THE REFLECTIONを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
闇の中の光、光の中の闇。レイスの野望が漆黒の玉座(ピラミッド)を形成し、異能が剥奪される中最後の決戦が、いつものまったり調子で進行する。
暗喩と反復、シャープで独特な絵で圧力をかけてキャラクターの物語に答えを出していく、最後まで『らしい』お話
というわけで最終回である。終わってねーがッ! パンティ&ストッキングもそうだが、メリケンのいらないクリフハンガーを真似して画竜点睛を欠く仕上がりになるの、ほんと良くないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
それはさておき、各キャラクターと物語の総まとめとしては、抽象と具象のバランスが取れてなかなか良かった。
最終話で言語化してみると存外陳腐になってしまった感じもあるが、『闇の中の光、光の中の闇』という対峙の構図は、すべての起源であるリフレクション事件から始まって、各キャラクター個別のエピソード、ヒーローの影としてのヴィランの配置、アメリカの暗部としてのリフト、作品全体に及んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
善に足場を置くキャラクターの内部に、そしてライバル/対話相手として配置された外部のキャラクターが、それぞれの強さと弱さを背負っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
リサの歩行障害、マイケルの盲目といった身体的ハンディ。ヴィーの能力は外見的にも内面的にも『我を忘れ』させ、無明の闇で彼女を塗りつぶす。
キャラクターは皆二面性を持っていて、それが混じり合うのか、はたまた受け入れきれず相争うかは、永遠に決着がつかない永遠のテーマだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
帰還したエレノアとエクスオンが、ようやく『言葉』で語り合う問題が、光と闇の性質についてなのは必然とも言える。答えがでないからこそ、問い続けていく。
最終話で一番鋭くその対比を描けていたのは、やはりアイガイであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
歌を奪われ、仲間を奪われ、
復讐の鬼と化した彼は、同じく歌を使う蝙蝠男と対峙する。何かに負けた惨めさを、鋼鉄のテクノロジーで補う。明瞭に、アイガイの『闇』である。最初登場したときはショッボイモンスターだったのに…
一度は暴力の暴走によって叩き潰した『もう一人の自分』と向かい合うとき、奇縁で結ばれた音楽戦士が唐突に登場する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
イアンが捨ててしまった陽気な歌、ジャパナイズされたヒーロー偶像としての魔法少女を背負って颯爽登場、我らが9nine。こんな美味しい役なら、きっちり掘っとけ!!
彼女らを背中にかばい、殺すためではなく守るために立ち上がったとき、アイガイはようやく自分のヒロイズムを見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
"Sky Show"を垂れ流しながら、悲惨なテロリズムの現場をショーアップしていた時代とも、黒い鎧の中に憎悪を詰め込んで暴力の化身になっていたときとも違う、英雄の姿。
それはまーベタベタで、アイアンマンとかバットマンが幾度も語ってきた人間的迷妄、そこからの発見の物語なわけだが、英雄譚は何回だって語られていいし、語られ直すごとに個別の色合いが生まれるものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
力を剥奪され、アイガイスーツを脱いで生身でレイスに殴り掛かる『その先』含めて、良かった。
沢山人が死んだと言うのに、のんきに女子高生し続けられるヒーローユニット・9nine。執拗に『英語が通じない』ことが強調されつつ、イアンは彼女らの手を取り、音楽を褒め合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
殺意のこもった生々しい現実を前に、イアンはイアンで居続けることはできなかった。二度、ヒロイズムを剥奪された。
一度は歌が兵器になってしまったとき、二度はレイス一味に仲間を殺されたとき。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
そこで歪んで折れ曲がった彼のヒロイズムは、『もう一人の自分』と対峙し、弱者を背中にかばい、鎧を脱いで戦い、己の意志でもう一度着直すことで、一つの決着を見る。蝙蝠男を吹き飛ばした一撃は、機械だけを殺す。
非常に良いまとまり方してるだけに、9nineのヒロイズムも本編でちゃんと暑かったほうが良かったと思う。日本でヒーロー活動してる描写とか、彼女らの音楽へのあこがれがイアンに繋がってる様子とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
