イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ALL OUT!!:第2話『タックルやりてェ』感想

細胞からにじみ出る青春のマグマを楕円形に叩きつけるアニメ、今週は練習開始!!
エネルギーが有り余っている祇園少年を、赤山おとーさんと睦おかーさんが巧く操縦して、部活の形に導いてあげるお話でした。
地道な基礎の積み重ね、練習の意味の把握、熱意を受け止める先輩、練習に付き合ってくれる友人。
『部活ッッッ!!』って感じのエッセンスがギュッと詰まった超根性エピソードであり、『このお話は泥臭く、汗臭く行くッ!!』というメッセージを強く感じる、熱いエピソードでした。

というわけで導入が終わり、ついにボールを使った練習開始……なんだけども、祇園くんボールまともに触ってないね、今回。
他の初心者と同じように睦おかーさんのラグビーボール保育所に入れても暴れるだけなので、一見無理筋な基礎トレを積み重ねて、根性と資質を見極める赤山流指導は正解だと思います。
背中にボールを乗せることで、『楕円形は案外コントロールしにくい』と肌で覚える機能もあるしね。

祇園くんは単純バカのようでいて、地味でキツい基礎トレの最中でも他の練習を見取ってタックルの技巧を学んだり、基礎トレがタックルの何に結びつくか考えたり、思考の周辺視野が広いね。
モチベ高く考えながら練習するので、練習の精度も高くて結果が積み重なるのも早いのだろう……亀だけで全精力出してた時間が結構早く終わって、放課後自主トレ出来る余裕出てるもんね。
モチベーションの方向づけさえ間違えなければ、練習しただけ伸びるタイプの子だ。


そんな祇園くんの熱意を逞しい胸板でがっちり受け止めるのが、面白い前髪と怖い顔している赤山部長。
むっつりしてるけど祇園くんの手綱をちゃんと握って、自分の体を張って新入りの情熱がぶつかる壁役を担当して、顧問がいない部活をよくまとめていると思います。
祇園くんのスポーツIQが低かったら、三時間『亀』はただのイジメな気もするが……そこまで器用に立ち回れる男じゃないからこそ、ただ体で受け止める引っ張り方になりもするんだろう。

今回は祇園くんの意外なクレバーさを見せると同時に、神高ラグビー部の『形』みたいのをなぞる回でもあったと思います。
言葉少なく、実力と誠実さで部をまとめ上げるキャプテンと、細かいケアを担当するお母さん役の副キャプテンのコンビは、お互いがお互いを支え補い合う良い関係です。
現状方向を示してあげる大人がいないので、子供が子供なりに考えて、ラグビーして部活するためにこの形になったかと思うと、いじましくて涙出てくる。
祇園くんもそうだけど、モチベ高いなぁこの子ら……。

もう一つ『形』が見えたのは、オドオドボーイ石清水くんと祇園くんの関係でして。
祇園くんは『ラグビー』という新しい魔法に出会って目ン玉キラキラですが、運命と出会うきっかけを作ってくれた石清水くんを相当に信頼していて、思いっきりぶつかっていく。
石清水くんもそうやって本音でぶつかってくれる祇園くんが嫌いではない……ていうか好きなので、自主トレにも付き合う。
二人の絆が足首タックルという新技に結びつき、赤山部長を『倒す』展開は努力がちゃんと結果に結びつく食べごたえを感じられ、充実感がありました。
努力と根性が空転せず、小さくても結果が出るのは、スポ根においては大事だな。


他のメンバーもザラッと顔見世しましたが、今回は主人公二人と部長コンビに重点した展開でした。
試合が始まれば、ほぼ自動的に焦点を当てざるを得ない展開にはなると思うので、プレイの中で個性を見せてくれればそれでいいかなと思います。
汗臭いやつ、テンション低いやつ、上手いやつ下手なやつ色々混じってる感じでしたが、差異があってこそそれが混じり合うドラマも生まれてくるわけで、話が転がりそうな期待が高まるね。

そして3話にして練習試合ですが、石清水くんの元カレ・御幸くんが早速顔を出してきました。
今回タックル練習を描く中で、祇園くんが闘争心に溢れる『強さ』を見せてきたので、御幸くんとの絡みの中で石清水くんの『弱さ』を強調するんだろうなぁ……「でなくていいですよね?」とか言ってるし。
今回祇園くんを支えてくれた岩清水くんに、祇園くんが恩義を返すような展開になると、このアニメが善因善果の気持ちが良いお話なのだと確認できるので、そういうアツいシーンマジ頼んます。
まぁ二話まで見て、変なところでスカしたりハズシたりはしない、真っ向勝負の超正統派スポ根だというのは感じ取れたけどもね……赤山くんの無骨な誠実さと優しさ、好き……。


というわけで、メインアクターの『強さ』をグッと掘り下げる、汗と泥と友情にまみれた練習エピソードでした。
出てくるボーイズみんなラグビーが好きで好きで、がむしゃらにぶつかり受け止めまっすぐに生きていて、非常に眩しい。
地味な練習の中にも『赤山を倒す』というピークをちゃんと作って、そこに向かって話を盛り上げ盛り下げしつつ展開してくれたのも、熱く楽しく見れる良い運び方でした。

この熱気を逃さず、早速強豪との練習試合ですが、こっちは石清水くんの『弱さ』を掘り下げるエピソードになりそう。
祇園くんと石清水くんの『強さ』と『弱さ』は凄く明瞭なコントラストを作っているので、それを活かして話を盛り上げてくれると、僕好みで素晴らしいと思います。
さーてどんな試合になるのか、とっても楽しみですね。