イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/02/19

蒼穹のファフナーEXODUS:第6話『祝福のとき』
インド派遣部隊はコアと接触してろくでもない予感を受け取り、居残り班にはツンデレ幼女が警告に来て最強主人公が最強機体で出撃することになった。
戦いと戦いの合間の話といえるのだが、なにぶん積み上げてる命の掛け金が多いので、非常な緊張感と盛り上がりがある。
でも悲壮過ぎて全然スカッとしないという、非常にファフナーらしい回。

世界のピンチにおっきした幼女は、超正統派のストロング・ツンデレ・スタイルを振り回して、すんごい勢いでヒロインポイントを荒稼ぎしてた。
このアニメ設定がみっしり詰まっている上に、状況の変化が常時起きてるので説明が面倒なたぐいだと思うのだけど、解説ゼリフがスムーズなので素直に入ってくる。
コアちゃんもその分に漏れず、自分と島の置かれている状況、するべき対処をコンパクトに喋ってて、頭いいなぁと関心しきり。
その上で芹ちゃんにツンツンしたりデレデレしたり、キャラとしての魅力もあっという間で深めたので、ズルい動きするなぁと思いました。

そんな幼女に背中を押された元・最強主人公コンビですが、前回の『生きたい』短冊もあって悲壮だ。
ヒロインレーストップを独走するカノンちゃんのナイスロールもあって、一騎の出撃シーンは盛り上がった。
盛り上がったのだが、盛り上がって欲しくなかったような、盛り上がってはいけないような、アンビバレントな気持ちにさせられるのが、このアニメの良いところだなと感じます。


一方インド派遣部隊は、すんげぇロクでもないオーラを漂わせながらミールと幼女の第一次接触を果たし、ロクでもない気配そのままに良くない敵が来た。
勝手に人間を変質させようとするミール、それを受け入れすぎなエメリー教団、世界樹の周辺に漂う内乱の予感。
全てが不穏当過ぎて、心臓痛くなるレベル。

世界樹周りに政治的アクターが多数集い始めてて、各々の思惑が渦を巻きすぎ。
数えてみると、ボース准将一派に宥和派、竜宮島派遣部隊に現地一般住民、そして核落とす気マンマンの人類軍主流派とフェストゥム
これに一騎&総士が合流して次回となるわけですが、何がどうなるのか全然読めん。
穏当に済まないのは確実として、世界樹ミールが見せてる希望の裏側が、激戦の果てに垣間見えるのかどうかが、個人的には気になります。

 

・四月は君の嘘:第17話『トワイライト』
『君の姿は僕に似ている!』という訳で、淵を眼前にしてブルブル震えるボーイ&ガールが、お互いの姿を見つめることで前に進む勇気を手に入れる回。
苦しみながら前進することがこの作品において主人公たる資格なので、Bパートはほぼ完全に凪ちゃん主役のお話で、演奏者が抱える苦しさに丁寧に踏み込んだいい仕上がりでした。
共感を上手く使うことで、使った尺以上の物語的リソースを回収しているのが、凄く巧い。

凪ちゃんには公生と瀬戸先生が、公生には渡が手を差し伸べるお話なんですが、それぞれ闇と光がクッキリした構図に、明快な意図が感じられて、とても良い。
つーか渡の人間力スカウター即座に破壊レベル過ぎて、斉藤先輩といいこのアニメのボーイ達は何なの! 翼をもがれた天使か何か!? と叫びたくなるわね。
ホント渡好きよアタシ……。(唐突な純情乙女トランスフォーム)

光と影の重ねあわせは何もポジティブな部分だけではなく、既に乗り越えたはずの母とかをりちゃんも、否応なくオーバーラップする。
それは物語の出始めからずーっと描写されていたシンクロなので、むしろようやく主人公が理解したという段階なのだが、渡や瀬戸先生、凪ちゃんとの繋がりで、前を向いて乗り越えようとする努力は思いの外早く引き起こされた。
それを引っ張ってきてくれたのも、死にゆくかをりちゃんに手渡せるものとして思い浮かぶのも、全部かをりちゃんが思い出させてくれた演奏という行為、表現に集約されるところに、このアニメの焦点合わせの巧さがある。


今回言葉にされたように『音楽は言葉を超える瞬間がある』のだが、それはこの作品においては非凡人の特権だ。
そうじゃなければ、椿ちゃんが毎回毎回、負け犬のイデアめいた無様な姿を晒す必要はない。
そこは聖域なのであり、それ故特権化された一瞬を手に入れるためには苦痛が伴う。
そして、その苦痛を許容できるほどの快楽も、その聖域にはあるわけで、そこら辺も瀬戸先生が『その瞬間に取り憑かれた、どうしようもない生き物』と言葉にしているわけですが。

