ドリフェスR！ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
Dear Dreamの清涼剤担当、千弦といつきのユニット回…であり、第1話でぶち上げた『一人ひとりが強くなる』という理想の影の部分に、しっかり切り込むダークな回でもある。
嫉妬や苛立ち、孤独感といったネガティブな感情から逃げないあたり、ドリフェスはしっかり深夜アニメだ
天然天使な千弦と、いつもおおらかないつき。この二人を『Wマスカット』というユニットにまとめて、束で処理する回…だと始まる前は、正直思っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
のだが、このアニメはドリフェス。男…否、人間が抱く負の感情にもしっかり切り込む筆は、天使担当もけして逃しはしない。
冒頭、ファーストインプレッションの殴り方が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
ユニット組むって話になって、やや引き気味のカメラが捉えるのは二人の仲良し加減…と同時に、いつきのデカさと千弦の小ささのミスマッチ。
噛み合わない感じをザラッと残しつつ、いつき一人がピン仕事を取ってきて、千弦が扉の向こうに取り残される
この時のカメラは魚眼で歪んでいて、『楽しいユニット編が始まりますよ！』という感じじゃない。実際この予感そのままに、今回ユニット活動は殆ど切り取られない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
二人になったからこそ感じる、疎外感と孤独。そういうダークな質感をしっかり掘るために、Wマスカットが用意されている。
キャスターという、社会的に高い評価を受けがちな仕事を取ったいつき。子供っぽい千弦は、仲間が独り立ちする喜びよりも、置いていかれる恐怖、渦を巻く嫉妬を身体に抱え込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
それが焦りになって、バラエティーのキッツい企画に、何も考えずに飛び込んでいってしまう。
そこら辺の、なんとも言葉にし難い焦燥感の描き方、『飢え』という最もシンプルなキツさで更に追い込まれていく感じが、今回巧く切り取られていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
『人間に一番悪いのは腹がへるのと寒いゆうことですわ。』って”じゃりン子チエ”で言っとったが、全くその通り。
千弦は電波系で子供なキャラが『色』だと思うんだけども、今回その幼さはいい方向に働かない。自分の内面に渦巻いているもの、ここから先に待つものも、兄である唯弦に先に見越されてしまったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
個性は長所にもなれば、短所にもなる。そういう裏腹な描き方をすることで、千弦の顔が締まっていく
どんだけぶっ飛んだキャラしてても、人間である以上焦りもするし、腹も減る。今回千弦を深い闇に一旦沈めたことで、うわっついてたキャラ記号に血が通って、人間としての表情を手に入れた感じを受けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
非常に正しく、『キャラ個別回』していたと思う。
画面が暗い色を強めていく中で、焦りと飢え（それは肉体的な飢えであると同時に、社会的承認への飢え、喝采への飢えでもあろう）は加速し、遂に衝突する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
転倒と直立。交わらない視線を巧く図式したレイアウトの後に、兄として先輩アイドルとして先を行く唯弦のアドバイスが来る。
ここぞとばかりにキマったポーズで待ち構えてる唯弦に思わず笑ってしまったが、今回の主役を『正解』に導く彼が光ではなく、より濃い闇の中にいるのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
この後の同衾シーンも、問題解決は今回暗い場所で行われる。子供のままでは気づけない、薄暗い自分と対面する場所で。
自分らしさも、いつきの気持ちも見つけられず、一人で暴走する千弦。部屋を埋め尽くした食べ物の落書きは、彼の心象風景でもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
そこに、一足先に大人になってしまったいつきが、しっかり入ってくる。仲間と大人に相談し、正規のルートで筋道作るのが、ドリフェスらしいしいつきらしい。
ユニットなのに、一人でキツい企画に立ち向かおうとしていた千弦。それは一足先にキャスター（＝ピシッとした大人）になってしまったいつきへの反発が生み出した暴走だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
先走って、訳が分からなくなって、追い詰められて。腹が減りに減ったところで、いつきのキャラである『包容力』が冴える。
