イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ:第4話『命の値段』感想

闘犬のように殺したり殺されたりし続けた火星の迷い子たちの物語、第4話は戦闘無しのトーンダウン回。
これまでアクションを伴って自体が回転し続けてきたこのアニメですが、そのペースが少し弱まり、いろんな説明が挟まる展開でした。
ヒューマンデブリギャラルホルンの内実、火星庶民の生活、監察官二人のキャラクター。
喫緊のクエストである地球行きへの筋道なども付けつつ、やや落ち着いたお話となりました。

金で買われて弾除けやってるガキと、弾除けやる以外に食い扶持の稼ぎようがないガキ。
交じり合うことのなかったロクデナシたちですが、オルガというカリスマの働きで融和の道が見えてきました。
昭弘・ザ・ガチムチマンへの態度を見ていると、オルガは思いの外理想主義者というか、ゴミ溜めの底からでっかい夢を見れる男というか。
そういう器のでかさを身で感じたからこそ、ガチムチマンも胸襟を開いたんでしょうかね。
子供同士でいがみ合っていても良いこと一つもない世界だと思うので、垣根が一つ取っ払われてオジサンは嬉しい。
未だもう1つ2つ、転がる余地がありそうだけどね、ヒューマンデブリ……直球でひどいな、この呼び名。

ギャラルホルンの方は優秀な地球サイドの監察官と、腐敗して無能な火星現地サイドがバチバチと火花を散らす。
隠蔽の裏を速攻で洗いに現地まで赴く当たり、櫻井声のロリコンは優秀だなぁ……。
その相方はミカにぶっ殺されそうになったり、サイバーアップに忌避感見せてたけど、地球のクリーンな方々と火星産ドブ人間の埋めがたい差は、やっぱり強調されるポイントなのか。
ギャラルホルン内ゲバがどんだけ尾を引くか読めないけれども、それが落ち着いた後、監査官どのがクーデリアと鉄華団にどういう値段をつけるのか。
第一次接触を果たした今回じゃあ、当然読みきれなくて楽しみだ。


今週は戦闘がないので、ミカが大事にしているもの達にお嬢が分け入っていく展開になり、少しホッとした。
脊髄まで鉄でできたターミネーターかと思いきや、お嬢のことを考えて作務に連れ出したり、アトラとのあどけない日常に潤いを見出したり、ミカの意外な一面が見れたなぁ。
いや、青髪への対応はどう考えてもターミネーターだったけどさ。
ミカは身内とそれ以外で、命の値段が一気に変わる価値観を持っているんだなぁ。
良い奴なんだけど極端、極端なんだけど良い奴、そういう感じだ。

クーデリアお嬢とアトラはまるでラブコメみたいな鞘当を展開し、日常ポイントを稼いでいた。
戦場が乾いていればいるほど、子供たちが子供でいられるシーンがありがたいけども、同時にいつ奪われてもおかしくない世界観なわけで。
踏みにじられるために咲く花など無いとはいえ、何処まで安心して見守って良いのか、間合いを測りかねている感じはある。
実際、監察官の車がキキーッってなった時に『あ、死んだ』って思ったしね。

日常シーンが人間性を保ち、失われて欲しくないとちゃんと思えるのは、過酷な戦場を舞台にすればこそ大事なことだと思う。
辛いからこそ、極端な露悪主義やら現実性を無視した理論的にすぎる展開に走ってしまうのは、どうにももったいないわけで。
そういう意味で、今回のとうもろこし畑は戦場で子供たちがバンバン死ぬシーンと、静かながら同じ重たさを持っているシーンだったのだろう。

名前を手に入れ、自分たちの旗を記し、新しい絆を育む。
どん底から這い上がる子供たちの希望を踏みにじるように、銭金が絡んだ取引の中で、『大人の怖さ』とやらが牙を研いでいる。
トドさんはもうちょっと生きるかなぁと思っていたんですが、ラストで自分の死刑執行書にサインした気配が漂うなぁ。
冬に大人気になりそうなサウナおじさん共々、来週以降どう動くのやら。

そんな感じで、少年たちを取り巻く世界に説明と描写が向いたお話となりました。
ペースをやや落としつつも宇宙方面の話は周り、同時に新しい出会いや説明など、スローテンポでなければ出来ない描写もしっかりやる。
このアニメらしい、的確で着実な話運びだったと思います。
鉄華団は宇宙へと旅立つようですが、彼らの道はまだまだ前途多難。
新天地で、少しでも希望を見つけて欲しいと思います。