アイドルタイムプリパラを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
人類の性自認と表現、その最先端に立ち続けた女児アニメがついに!
前人未到の領域へと突入する…男女合同アイドルフェス、開ッ催! WITHのCGライブもあるよ!! な回。
独特の演出で可愛くフェスを彩りつつ、色んなキャラの問題をサラッと描写していた。
初期レギュラーにレオナがいて、二期のメインをひびきが背負ってきたプリパラ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
パパラ宿の設定が生まれたときから、男と女の垣根を超えて、お互いあい高める今回のフェスが行われるのは必然だったといえる。
固定観念に縛られず、心の赴くままに。プリパラが是認する価値観は、当然性差にも及ぶ
月一回の祝祭の中で、男女の垣根は取り払われるが、そこには色んな形がある。これまで通り女が女の、男が男の領域の中で盛り上がっても良い。境界を越境しても良いし、レオナとひびきのように装いを自発的に入れ替えても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
己が望むまま、自由にやって良いのだ。
そういう要素を扱いつつ、プリパラはあくまで明るく楽しく画面を作る。ぶっとい輪郭のキャラがガンガンドアップになって、どんどん前に出てくる勢いが、フェスタの楽しさを加速させてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
特別なイベントが特別楽しくなるよう、ちょっと凝った演出を機能させる工夫が絵に満ちていた。
楽しいのはフェス本番だけではなく、事前準備も同じだ。みちるが何も強制されることなく、自分の『楽しい』に素直にみんなで服を仕上げる場面は、積み上げていく喜びに満ちていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
だからこそ、ミーチルが絆創膏を剥がして捨ててしまうシーンには、ハッと息を呑むショックがある。
確かに傷だらけの指は、きれいなもんじゃない。でもそれは、みちるが望み、楽しんで積み上げた彼女だけの傷だ。それを、彼女自身であるミーチルが投げ捨ててしまう危うさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
ミーチルはみちるの『なりたい自分』であると同時に、それを阻害する他者でもあるようだ。
みちるとミーチル。プリパラの『内と外』で隔絶され、対面できない二人の融和は、今後大事なイベントになるのだろう。その問題点は、昼と夜に分断され、お互いの気持を共有できていないファララ&ガァララとも似通っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
断絶を乗り越える対話のモデルケースとして、今回のフェスかなり大事か?
一足先に垣根を乗り越えて楽しくやっている例としては、夢川兄妹がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
未だに素直に接することは出来ないが、妹のど凹みにススっと現れ、憎まれ口でやる気に火をつけるショウゴ兄さん、確実に妹好きすぎ人間である。
素晴らしい、今後もいがみ合いつつ仲良くやってくれ。ガンガンやってくれ。
普段はいがみ合いつつ、必ず自分の方から歩み寄ってくれる兄貴の優しさに、やっぱりゆいは気づいていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
表面にある『イジワルなお兄ちゃん』で視線が止まってしまう幼さは、ゆいを描写する時必須の要素だ。そしてそれは、未熟さだけでなくパワフルな前向きさにも繋がっている。
『お米がないなら、風船を配ればいいじゃない!』と思いつく、ゆいの発想力。それは自分のことしか見えなくて、エネルギー満載の彼女だから出来ることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
視野が狭いことは、必ずしも悪いことではない。色んな在り方の善き側面を引き出すことが、いちばん大事なのだ。
んで、ゆいの夢が始動するためにはショウゴの発破が必要だったっていうね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
女の子たちの『プラスにプラスを重ねていく』関係性と同時に、『マイナスに見えるプラス』で苦境を脱する機会を作る尊さも切り取られていて、多様性を是認するエピソードに相応しい書き方だったと思います。
ガァララの超常的嫌がらせにもめげず、アイドルたちはタフに夢を積み重ね、フェスを成功させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
全部ひっくり返す方向に行かないあたり、ガァララも本当は混じりたい気持ちを捻じ曲げ、道が見えなくなっていることが判る。まぁ夢喰いはかなり取り返しつかない大惨事だが。
夢を食われたチア子の寂しい姿とか、服を奪われてもアイドルで居続けるWITHのプロ根性とか、お金では解決できない夢経済とか、今回は細かく賑やかな描写の中に、これまでの/これからのプリパラを象徴する要素が鋭く混ぜ込まれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
息抜きの祝祭を楽しく運営しつつ、こういう要素の再確認もやるのだ
集大成とも言える二つのステージは、ともに素晴らしいものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
EDM要素をガッツリ盛り込んだ”Giraギャラティック・タイトロープ”は耳ではお馴染みながらも、3Dモデルのダンスが付くとまた印象が変わる。
女の子よりも細く長い足が、しなやかな挑発を叩きつけてくるダンスの切れ味。素晴らしい。
久々にセレブな大人らぁらが見れた”ブランニュー・ハピネス!”も、性差をポジティブに撹乱する回に相応しく、フェミニン&マスキュラーな魅力満載。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
おそらく帽子屋とアリスをモチーフにした衣装には統一感と童話っぽさが両立していて、とても素敵だった。
特に大声で価値を叫ぶわけではないけども、画面の端々に自由と個性への信念が満ちていて、非常にプリパラらしい回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
今回のフェスを経て、男も女もケモノたちも、鏡界の向こうにいる(と思いこんでいた)パートナーへの理解を深め、より楽しくプリパラ出来るようになるだろう。
そういうポジティブな変化を視聴者が信じられるのは、やっぱり徹頭徹尾楽しく、明るく映像を仕上げた成果だと思う。祝祭的なムードの盛り上げ方、伝え方が巧いというか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
