先週のやりたい放題はあくまで特例!
土下座インパクトに流され、基本ルールを蔑ろにすると一体何が起こるのか…鉄パイプと血飛沫が激しく唸る、グノーシア第8話である。
”留守番”は白確の無害な役職じゃなかったのかよー!
そろそろ人狼ゲームにも銀の鍵への捧げ物集めにも慣れてきて、ある種のマンネリ感が視聴者に漂ってくる頃合い。
このタイミングを見計らい、前回は人狼ゲームをすっ飛ばして他人の事情を探るオモシロ愉快番外編をお送りしたわけだが、今回はいつも以上に複雑化した人狼ゲームが特例処理で終わったと思ったら、グリッチ演出とともに”いつもの”凛として時雨がキャンセルされ、ククルシカ鉄パイプ無双が展開された。
そして遂に次回、主役がグノーシアになる…と。
第一印象より全然いいヤツだったしげみちとか、重たい事情を抱えつつ清らかな心を守っていたステラとか、踏み込んでみたらアタリだった連中ばっかと付き合ってきたわけだが、今回ククルシカがグノーシア関係ない大虐殺をぶっ放した結果、謎の奥にはとんでもない地雷が埋まっている可能性が出てきた。
一番理由わかねぇことブッ込んでくるククルシカが、自分から言葉を使えないのが大変上手く機能しており、彼女の無言なる雄弁をどう解釈してくのか、ユーリと僕らの読解力が試されている。
…第6話で守護天使として、ヒロイン力高いククルシカとも出会っているのが、心地よい混乱のブースターとして機能しとるのぉ。
今回”留守番”であるククルシカがぶっ込んできた殺戮には、グノーシアは関係していない。
沙明渾身の土下座から全員コールドスリープで宇宙人狼の構造自体がぶっ壊れ、誰がグノーシアだったかのネタバレがメタ的に終わって、ユーリも俺等も”いつもの”ループに突っ込むのかと思ってたら、まだ見えてない理由でお姫様が狂った。
あるいは狂ってる理由を知らないまま、主役がグノーシアになる世界線へとなだれ込んでいった。
ずーっと繰り返してきた小ゲーム自体が、終わったあとに破壊されることもあるし、そんなグリッチがあっても、ゲームは役割を変えて続いていく。
こうなってみると、夕里子が去り際意味深に告げてきた言葉が重い気がする。
繰り返す輪廻の中、隣り合う人がどんな存在であるのか、見た目は何も当てにならない。
それはグレイとかイルカとか首から猫とか、異形の存在が話してみればいい奴だったり、陰気な根暗くんが壮絶な奴隷経験者だったと分かったりした、これまでの旅の裏側だ。
一見清純なお姫様に見える人形が、特定条件で何もかんも皆殺しにするキラーマシーンだったり、どこに地雷が埋まってるかなんて分かりゃしない。
でもその奥に踏み込んでいかなきゃ、多分このループと殺戮は終わらない。
第一印象と思い込みを越えた先にこそ、たどり着くべき真実はあるのだ。
乗員の過去に踏み込んで銀の鍵を満たす大ゲームが、仲間を疑い真実を探る小ゲームと同じ構造になってるのが、とても面白いなと思う。
人狼もローグライト・アドベンチャーも、眼の前の印象に惑わされず冷静に真実を探っていく、理性のゲームとして構築されている。
なのだがそこで凍らされたり襲われたりしている人たちは、確かに生きていて赤い血を流す。
論理だけで押し通しても望み通りには動いてくれないし、むしろ賢さが透けると反感を買ったりする、感情の動物でもあるのだ。
理性と感情、印象と推理。
相反するように思える二つをつなぎ合わさなければ、輪廻の牢獄から出てゲームを終わらせることは出来ない。
人狼ゲームのセオリーとルーチンになれた頃合いで、鮮烈にここら辺ぶっ込んでくるのは上手いシリーズ構成だな、と思う。
いかに美術設定が優れていても、同じ場所で会話劇を繰り返す変化の無さは澱のように溜まって、(多分作り手の狙い通り)倦怠と油断を生み出す。
自分たちには”次”があるゲームでしかなくとも、他の参加者には一回きりの人生であるギャップを忘れて、繰り返す日々…そこで明滅する生死が日常になりかけている緩みが、思わず顔を出したりする。
そういう状況が、物語の中のユーリと外で見守る僕らで重なった一瞬を見計らって、真っ赤な血飛沫と梅田サイファーの新曲で殴る。
見事だ。
このインパクトを高めるべく、血も死体も描写されない”殺し”がここまで八話、積み上がってきたのかなって印象も受ける。
コールドスリープに、寝ている間の襲撃。
どっちも肉の匂いがない清潔な消滅だったし、だからこそ繰り返す殺人ゲームをギリギリ受け入れられてたわけだが、セツが生真面目に指摘したように、そこには一個限りの命をぶっ壊される、許されてはいけない悲惨が確かにある。
人狼ゲームも銀鍵満たしも破綻し、遂に主役がグノーシアとなる今回、そんな”現実”が真っ赤に襲いかかってきたのは、大変いいツッコミ(物理)だったと思う。
オメーが特権的に身を置いてるゲームが、世界の全部じゃないからな!
