イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うしおととら:第17話『カムイコタンへ』感想


人間性(もしくは尊厳値、侵蝕率、業……キミの好きなTRPG用語を入れよう!)が底を打ったうしおを救済するべく、これまでのキャンペーンで出てきたキャラ総出で頑張ろう! というレスキューシナリオ、その前編。

いろんなキャラが集合するまで約15分というハイスピードな展開でしたが、ヒロイン同士の鞘当あり、未来ヒロインであるギリョウさんの顔見世あり、相変わらずのみっしりした中身。
今まで守られる側だったヒロインが体を張る姿は、女だろうと甘やかさない藤田イズムに満ち満ちていて、なかなかグッドです。
『梳る』という行為はオカルト的な背景を踏まえていると同時に、危険に至近距離に近づかなければいけない行為でもあり、ヒロインに体を張らせることで好感度を上げる巧いセッティングだなぁ。

これまで仁義八徳をナチュラルに体現し、いろんな人を助けてきた熱血少年潮くん。
そんな彼が暴走し、妖怪だろうが人間だろうがぶっ殺しちゃうケダモノにチェンジするのは、見ていてしんどい状況であります。
視聴者としても『オイオイ、早くなんとかしてくれよー』と思わざるをえないこのシチュエーションを解決するべく、全国各地から集められた可愛い女の子たち!
……オヤジさんも旭川でピックアップした時(……うちの息子モテすぎね?)とか思わなかったんだろうか。
そして自分がこのシーンにいる理由を独り言で垂れ流し、初見のPCとの接点を即座に作る勇&小夜の出合い系シーンの手際の良さは、TRPGプレイヤー全員見習うべき。

女達が男を正気に戻すってのは、藤田先生らしい民俗学・魔術額への目配せであると同時に、ただ戦うチカラがあるとか、異能力を持っているから主役ではないという物語的主張も見えるセッティングであります。
ただキャーワー喚いてヒーローに助けてもらうヒロインはこのアニメにはいないわけで、むしろ助けてくれるヒーローがいなくなったら自分がヒーローになるしか無い! という決意があるかどうか、それが藤田ヒロインの資格なわけです。
なので、情け容赦なく弾き飛ばされるし血も流す。
安全圏から出て、これまで潮が背負ってきた傷を共有する姿勢を見せるからこそ、潮にまつわる女達は気持ちよく好きになれるなぁなどと、頑張る女の子たちを見て思った。

ヒーローと同時に、彼女たちはやっぱりヒロインでもあって、潮に対する思いをぶつけあい、分かり合ってもいました。
勇ちゃんが麻子にツンツンするシーンの『やめろ勇ちゃん、その幼馴染は勝てる幼馴染だッ!』感は異常。
モヤモヤした気持ちを爆発させた後素直になるのはヒロインの特権ですが、そのためには主人公におもいっきり弾き飛ばされて、息も絶え絶えにならなきゃいかん辺り、うしとらはスパルタよな。
つーか潮モテすぎだが、モテるのもしょうがねぇ……いい男すぎるからなアイツ。


そんな一般人の女どもの見せ場を作るべく、オスたちや妖怪たちも頑張る。
婢妖という自分たちのシナリオリソースを早々に見きって、潮というメインリソースを迷いなくトスする辺り、男チームの見せ場意識は一級品だ。
あととらちゃんが『一回の発言で、うしおと真由子二人に同時にデレる』というツンデレアーツ秘技『ダブル・ダンク』を華麗に成功させていて、やっぱホンモノは違うなと感心する。
「俺が分からなくなっちまったのかよ!」と狼狽するところ含めて、息をするようにツンデレアーツを使いこなすとらちゃんは、やっぱりヒロイン力高いのう。

女の子なのに、異能力を持ってしまったがゆえにヒロインレースから早々に脱落するあたり、光覇明宗チームは損な役回りだ。
潮という中心軸から外れて、日輪とツンツンデレデレすることをシナリオの主眼にするあたり、純も目のいいプレイヤーだよなぁ……。
今回の活劇は『異能の力を持たないヒロインが、身を削る覚悟を見せる』ことが主眼なので、潮のことが好きでもスーパーパワー持ちの純は脱落なのだ。
小夜さんはほら……結界オンリーの能力だし……妖怪と正面切って戦えるわけじゃないし……。(持論に穴が空いて言い訳マン)

というわけで、潮が忙しなく走っているからか、アクションシーンが多めだからか、盛り沢山だった印象を受ける回でした。
色々急ぎつつも、ヒロインたちの潮を思う気持ちは十分伝わってくるので、良い料理の仕方だなぁと思いました。
流石にこのエピソードは週をまたぎましたが、その分麻子と真由子の地元チームが加久の違いを魅せつけることになると思うので、楽しみですな。