飢えの感覚を巧く画面から出せていたことが、いつきが差し出す温かい料理（それは肉体的な欲求と同時に、承認を求める精神的・社会的渇望も満たす）が状況をポジティブに運ぶ展開を、スッと視聴者に飲ませる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
寒々しく歪んだ画面から、柔らかく受け止めてくれる安心感へ。ムードが切り替わる。
その明かりで足を止めず、更に一歩闇の奥、心の中に進んでいくのがドリフェスらしいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
薄暗い感情は常に人間の中にある。無いものとして扱わず、真正面からぶつかって対話し、殴り合ってでも仲良くなる方法を探すってのが、深夜アニメであり男の子主役なドリフェスのイズムなのだろう。
違和感が目立っていた冒頭に比べ、二人が同じ布団で横たわるシーンは親密な空気が強い。凸凹がぴっちりハマる（いやらしい言い方だなオイ）ユニットの良さは、衝突したからこそ出会えたもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
深夜の特別な、ちょっとエロティックでもあるムードが二人の間に漂って、お互い本音をぶつけ合う瞬間が来る
第3話でもそうだったけど、男と男が寝室で醸し出す湿ったムードを追い出さず、むしろブースターとしてエロティシズムの危うさを利用する強かさは、凄く良いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
感情と感情が深く触れ合う時、『そういう空気』は生まれるものだ。潔癖症で追い出しちゃうほうがもったいなかろう。
千弦がいつきに抱いた感情が、実は一方通行ではなく、幼馴染の二人の間にずっと共有されていたという、秘密の共有。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
強い感情の双方向性、俺が惹かれたお前が俺にも惹かれていたという関係性の暴露が二人をつなぐのも、KUROFUNEと共通した描写だ。こういう密着感があるのが、ドリフェス好きなところね
『強敵と描いて友と読む』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
よく出てくるけども、殴り合いが起きないアイドルアニメだとなかなか描きにくいお題目を、ドリフェスはよく乗りこなしている。
ほとばしった激情が拳となって相手を撃つシーン、あるいは言葉になって心を抉るシーン。しっかり描いた上で、そこで伝わる想いも活写する。
ハードな攻撃性も、相手を強く求めればこそ。方向性を見失っていた気持ちが枝を見つけて、収まるところに収まるシーンを、ちょっとウェットに、ムーディに描けているからこそ、『雨降って地固まる』、あるいは『仲間だけどライバル」という裏腹な関係に、独特の説得力が宿るようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
しっかり方向を定め、的確に迷わせているからこそ、道を見つけた時のカタルシスは大きいんだなと、二期の個別回の仕上がりを見ていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
今回も『子供っぽい』千弦のキャラクター性を活かしてちゃんと迷わせ、衝突させ、説得力のある答えを出せていた。Wマスカットである意味も。
そして未だ個別界のない主人公・奏に、ミッシリと迷い路を踏ませる周到さもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
毎回、先に進む仲間を見て焦る奏の孤独がインサートされるのは、『コレ、”タメ”だから。期待していいよ』と言われているようで、個別会が楽しみになる。こういう細かい積み重ね、大事だよなぁホント。
そんなわけで、ディアドリのちびっ子天使が案外薄暗い感情を持った『人間』で、その暗がりにしっかり潜ることで新しい自分、新しい関係性と出会うまでのお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
キャラを崩さず、より良い方向に進ませつつ人間らしさを描写する筆致は、やっぱイイなぁと思う。
千弦の迷妄をしっかり描いたからこそ、それを受け止め道を示すいつき（と唯弦）のありがたさもしっかり出せたし、関わったキャラ全員が彫り込まれる、良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
確実に『自分だけの強さ』を見つけ、アイドルとして人間として先に行く仲間を前に、焦る奏。その個別回は来週。楽しみですね
あ、『Wマスカット』ってユニット名聞いた瞬間に『アナタさ～、ソレ頭文字取れば”WM”でしょ？ アイドルフィクションで”WM”持ち出す意味、分かってんの～マジ？』と眉間にシワ寄る程度には、みくみづ過激派です自分。WMに恥じないエピソードで、とても良かった…まぁ大知さん第100話担当だしな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月12日
