けものフレンズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
旅の目的、旅の終わり、旅の始まり。
迷宮を抜け、知恵の実の形をした図書館にたどり着いても、旅は終わらない。己が何者であるか知識を手に入れても、満ち足りた生き様を追いかけて人生は続く。友なる猫に導かれて。
そういう感じのカレー回でした。
これまで話を引っ張ってきたかばんちゃんのオリジンだが、先週のヒキを受けてわりと早い段階で公開。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
図書館には再確認のために赴くことになる。分かりやすい謎でぐいっと引っ張るのではなく、のどかで肉感的な問題解決を重視してきたけもフレらしい展開だな、と思った。
記憶喪失であるかばんちゃんには、ヒトが絶滅していると言われても実感はわかない。トキさんが感じていた寂しさがかばんちゃんに押し寄せるまでには、まだ旅が必要だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
知識と感覚の差異だが、個人的感覚から切り離された知識が図書館に蓄積されていたからこそ、カレーも作れた。両方良いものだ。
その後は森のダンジョンを抜け、物知りフクロウの欲張りカレータイムに付き合い、火をおこす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
『ヒトたるかばんちゃんの長所が、フレンズに足りないものを補っていく』というこれまでのラインに則った展開であるが、オリジンが見えたために長所もより具体的で、直線的な描写に思える。
迷宮に迷い込むためには、まず『→』を『右』と結びつける情報処理能力が必要だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
それがないフレンズ達は、障壁を乗り越えて最短距離で目的地に付き、言葉があればこそヒトとネコは迷う。しかしその道は、あくまで優しくて楽しい。けもフレらしい、知恵のもう一つの顔の描き方だと思う。
文字の読解、道具の使用、火の発明。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
これまではあくまで示唆的だったかばんちゃんの能力は、話のレイヤーが変わったことを受けてまっすぐに描かれる。
美術も手付かずの自然そのものから、自然に同化した人工物が前面に出てくる。『世界樹が貫通したりんご』という知恵の書庫のデザイン、イエスだね
動物たちの火に対する怯え/火に怯えない動物としてのヒト。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
そういう差異を切り取りつつ、ヒトという己の正体、それが絶滅しているらしいという情報を前にして、そこで立ち止まらず次の手筋に飛びつくサーバルちゃんと、それに引っ張られるかばんちゃんもちゃんと描かれていた。
かばんちゃんには種の特徴として想像力がある。それが足をすくめもするが、火とカレーを生み出したりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
サーバルちゃんは問題文すら読めないが、飛び出してきた問題に対し直感的に最善手を掴み取ることが出来る。
このアニメにおいて、差異とは差別の温床ではなく、祝福と発展の土台なのだ。
フクロウたちもかばんちゃんとフレンズの差異を利用し、自分たちの欲望を果たそうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
新しい味を食べてみたい、新しい経験がしてみたい。
ともすれば他人を利用する奸智となってしまうその欲望は、知恵モノぶったポンコツであるフクロウたちの人格で巧く制御され、いい落とし所を見つける。
『必ず帰ってきて、もう一度おかわり』と言ってくれるフクロウたちは、今まで見てきたフレンズと同じように優しく、開けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
ていうか、初めてのやや辛カレーに文句言いつつバクバク食う姿が可愛くてかわいくて、ええな! って感じだった。トニオの店で娼婦風スパ食ってる億泰かよ。
先週のオーロックスたちもそうだが、人間がもっているヤダ味、現実に付随する暴力的な業を匂わせておいて、『このコラもちゃんと、楽園の住人だよ』と見せるシーンが必ず入るのは、上手い上下の付け方だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
平和で優しいだけだと、その大切さをうっかり忘れてしまうから、影をつけるのは大事。
人間文明の残滓の描き方もそうだが、要所要所に影を匂わせつつ、自分たちが作り上げた楽土のルールをしっかり信じ、その良さを何度も語り直す信念の強さは、このお話の強みだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
薄暗い部分もあるが、基本的には優しく強く、わかり合う物語としての自負が、キャラの扱い、筋の転がし方から見える
そこら辺の味付けが絶妙だからこそ、結構高圧的に人間をこき使うフクロウたちもニコニコ見守れるし、この後かばんちゃん達がよりディープに人類消滅の謎に迫っていくだろう展開も、期待を持って見守れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
楽園にも影はある。しかしそれは世界の支配者ではない。意図して磨かれた楽観主義と観察眼。
そういう感じで、来週はアイドルライブである。え? なんで? このアニメ、けものフレンズだからね! そっかー!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月21日
図書館にたどり着いても、各地方を巡る旅がまだ続いてくれそうで、僕としては嬉しい。色んな人と出会い、何かを与え合い、去っていく。ロードムービーとしても好きなの、このアニメ
追記
けものフレンズの背景設定が明らかになるのは楽しみだが、それは人類絶滅の闇との対比とか、設定の作り込みが見たいという気持ちとは、ちょっと違うことに気付いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
設定が明らかになれば、フレンズがどういう存在で、意識がどう生まれたかが見えてくる。彼女たちの善意が自由意志によるものかも。
フレンズはそういう生き物だから、恨まず憎まず認めあうことが出来ているのか、生存のための当然の反応として色々感じつつ、頑張っていい人になっているのか、はたまた感情を迂回させる水路がフレンズの生誕に仕込まれているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
気になっているのはそこだ。それが明らかに可能性も含めて。
悪意がなければ善意は存在しないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
種としてビルトインされた善行は価値を持つのか。
ユートピアを描く時に大切な、倫理の輪郭を巧く照射しながら進んできたけものフレンズが、彼女たちの生誕にたどり着く時、鮮明なものを感じると思う。それがとても、楽しみだ。
鮮明にしない、という選択肢も当然あって、その時はフレンズ達の善行をどう受け止めるかは、視聴者に投げられることになる。そのためのヒントも、既に様々な場所にとても前向きな形で埋め込まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
それを探る道のりが、かばんちゃんの遍歴とリンクしていることも含めて、とても楽しいし楽しみだ
戦争や死、寿命というものが存在しないのではなく、それを遠くに睨みつつ楽園を旅している感じを、僕はけものフレンズに受けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年2月26日
この読みが適切かどうかは今後の展開が教えてくれるだろう。ひっくり返る事も含めて、とても楽しみだ。倫理への思弁、人間の条件への問いかけは、SFの醍醐味だ。