『母の呪縛を克服する』という成長を見せた公生の代わりに、コンクールの重圧に立ち向かう凪ちゃんの姿を今回丁寧に追いかけたのは、巧い作りだなと思う。
『ステージが持つ苦痛と快楽に正面から立ち向かう』という共通点において、凪ちゃんと公生は鏡合わせの存在であり、凪ちゃんの苦痛はそのまま公生の苦痛に敷衍出来る。
相座凪にフォーカスを合わせて、時間を使っているのだが、同時に有馬公生の苦痛と成長をも描写できるという意味で、見た目以上の圧縮率を持つシーンを運営できているわけだ。
その上で、演奏直前に向かい合わせで握手をさせることで、彼ら二人が同一存在であるともう一度伝えてくる的確さは、やっぱ良いアニメなんだなと思います。

次回の演奏がどうなるか、想い人と妹が何故か共演している姿を見た武士くんがどういうリアクションを見せるか、楽しみな所です。
成長のバトン(つまり主人公の資格)を一旦凪ちゃんに渡していた公生ですが、演奏の終わりとともにバトンが戻ってきて、『母の呪縛を克服』してしまった以上、立ち向かうべき課題はやはり、『宮園かをりの死という呪縛をどう克服』するのか(あるいはしないのか、する/しない以上の答えを見つけるのか)になると思います。
バトンの受け渡しと、受け取った後の走り方、両方引っ括めて、来週大きなうねりが来そうです。
怖いし、楽しみだし、そういう気持ちで待てるこのアニメ、やっぱスゲェ良いアニメです。

 

アイカツ!第121話『未来に約束!』
『さらばみやび! 女の涙は一度だけ!!』という訳で、一ヶ月に及ぶみやびちゃん祭りもついに終わりであります。
前向きな別れに向かって叙情性豊かに過去を振り返り、『SLQに一番近い女(三年連続三度目)』さくらちゃんとのタイマンをやり切り、中身ぎっしりなエンド・エピソードでした。
回想による過去の捏造も引っ括めて、別れを豊かにするためにやるべきことを全てやり切っていたのは流石。

みやびちゃんがマナ生徒会長もびっくりなエアプレイを、唐突に開始した時は『やっぱスターライトには、女の脳味噌を侵食する良くない毒素が……』とか思ったりもしたが、それだけ絆が深かったということで。
過去回想を捏造することで、短い時間の中で『ああいうこともあった』『そういうこともした』と事実を書き換え、必要な叙情性を醸造するるテクニックは、第74話『桜色メモリーズ』でも有効活用されてました。
販促の都合、それによる尺不足と戦い続ける女児アニにおいては、こういうテクニックは重要なんでしょうね。
欲しいところにズドンと、欲しい演出を入れてくる手腕があって、捏造を素直に飲めるからこそ生きるテクニックでもあるかな。

友との別れを元気よく演出しようとするあかりちゃんは、彼女らしい前向きさに溢れていて、とても魅力的でした。
普段ならいちごが担当していただろうメンター役を、しっかりさくらに割り振って、後の対決に説得力を持たせていたのもイイ。
実質三回という短い手番で、藤原みやびに足らないもの、それを手に入れる道のり、満たされた後の感謝までしっかり描写してたのは、彼女と関係するキャラクターの描写という意味でも良かったなぁ。
今回シーンを手際よく回していたので、エピローグを入れて余韻を創る余裕まであって、綺麗なお話作りだなぁと感心しました。


あかりちゃんがしっとり担当なら、今回の熱血担当はさくらちゃん。
映画を除けば実に11ヶ月ぶりとなるCGステージを引っさげ、ライバルとして先輩として七面六臂の大活躍。
どう考えても餓狼伝な出会い方といい、超身体的コミュニケーションによるアイカツ!といい、アイカツ!のキチった部分もしっかりやってくれ、見事なお仕事でした。
偶然とか言ってたけど、どう考えても前田光世形式であり、『アンタ俺に惚れてる……』だったネ。

強敵っぽく演出されていても肝心のステージングに力入ってなきゃ、尻切れトンボと言うもの。
しかし今回、決闘場めいたオーラでの入場といい、細かいカメラワークといい、新衣装によるさくらちゃんの可愛いアピールといい、破壊力のあるステージ演出が冴え渡ってました。
今回の火力を上げるために、あえて前々回はさくらちゃんステージはおあずけしたのかな、と考えるくらい。
しっかり勝敗を付けた結末といい、文句のないステージングでした。

