アイカツスターズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
S4にしてブランド保持者、虹野ゆめにもランキングの季節がやってくる。勝つための戦い、輝くための戦い。かつて来た道、その先にあるものとは。
ゆめの格と理想を見せるために、後輩の中に踏み込んでいくエピソード。必要な話であり、飲み込めない部分もあり。
今回の話、色々キーになるエピソードだと思うんだが、その重たさを支えきれていると感じる部分もあり、飲み込めない部分もあり、かなり悩ましい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
まず、赤服として後輩に背中を見せる展開はとても良い。アドリブ力が試される展開を片っ端からノシて凄みを見せるゆめはとても頼もしかった。
ただ、タイミングとしては赤服就任直後、あるいは少し経ってからあのシーンは見たかった。鉄は熱いうちに打て、トップ就任の貫禄はすぐさま見せろ、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
譲られた赤服の重さに、実際にS4としての活動が追いついてきて貫禄が出る、という流れなら、その追いつかない途中経過も描かなきゃならん。
が、即座にVAに留学したことで、ゆめはS4の責務からも後輩がいる場所からも離れてしまった。重い責任を背負い込んで一歩ずつ進む、泥臭い物語よりも、新しい船で新しい出会いに飛び込む方向に舵を切った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
それはそれで正しい、一つの選択だ。ただ、そっちを選んだ以上、このタイミングでは遅い。
挑戦者として何かに挑むことと、今回見せた圧倒的な貫禄の間にあるものが、僕には上手く感じ取れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
第66話辺りの立ち回りを一つの足場にすれば良いのかもしれないが、どうも虹野ゆめの『凄み』として描写されるものは心に突き刺さらないまま、クルクルと回る。今回楽屋で見せた旋回と同じだ。
『オーディション』として勝ち負けを競っているはずの後輩が、ハミングで確定した勝利を祝ってくれる展開もまた、とても飲みにくい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
レッスンを覗き込んでいた後輩と同じように、『憧れの虹野ゆめ』と同じ場所に立てただけで満足できる、ハングリー精神のないアイドルがあの場には集まっていたのか。
『みんなで輝く』をモットーにすることは、勝ち負けを競わないこととイコールではないだろう。今回のオーディション(だけではないが)に漂う漂白された感じは、『オーディション』『勝負』というカテゴリーに収めるには強い違和感を覚える。敗北の泥臭さが、綺麗に切除されている印象だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
これはスターズ全体に及ぶ操作ではない。負け役たるあこやローラを描く時、スターズの筆はとても泥臭い。そこに滲む涙には、勝ちと負けがきっちり別れる真実味があり、負けた側の陰りがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
ゆめだけが特権的に、敗北の陰りから保護され、結果として不自然に漂白された印象を広げている感じだ。
それはゆめが負けない、ということではない。敗北自体は、例えば小春を送り出すステージでしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
でもそこから生まれるはずの負の感情と正面から対峙するチャンスが奪われ、人間の闇から不自然に撤退して綺麗なまま『主人公』し続けていることが、彼女から立体感を奪っている気がする。
どんなに人格者が相手だろうが、負ければ悔しい。恨みや苦味は常に現実に存在していて、それを認めた上で塗りつぶしてしまうほどの器のデカさがあるというのなら、それはとても良い描写だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
だが、光だけで全てを描いてしまうことは、やっぱ僕には不自然に見える。
最初から格が違う勝負に首を突っ込み、その傲慢を周囲が糾弾することもなく、ただただポジティブに受け入れられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
(『みんな』という題目を貼りつつも)勝負の場のはずなのに、勝敗につきまとう陰りを清潔に排除してしまう運びは、キャラクターの人格を何処かに置き去りにしたような不自然さを生む
それが虹野ゆめの『強さ』だというのなら、それは『みんなの輝き』ではないだろう。陰りも哀しみも存在するものとして受け入れて、その上で答えを導いてくれる泥臭さのほうが、僕は飲み込みやすかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
自由意志が感じられない描写は、『みんな』を同質化していく。
今回ゆめは、露骨にエルザの独善にカウンターを当てていく。敵味方関係なく『みんな』を支援し、高みへと導いていくゆめのアイカツ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