アハハと笑った後、全部砂糖菓子のように消えるわけではなく、身になり心になる何かが残る。そういうエピソードでした。
規範が撹拌されるカルナヴァレに元気を貰って、さて来週はにの主役回。空疎な夢、その不在の起源がガァララにあると判明した今、にのは一体どんな戦いを挑んでいくのか。そこにプリパラという場、仲間でありライバルでもある少女たちはどう関わるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
来週も楽しみですね。
付記 隠されたプライドの主体としての夢川ショウゴについて
うけせか(@ukegasekai)さんのブログ記事(https://t.co/n6FCSU9Rfa)がゴッド・オブ・ゴッズな仕上がりだったんでプリパラの話しますけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
俺夢川ショウゴって人が好きで、先週のWith含めての描かれ方とかもマジイイなぁと思いつつ、うっとり見たわけです。
アイドルタイムはゆいが主役で、ショウゴも彼女のフィルタを通した『イジワルなお兄ちゃん』『家ではダサいのに、アイドルとしてカッコつけてる』って描き方がメインにはなってます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
それはそれとして、スーパーアイドルを演じて、服略奪されても王子を演じきるプロの側面も見落とされはいない。
主役であるゆいが見えていないからと言って、ショウゴが家の外で積み上げたアイドルとしての努力とか、観客と共有してきた世界観とか、Withの末っ子兼センターとしての関係性とかは、消えるわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
メインで描く機会はそんなにないけども、それはそれとしてしっかり存在しているわけです。
ゆいも自分でアイドルやるようになって、ちょっとずつ、ほんとうにちょっとずつ世界が広がってきていて、狭いエゴイズムで自己充足される子供の認識から、他人がいる当たり前の世界へ、ジワジワはみ出してきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
それが『家の外のお兄ちゃん』と接触したのが、第20話なんだろうなと思っています。
あの話はゆいにとって凄く大きな出来事(自分がアイドルをやる起源の再確認、自分独自のものだと思いこんでいた夢が継承されたものである認識の形成)であると同時に、ゆいの外側の世界…アイドルタイム全体にとっても大事な話だったんじゃないかなと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
アイドルタイムは神すら食いきれないほど巨大な夢≒妄想を、特権的に持ってしまった主人公の引力で成立してて。それは荒れ地を約束の地に快復させるほど強力だけども、唯一絶対の聖域ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
危ういし、バカらしいし、より良くなる余地の残された場所なんだというのが、ショウゴを通じて確保される
そういう『自分と離れた場所にいるけども/からこそ、価値を持ちうる他者』として、シリーズ最も近い位置にいる異性であり、プリパラのVRを離れたリアルな血縁を共有している兄が、かなりでかい仕事してることが、かなり良いな、と思っておるわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
ダンプリでのショウゴは、アサヒやコヨイの弟的存在で、プロフェッショナルなスーパーアイドル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
夢川家で共有されているポジションとは違う、『イジワルなお兄ちゃん』じゃなくていい場所があることは、ショウゴにとって息抜きであり、救いであり、誇りでもあるんじゃないか。
リアルとヴァーチャル。男と女。ステージと観客席。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
離れつつも橋渡しされた差異に対してオープンだからこそ、風通し良く色んな自分が肯定できて、自分が気づきもしなかった自分に出会うチャンスも生まれる。
リアル小学校の描写が増えたアイドルタイムは、そういう光景を視野に入れて展開してると思う
そしてショウゴにとって、『親も家族も関係なく、仲間に支えられて自力で掴み取ったダンプリトップアイドル』って立場は、凄く独特な価値を持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
そこに妹が、虚像を壊しかねないドメスティックな脅迫材料抱えて踏み込んでくるのは、拒絶と恐怖の対象にもなる。
ショウゴは『Withのショウゴ』であることに(『夢川ゆいの兄』であることと同じくらい)良いプライドを持っていて、それを侵されると恐れたから、序盤の強い拒絶反応になったのかもなぁと、今週のエピソードを見ながら、勝手に思いを広げることとなりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
そういう変化があって、あえて憎まれ口を叩いて『アイドル・夢川ゆい』の背中を押すショウゴの描写も存在できているのかな、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
男の子が主役ではないけども、そういう風に人格とプライドがある存在、多層性の社会の中で自己を確立してる存在としてショウゴを描いてくれてるのは、やっぱし良いなと。
そんなことを思うわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
アイドルタイムは無印プリパラを無茶苦茶(セルフ)リスペクトしつつも、前とは違うことをやろう! という気概が話運びとキャラ設定から滲んでいて。
ダンプリもまた、お商売の都合をこねつつ、新しい切断面からプリパラ世界を覗く窓として、よく機能していると感じます。
『みんな』を錦旗に掲げてきたプリパラが、なかなか触れなかった(が、レオナと安藤とひびきがいる以上ど真ん中で見据えても来た)『男という異物』を、『敵』でも『同質化される前提の異物』でもなく、独自存在としてちゃんと描くこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
今週のエピソードは、それに成功してたんじゃないでしょうか。
そうやって実のある描写(例えばCGステージのラストに末っ子の頭をぽんと撫でる二人の気遣いとか)を積み重ね、理念に血を通わせていくってのは、やっぱ凄いことだと思っています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月10日
今後も主筋にはならんし、なってはいけんダンプリを、優しく強く描き続けてくれると、僕は嬉しいです。