けものフレンズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
閉ざされた山荘で起こる幽霊騒動…役に立たない探偵、狼少女、記憶喪失の素人。隠された謎の正体やいかに!
というわけで、ミステリ仕立てで現在と過去、2つの謎をおいかけていく回。過去時間軸に一気に切り込み、話の立体感がグッと増すと、クライマックスとを強く感じる。
今回のお話は現在の幽霊騒動を追いかけつつ、『過去ジャパリパークになにがあったのか』『セルリアンとはなんなのか』という過去の謎が解けていく、多層的な構造になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
満たされた種であるフレンズは目の前の事象に振り回され、人類種代表かばんちゃんは時間の多層構造を前に足を止める。
ミステリアスなタイリクオオカミと、ポンコツ探偵アミメキリンが良いミスリードになっていて、いかにもなんか事件解決できそうな座組なんだが、彼女らはワイワイガヤガヤ楽しいだけである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
『オオカミだから嘘つきの狼少女』っていう見立てと、キリンがちゃんとトンチキな姿勢で寝てるのが好き。
今回の幽霊事件は、失われてしまった機械と無機物の楽園ジャパリパークに接合されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
過去の遺物を特に考えることなく再利用するフレンズの目の前には、永遠の現在がある。動物に時間軸はない。時間軸を持つかばんちゃんだけが過去を蘇らせ、亡霊を消すことが出来る。
主人公であるかばんちゃんが探偵でもあり、犯人でもあるというひねったオチの付け方もミステリ的で楽しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
記憶=過去を失っていたかばんちゃん(ヒトのフレンズ)が過去を求める旅も、犯人と真相を見つけて終わりに近づきつつある。そこら辺の重ねが良かった。
大型セルリアンを、ミライさんと初代サーバルちゃんは『ぱっかーん』出来たのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
ロッジが『ピカピカ』ではなくなり、ミライさん達の冒険が失われた記憶になってしまった現在を見るに、出来なかった気もする。ミライなのにカコという転倒が、物悲しい。
動物にカコもミライもない。ヒトだけが時間軸を持つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
その特権性を追いかけていたはずのミステリは、かばんちゃんが見つけた真実、立体映像によってアイデンティファイされた過去の姿を見た瞬間、もう一つの真実を見せる。
サーバルちゃんは別のサーバルちゃん、自分と同じ過去を見て泣いたのだ。
自分に似た存在が、自分と違う形、自分と違う時間に存在するという認識。存在的・時間的想像力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
かばんちゃんと違って、サーバルちゃんはそれに自覚的ではない。『すごい』こととして使いこなし、探偵として謎を解くことができる訳ではない。彼女はフレンズとして、永遠の現在の中に生きている。
しかしその上で、彼女は泣いた。失われたものの仔細に立ち入ることなく、その輪郭から過ぎ去った時間を実感し、理由もわからず涙を流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
それはフレンズもまた、ヒトとは違う形で時間と喪失を認識できるという証明であり、そこには哀切に似た感情があるということでもある。
時間を認識できないフレンズ達は、その感情に名前をつけられないまま、『死』を恐れ、喪失を悲しみ、時間を認識する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
フレンズにとっての唯一の『死』であるセルリアンが、自分たちに繋がる過去を破壊していたことが、今回示唆された。
新たなるパークの子供達は、それに挑むことになりそうだ。
姿形・得意分野は違っても、違うからこそ助け合える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
罪業を滅した楽園の中で、その理想は幾度も確かめられ、僕らを楽しませてくれた。
その喜びが、セルリアンに打ち勝ち、何らかの未来を切り開き、失われた過去を再獲得する大きな助けになることを、願ってやまない。
『海』という物理的目標に近づくに連れ、『記憶』という無形の標的もくっきりしてきて、それがかばんちゃん個人にも繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
手触りのあるものと抽象的なモノの描き方のバランス、その関連の作り方が上手いなと思い知らされる、転換点のエピソードでした。
海にたどり着いたかばんちゃんは、かなり強い決意を込めて『島を出る』と宣言した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
その前に、巨大セルリアンと闘い、失われた過去に決着をつける必要がありそうだ。
過去と現在の結節点として、港がある。そこから未来へ船が出ていく。
がんばれ、かばんちゃん、サーバルちゃん。来週も楽しみだ。
追記
けもフレ追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
楽しいドタバタミステリをいつもの様にゲストフレンズと追いかけつつ、最後にやってくる別れと旅立ちに向けて状況を整え、視聴者の気持ちを高め準備させていく作りが、今回はとてもうまかった。
見ていると自然にラストに向けて気持ちが作られていく、目立たない巧さ。ありがたい。
群れない動物であるサーバルちゃんが、かばんちゃんと『ここで暮らそっか』というのは求愛であり、『仲間を探したいんだ』とかばんちゃんが答えるのは、集団であることが最大の強みであるヒトの習性である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
それと同時に、旅をともにした親友に嘘をつけない真心でもある。
戦いの先にある旅立ちがどういう形になるにしても、優しいネコと優しいヒトのお話は、良い終わり方になってほしいなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
あそこで迷いなく自分の願いを口にしたのは、かばんちゃんがサーバルちゃんを心底信じているからだろう。旅という過去が現在の信頼を生み、それが未来を切り開くパワーになる
彼女たちは本当にフレンズなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月14日
それはサンドスターを浴びたからではなく、それが生み出してくれるフレンズ的なあり方、友を尊重し信頼に応える価値観を体現する、ということだ。
具象から抽象へと至る倫理の旅を、無垢なる『ケダモノ』がひた走る逆説。けもフレは正しく説話である。