ID-0を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
アクション、静止、そしてアクション。ストップ&ゴーで状況が進展する中、アマンザがアイデンティティに疑問を呈し、イドは己の過去の分身としてアリスにこだわる。
船を家とする奇異なる聖家族が、より大きなものに飲み込まれつつ、存在証明を吠える回だった。
今回もいろんなことが起きているが、思いの外アマンザが目立った回だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
命令(社会的規範)にこだわり、自我の拠り所を軍という外部に求める彼女は、自分の道は自分で決めるしか無いアウトローたちに疑問を呈する。『理解できない』と。
それは実は、知りたいからこそ生まれてくる疑問だ。
イドはアリスを守る。失い諦めていた過去の手がかりとして、守るべき小さな命として、手のひらで包み込み守る。クルーも家族として、イドの決断をリスク含みで受け入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
アマンザはこの不合理で感情的な共同体に入り込めず、しかし成り行き的にも心情的にもとても近い場所にいる。
アマンザがイドに突っかかっていくのは、鋼鉄の体に熱い魂を秘めた彼が、アマンザの鏡写しだからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
軍人として情を凍らせ、生身の体なのにマシーンのように判断する彼女は、しかし当然マシーンではない。揺らぎ、悩むからこそ、彼はイド二頭。
『その不合理さが、お前のIDなのか』と。
この問いに対し、船長が全力ど真ん中に肯定的な答えを返したのは、最高に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
エスカベーター社のクルーが疑似家族・疑似人間であることは疑いようもなく、船長はオヤジのポジションを確保している。最もタフで最も優しい、家族の舵取りをする男が、機械ならざる人を肯定する。とても大事だ。
イドがクールガイ気取りの熱血野郎だということは、ここまで付き合った視聴者には実感として分かっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
その思いを船長が汲んで、冷血野郎の血潮の値段を最大限に高く買ってくれたことに、作品とのシンクロ率が高まる。よく言ってくれた、と。
ファルザがファファファーって懐いてくるのも良い。
無論この熱さは、アマンザが現状をよく圧縮した問いを投げかけ、反対側から圧力をかけたから生まれたものだ。良い答えを導くためには、良い問いかけがないといけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
社会的IDを己の拠り所としなければ生きていけない、歪なるID-0として、アマンザは大きな物語的役割を背負っている。
己の内側からこみ上げる熱い思いではなく、周囲の状況と指示によって動く。これはアマンザとマヤに共通するところであり、社会的IDの剥奪という状況が重なっているのも、今回わかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
イドに惹かれている二人の女も、お互いを鏡として共通点が多数ある。無論、差異点も。
アマンザにあってマヤにないのは怜悧な現実感覚であり、それは『騙されやすい』という欠陥でもあるし、『アリスのために打算無しで動ける』という長所でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
後者にアマンザが接近しつつあるのを、アリスと二人きりで所在なさげにしているシーンで見せるのは、なかなか面白い演出だ。
お人好しのド素人と、冷血漢の軍人。正反対の二人は船という閉鎖空間、『家』で強制的に結び付けられ、ハードな状況を生き延びるパートナーになっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
アマツミカボシという強敵だけではなく、オブザーバーという社会集団も油断あらぬ相手だとわかった今回。今後二人がどう変化していくか楽しみだ
怪しさ満開で登場した、いかにも蓮爾デザインのイケメン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
緑川声の博士と外見が一致しているところとか、意味深な台詞を大量にバラまいて退場したところとか、フックの塊のような生き物であった。
生身で死んだからリセット無しのガチ退場…と思いたいところなんだが、再登場しそうだなぁ。
イド個人の白紙の記憶と、オブザーバー・オリハルトというとても大きなものは、密接に繋がっているようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
個人として当たり前の、『己のIDを確かめたい』という思いを突き詰める道は、社会構造や物理法則と戦う、厳しいバトルを呼び込みそうでもある。
そういう大きなものを扱いつつ、同時に小さくか弱い(しかし案外無敵な)アリスに問題を集約させ、一個人と一個人の距離感におさめているのは、とても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
大きい話だけで展開していくと、膨らむスケールに置いてけぼりにされてしまう。イドの手元にアリスが常にいるのは、大事なことだ。
アリスは上田麗奈の演技もあって(どーしてもジュルルを思い出す。元気かなぁあの子)、無邪気さと超常のパワーが両立する、面白いガールだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
仕草の付け方がコミカルな地力を持っていて体温を感じるのは、ブブキの資産が生きていると思う。過度にリアルにせず、合間を抜く楽しさだね。
何かというとアリスを抱き寄せ、守る描写が多くあるのは、凄く良いなと思う。イドのもげた腕に赤いスカーフが巻いてあるのと同じで、感触のあるケアの描写だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
『俺達は人間を大事にする!』という製作者のベーシックでパワフルな立ち位置が、画面から伝わってくる感じがする。可愛いし。
大きな力に押し流される形で、クルーはまた新しい荒波に放り出された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
アウトサイダーとして、自分たちの船=家だけを縁に身を寄せ合い、タフな個人主義で立ち向かう人々。それに巻き込まれ、異物としてさまよいつつ引き寄せられる、二人の女。
無感情な組織のシステムが、船を見つめ、時に襲う。
激しく事態を押し流し揺すぶりつつ、各キャラクターに共通するもの、開いている裂け目、それを乗り越えようというモチベーションがしっかり確認できる、良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
やっぱ見取り図がクリアーな話だと思う。客員の感情や価値観、その相互作用が分かりやすいので、SF部分も食いやすい。
体温がない鋼のクルーの人情味が判るほど、生身の人間組織が持っている冷酷さが見える対比も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月14日
その温度差を絵の具にして、人間の存在証明(ID)が何なのかを思弁していく。身体という枷を外し人を問い直す姿勢、人間の条件に希望的信頼を強く置くスタイルは、正しくSFだと思う。来週も楽しみ