イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブレイブウィッチーズ:第2話『羽ばたけチドリ』感想

麗しき英雄たちが世界を救っても終わらない空戦のサーガ、今週はさらば愛しき女。
未熟など根性主人公を最前線に送り込むべく、お姉ちゃんを封印指定してモチベーションをガン上げする回でした。
『海上輸送、突然の敵襲、初陣』と、ストライクウィッチーズ一期二話を踏襲した構成でしたが、主人公が才能を開花させ無双した前作に比べ、飛ぶことすらおぼつかず撃墜など夢のまた夢。
ブレイブウィッチーズ(というか主人公ひかり)の特異性とこれからの展開が、おぼろげに見えてくるエピソードでした。

というわけで、スト魔女名物ネウロイ横殴り回でした。
雁淵姉妹の絆をたっぷり描いてから、コアを叩かねば死なず火力と威圧感を満載したネウロイの厄介さを飛べないひかり視点で強調し、救世主としてのお姉ちゃんの頼もしさを強める。
起伏のしっかりしたお話だったと思います。

孝美お姉ちゃんは仁徳に満ち溢れ、能力も高く、ひかりの理想として申し分のない人物です。
それだけに自由に動ける状態でストーリーに居座っていると、姉妹の間で交流が閉じてしまう可能性が高いので、大戦果を上げ株をストップ高にとどめた上で一時封印させたのは、非常に良いと思います。
艦隊を背負っての防衛戦だったり、妹に見せる思いやりだったり、硬軟取り混ぜて『この人はいい人です! 好きになってね!!』というメッセージを巧く出せたのは、これからしばらく出番がない孝美を印象づける上で、とても良かったな。
姉妹・師弟の間で受け継がえる『遺志』を、紫電四型"チドリ"というフェティッシュに背負わせることが出来たのも、お話が盛り上がる要素として将来有望ですよね。

姉の背中を追ってきたひかりにとって、今回の戦いがどれだけ不本意かというのは、失敗をちゃんと無様に描き、胸のすくような活躍を一回もさせなかったことから感じ取れます。
この無様さと無念さが、今後ひかりが『強さ』を追い求め鍛錬に励むモチベーションになるわけで、きっちり負けさせたのは成長スポ根モノとして非常に正しい。
おまけにキャンキャン噛み付いてくるちびっ子エースまでついてきて、直ちゃんがデレるまでのバディ結成物語までやれちゃうんだから、お姉ちゃんは良い退場の仕方をした……。
直ちゃんがデレるの前提で話してますけど、まぁデレるでしょこのアマ確実に……そういう目してるもん。(強気俺っ娘天才ドチビ文学少女に期待が高まりすぎ、妄想と現実の区別がつかなくなってるマン)

負けさせるだけではなく、甲板マラソンでスタミナという強みを強調したり、『守りたい』という気持ちの強さはちゃんとすくい上げたり、ひかりにも良い所がある敗北だったのは良かったです。
お姉ちゃんを好きになれるキャラクターとして描けたゆえに、『死ぬまででいいから戦わせてくれ!』というひかりの戦意にも共感は出来るんですが、それ故の危うさもしっかり出してましたね。
ここら辺のバランスの悪さを、今後特訓と交流で補正していくことが大きな軸になると思うので、いい具合の無様さと不安定さ、そこに秘められた真心をちゃんと見せられたのは、凄く良いと思います。


初回は血が流れない後方でのスポ根でしたが、今回は犠牲を伴う実戦。
ウィッチがヒーローである以上、その『強さ』は『守る』強さなので、お姉ちゃんの『血』含めて損耗がちゃんとあることは、戦いの厳しさを表現する上で大事なことだと思います。
無能なひかりの視点を組み込むことで、死なず倒せずのネウロイが持つ怪物っぽさ、『もうダメだ!』という恐怖感も巧く煽れて、敵が強く、怖く見えるようになってました。
敵の『強さ』はそれを打ち破る味方の『強さ』に直結するわけで、盛り上げるのは大事だ。

戦闘自体はキャラクターの3Dモデル交えつつの防衛戦でしたが、全体的にカッチリした印象を受けました。
今回は『お姉ちゃん孤独な出撃→超魔眼で疲弊してひかり出撃→502が一撃でぶっ倒してお目見え』という流れで、僚機と助け合って戦う展開がなかったのですが、ウィッチの戦闘はそここそが醍醐味だと思うので、ひかりが早く502に馴染んで戦友が出来るといいですね。
戦場というケイオスな空間にいる割には、全体的にモデルが清潔過ぎる感じなのと、お姉ちゃんの超魔眼発動のシーンがいまいち不明瞭だったのは、ちと残念かな。

502の仲間たちも華麗なデビューを果たしていましたが、何しろ人数が多いので個々人のキャラクターまではそこまで見えませんでした。
西部劇の騎兵隊めいた救援をみせた502が、非常に頼もしい戦士集団に見えるのも、ひかり視点をとにかく低く、泥まみれに描いているからこそでしょうね。
全体的に穏やかでいい人っぽいオーラ出てるのと、隊長と先生の間の空気がヤバいのと、直ちゃんのツンツンどちびヤンキー俺っ娘天才っぷりがマジヤバイってのは、だいたい分かった。
501の構成をかなり意識した構成なので、今後個別に掘り下げるエピソードも来るでしょうし、その時見えてくる502の魅力的な素顔を楽しみに待ちたいところです。

あとあんま本筋には関係ないところですが、ブレイブはストライクに比べて女体描写の油っこさ控えめというか、ヴィヴィドなアングルで女の股を捉える絵が減ってる印象です。
自分脂っこい肌色は胃もたれする年頃になってしまっているので、このくらいの味付けでほんわか女体を楽しめる塩梅のほうが、個人的にはありがたいですね。
ひかりの凡人造形といい、ストライクの影を意識しつつ色々変えてるなぁ……ありがたい。


そんなわけで、ドンガメ主人公、完敗からのスタート!! という第2話でした。
ひかりのモチベになるお姉ちゃんを、しっかり愛すべき尊敬できる人物として描ききれたので、彼女の覚悟と決意にしっかり乗っかり、今後の展開を楽しめそうな足場が出来ました。
やっぱ『どう勝たせるか』というのは『どう負けさせるか』という問題と、常に表裏一体なんだろうなぁ……ひかりの負けさせ方は今後に繋がる要素が沢山あって、凄く良いと思います。

お姉ちゃんの犠牲を胸に決意を固めたひかりですが、オラオラ系女子がガンガン突っかかってきそうだし、才能はないし、前途は多難です。
しかしそれを一歩ずつ乗り越えていく道のりこそが、このお話を支える大きな土台になるわけで、上手く楽しく描いてほしいなと思います。
とりあえず直ちゃんはマジヤバイので、来週のメイン回、マジヤバく仕上げてほしいな。
……しっかしアレだな、SB69のレトリーといい、事故寸前の属性過積載をしっかり仕上げているキャラが好きなんだな僕は。