イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Dance with Devils:第6話『追想と迷宮のファランドール』感想

悪魔と恋のダンスを踊るアニメ、今週は気まぐれ堕天使シキくんのターン。
ハイなのかローなのか、猫の目のように機嫌が変わる難しい系男子が、羽根撒き散らして大暴れしておりました。
同時並列的に親友のアズナくんのエピソードも進行していて、『素敵な男子が私を取り合って異次元バトルを! 止めて止めないで!!』というハーレクイン的欲望だけではなく、『素敵な男子と素敵な女子が私をめぐって異能力バトルを! 憎い、圧倒的な私の魅力がにーくーい!!』という、性的マイノリティへの配慮まで織り込んだ新世代型乙女アニメ、Dance with Devilsって感じだ。
いや、乙女ゲーの親友ポジって結構本筋絡むこと多いと思うけどさ、ウン。

今期乙女系で八面六臂の大活躍中、平河ボイスのシキくんはヤンデレというか気まぐれというか、とにかく不安定な人格の持ち主。
かまってちゃんになったかと思いきや、かなりグイグイ来ることもあって、かと思えばすっと身を引く変幻自在。
パワー推し一本気なメイジ、幻惑のカサノヴァウリエ、むっつり一号レム会長と並べてみると、巧くパターンをずらしているのが分かります。

本命の当て馬に使うつもりモロ分かりなウリエや、ガキ大将の初恋だったメイジに比べると、イマイチシキくんはリツカに本気なのか、遊びなのか分かりにくい。
アニメはレムルートでほぼ確定でしょうし(大穴でリンドルートだけど、バイオレンスな側面出し過ぎなので無いと思う)、深入りさせすぎずトリックスターとして使う感じなのかなぁ。
そういう意味では、怪しげな美術館を巧く使って過去の記憶を再現し、兄貴周りの設定を見せた動きは非常に良かった。
うしとらの時逆もそうなんですが、時間・記憶素行系の異能力は過去を『説明』ではなく『体験』することが出来て、お話しの温度が下がらないまま筋立てを整理できるね。

お歌の方は『爽やか猥歌』という感じで、シキのキャラクターを良く捕まえた歌だったと思う。
ウリエの遊園地やメイジの世界旅行もそうなんだけど、異能力の使い方でキャラの性格を描写するやり方は、このアニメがただのオモシロイケメン大集合ではなく、現代異能バトルでもあるということを思い出させてくれて、すっごく良い。
出口のない迷宮で翻弄される目眩、危うい誘惑を拒絶しつつ受け入れる矛盾といった、ダンデヴィの気持ち良さがギュッと圧縮された曲で、非常に良かったですね。


リツカとの距離という意味ではむしろアズナの方が近くて、『何かとシスコン力を暴走させる兄貴より、頼りになんじゃないのコレ?』とか思わざるをえない。
『リツカは聖域なので汚せないが、親友ポジならサービスシーンもOKだ! エロスISパワー!!』とばかりにタイツビリビリに引き裂くシーンとか、ダンデヴィらしいリビドーの煽り方だった。
親友であるアズナにも秘密を隠されたことで、リツカの『蚊帳の外感』とそれに対する反発が強化され、『お、流されるだけ主人公じゃないな?』という印象が強まっていたのも良かったな。
いや、実際のところ流されるだけ主人公なんだけどさ、こうやって細かく反発するところを見せて、『お人形じゃない、感情も痛みもある人間』を強調するのって、キャラへの好感度稼ぎとして重要でしょう。
リツカは主人公なわけで、彼女への好感度はそのまんま作品全体への好感度に繋がるしね。

リツカの処女性・聖性をお話しの真ん中に据えることで、それを取り合う男たちの欲望に流されないというエクスキューズが立って、安全圏からエロスを楽しみつつ、ピリッとした背徳感も味わえる。
リツカは白無垢のままじゃなければいけないが、エロティシズムは煽らないといけないので、代わりにアズナのタイツを破き、指を折る。
『安全な火遊び』という作品の根っこを、しっかり煽り伝えてくれる演出が冴えていたと思います。
無論完璧に作り過ぎない脇の甘さもまた魅力なんですけどね……シキの翼が物理的なものらしく、制服の背中が裂けてる所とかマジ耐えられない……アレ、図書館帰った後、縫って直すの?

情報握りこみすぎ、モチベーション隠し過ぎなムッツリ会長は、ついにウリエに突っ込まれてた。
お話を回すべく積極的なトス上げを繰り返しても、『ちげーし! 俺は策士だし!! アイツは駒だし!!! 恋とかじゃねーしマジ!!!111』しか言わない会長にチクリと言いたくなっても、そら仕方ねぇ。
どんどん童貞力の高さを露呈し、リツカ好き好き病患者であることがバレていく会長が、俺は好きです。
最初は見た目通りの策士で、リツカへの対応も全部計算かと思ってたけど……やっぱりキャラクターは感情が熱くうねっていたほうが、より好きになれるな。(それを表に出すか秘めているかは、キャラクターの個性なので別問題)

というわけで、気まぐれエンジェルの女エクソシスト料理講座でした。
いつもよりさらにリツカが翻弄される展開で、わがままボーイズのお相手も大変だと同情したりしなかったり。
来週は意味ありげにチラチラ顔を見せていた犬が、ついにメインに躍り出てくるようですが、さてはてどうなることやら。
楽しみですね。