ワンダンス 第8話を見る。




地区大会を勝利で飾り、ダンス初心者が部活で結果を出す物語が一段落。
いい加減視聴者のダンスリテラシーも上がっただろ! ってんで、一話ほぼほぼ踊りっぱなし、多様なジャンルと表現がみっちり襲いかかってくる、ダンスバトルの醍醐味編だった。
やっぱこの3Dモデル、群舞よりダンサーの個性が色濃く出るバトルの方があってる感じで、それぞれの身体のサイズや使い方、流れてる音楽をどう噛み砕くかが、ずーっとバトってる展開の中、面白く弾けていたように思う。
全員個別の身体言語で喋ってるのに、濃密なコール&レスポンスが成立している面白さ。
部の方向性から恋の行方まで、全部ダンスに乗っけて語り尽くす大勝負に、幽霊部員がわざわざ挑む気になったのは、地区大会でカボくんがどんなダンサーか、しっかり確かめたからこそだろう。
カボくんがダンスにのめり込む理由にもなった、言葉以上に雄弁に己という存在を伝えてくれる、フィジカルなメッセージ性。
それは伊折自身にも響いて、サボり野郎が部に戻ってくる反発を、ダンスバトルで飲み込んでいく。
否応なく伝わり理解ってしまう熱と説得力が、その場に溢れ出した音楽と共鳴する身体から絞り出されていく、バトルという場。
ストリートの輩が見下すショーダンスとは、少し違うそこの空気。
それを、何かと回りの顔色をうかがい社会と上手くやれてしまう優等生達に教えるのも、恩ちゃん先生の狙いだったかな、と思う。
部の方向性から恋の行方まで、全部ダンスに乗っけて語り尽くす大勝負に、幽霊部員がわざわざ挑む気になったのは、地区大会でカボくんがどんなダンサーか、しっかり確かめたからこそだろう。
カボくんがダンスにのめり込む理由にもなった、言葉以上に雄弁に己という存在を伝えてくれる、フィジカルなメッセージ性。
それは伊折自身にも響いて、サボり野郎が部に戻ってくる反発を、ダンスバトルで飲み込んでいく。
否応なく理解ってしまう熱と説得力が、その場に溢れ出した音楽と共鳴する身体から絞り出されていく、バトルという場。
ストリートの輩が見下すショーダンスとは、少し違うそこの空気。
あんだけ雁首揃えていても、自分のフィーリングだけを頼りに審判を下せたのは、カボくんとワンダちゃんだけだった。
そういう右倣えな賢さを越えて、自分だけのフィーリングとセンスを表に出してほしくて、恩ちゃんは部を率いている。
そういう志を知っているからこそ、伊折は納得できる負けのあとにカボくんに後を託し、見るものを強く突き動かす何かが、後輩のダンスから立ち上ってくると信じた。
そういう絆が、ダンス部たった二人の男たちに生まれているのを見るのは心地良い。
カボくんが我を忘れて夢中になり、あの場所にいた全員が感じていた熱を、ちゃんと感じれる話数だったのは良かったと思う。
ここまで指導者としての度量が際立っていた恩ちゃんだが、複数ジャンルを踊りこなすキャリアの分厚さ、音に飛び込んで様々な表現を引っ張り出す感性が、今回のバトルでは表に立っていた。
群れのリーダーとしてだけではなく、単独の踊り手としても”強い”彼女が、部長先生やってる時にはあまり出さない顔。
地区大会一位という結果を出した直後、あえてそれを晒したほうが響くタイミングだと判断したから、彼女は部員に見える形で伊折とのバトルに挑んだ。
とにかく舞踏と楽曲が積み重なる今回、それぞれのダンス歴が生み出すこなれた感じや手数の多さ、身体的スペックが生み出す表現の差、音楽のどこを食べて体を動かすかの差などが、たっぷり食べれる回だった。
恩ちゃんと伊折のスムーズでこなれた感じに対し、カボくんは長い手足を激情のままに振り回して大きく動いていて、それぞれの個性が可視化されていたように思う。