いや、EDでは毎週、いい具合に踊り狂ってたけども。あそこの『圧』でギリギリだったな。
そして、エレノアとエクスオンとレイスの三角関係。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
レイスは死んだ兄と比べられ続けたエレノアのコンプレックスが生み出した人格であり、これ以上ないほど直球な『もう一つの自分』である。乗っ取られる所含めて。
そんなエレノアと袖摺り合いつつ、不器用無言を通してきたエクスオン。
精神生命体であるレイスに乗っ取られ、身体を失ったからこそ、エレノアはようやくエクスオンの仮面の奥にたどり着ける。(最終決戦で顔のXにヒビが入っているのは、非常に分かりやすい)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
リフレクション以前に存在していた異能の子どもたちの、唯一の生存者。沈黙を己に強いた、運命の敗北者。
ヒーローが自分の期限を喋りまくるこのアニメにおいて、例外的に無言だった彼は文字通りのジョーカーであり、レイスの黒いピラミッドで力を剥奪されず、コピー能力で逆転の糸口をつかむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
闇を転写し、己の力として適切にコントロールする。これもまた、『もう一つの自分』との対話法か。
あの能力剥奪はヴィーにマトモな台詞喋らせてマイケルに救いを与えたり、無力でもなお悪に立ち向かう心意気を見せる機会なわけだが、やっぱエクスオンの特別性を表に出すことが、一番の仕事な気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
世界がリフに悩まされる以前から、異形はそこにあった。エクスオンはその証言者なのだ。
そんな彼が、リフを生み出したダークネス(これを目に見える形で具現化してしまうのは、結構痛し痒しだった)復活を阻止するのは、因果の絡み合いとしてなかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
いや、結局セカンド・リフレクション起きそうな所で引いてるわけだけどさ…旧世代の被害者が、二度目の惨劇は止めた!で良いだろ
母なる暗黒に一体化し、回帰したいレイスの欲望(エレノアの欲望でもある)は、たしかに強力な誘惑だ。だからこそ、余計なお世話だとはねのけなきゃいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
わざわざ溢れ出さなくても、闇は世界にあふれている。一人ひとりの心にも、目の前で暴力を振るう他者としても。
レイスの軍勢にとって、思考と倫理を停止してレイスと一体化すること、『日常と折り合いをつける』ことを諦めるのは、凄い快楽だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
そういう形でしか、救いを手に入れられない人も確かにいて、彼らはレイスが消えたらニフラムされる、ってわけじゃない。闇には闇の救世主がいるのだ。
そこから半歩踏み出したスティールルーラーが、ようやく『瞳』を描かれてエレノアと通じ合うシーンは、なかなか感慨深い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
『闇の中にも光は届きうる』という希望を、エレノアの影、『もう一つの自分』である彼女は背負っていたのだろう。エレノアを鏡に、自分の『眼』で世界を見れるようになったのだ
相手の顔を見る。名前を呼ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
チーム・アイガイ一人ひとりの戒名を叫びながら戦うイアンにしても、一度は『マヌケな灯台』呼ばわりした彼を『イアン』と呼び直すエクス音にしても、識別可能な個別の『眼』を手に入れることの大切さは、巧く描けていた。ダークネスの一体感とは真逆やな。
エレノアがスーパー・スピリチュアルな力で仲間に呼びかけ、あるいはエクスオンの過去を知るのも、個別の尊厳をアイデンティファイする展開を背負ったものか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
まぁ最後までマジで謎の存在だと、収まりかなり悪いからな。このぐらいの触り方が、神秘性と納得を両立させるいいバランスだと思う。
言葉にできない過去を背負い、ただ行動だけで指し示す男。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
簡単な言葉で自分を定義してほしくて、反応(REFLECTION)を求めた女。
二人の衝突から始まったアメリカ銃弾異能ツアーが、二人が『言葉』で語り合う所で終わるのは、なかなかグッと来た。ロードムービーらしさがある。
思い返すと、序盤エクスオンに固定化されたヒロイズムを求めて、簡単な答えをただ与えられるのが望みだった時点で、エレノアの『闇』がレイスになるのは必然だった、のだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
与えられる言葉で満足すること。大きな闇に一体化する誘惑に、身を任せてしまうこと。それはエレノアの望みなのだ。
