ID-0を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
幼女が泣くと星が来る! 宇宙規模のスケールでお送りするトンチキ人間呉越同舟日記、軍人さんとタヌキさんの性能検査回。
突然の危機で反目を乗り越えつつ、隕石ビリヤードのハッタリで楽しませ、クルーの凄腕もしっかり魅せる。活劇の中の細やかな描写も生き生きしていて面白い。
つーわけで、新しく船に加わったアマンザさんのキャラを見せ、関係性を整えていく今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
行きがかりで船に乗った異人の素性と能力をチェックし、体重を預けるに足りる仲間として受け入れるという意味では、第2話に近い作りなのかもしれない。あの時チェックされたマヤは、今回も性能を見せるわけだが
海賊と軍人、機械と生身。立場が違いすぎるアマンザさんは、早々簡単にエスカベーター社には馴染めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
彼女の違和感と反目は視聴者の中にもあって、技術が大きく進歩し、アウトローの世界に感じる引っかかりを、アマンザさんに背負ってもらって解消していくのが、今回の流れとも言える。
命令が最優先の軍という檻、エバートランサーは重犯罪者の変態という偏見。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
いろんなものに囚われているアマンザさんは最初、クルーに心を開かず嘘をつく。ネイルナイフで束縛を断ち切り、弱いものを人質に取る。
そういう頑なな姿勢は、鉄とニッケルの散弾が船を狙う命の危機を前に薄れていく。
VR空間から通信、Iマシンでの共同作業と、心と体の距離感が変化していく中で、アマンザさんはID-0の名前(ID)を知り、同じ生命を共有する存在として彼を認める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
空っぽのロボット野郎にも誇りと優しさがあり、自己(ID)があるのだと認識することで、彼女は海賊に取り込まれる展開を呑む
軍人と海賊の理解が相互のものであるのも、なかなかに面白いところだ。船長は『俺も元軍人だから判るが』と共通点を見つけ、みんなの力がなければ切り抜けられないピンチを前に、あっという間に警戒を解く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
イドは『あいつは命令以外で、人を殺したことがない。だから人質も殺さない』と推測する。
それは『機械だから/軍人だから/海賊だから』という表面的な差異を乗り越え、あるいは乗り越えざるを得ない状況に押されて、異質な存在を理解していく歩みだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
こういう心理的歩み寄りを、活劇にしっかり乗せて展開させることで、キャラの状況もSF的設定も飲み込みやすくなっている。
牢獄に閉じ込められ、縄で縛られた開始状況から山あり谷ありの冒険を経て、アマンザは船に乗る。開けた視界の中で、イドの過去の不自然さを気にかける。そこからまた、お話が広がっていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
アマンザの態度が変化するエピソードをやりつつ、そこを足場にまた新しいお話の予感を作っていく手際
変化(半分くらい確認だが)はマヤにも及んでいて、クルーが持ち得ない宇宙地質学の知識と、それを実践で応用しまくる回転の速さ、大胆で唯一の勝ち筋を手繰り寄せる度胸と、彼女もまた船に乗るクルーとしての資質を開花させていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
ぼんやり学生は思いの外、アウトローの傑物だったわけだ。
マヤの才気に救われたイドは、初めて笑う。機械の体でも、記憶/的社会的IDを失っていても、生きている証明として爽やかに笑うことは出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
リックの「生きてるってことは良いことだ!」という宣言は、生身も機械も関係なく、力を合わせて生き延びた結末をしっかり祝福する。ヒューマニティの話だ
各々の立場が当然生み出す反目を抜かりなく描きつつも、あるいはプロとして、あるいは持って生まれた才能でそれを乗り越え、相互理解と協力で命の危機を脱する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
『アマンザを物語の舞台に加える』という機能を完璧に果たしつつも、キャラクターの活写も忘れない見事な仕上がりだった。
アマンザが一歩を踏み出した『ナリで人を判断しない公平さ』に、マヤが優越性を持っているのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
彼女は幼女だろうと獣だろうと同等に話しかけ、会話し、協力する。その脳天気なあけすけさは、軍や海賊というシビアな環境にいなかったド素人だからこそ持ちうる強みだろう。
他にも、クレアという『娘』を立派に育てた『父』であるグレイマンが、幼女に対してソフトで温かい対応をちゃんと取っていたり、やはり救命行動を丁寧に、全キャラクターに取らせていたり、描写の中にキャラの生き様、作品のテーマと価値観が見え隠れする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
熱のある、良い書き方だと思う。
お話の大まかなフレームとしては、幼女が星呼びのアマツミカボシらしいことが分かったりした。意味深なことしか言わねぇ教授の寝言なので、アマツミカボシがどういう存在なのかはさっぱり分からんが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
ストリップと同じで、巧く脱ぐことが物語の興奮を高める。チラ見せも技法の内、ってところかな。
教授の傷だらけの顔、光を失った瞳は異質で、常に能舞台の地獄を背負っているのと合わせて、なかなか迫力のある『悪』の演出だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
第1話の穏やかな態度を脱ぎ捨てると同時に、ケレンの効いた邪悪さが絵でも分かってくるのは、なかなかに体温を上げてくれる、良い演出だ。
ケレンという意味では、光を背負い抜手で星を貫くイドの絵面も、ヒロイックな迫力に満ちた素晴らしいものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
プロらしい冷静さに魂の熱を込めて、己の名前の真実を告げるシーンのアツさと相まって、アマンザがクルーになるのに必要な圧力がちゃんとあった。こういう説得力は大事。
非常に堅牢で理性的なテーマ性、劇作哲学の上に、ポップでコミカルな人間関係のビリヤードと、SF的ケレンを乗せて楽しませる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
手堅さとうねりを両立させたいいアニメであり、俺に向いてるアニメだなぁと感じます。手応えと歯ごたえがあるのがとても良いし、目の良さと誠実さを信頼できる。
アマンザがクルーになったことで、大体の座組は整え終わったと思います。こっから大きな話を回していくのか、キャラの内面に切り込んでいくのか、事件を起こして盛り上げるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月30日
どう転がしても面白くなりそうで、期待が非常に高まります。んー、いいアニメだなぁ本当に。