イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

12歳。:第6話『ボーイフレンド』感想

わりと最初から勝ち目がなかった帝王の恋愛ぶつかり稽古、遂に決着ゥゥゥゥ!!! な、12歳。第六話目。
『素敵ボーイは顔だけじゃなくて、やっぱスポーツも出来ないとね!!』という善意の圧力に押し流されるように、花日ちゃんをトロフィーにしたマラソン大会が敢行される回でした。
試合に勝って勝負に負ける帝王のあまりに見事な敗北者っぷりに、おじさんは涙と笑いが止まりませんでした……やっぱ速度のあるベタは強い、マジ強い。
『Q:恋人を駆けた勝負で、腹黒小娘が足止めしてきました。あなたは善人なので、クソメスを張り倒して恋人優先というわけにはいきません。恋人が疑念の視線を投げかける中、場を平らに収める解決策を答えなさい』というイケメン試験最難関に対し、『A:「(恋人)なら……こうすると思ったから……」と価値判断を相手側に譲渡し、自分の判断と相手の判断を統一化することで、論難を避けつつ行動を正当化する』という解答を出した高尾先生は、永遠に小学六年生を続けているループ能力者かなんかだと思う。

三週にわたって続いた帝王降臨編ですが、花日の高尾LOVEっぷりを見ていると、結末は最初から解っていたわけで。
大事なのは堤くんにどうやって素直に負けを認めさせるかって部分なんですが、最終エピソードで堤と高尾の交流が増えたことで、『花日の彼氏』ではなく『高尾優斗個人』がどれだけ人間力高いかを思い知らされ、自ら膝を屈する感じでした。
マラソンも帝王が負けを素直に認めるための儀式といいますか、人間力の差を思い知らされるための生け贄の供犠台といいますか……。
ホント堤くんはいい線いってるんだが、一切ミスをせず得点どころで理論値をもぎ取っていく恋愛パーフェクトウォリアー相手では、『いい線』どまりでは勝てなかったですね。


『花日をトロフィーにして、男と男の勝負!』というぶっちぎりにマッチョなシチュエーションは、なかなか脂っこい女性蔑視の匂いがするわけですが、心愛ちゃんを悪役にして勝負自体を無化することで、上手く誤魔化してました。
そうだよね、女の子を道具みたいに扱って盛り上がるのはよくないよね!!
やっぱり最後は愛だよね!!!(噴き上がるだけ噴き上がって、終わりの印象で全部押し流すマン)

心愛ちゃんが『こんな醜態晒して、なんで生きていけるの? スクールカースト最下層まっしぐらじゃないの?』と聞きたくなるような、エゴむき出しのクソ腹黒ムーブをやってくれることで、周りの煽りに乗せられて人一人の恋心を玩具にする野蛮がなかったことになるのだから、彼女は大事な役どころなのだ。
花日にビンタさせることで、彼女がトロフィーではなく抵抗力のある一個人だって思い出せたしな……。
お前も周囲の盛り上がりにノセられて、世界で一番お姫様なポジション楽しんでるんじゃないよ!!

今回のマチズモ溢れるシチュエーションが、なんだかんだ読者が望むからオールド・スクールな状況を再演したのか、ベタな恋愛物語を年齢下げて展開することでフレッシュさを獲得する作品のポジションから生まれたのか、そこら辺は判断つきかねるところです。
やっぱ『私のために争わないで! いやそれは建前だから思う存分イケメン力を発揮しながら、ケダモノのように私を取り合い、男に狙われるメスとしての私のお値段跳ね上げて!! 恋のハンマーッ! プライスッ!!!』っていう状況で楽しみたいのは、どんだけ時間が行き過ぎても刺さる殺し技なのかねぇ。(ダンデヴィ思い出しつつ)
なんだかんだ僕もベタを楽しんでいるので、真っ直ぐで勝負かけるこのアニメの戦い方はやっぱ正しい気もするし。
今週もBGM芸冴えてたなぁ……『来るッ……!』ていうタイミングでかならず来るのは、やっぱ気持ちええわ。

モブ男子のデリカシーの無さは問題行動レベルに高まってる気もしますが、高尾先生を筆頭にイケメンズがスーパー系すぎるので、現実のクソっぷりを奴らに流しこむことでリアル系として成立させて、バランス取ってる感じなのかなぁ。
あまりのクソっぷりに『12歳男子って、あんなに他人の子と考えられなくてバカか?』って思いましたが、自分の過去を鑑みるにバカで人の優しさがわからないカス以下のみにくい動物でOKだと思います。
あいつらが道化をやってくれるおかげで、イケメン合気道で乙女心をポンポン投げ飛ばす高尾先生のワザマエが目立つっていう部分もあるしな……子の兄目、キャラクターの物語内役割をはみ出す行動は基本取らせんからね。


と言うわけで、グッドルーザーの約束された敗北をじっくり追いかける回でした。
やってることはベタベタに類型化されたラブロマンスなんだけど、12歳という年齢設定と、テンプレートから半歩踏み出したキャラクターの瑞々しさが、上手く作品に活気を与えている。
このアニメのそういう強みを、ベタな展開の中で確認するエピソードでした。
帝王……気配りできるけどまだまだ自分の気持を持て余して暴走しちゃうナイスガイのお前、オレは忘れないよ……。(なんかキラキラした背景にスローモーションで顔にズーム、いい感じのBGM)

三週に続き展開した高尾先生の恋愛合気道演武でしたが、来週は主人公を取り替えて結衣×桧山。
高尾先生の失点のない立ち回りもファンタジックで楽しいけど、桧山の等身大シャイボーイっぷりも面白いからなぁ。
来週もまた、非常に楽しみです。