イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/07/14

・ 月刊少女野崎くん
男の新キャラに半分、女の新キャラに半分、バランスの良い配置で第二回。
キャラにイヤミがなく、その上で立っているのはこのアニメの強いところだと思います。
特にミコリンは完成度の高い男乙女ツンデレで、見てて面白いし好感度高い。

今回のお話は「男キャラが乙女っぽくて、女キャラが雄度高い」というジェンダー書き換えネタであると同時に、「少年漫画的な立場のキャラが少女漫画そのまんまで、少女漫画の悪友ポジションが俺様系主人公」というジャンル混交ギャグでもあるという、なかなか複雑な構造でした。
これは花とゆめで10年過ごしてからガンガンにやって来た作者の、特異なジャンル遍歴が生み出す妙手であり、同時に結構面倒くさい形をするっと飲み込ませる手際の良さも感じました。
ちよちゃんのツッコミの冴え、それを活かすタイミングの巧さもあって、「キャラ説明回を楽しく見せれるアニメは、いいアニメ」ということを再確認。
やっぱ丁寧で面白いアニメだな、これ。

 

・ キャプテンアース
社長の退場、ハナの覚醒、セイレーンの歯車装置化と、お話の転換点になる事態がいっぱい起きた回。
ハナちゃんとキャプテンが仲直りするだけかと思ってたので、嬉しいサプライズでした。
三つの事件をすべてキスというアイコンでつなぐ演出は、なかなか切れ味が良かったと思います。
見せ場になりそうなネビュラ&アース初の揃い踏みを、人質取ってボッコボコにして負け試合作るのは非常にこのアニメらしかった。

思い返すと敵さんのパック・味方のティッピーという、それぞれの便利装置が剥奪された回でもありました。
パックの場合は便利装置の立場から、秘書のおねーちゃんを思う存分ズコバコ祭り出来る立場になったというか。
生身が欲しかったのは、単純におねーちゃんに触りたかったからというすげぇ純愛かつ面倒な理由なのか、パックくん。

かなり時間を使った地上編も、今回で終わりっぽい。
遊星レーダーとして機能していたティッピーが潰れ、敵さんにセイレーンが追加され、闘いの局面も次回大きく変化しそうですね。
社長の体を乗っ取ったパックだの、悪落ちしたセイレーンだの、動きの気になるキャラもいるし、さてはて、第三部はどういうお話になりますやら。

 

・ ハチャプリ
いおなちゃんが紫プリ特有のポンコツオーラを全開にし、青神と幼馴染の同衾(してません)シーンを目撃したセイジがガン曇りする回だった。
いや、今回ブルーそんなに悪い子としてないんだけどさ……どっちかって言うとセイジの間が最悪。
ハチャプリの尖った部分である、恋愛要素にも切り込んだキチガイギャグ回でしたね。

いおなコーチのキチガイ大特訓はいかにも夏のプリキュアらしいキチっぷりで、くるみ&ゆりさんの極からまこぴー&エレンの極にあっという間に振りきった感があります。
紫キュアはクールかポンコツ、どっちかだもんなぁ……なんだよあの訓練特にビーム。
キチってるだけではなく、ブルーの押し付けがましい恋愛禁止にヒトコト言える強さ見せてたり、今週も美味しい立場だったなぁいおなちゃん。

面白い&イイハナシのフィニッシュに、トンデモなく重たいブローをねじ込んでくるのがハチャプリでございまして、今まで完璧超人として最強のいい人を演じていたセイジに、一発キツイのお見舞いしてました。
あのクソ神、星見せてムード作る老練な動きがマジよくねぇと思う。
いやね、アレは確実に勘違いするよ……どう見てもお持ち帰りの絵面だったよ。
朝もはようからあの絵が見れるとは、ハチャプリは攻めてるなぁほんと。

合宿継続して次週ってかんじですけども、なんかヒメの方にも恋の火花が飛びそうで。
クール終わって落ち着くのかなぁと思ってたら、とんでも無い燃え方してるハチャプリは、まだまだ目が離せません。
一体! どうなってしまうのか!!(ガチンコプリキュア恋愛塾で次回に続く)

 

・ スペダン
笑顔を追い求める死神と、珍しく仲間思いのマジなダンディのお話。
死を呼ぶウクレレといい、物理的に逆流する時の河といい、奇想がそこかしこに散りばめられたスペキュラティブなテイストが心地よかったですね。
舞台設定が全体的に中米っぽかったのは、マジックリアリズムのイメージを取り込みたかったのかしら?
あとマリアッチか、ギターを持ったドクロの死神。

スタッフの話をすると、脚本は八話(犬回)以来の信本敬子、作画は七話(レース回)以来の千羽&中田。
コンテがガンダムWの池田成だったり、原画に久保田誓が至り、相変わらずどうやって集めてんだこの人員という編成でした。
久保田さんは一二話(カメレオン回)の作監やってたな、そういえば。

聞くと剥製にされる音楽とか、浸すと過去が戻ってくる幻河とか、馴染みのない奇っ怪な設定が説明なしにドゴドゴ投げつけられた回だったですけど、音楽や美術、色彩の見事さで強引に飲み込ませるダンディ魔術は健在で、違和感が情緒に上手く転用されてました。
起こっていることや絵面は奇妙なんですが、ダンディの怒りだとか、ドクロ男の寂しさだとか、登場人物の感情は非常に素直かつ的確に伝わってくるという、表面と中身の落差がまた奇妙さを加速させ、非常に独特の味を出していました。
ドクロ男を演じた古川登志夫さんの好演もあって、全体的にやるせない感じがシナリオにも映像にも漂い、そこも奇妙な味をまとめていたポイント。

