イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

俺物語!!:第22話『オレへの手紙』感想

『野人、凡人の気持ちを知る』というエピソードも後編、俺物語!!の22話めでございます。
『じゃないですか』口調のオンオフが激しい案外お調子乗り内気女子、悠紀華ちゃんの勝負話でございまして、上がったり下がったり激しいテンションを巧くコントロールし、切ないお話に仕上げていました。
前回ラブコメのコメ部分に力入っていたので、今回はラブ直球勝負。
浅香監督らしい少女漫画演出(ファズボール飛び交う背景、細かい表情変化、メタファーに満ちた無音の画面構成などなど)が良く効いていて、いい塩梅にキュンとくるお話になってました。

悠紀華エピは猛男が当事者ではなく、いつものパワー押しで何とかなるという話でもありません。
腕力と侠気で押し切る猛男のスタイルが通じない相手に、見守る強さを手に入れていくのが今回の武男の成長。
押し切るのではなく加減するという行為は猛男にはなかなか難しかったと思いますが、必要なタイミングではいつもの熱さを活かし、他人の気持ちを大事にする柔らかさを学んでいたように思います。
ダチが寄ってきた時に「見せモンじゃねぇ!!」って叫べるのは、やっぱ格好良いよ、猛男くん。

今回はスナが当事者なので、猛男のエンジン調整役は凛子がやってました。
弟子んときもそうだったけど、女の子の心に滑りこむのが凛子は上手いやね。
『男には踏み入ることが出来ない領域』というのを女子トイレで表現するのはこのアニメらしいところですが、すべてが終わった後女の子だけで帰っていった時、猛男の前では見せなかった涙を受け止めてあげる凛子の姿は、なかなか頼もしかった。
恋愛事件の当事者から二人を外すことで、当事者になっている間は見えない成長と関係性が見えたのは、思わぬ収穫かな。


悠紀華ちゃんもこれまでの俺物語!!時空の住人とは少し異なり、リアルといいますか生々しいと言いますか、善人だらけの世界のなかで軽く浮くくらい、自分が強い女の子。
仲良くなってくると図々しくなる所とか、案外計算高い所とか、今までいなかったタイプの子だと思います。
そういう子を相手にしたからこそ、これまで描けなかったタイプのエピソードの中で、これまで鍛えなかった部分を鍛えた感じになったのかな。
普通に良いところも嫌なところもある女の子が、普通に勇気を出して、普通に失恋して立ち直る話として、繊細な表現が活きていました。
ホントねー、動かすところと止めるところの間合いだけで、こんなに情感って出るのね。

もう一人のクールガイ砂川は、相変わらずの完璧イケメンであり、内気な女の子の懐に入り受け止めていくタイミングが流石だった。
何回も言ってるけど、そりゃモテるわ。
その上で親愛と恋愛をしっかり区別し、後腐れない切断を敢行するケジメもちゃんとあって、やっぱスナは最高や。
『猛男が好きすぎて恋とか考えられない』と書くと露骨にホモだけど、描写を見ていると恋愛関係の精神年齢が未だ熟していないだけって感じするなぁ。
あとま、スナに女ができたら確実に荒れる(俺も荒れる)ので、危機回避の意味合いもあるかな。
悠紀華ちゃん、ちょっと怖いしね。

普段とはちょっと違う角度から踏み込んで、世界と主人公の別の魅力を引き出した、良いエピソードだったと思います。
普段はサポート役をやってるスナが主役になったのも、彼が好きな男としては嬉しい限りで、その仕上がりが上々となれば尚更。
前後編それぞれの温度差も良く効いていて、まとまりのあるお話でした。