イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うしおととら:第18話『復活~そしてついに』感想

獣に堕した主人公を救うべく、五人の女の子と一体の妖怪がヒロイン力を競い合うアニメの後半。
エピソードヒロインたちに『のけ……本物の幼馴染ヒロインを見せてやる……』とばかりに大暴れする真由子&麻子と、『のけ……本物のツンデレを見せてやる……』とばかりに大暴れするとらちゃんが全開でした。
地方ヒロインたちも可愛いし凛々しいんだが、とくに麻子のメインヒロイン力があまりに高すぎて追いつけない展開だったね。
……ハグして長くて硬いのブチ込まれて、初めての共同作業まで行ったとらちゃんは別格かな。

今回潮を奈落の淵から救う展開になったのは、戦いが激化するに従って置いてけぼりにされてしまいがちな『日常』や『安定』の価値をもう一度確認する、という意味合いが強いのかなと、見終わって思いました。
潮という弾丸超特急が戻って来るべき、幸せの源泉というか、守るべき場所というか。
バトル漫画として激化し続ければ、非日常が日常を消滅させて、とらが言っていたように『白面を殺すだけの存在』になってしまうことも、十分ありえる。
しかしうしとらに取って戦いとは主眼であると同時に、それよりも大きな価値がある手段でもある。
戦いを手段として守りたい場所を象徴するのが今回のヒロインたちであり、麻子なのだなぁと、ブッチギリでヒロインレースを勝ち、『潮が守るべき象徴』のポジションに文句なく座った展開を見ながら思いました。
……ここでそれを確定させておいて、あの展開だもんなぁ……凄いよなぁ(未来視特有の幻覚)

ヒロインとまともに話し合うこともなく、潮はまた運命の戦いに飛び込んでいくわけですが、『日常』の象徴が非日常に出張ってきた今回のエピソードがあることで、話の速度を落とすことなくお話全体を総括できている感じがあります。
ここでのこのエピソードがあればこそ、うしとらはただのバトル漫画ではなく、戦いの中にある痛みや誇り、戦いの先にある価値や夢を巧く捉えることが出来ている。
そういう意味で、獣の淵からギリギリで帰ってきたのは主人公だけではなく、作品それ自体なのかもしれませんね。


このエピソードは意識のない潮よりも、むしろとらにとって大事な話かもしれん。
妖怪として『守るべきもの』を持たない存在だったとらが、潮や真由子と触れ合ううちに影響を受け、何か守るべきものを持っている潮への憧れを言葉にするというのは、とらにとってかなり決定的な変化だと思うわけです。
ツンデレ芸として食べるの食べないのと騒ぐことはあっても、『白面を殺すだけの存在』には価値が無いと明言したのは今回が初めてでして、真由子への過保護っぷりも含めて、妖怪が人間に引き寄せられていくお話の流れのなかで、結構大事だなぁと。
それは非常に人間的だった潮が槍の魔力に負け、大切なモノを見失って妖怪に引き寄せられていくのと、魅力的な対照を成している。
非日常から離れていたヒロインたちの強さや意味を再確認すると同時に、バディとして潮の側にあり続けたとらとの関係が、決定的に変化するエピソードでもあるんですね。

なので、潮が復活した後の楽しそーなとらちゃんの姿も、非常に納得が行く。
潮復活後の婢妖無双は視聴者にとっても気持ちの良い展開なのですが、熱く強い思いを表に出していたとらちゃんの気持ちを考えると、強い開放感のあるシーンになっていました。
ヒロインの助力を借りて人間に帰ってきた潮と、相棒の喪失を間近に感じて少し素直になったとらちゃんとの新しい関係を表すのに、合体攻撃するのは最高の手段だよなぁ。
あそこの掛け合いがカラッと気持ちよくて、『やっぱうしおととらはこうじゃなきゃな!!』という快楽がありました。
いやー、ストレスが強いと、それがはじけ飛んだ時の気持ちよさも凄いね。

そこら辺をブーストしていたのは、画面の端っこの方で婢妖軍団のヤバさを強調してた男衆かもしれん。
最高に美味しいタイミングで出てくるヒョウさん含め、今回の男衆は脇役が果たすべき見せ場の美学に満ちていて、見習いたいところが多かったなぁ。
少ない出番の中で、『私はさておき、他の奴らが持たない!』と吠えることで別格感を維持していたオヤジの強キャラロールとかね。

というわけで、女の子が沢山出てきて綺麗で健気で強くて可愛いという、オアシスのようなエピソードも終わりました。
いや、若いギャルが出なくても、工事現場のオッサンとかキモい妖怪とかでも全然潤うだけどさ、このアニメ。
来週からは獣の槍の真相に迫るエピソードですが、獣の槍誕生の瞬間のあの身を裂くような痛みが、どうアニメになるのか。
今から非常に楽しみですね。