スペダンはなんでもアリなアニメだと思いますが、それは必ずしも悪ふざけだけするわけではなく、ド直球の人情モノ(五話・十話)をやってもいいし、今回や九話のようなオールドSFやマジックリアリズム作品のような奇っ怪な情緒を持った話をやってもいい。
そういうなんでもありさだと思います。
そして、そのヴァラエティの豊かさはやはり、映像と脚本、音声という構成要素を圧倒的にし上げることで増幅されるし、「よく判んねぇけど、アニメ凄かったし、やっぱダンディだった」という緩やかな
連続したイメージを与えてもいる。
着想の豊かさをクオリティで支えるという作り方はやっぱり、圧倒的に立地で素晴らしいなぁと、再確認した回でした。
いやー、良かった。


・ アルドノア・ゼロ
脚本・虚淵玄、監督・あおきえいというFate/ZEROコンビが送る、火星人襲来ストーリー。
一時間全部エピローグに使い、事態が走りだすまでを丁寧に使う手法がそのまんまFate/ZEROだったのが個人的には感慨深い。
尺を使ったおかげで、状況はかなり素直に飲み込めました。
絵の説得力も、凄くあったしね。

お話としては『パシフィック・リム』「インデペンデンス・デイ」『宇宙戦争(05年版)』などの、異星人襲来全世界全面戦争モノを踏襲しており、圧倒的なテクノロジー差による「どうやって勝つのコイツラ」感もうまく出せていました。
同時に火星人の起源が人類であり、対話可能な連中もいればゴミクズ以下のレイシストもいる"人間"の集団であることも、よく見えた。
『火星の糞を煮詰めた存在』たるキノコのヘイトアーツレベルはかなり高く、『頭の狂った独裁者が30年かけて、火星に発酵した差別主義国家を作ったわけよ、クソみたいなテクノロジー山盛りで』という設定の良い説明になってた。
ホントクソですわアイツら……大逆転はよう。

二話まではプロローグであり、主人公が運命と出会い戦うことを決意するまでの序章だったわけですが、此処も丁寧に主人公のパーソナリティを見せてくれました。
非常に冷静沈着、圧倒的な判断力を持つ伊奈帆くんが、しかしただのマシーンではないことを二話ラストの静かな怒りが教えてくれて、好感度は正直高い。
メインヒロインもばっちり確保してるし、敵の無敵ロボの付け入る隙も見つけてる感じだし、「頼む……あのクソ虫どもぎゃふんと言わせてくれ!」という俺の心境にピッタリの主役だ。

もう一人の主人公になりそうなスレインくんも、ヘイトアーツ黒帯のきのこに振り回され、元身内をぶっ殺す片棒を担がされるシンドい立場。
ホンマ火星腐ってるわ……超技術の独占がそうさせるのか、建国思想が最初から腐ってたのか、そこら辺は今後見えるのかな?
超技術の独占と、移民・人種問題つー扱いの難しいネタを触ってますけども、丁寧な取り回しを期待したいですね。


腐っているのは火星のウジ虫だけではないようで、圧倒的な超技術を15年前に認識しておきながらプロパガンダと情報隠蔽に汲々としていた地球サイドも、なかなかの終わりっぷり。
ここら辺は、"僕達の戦争"がはじまってしまった学生たち、そして15年前唯一の生き残りである鞠戸さんが、今後直面するところかな。
強靭なメンタルと静かな情熱を既に見せている伊奈帆くんには、腐った事情にグジグジ絡みつかれない、スパッとした展開を期待したいところ。

通信を潰され、主要都市を確保され、"人類に逃げ場なし"という火星人モノの定番状況に追い込まれた地球。
レイアウトがヒジョーに先行作品をよく研究した仕上がりになってて、「うんうん、都市の上空を制圧する巨大飛行要塞、絶対必要」とか頷きながら見てた。
しかし相手は対話可能な存在であるので、「USA! USA!」いいながらなんか狭い通路を戦闘機で駆け抜けて、要塞内部のマザーコンピューターをぶっ壊したら(オプションとして味方の特攻もアリ)すべての敵が機能停止つー、ハリウッド型火星人モノの定番で終わらせるわけにもいかねぇ。
クソみたいな差別意識とか、人間殺して組織の点数稼ぎするゴミ虫共とか、戦争したくてしょうがないから自分の国のヒメさん自演テロするカスどもとか、そういうのとも戦わなきゃいけない。

そもそも敵さんのインチキロボが強すぎぃ! と思ったが、あの奇っ怪な消滅装甲は上手く弱点を設定してあるので、少なくともキノコ相手の勝ち筋は見えた。
ロボットが"削り取られる"描写は、非常に上手く敵の残忍さと圧倒的なテクノロジー格差を見せていて、良かったと思います。
ゴリアテが巨人だからこそ、ダヴィデが打ち倒す時の快感があるわけだしね。

さて、丁寧に地ならしをして主人公が反撃の狼煙を上げる準備は万全。
前途は多難っぽいですが、なんとかなりそうな気配も結構してる。
まだまだファーストエピソードが続くわけですが、このアニメ、どう転ぶのでしょうか。
楽しみですね。