イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第96話『アロマットカードでモーたいへん!』感想

明日は今日より楽しくなると信じるスラップスティック・ハードボイルド・コメディ、今週は赤ちゃんと遊ぼう。
やりたい放題ベイビーなジュルルと、同じく野放図な子供パワーを誇るガァルマゲドンが合体したら、そらー大変なことになるよね……という回でした。
これまでのジュルル絡みは『母親』という役割が強調されてたけど、登場人物の中でもことさら子供っぽいガァルマゲドンを主軸に据えることで、『子供』もまた赤ん坊にとって大事な存在だと感じ取れて、とても良かったです。

三期初のメイン回となったガァルマゲドンですが、やっぱアレだな……コイツラ良いな!!
自分たちのやりたいことをやりたいように、仲良く楽しく過ごしている感じが最大限発揮されていて、見ているだけで脳みそが幸せになる所がすっごく良い。
あろみかはらぁらと同級だけど、暴走しがちな物語をコントロールする仕事を担当するらぁらは物分りよくて賢い子供だし、ジュルルの『母親』になってからは更に成熟した側面が強調されている。
それはそれで当然素晴らしいものなんだけど、プリパラが理想郷である以上物語的な正解を考えず、欲望の赴くままに暴れまわる子供らしさも大事で。
今回ガァルマゲドンがジュルルと楽しんだ浅はかでアホアホな大冒険は、そういう部分を大切にしているというメッセージを感じられて、とても良かったです。
赤ん坊を受け入れる側が『母親』から『友達』に変わったことで、ジュルル自身も別の側面に光が当たった感じもあるしな……良いエピソードだ。

ガァルマゲドンは話通してジュルルを『新しい友達』として受け止めていて、ここら辺はらぁらやみれぃが『保護者』として対応してたのとは大きく違う。
お行儀の悪い大暴れも『新しい友達』を楽しませてあげよう! という優しさから生まれたもので、ガジラの滑り台も同じ目線で心から楽しむ。
この無邪気な一体感が凄く気持ち良くて、プリパラが持ってる多幸感、ハッピーハードコアなパワーを強く感じることが出来ました。
やっぱ『みんなトモダチ、みんなアイドル』というお題目は、台詞で説明するよりこういう描写で解らせたほうがグッと胸に迫る。

個人的には年の近いガァルルの接し方が本当にキュートで、お姉ちゃんたちに可愛がられつつ、新しい妹分に興味津々な様子が、本当に可愛かった。
アマガミ』という自分なりのコミュニケーション方法でジュルルと分かり合うところとか、赤ん坊という異物をどんどん自分の世界に入れて、自分もジュルルの世界に入っていくという理想的交流過ぎてヤバかったね。
ジュルルの面倒を見るだけではなく、あろみかの妹分として結構雑に扱われている姿も多くて、世の中拗ねてた忌子が今やとても良い関係を構築できている様を確認でき、ありがたい限りだった……だからこそでび&えんステージの歌唱パート、どうにかしてガァルル混ぜてあげて……仲良くすればするほどハブってるみたいな不自然さ強調されちゃう……。
負の感情から生まれた子が周囲に愛され、成功や失敗をたくさん経験した結果誰かを思い切り愛せるようになった事実を考えると、ホンマ……ホンマ良かったって感じです。

ドタバタ大暴れのコミュニケーションを経て、最終的にガァルマゲドンはジュルルを『悪魔』『天使』『怪獣』として理解する。
これはガァルマゲドンそれぞれの個性そのものであり、アイドルとしてキャラクターとして、とても大事なものでもある。
プリパラ全体を振り回した大立ち回りの末に、子どもたちは『赤ん坊』に自分自身との共通点を見つけたのであり、ジュルルという『赤ん坊』が複雑な要素を兼ね備えた生物であるという主張でもある。
幼い存在が共感の足場を見つけるお話として、世界を引っ掻き回す『赤ん坊』の複雑さを伝えるお話として、『赤ん坊は悪魔だ!』『天使なの!』『怪獣!』と言い合う終わり方は、コンパクトで良い〆だったと思います。


雪は振るわ怪獣は出るわ牛と豚とパンダは落ちてくるわ、楽しくドタバタ引っ掻き回したエピソードでしたが、細やかなコントロールも行き届いていました。
これまでは散々垂れるわ食うわ泣くわ、思う存分赤ん坊して『母親』の手を煩わせていたジュルルですが、『友達』であって『母親』ではないガァルマゲドンの前では、衣食住の欲求を叩きつけることはしません。
今回はガァルマゲドンとジュルルが垣根なく交流するエピソードである以上、『世話する/世話される』っていう立場の差異が生まれるとテーマがズレていくわけで、今回ジュルルが『赤ん坊』過ぎないのは大事なところです。

ガァルマゲドンの悪戯にしても、動機はあくまで善意であることが強調されたり、保護者に無断で赤ん坊をさらおうとして失敗してたり、その後しっかり同意をもらってジュルルを借り受けていたり、三人を野放図な悪者にし過ぎないよう色々考えられてました。
神コーデというご褒美が逃げて行ったり、最終的に雪かきというペナルティーをもらってること含めて、ガァルマゲドンのワイルドな魅力を活かしつつ、特別に保護された印象から上手く逃れている話運びは、とてもプリパラらしい。
クレイジーなネタ力が強調されがちだけど、それで話がぶっ飛んでいかないようコントロールする巧さがあればこそ、速度出せるとは思う……あじみよろしく、たまに制御不能なアクシデントも起きるけどさ。

連続して『アタリ』を引いてきた神コーデチャレンジだけど、ガァルマゲドンが挑戦した今回は失敗。
今回神コーデが降ってこなかったのは、もちろん筐体連動のアレソレとか、連続で成功する流れを切って緊張感を作る意味も強いんだろうけど、ガァルマゲドンが『母親』としての顔を見せなかったのも大きいのではなかろうか、
そして体が大きくなってもママ以外にご褒美くれない辺り、ジュリーは相当なマザコンではないだろうか……。


というわけで、ママとの子育て奮戦記とはまた違った魅力を引き出した、天使と悪魔と怪獣が赤ん坊と出会うお話でした。
赤ん坊という弱者を育てることで自分も成長していくこれまでの切り口もいいけど、『みんなトモダチ』を全力で実行して、とにかく明るく楽しく自由に素直に仲良くなった今回も魅力満点であった。
既存キャラクターの秘められた魅力を引き出す仕事を存分に果たしていて、ジュルル投入は良い手筋だなぁと感心しています。

来週そんなベイビーちゃんのお世話をするのは、生活能力ゼロの軟体恋愛クラゲっ子・そふぃ。
ぶっちゃけ超不安だが、コスモ姉様もいるし、二年間のアイドルカツドウで結構鍛えられているし、そこまでヒドいことにはならんだろう……多分。
実際の話、乗り越えるべき欠点がわかりやすいそふぃの個別エピソードは、成長物語として粒がそろっている印象なので、ベビーと交流することでそふぃが何を手に入れるか、結構楽しみです。
ネタ方面の火力もまたスゲェ事になるだろうしな……急に漁師船に乗ったシーン以上の爆弾が落ちることに、強く期待。