その描写が、おそらくラストクールの軸になる対決に向けて置かれた布石なのは間違いがない。これを武器に、ゆめはエルザに勝つ。そういう未来だ。
だが敵愾心や恨みを引き出せず、ただただ真っ白な綺麗さで周囲を染めるゆめのアイカツと、寂しいエゴの延長線上にVAを造り、自分のクローンを囲い込んでいるエルザのアイカツに、どのような質的差異があるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
『単色に塗りつぶす』という方向性において、主役とラスボスは同じなのではないか。
そういう(多分狙ってない)危うさが、勝つべくして勝つ『主人公』として保護されているゆめには漂っている。漂ってしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
とても幸福に見える敗者たちの群像からは、この『オーディション』だけではない勝敗の揺らぎが、陽炎のように立ち上がっていた。
最初は『ランキングを狙うには粒の小さい勝負、でも魂に響くものがあるから出る』というロジックだったのに、最後はガッポリ稼いでランキングを上げているところにも、勝敗のねじれを感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
あこちゃんがシステムに背中を向けてファンを見つめたのとは、真逆のねじれだ。
アイカツランキング自体も、ここに来て急速に存在感をブーストされた感じがある。大きな柱にしたいなら、やはりより早い段階で存在をアピールし、細かく描写を割り振るほうが良かったのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
そも、数字で判断される勝ち負けをスターズのアイドルがどれだけ大事にしているかは判然としないが。
諸星学園長がまたまた判断ミスをして、その穴埋めを生徒に回す展開で始まるのも、いつものことながらしんどかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
アイドルがアイドルを、生徒が生徒をする場所。それが四ツ星学園だと思っていたのだが、それを支える人々は『大人』も『教師』も十分にやれていない。
帰る場所、支え、シェルター。プロとして仕事をしつつ子供である少女たちに必要なものを十分用意しても、ピンチも矜持を試す物語も演出できると思うのだが、実際問題四ツ星はミスし続け、株は下がり続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
守られず、むしろ頼られるアイドルたちが可哀想だ。
話の展開と乗り越えるべきピンチを生み出す装置を、僕は『学校』とは呼べない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
そういう要らん荒波を乗り越えてこその『セルフ・プロデュース』なのだ、と言いたいなら、それはブラックジョークが効きすぎてるだろう。四ツ星周辺の描写は、ずっと苦しいままだ。
というわけで、やりたいことは判るが苦しい回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
不在の母親だけを求め、それ以外の全てを敵と踏み出しとしてしか見れないエルザ。
敵味方の区別をぶっ壊して、全てを取り込み高めていくゆめ。
この対比はかなり上手く行っていたし、今後物語を展開する上で大事でもある。
しかしそこに自然と滑り込んでいくためには、虹野ゆめは不自然に清潔すぎるし、その光で全てをホワイト・アウトさせてしまっている…ように僕には見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
正確にはゆめの咎ってわけじゃなく、そう彼女を描いてしまっている作者の筆が理由なんだけども。あるいはそうとしか受け止められない僕の眼か。
どっちにしても、今回見せた『みんなの輝き』でお話を収める展開は、現状僕には飲みにくい。エルザの歪みと弱さも、ゆめの正しさと強さも、いま描かれたものを見たら、どっちにも僕は首を縦には触れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
その判断を、残り三ヶ月でひっくり返して欲しい。そう思っている。
そして来週はローラがまた負ける回っぽい。予告の段階で既にキツい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
あの子があそこまで負けて、負けて、負け続ける理由を、落ち度を、欠損を、しっかり描いてくれていたのなら、延々と敗北を食わされる流れにも納得はできたのに。
それもまた、陰りに十分踏み込めない語り口の弱さか。
ここまでVAに引きこもっていたエルザが久々に顔を出すっぽいが、そこでどういう表情をするのか。どういう足取りで、ローラの敗北を踏むのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
気になりはするが、本音を言えば何の脈絡もなく世界最強のアイドルを、ローラがぶっ飛ばして欲しい。文句のつけようがないほど勝って欲しい。
でもそういう未来は、多分来ない。彼女たちは負け役として設定されていて、そのブックが逆転することはない。与えられた役割が反転する、予定調和を超えた輝きで驚かせてくれることは、多分ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月7日
その事に凍った顔で頷けてしまうのが、一番辛い。せめて、価値ある負けを描いて欲しい。