この大暴れを記憶に刻んで、ククルシカの背景を探るのは必須項目となったわけだが…彼女自身に色々聞いても、直接言葉で返してくれるわけじゃないのは上手い。
無言のヒントを拾い集めて、色々事情を推察した上で深く潜っていくことにはなると思うのだが、レムナンの元主人も発狂ククルシカもペロリと唇を舐めてて、これがかわいいかわいいSQちゃんと共通してるのが超気になってはいる。
俺の直感は、SQちゃんのキャラ属性は”純朴”であると告げているわけだが、時折見せるコケティッシュなヤダ味はそれを裏切る。
このズレが、人間飼って弄ぶイカレた誰かと繋がってるとしたら…こりゃあなかなか面白い。
あとグノーシアという存在自体も全然解んないまんま、ここまで八話話が進んできたので、次回初のグノ陣営スタートで何が描かれるのかは、大変楽しみである。
しげみちも言ってた”電脳化”と、電子の巫女と呼ばれてる夕里子の繋がりとか、そこにグノーシアがどう関係してるのかとか、気になるポイントは山程あるからなぁ…。
そもそもグノーシアに”為る”ってのがどういうことか、為ってみなきゃ判らんかったわけで、陣営を変えてユーリが何を見るのか、次回は色々ネタが集まりそうだ。
やっぱGnosisなんだから、肉体を捨てた知性体になる”救済としての死”で動いてんのかな~。(オタク知識メタ読みの思い込みが、当たってんのかとっとと答え合わせしたいマン)




つーわけで人数多すぎ役職アリすぎな複雑状況は、前回初お目見えした連中の補足を兼ねつつ展開していく。
真エンジニアであるしげみちが早い段階で凍らされていた時点で、人間陣営の勝ち目がかなり薄い盤面だったとは思うが、ここでアホボケくんの土下座がぶっ刺さり、状況は極めて混迷した色を深めていく。
前回はかっこいい顔も見れた沙明が最悪だったり、明るい表情を見せてくれたレムナンがトラウマに狂ったり、”裏”が見れる回だったなぁと思う。
ちょっと怖い顔で笑ってたオトメちゃんも、蓋開ければグノーシアだしよぉ…イルカもグノるんだな、そういえば。
第6話では可憐な姫君との約束の証であり、悲しい結末に終わった悲劇の象徴だった、ククルシカの花冠。
それが棘だらけの拷問具に見えるのは、レムナンを捉えて離さない過去が生み出す幻影か、姿を変え時間を飛び越え追いすがる”現実”なのか。
書き換え可能なVR空間だからこそ、そこら辺の曖昧さが良く際立つ展開になっていて、たいへん良かった。
ゲームが崩壊したあとぶっ放した行動が、あんまりにもあんまりなので「ククルシカの真実は血みどろ!」と断言したくなるけど、これもまた一つのヒントでしかなく、確かなことは深いところまで踏み込んでみなきゃ解らねぇんだよなぁ…。
銀の鍵に情報を集め、幾度も生と死を繰り返す、ユーリの特異性。
主人公≒プレイヤーたる資格を成り立たせると同時に、眼の前を生きてる誰かへの敬意と愛情を摩耗もさせる危険性に、同じループ当事者であるセツがしっかり釘刺してくるのが、戦友感強くて良かった。
同時に彼女の言葉はこの物語をどう受け取るべきか、ユーリを貫通して”こっち”に働きかける行動でもあり、「どんだけ同じ場所で同じゲームを繰り返しているように見えても、飽きず諦めず一個一個の人生に感動しろ!」という誘導を仕掛けてくる。
それはゲームを超えたゲームとして、”グノーシア”を体験するための命綱なのだろう。
…っていう構造を、アニメという三人称的メディアにしっかり変奏し、適切に演出し機能させてる(だろう)てのが、まー凄いことなんだけども。
夕里子死に際の釘刺しもそうだけど、ユーリに投げかけられる言葉って彼を作品内部で導くと同時に、彼の肩越しにこの惨劇を見守ってる僕らに、しっかり突き刺さる。
見た目の印象に引っ張られて誰かを勝手に判断するのも、自分が”ゲーム”してるからって作中現実で活きてる存在を蔑ろにするのも、グノーシアという体験を強く毀損する。
なのでこういう形で注意を促し、襟を正して物語を浴びれるよう、自然に物語自身が忠告してくれるのは…まー真面目な作品だよね。
同時にプライド全部を投げ捨てたスーパー土下座で、全てがひっくり返されたりもするんだけどね!
