良かった。
「上手くいかないこともあるけど、いい友達沢山出来てモニカちゃん良かったねぇ」…の気持ちだ。
モニカの人格的成長に伴い、ただ助けられるだけでなくかけがえない真心を共に危機に差し出せるところまで、早熟の天才が頼もしくなってる姿も見れた。
成り上がり故か貴族社会のTPOを知らず、最上級の茶葉で最上級のLOVEを伝えようとしたラナ嬢を、同じく場違いな思いやりのコーヒーで救おうとする不格好…あまりに眩しすぎた。
氷の美貌を誇るクローディア嬢がぶん回す、貴族社会の当たり前こそが、優しいハミダシモノたちの前では「場違い」なのが面白いよね。
気持ちと形式、両方揃ってこそのもてなしであるけども、階級固定社会だと後者に点数がつきがち…つう話なのだろう。
イザベルちゃんの優しい偽悪役っぷりとは違う、シビアでハードな冷たさをまとうクローディア嬢であるけども、どーせなんか事情があって冷たく振る舞ってるとは思うので、はようモニカがそこに滑り込んでズブズブにする展開は見たい。
というか彼女が口にしてる言葉は、貴族階級の社交授業としては揺るぎなく「正解」なわけで、世の中を支配してる冷たいルールを正しく教える教師役としては、かなりいい立ち回りしてくれてるんだよな。
こういう固く冷たいものと、沈黙の魔女がどう向き合って切り崩していくかも、第三王子の複雑そうな立場と合わせて、今後の課題になっていく…かもしれない。
モニカの過去も今後ひっくり返してく伏せ札だと思うが、思いやりこそが生きる意味だと教えてくれた親父さんが、なんで火刑に燃やされてたのか…残酷な痛みが、天才少女には深く突き刺さってそうである。
貴族社会が掲げる規範と、英明な頭脳が見つけてしまった(それを公表することが「思いやり」だと考えた)新発見が衝突とかして、体制維持のために消されたんかな? って感じだが。
それにしては貴族がトップに座る社会構造に、モニカが濁った敵意を抱いていないので、また違った事情かもしれない。
どっちにしても、モニカの知恵と優しさは現状アンバランスながら、親父さんから引き継いだ大事な物なのだろう。
今回おもてなしと舞踊という、頭で考えても答えが出きらない問題に向き合ったことで、モニカが何かを計算する場面が出てこなかったのはとても面白かった。
彼女を七賢人の高みにまで押し上げ、社会から逸脱した超級暴力装置にしてもいる数理的な賢さだけじゃ、世界の全部は分からない。
そのことを学びつつ、賢く計算する以外にも自分にできることがあるのだと学んでいくのが、多分この学園で沈黙の魔女が果たすべきカリキュラムなのだろう。
そういう場所においては、時に自分の卓越性が役に立たないこともあるし、だからといって何も出来ないわけじゃない。
自分が一番の場違いになることで、友達を助けることも出来る。
喉から「ありがとう」の言葉も絞り出せなかったモニカが、アクシデントにもめげず自分の信じる優しさで危機に立ち向かったのは、ちっぽけだからこそ凄く眩しい成長だと感じた。
これが今は亡き父と結びついていることに、一人きり飛び級な生活を生き延びているモニカの辛さを感じもして、全部の事情を知って寄り添うネロくんのありがたみも強くなるんだが。
「オレ猫だからなんも分かんねぇけどよぉ…」を装いつつ、かーなり魔女が何に苦しみ何を必要としてるか、しっかり見て隣りにいてくれるネロくんの事…オレだんだん好きになってきてるな…。
王子様たちのDOKI☠DOKIアプローチに心揺れつつ、
ブローチの多面構造に夢中でフラグをべっきりへし折る、ハワハワギャフンなラブコメ未遂の味わいも大変良かったが。
ここでもモニカ得意の計算は楽しいマイナスポイントにしかなってないわけで、今回は沈黙の魔女の武器が足かせとなり、弱点が強みに変わる反転のエピソードだったのだろう。
そういう多彩な難しさを、笑って受け止めてくれる人と既に出会えていることは、孤児たるモニカにとって幸せなことなんだろうな、と思う。
自分が出来ないと思い込んでいたことに挑んだら、思わず誰かを助けたり、一緒に笑ったり出来た。
そういう子どもに当たり前で大事な発見を、この学び舎でどんどん、掴み取っていってほしいよ…。
というわけで人間劣等生必死の奮戦に、思わず心が暖かくなるエピソードでした。
無詠唱魔法も卓越した計算能力も役に立たない、身体と心だけで向き合うピンチが描かれることで、自分がモニカを当たり前の人生生き直し真っ只中の、天才児にして孤児として見ている事実も再確認できたが。
どんだけチートに恵まれていようとも、むしろだからこそ人間当たり前の幸せから逸脱してしまった女の子が、ブルブル震えながら一個ずつ小さな幸せ、それを掴み取れる自分への”信”を育んでいく姿が見れるのは、めちゃくちゃ良いです。
こういうオーソドックスな成長譚、学園の物語を背骨に、どんなファンタジーが花開くか。
次回も楽しみ!