こうしてバトルが主題になる前、教室で伊折と踊っていた2setがこうなると良く効いてきて、あの時観客の目を過剰に意識して生まれた不格好は、今回カボくんから見事にブッ飛んでいる。
ワンダちゃんがどう反応するのか、チラチラ追っかけていた視線も気づけば消えて、ただひたすらに眼の前の音、眼の前の人間、それと対峙し反応する自分自身に三昧していく。
感性と反射神経の赴くままに音を食べ、対手が差し出してきた表現を受け取って膨らませ、自分の体から新しい言葉を絞り出していく。
即興ゆえに生まれる密度と精度は、何も考えなくて良い瞬間を求めてダンスに飛び込んだカボくんにとって、待ってましたの熱狂を生み出す。
口で不器用に言葉をかわしているときよりも、恩ちゃんがどんな人間であり、どんなダンスを理想としているかは、ダイレクトかつ濃密に伝わってくる。
踊ることで、相手のことが理解ってしまえるセンスが、小谷花木にはあるのだ。
ここら辺の”才”を感じ取ったからこそ、恩ちゃんはダンス始めて三ヶ月の素人を大会に抜擢し、このバトルの間近に置いたのだろうし、伊折は本人よりも精密に不完全燃焼の理由を見抜いて、自分の踊りを見せつけた。
分かるやつには分るし、伝わるやつには伝わるという、コミュニケーションへの信頼が二人にはあって、そこに飛び込むことでカボくんは、なりたかった理想に近づいていける。
ワンダちゃんだけを見ることで、どうにか踊れていた時代を抜け出したことが、彼女が自分の踊りをどう受け止めたのか、気づけば見ていない描写からも感じられた。
それを受けての、無限の蒼穹へ登っていく飛行機であろう。
敬愛するワンダちゃんに「一ダンサーとしてリスペクトしてる」と言われるなんて、有頂天になってもおかしくない光栄なんだけど、そういう到達点はカボくん自身意識せず踊ったからこそ、達成できる高みだ。
自分が吃音であることを忘れるほどに、伝えるべきことが身体の中から溢れている時、スムーズにカボくんの言葉は動く。
それと同じように、カボくんが本当に欲しいものは、それを見失った時にようやく手に入るのだ。
そんな一心不乱の熱量が、若きダンサーが追うべき”答え”として描かれ続けているのは、やっぱり良いなと思う。
それは自我を無にするほど熱いからこそ、広く広く拓けている共通言語だ。

こういう隔たりのない一体感に、トッポい新参Bボーイはどう絡んでくるのか。
カボくんの生きづらさを見てきた視聴者にしてみれば、「恵まれてる人」扱いはナメてんじゃねーぞって感じであるが、伊折も初見、似たような印象だったしなぁ…。
タッパもあるしツラもセンスもいいし(あとダンスの妖精にも愛されてるし)、ハタから見てると”強者”に見えるってのは判るし、その外装がグチャグチャな中身を理解ってもらえない苦しさを、どっかで支えちゃってもいるのだろう。
そういう相手にこそ、踊りで全部分かってもらえる強さがバトルにはあると、視聴者に示すエピソードだった。
つーわけでバトル編へ突入していく物語の、良き入口となる回でした。
伊折とのバトルだけじゃあ部として挑むには足りなかったのが、カボくんとの対話を通じて「出るのも良いな…」てなるのが、言葉なき対話が成立してる感じで良かった。
恩ちゃん先生は良いところ沢山あるけど、指導する相手をナメずに声を聞こうとするのは、得難い長所だと思う。
カボくん一人の熱狂で終わらず、対手や観衆にも確かに何かが届いて、変わっていく。
音楽と身体が響き合って成立する、言葉を置き去りにする速度と密度のコール&レスポンス。
伊折パイセンに手を引かれて、新たなダンスの地平へ飛び込んでいくカボくんの闘いが、今後どう描かれていくか。
次回も、とても楽しみです。