対してエクスオンは、過去への誤解をとこうともせず、他人の言葉など一切求めないまま、ただ行動を積み重ねる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
そのストイシズムが僕は好きなのだが、やっぱそれだけでは足らない。人はみな安心したい。闇を全部否定し、あるいは闇で世界を塗りつぶしたいと思う。中庸は必死の努力の果てにしかない。
なので、エクスオンが沢山『言葉』を使う最終回、とても良かったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
完成されたように見えるヒーローも、旅路の中で仲間から影響を受け、変化していた。
らしい饒舌とらしくない適言が両立する今回は、彼がこの物語で何を手に入れたかを巧く示していた。
といいうわけで、REFLECTIONも終わりである。露骨に『続く』って感じだったが、一応な。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
振り返ってみると絵も話の運びも、キャラクターの作り方も決して一般的ではなく、ポップでもなかった。人は選ぶし、選んだ人もまったり加減と抽象度の高さと独特のテンポで振り落とす。そういうアニメ
しかしそのエグみが、このアニメにしかない独特の味を生み出し、キャラクターの葛藤を生み、行動理念と倫理観が行動に色濃く出るドラマの根源にもなっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
世間の人達二億人が『好きじゃない』と言おうが、俺は好きだぜ間違いなく。そういうアニメであった。
ハードにアクションするのにテンポがまったりだったことで、暴力シーンをあくまで思想の発露として、ある種の『スペキュラティブ・バイオレンス』として描けたのは、怪我の功名か、失ったものがデカすぎるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
古典芸能みたいなまったり感と滋味にあふれる殺陣、俺は好きだが受けないのも判る。
色彩も、画作りも、全く一般的ではないが製作者の描きたいものをしっかり反映していて、それがテーマとも噛み合っていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
いや、ヒーロフィクションの『静』の部分に力入れすぎて、『動』の魅力で引っ張れてねぇって言われたら、反論の余地はないが。
でもこういうアニメあっても良いでしょ!
あ、劇伴はマジ最高でした。トレバー・ホーンのイカす音楽がなければ、更にまったりが加速していたかと思うとちょっと恐ろしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
歌を奪われる悲しさから始まり、9nineと合流して歌の楽しさで繋がるアイガイの物語含めて、結構音楽物語だった気もする。メタ領域との兼ね合い含めて。
キャラで言うと、歩行障害のマイナス面も正面から受け止めつつ、『天使』ではなく一人間として尊敬できる存在として描かれたリサと、彼女の夢の翼・ビッグホイールが好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
マイケルとヴィーの繋がりとか、スティールルーラーさんとエレノアの関わりとか、個別の物語の粒が立ってたのは良いことだ。
何より主役たるエクスオンの『背中で語るヒロイズム』は大好物で、最初分けわかんないんだけど行動の端々に注目すると見えてくる人道主義とプライドが、俺は大好きでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
こんな媚びない描き方なかなか出来ないと思うけど、そういうところに全力で背中を向けるアニメだしね。やりきった。
無言の戦士が強い存在感を放つことで、過剰に雄弁だったアイガイが仲間と言葉を奪われ再発見する道も、ありきたりに耳障りの良い言葉を求めたエレノアの物語も、雄弁に闇へと誘うラスボス・レイスとの対比も、巧く際立ったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
そういうトコちゃんとしとるんだこのアニメ…分かりにくいけども。
良くも悪くも(って世間は言うかも知れねーが、俺にとっては『良くも良くも』以外の何物でもねぇ)長濱監督のテイスト、鈴木やすゆきの作家性が作品全般を支配した、怪作だったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
しかしその奇妙さの奥に、芯の強いヒロイズムと変化・成長のロードムービーがしっかりあって、面白かった。
『自分だけのアニメ』を迷わずつめた結果、色々取りこぼす部分もあったけども、それ以上にパワフルな魅力で、ちゃんと走ってくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月13日
ぶっちゃけ色々望み薄だとは思うけども、あの終わり方をした以上、強く二期を希望します。面白かったです、ありがとうございました。