メイドインアビスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
血と残虐に塗れた第四層の洗礼から一週間、不思議なモフモフナナチちゃんと一緒に、レグが希望を掴んでいく回。
相棒を変えるとこれまで見えなかった面が発掘され、話も別角度に進展していく。過去を隠された二人の、冗談交じりの交流が不穏で微笑ましいエピソード。
というわけで、アビスの最もハードな洗礼から一週間、リコと一緒に視聴者もそのショックを抜いていくような回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
ショッキングなヴィジュアルをしたミーティーちゃんとか、情け容赦のないリコの血尿とかあるが、医療と食事と記憶の回復、全体的にヒーリングのイメージ漂う回だった。
タマウガチの暴力がリコに及ぼした影響と、ナナチの医術がそれを癒やしていく描写。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
傷の生成と回復、生のリアリズムをこのアニメは隠さない。生きてれば腕がパンッパンに腫れ上がることもあるし、切れかけた神経が接合されることもあるし、血のションベンも出る。そういうもんだ。
先週と今週はホント双子の回で、奪われることと回復すること、無力さと手応えが相補的に配置されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
人はパンのみにて生きるにあらず、医術と希望によっても生きる。しかしご飯は大事なので、ナナチはレグに全部は教えず、とりあえず必要な食材を回収させる。賢者の立ち居振る舞いである。
冒頭散々無力に泣いていたレグであるが、ナナチに方向づけされて。自慢のサイボーグボディを活かす場所を見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
『智』においては役立たずなレグだが、『体』においてはやはり有用なのだ。それを思い出すこと、とりあえず体を動かすことで、悲嘆に支配され足を止めることを中断できる。
狙ってか偶然か、ナナチの指示はリコのみならず、レグの治療にもなっている気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
知らないがゆえの無力を、上昇不可の掛からない身体特権で補い、プライドと笑いを取り戻していく過程。『チョロい』と笑われるが、シリアスばかりじゃ毒が体に回りすぎる。
リコ相手だとあまり表に出ない、レグの野放図で気の強い部分。ナナチという強烈な個性に触れ合うことで、カーッとなるシーンが多いのは、とても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
レグの見れなかった表情が楽しめるし、そういう感情の発露が、記憶と起源に欠けた少年に『何か』を取り戻させていくのだろう。
ナナチのモフモフ行動療法で、未来への希望と活力を取り戻したレグは、その報酬として記憶を取り戻す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
やはりライザの子供、選ばれた特別な『メイドインアビス』だったレグ。しかしそれはあくまで曖昧で、欠損全てを埋めるほどではない。不確かな、しかし魂の形すべてを決めてしまうほど強烈な過去。
その残影は、ナナチも同じである。記憶の中で蠢く、謎の仮面の男。『カートリッジ』。ミーティ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
ナナチは過去を匂わせつつ、それを明言しない。明らかになる時は一つの物語が終わる時、飄々とした優しさの奥にある、生々しい裂け目が顕になるときだ。タマウガチの毒が、アビスの真相を顕にしたように
六層の上昇負荷を身に受けたなれ果て。その例外主としてのナナチ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
推測はできそうで、材料は足らない。
ただ、レグの悲嘆を聞き逃さず、リコに的確な治療を施してくれたナナチの振る舞い、異質な存在になってしまったミーティへの優しい仕草を見るだに、ナナチは良いやつだと思う。
極力探掘家の目を避けて生きてきたナナチが、レグたちを特権的に救命する理由。それをナナチの特別な優しさに求めてもいいが、アビスはそういう場所じゃない。何かがあるのだろう
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
ミステリーは深まっていく。キーワードはそこかしこにある。死なずの怪物と"火葬砲"…か。
レグの記憶が明らかになるのが、ライザの遺骸(?)と対面するアビス深奥であるように、ナナチの記憶が明らかになり、ヒントがつながって物語になるのは、四層の物語が終わるときだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
今回はそのための下準備であり、残酷な結末を受け止めるタフさを、レグに取り戻させる回でもあったと思う。
そもそも碌でもない話なので、碌でもない結末が待っているだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
しかし今回ナナチがミーティを撫でた手つき、レグを手の上で転がす知見に宿っている光は、嘘ではない。それだけで全てと戦えるほど強くもないが、なんの価値もないほど無力でもない。
そういう光と影のあわいも、確認する回だったか
とまれ、絶望的だった状況がじっくり好転し、リコの病状が改善していくのは、ホッとする展開だった。肘を残すために骨を折る覚悟…やっぱ"神々の山嶺"じゃないか!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
共生生物の不思議な生態とか、アビスの呑気な魅力が戻ってきたのもありがたい。まぁリコは血のションベン垂れ流しだけどさ。
そんなリコにのしかかる異形の怪物! というところで引いてたが、個人的にはミーティちゃんは良い子…というか悪意のない存在だと思う。思いたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
何がどうなってあそこまで身体と精神を砕かれたのか。それが来週、ナナチの口から語られるのかなぁ…今週回復したライフを、ごっそり持ってかれそうだ
残酷に、容赦なく。闇の深奥を切開していく筆に容赦がないからこそ、描けるものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月15日
このアニメはずっとそういう筆致で作品世界をスケッチしてきたし、その姿勢は維持されていくだろう。衝撃の先にある穏やかさ、癒やしの果にある傷。耐ショック姿勢を整えて、来週も楽しみたいと思う。