テンションの上げ下げ、叙情性の確保、必要な分の速度を確保する狂気、ステージングまでの盛り上がり、終わり方の余韻。
アイカツ!の美味しいところがみっしりと詰まった、非常に素晴らしい藤原みやびファイナルエピソード(であり、久々の北王子さくらエピソード)でした。
短期留学による一ヶ月ゲストという新しい試みとして、確かな手応えを感じるキャラクターに仕上がる、いいお話だったと思います。
……京都で色んな経験値を積んだ『焼肉屋に迷い込んだサーベルタイガー』ことユウちゃんは、それを披露する舞台あるのかな?

 

ユリ熊嵐:第7話『私が忘れたあの娘』
記憶と殺意が交錯する惑乱のメモリア、七番目のお話は銀子の看病。
その合間にゴミクズ人間針島が食い殺されたり、銀子のルーツが判明したり、紅羽の記憶が戻ったり、るるが甲斐甲斐しかったり、今週も盛りだくさん。
というか、単純な物語的進行という意味では一番進んだ回かもしれん、銀子寝込んでたのに。
クマ世界は今まで描写されていなかっただけで、ユリ世界と同じくらいかそれ以上に、同調圧力と詭弁が吹き荒れる、碌でもない現し世でした。

王子様と思われていた銀子ですが、孤児で少年兵というヘヴィな身の上の、偽装王子だったことが判明。
ユリの世界にクマが潜んでいるように、クマの世界でも透明な嵐は吹き荒れており、断絶の壁と言いつつ、内実は差がない。
孤独な魂に神の愛情を約束し戦場に突っ込ませる構図は色々生々しすぎて、そらー影絵少女風の演出でフィルタかけないと描写できないわ、って感じ。
熊が女をぶっ殺した後の表現が控えめに言って絶頂(エクスタシア)であり、別の意味で生々しくもあるんだけどさ。
どこもかしこも毎日吹雪吹雪氷の世界であり、そういえばピンドラのサブタイトルで使ってましたね『氷の世界


一方紅羽は案外満更でもなく、非常に珍しいことに純花さんの回想シーンが今回存在しなかった。
これが失ったものを忘れ、新しいスキで欠損を埋め直していることになるのか、かつてのスキを思い出して現在の傷を修復しているのか、多分どっちも正解なんだろう。
死者の残した傷を生者との関わりで埋めていくのは、健全、かつ不完全な僕達にはそれしか許されていない手筋だと思うのですが、まだ表に成っていないカードが何枚かあるので、安心はできないなぁ。
健気なるるちゃんの描写といい、表情の柔らかくなった紅羽といい、安心したい気持ちはたくさんあるんだけどね。

母の死、純花の死。
穏やかに治癒されつつある現場をひっくり返す鬼札が、全部墓場に埋まってるのは、クマが殺人鬼的側面を持つ以上、正しい作りだと思う。
『クマは人を食べる、そういう生き物』である以上、銀子と紅羽を繋ぐ『母の死亡』に銀子が関わっているのは間違いなく、そのサスペンスが現状物語を引っ張るエンジンなのかな、とCパートを見ていて思う。
針島さん殺害のシーケンスを見るだに、ユリーカ先生の関与が最重要なのは揺るがないけど。
TDといい、紫色のクソレズがひっそり心理誘導を仕掛けるのが流行してるクールなのか、今期。


見せ掛けの壁を乗り越えて、幼き黄金期を作っていたのが幼少期の銀子&紅羽なわけですが、それを断絶するのが母親の死。
生まれた時から愛されず認められない『透明な存在』だった銀子が、死地に赴いた理由がクマリア様という偽物の母親だというのも引っ括めて、銀子も紅羽も、母を失った子供という共通点がある。
銀子に掛かっている『母殺害容疑』『紅羽見殺し容疑』が本当だとすると、二回母親を殺して、想い人を自分と同じ境遇に引きずり下ろしてることになるわけだけど……それはないと思いたいなぁ。

主人公二人が思い出を取り戻し、話は完成に向かう……と思いきや、薄暗い秘密が墓場に眠りすぎててまだまだ不穏、というお話でした。
過去作に比べてユリ熊が(比較的)解りやすいのは、殺人を軸としたサスペンスの構図がお話の骨格を浮かび上がらせ、フーダニットが話を引っ張るエンジンになってるからというのは、確実にある。
そんなことも考えさせられる、折り返しの出題編第二弾でした。