特例を認めた結果、厳格だったはずのルールの足場がぶっ壊れて、さらに特例的な全員コールドスリープで強引に決着させるしか無くなったの、なかなか面白かった。
宇宙人狼自体が、「んじゃあみんな殺して”安全”にしよう!」つう、冷たい方程式を避けるための次善でしかないので、ヌルいコト言い出すともっと最悪になるんだな…。
そういうハチャメチャをさせるだけの異様なポテンシャルが、前回はかっこよく人喰いの定めを終わらせた男にあったと、判る周回でもあった。
いやーホントどうなの沙明くん…可愛いから許すけど!




ハチャメチャな周回も、瞳を閉じればすぐさま終わり、また新しい現が始まる。
…はずだったんだが、お姫様が想定外の大発狂ぶちかまして、グノーシア関係ない所で宇宙船は血まみれだよッ!
吊られ襲われ、疑念と殺戮が渦巻く宇宙人狼よりも、良く解んねぇ地雷踏んで鉄パイプ殺戮激情始まったときのほうが血糊が多いの、なかなか痛快なひっくり返しだった。
前回はイルカの真心を跳ね除ける鍵でしかなかった凶器が、今回はガンッガンに血飛沫撒き散らしてて、ここら辺の対比も最高。
この大暴れを見せられると、ククルシカの花冠が新愛の証なのか獲物へのマーキングなのか、全然解んなくなるのマジおもしれぇんだけども。
極限状況でレムナンがゲロった悲惨な過去と、血みどろキラーマシーンがどう繋がってんのかも解んねぇし、まだまだ探るべきこといっぱいだな!
陰気なオタクくんが一皮剥いたらこーだったんだから、他のパット見気に入らねぇ連中も、とんでもない爆弾抱えてそうで、まだまだ描くべきもの沢山あるなぁ! って感じだ。
ラキオのロジックマシーンっぷりの背景とか、夕里子だけに見えてる世界とか、掘り下げると世界観の咀嚼に助かりそうなネタもチラホラ見えてて、今後の楽しみである。
とはいえユーリの周回が煮詰まって来てるのも事実なので、ここでグノ側から見える世界を描写してくれることで、一気に情報が増えて謎が確定されていきそうだ。
アイツラが何考えて人間襲うのかとか、誰が敵か最初から解っている視界でどういうゲームするかとか、気になってるポイントは大変多い。
今回盤面が大崩れした沙明の土下座も、グノーシアだったオトメが人確なククルシカに”印象”を求め、それがクソボケにぶち当たったことで生まれた一手だったし、生真面目に人間やってる時には見えていない手筋が、グノーシア側には沢山あるのだろう。
そして主役がグノーシアになることで、「グノーシアの襲撃から仲間を守り、みんなで生き残る」つう今までの正しさも揺さぶられていく。
役割を割り振られちゃった以上、ユーリは次の周回で嘘つきの人殺しになるしかないわけだが、グノーシアに”為る”ことはそんな非倫理を、どう肯定するのか。
それを解ってこそ、改めてグノーシアを狩る(かもしれない)次の次の周回で、新たな景色も見えてくる…かもしれない。
まぁ新しいなにかが見えても、それが特大級の地雷として炸裂し、血みどろに何もかんもぶっ壊すかもしれねぇんだけどさ…。
やっぱ今回のイレギュラー、いい仕事しとるな。
次回もとっても楽しみです!