イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ゆるゆり さん☆ハイ:第8話『それは、誰もが手にする笑顔のカケラ。』感想

浅黒く燃える乙女たちの欲望のアニメ、八話目は秋のスケッチ。
ショートエピソード四編を手際よく流しつつ、サイレントにアニメ内アニメ、主観映像などなどアニメーション的冒険を盛り込んだ、面白い内容でした。
百合方面でもアクセルベタ踏みで、非常にグッドナイスに大満足。

一本目の会長編は非常に意欲的な、一切セリフ無しのサイレントアニメ。
OVA含めて三期スタッフはBGMに喋らせる演出、音楽の起伏や色合いで感情を表現する手法が特徴的ですが、それをもっとも先鋭化させた姿で使ったといえます。
もともと会長は喋らないキャラなのですが、彼女を真ん中に据えたこのエピソードに自分たちの演出の尖り方を合わせてくる使い方は、自分たちの武器を知り尽くしている感じがして素晴らしい。

台詞が無くなって判るのは、ゆりゆり女子のキャラの立ち方です。
効果的な表情の使い方、シチュエーションの組み立て方がこれまでの蓄積と相まって、台詞はないけど想像できる。
サイレントの楽しみは音での演出と、台詞が抜けた故の想像力の羽ばたきだと思うわけですが、それは『こいつらはこういうことを言いそう』という財産がないと難しいわけです。
意欲的な演出の裏には、キャラクターの強さとこれまで見せてきた描写への信頼があるのだと、テンポよく各キャラクターをわらしべしてく展開は教えてくれました。

年が上がれば上がるほど粘度が高まるのもゆるゆり時空のルールでして、三年生の会長は先生とのハードコアラブに首までズップリ。
巡り巡って『ようじ』というショッボイアイテムでガッカリさせておいて、、先生との甘いひとときが一番の宝物でしたー! という綺麗なオチ含めて、意欲的な演出だけではないゆるゆり力を感じました。
会長が食べた楊枝をノータイムで先生も使っているところが、『やっぱ三号生はモノが違うのう!!』と虎丸っ面で言いたくなる。(男塾大好きマン)


二番目は濃厚なさくひま。
櫻子はバカでガキなんですが、確実に向日葵に性的欲求を高めつつも己の獣性に気づいていない女子であります。
ロイディアンならずとも、一人称視点を駆使して欲望の濃度を見せた夢のシーンを見れば、奴のリビドーは明白。
その秘めたるエロティシズムが夢の形で炸裂し、しかもバカなので向日葵にダイレクトに伝えてしまうという、これ何のプレイ? と聞きたくなるような展開でした。

ゆるゆりは成長の気配を随所に散りばめつつ、綺麗な時を閉じ込めて湖に沈めている作品です。
動かない時間の中で、愚かで幼い櫻子のリビドーもまた、燃焼の気配だけを見せて何処にも行かないままくすぶり続ける。
櫻子が自分の気持ちに気づいて、向日葵の肉と肉以外を素直に求める瞬間というのは、ほのめかされつつもけして訪れない、未踏のクライマックスなわけです。
そういうゆるゆりの焦らしの巧さも感じられる、面白いエピソードでした。


三番目はまさかの千鶴×楓。
魔性のロリータに翻弄されつつ、普段は見せない素顔を見せる千鶴が印象的でした。
千鶴は京子か千歳としか絡んでいなかったので、楓とのミックスアップは新鮮ですし、別の顔を見せる意味でも良い組み合わせでした。
結局京子が話を受け取って次回に膨らませるところとか、巧くいつもどおりの姿を見せて、今回見せた姿の大事さを再確認させる意味でも良かったな。
楓の声が内田彩なのをすっかり忘れていたので、対ショック姿勢を取れずに脳が溶けかけた。
この幼児、好きな女の気持ちを確かめるためにフランス留学をキメるクソレズに育ちそうな声してんな……。(世界最強の姫レズ・南ことりちゃん大好きマン)

四本目は色んな女の子とデートしては本妻に自慢するウーマン京子の、櫻子とキャイキャイエピ。
養殖物のバカと天然物のバカの組み合わせですが、やっぱり京子の視野の広さ、誰かを喜ばせたいエンターテイナー気質が出る展開となりました。
頭が良くて目端が利くので場の空気をコントロールしてしまう賢さは、臆病さと背中合わせな気がするなぁ。

櫻子も二本目で見せた獣性を綺麗に脱ぎ捨てて、思う存分バカでした。
さくひまは無論素晴らしいんだが、自動的に湿度が上がって櫻子のバカ力が覆い隠されることがあるからなぁ。
キャラクターが持っているポテンシャルを高める意味でも、三期の『これまで掘ってこなかったリソースを活かす』という方針は、非常に良いと思う。
これは三番目のエピソードでも生きていた所ですね。

というわけで、色んなお話を色んな手腕でやる、ヴァラエティパックなお話でした。
三期は演出方針的にも冒険的なことを沢山やっていて、今回のような仕立て方をすると料理方法の新しさが目立って、とても良いなと感じました。
前回みたいなガッツリストーリーを立ててやる話も面白いし、今回のようなアイデアと演出で見せるお話も素晴らしい。
ゆるゆり三期、いい具合にコンテンツの可能性を発掘しているなぁ。