イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/01/27

神様はじめました◎:第3話『神様、黄泉におちる』
一週間間が開いて、奈々生様は新しいイケメンと黄泉路を下り、巴衛は昔を思い出したりしてた。
話が分断されているようで、巴衛の昔の相方が今奈々生の隣にいる存在なわけで、伏線仕込みフェイズですね。
過去回想ではガチのゴミクズ妖怪だった悪羅王ですが、人間ボディに入って少しは更生してるのかしら?

巴衛のお話は狸花魁とのちょっと切ない仕上がりで、結構好きなエピソード。
ケモロリ禿いい……とか個人的な性癖はさておいて、永世者たちのひっそりした悲哀みたいのがお話全体を綺麗に纏めていて、短編として好きだなと。
ロリ・ババァ・お姉さんの水玉三形態を見事に演じ分ける辺り、三石さんは流石ですね。

奈々生様の方はイケメンを誑かす準備段階であり、本格的にお話が転ぶのは次回以降かな?
軽いツッコミで部下が死に、『ギャグノリだから大丈夫だろ』と思ってたらボスも燃え上がった流れに、強烈な大地丙太郎を感じました。
起こってることは結構シリアスなのに、テンション高い笑いに変えちゃう手腕は、やっぱ好きだなぁ。

 

・幸腹グラフィティ:第3話『ショクショク、トロッ。~筍ごはん・オムライス~』
ひっそりと三話まで見ていた、飯の合間に女の子たちがイチャイチャしてんのか、女の子たちがイチャイチャするダシに飯使ってんのか、イマイチ判んないけど後者だと思うアニメ。
シャフトのお家芸であるスピンの効いた演出と、陰湿な女子中学生同士の牽制合戦と、汁気多めな飯描写と、ゆるい日常が一切混じり合わず叩きつけられる、とてもヘンテコなアニメだと思います。
個人的な感覚からすると、旨さを湯気と湿り気、つまり水分に頼りきりで描写してて、あんま美味しそうには見えないですネ。
井上敏樹曰く『食事シーンはセックスの暗喩』らしいので、汁気多いのはある意味正しいのか。

中身は表面だけをピックアップすると、どーでもいい日常がゆるゆる流れているだけ。
しかしそれは、岡田麿里が面倒くさい女子中学生の面倒くさい鞘当を、好き勝手絶頂に書きまくるための隠れ蓑にしか思えん。
毎回毎回椎名ときりんの間でクッソ面倒くさい牽制球が飛び合い、無垢という名の罪を抱えたリョウがそれに気づかないことでギリギリ人間関係のバランスが保たれて、牽制しあう二人も気づけばお互い嫌いではない間柄。
非常に岡田麿里らしい間合いの描写は、心底グッド。

このまま日常系百合っぽいアニメのフリをし続け、一切の決着付かないまま走ってる欲しいものです。
繰り返される日常、その象徴としての食事の裏側で、負の感情が持つ重力に自壊していく姿には、確実に負のカタルシスがある。
リョウの鈍感が殻の役目をして、日常の形だけは維持され続けるのが、綺麗な地獄、腐った楽園として完璧。

こう書くと当てこすりみたいな文章ですけど、自分は歪つな作品が大好きで、人物設定もジャンルも演出の方向性もキャラの描写の仕方も、全てが噛み合っていない、それ故『歪つ』という一点でまとまってしまっているこのアニメ、とても好きです。
今後もスタッフがそれぞれやりたいことを大暴投し、どこに行ってんのか解らない機動でぶっ飛んで欲しい。
シャフトの尖り方自体が最早ブランド化してる現在、脚本が歪むことで演出が生きるというのは、なかなか面白い化学反応で、こっちの側面からも楽しんでますヨ。

 

ユリ熊嵐:第4話『私はキスをもらえない』
イクニの切れ味鋭いコメディがフル回転になる回……と見せておいて、るるのオリジンが全て開示される、かなり直球な回。
話数が少ないからか、ユリ熊嵐は過去作品と比べるとほんとにストレートな表現が多いなぁと思います。
無論言葉遊びというか暗号というか、言い換えとメタファーはたっぷりあるのだけれども。

るるちゃんはクマの国の王女様で、罪グマで、カインコンプレックス持ちで、弟のことが大好きで、大嫌い。
銀子が王子様かつ罪グマであることも含めて、この話貴種流離譚でもあるのね。
『無垢なる存在を既に失ってしまっていること』『スキ(愛すること?)とキス(愛されること?)の間にいること』などなど、紅羽と共通する部分が多いことが、オリジンが開示されることで明らかになってました。
三人目の主役である銀子も、既に何かを失っていると示唆されていたけど……最後に出てきたネックレスを素直に読むと、紅羽母との因縁かな?

釘宮さんが非常に良い演技をして、弟くんの無垢さは胸に刺さりました。
(熊でミルンという命名が、相変わらず衒学趣味剥き出しで好きです。
アラン・アレクサンダーなのか、それともクリストファー・ロビンなのか
姉に何度殺されても、ただ姉を愛し続けキスを強請るミルン王子の幼稚な純粋さは、暴力的ですらあってなおかつ寂しく、綺麗。

紅羽が何を見ても失った純花を思い出すように、るるも世界の全てが弟を思い出す縁なのだとしたら、なかなか辛い生き方だったろうなと思います。
るるちゃんが王子たる銀子の言葉と行動で救われたように、銀子と心を通わせれば、紅羽も純花を諦めて、新たに旅立つ事ができるんでしょうか。
あの子の純花ロスも相当に深刻ですが、まぁしょうがないよね、純花ちゃんいい子だから……。


弟を殺した赤い蜂は常時るるちゃんの周囲を旋回し、他人を寄せ付けない防衛機構。
弟くんはその内側に最初から入り込んでいるわけで、何度も弟を殺す憎悪と矛盾しますが、その矛盾は作品冒頭からずーっと『大好きで、大嫌いだった』と宣言されております。
アレを無理くり解釈すると『愛憎半ばする虐待の末に殺しちゃった』と受け取ることも出来ますが、あんま解体せず、描写を素直に飲み込むのがいいかなぁと個人的には思います。
ともあれ、抱え込んできた矛盾を受け止め、言葉と行動で生き延びる道を示してくれた銀子にるるちゃんが惚れ込むのも、納得の行く描写だったかと。

弟が何度も持ち帰った永遠のキスを、蜂蜜粥にして傷ついた紅羽に分け与えようとしてるるるちゃんは、紅羽を見つめる銀子に嫉妬を抱かない、献身的な子だなと思います。
キスを諦めてスキを選んだ結果、既にるるちゃんは過去との決別ができてるってことかなぁ。
何かを捨てて人間の姿になるというのは、人魚姫を思い出して暗い気持ちになるので、るるちゃんにもビターでハッピーな何かを残してあげて欲しいものです。
……エピソード一発でるるちゃん凄く好きになってる辺り、俺も綺麗にイクニの手のひらの上だな……。

怒涛のように駆け抜けた三話までとは打って変わって、キャラクターの内面とそれを生み出した歴史に、解りやすくアプローチするお話でした。
今回足を止め、キャラの内側に入る回を入れてくれたお陰で、登場人物の心理に共鳴しやすくなって、とても良かったなと思います。
いつもの様に色んな事を考えて、先のことに思いを馳せて、多分大半は勘違いと思い込みで。
そういう事をさせてくれるアニメって希少で、好きですね、僕は。