イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

時光代理人-LINK CLICK- II:第3話『2つの葬儀』感想ツイートまとめ

 唸れ鉄拳ぶっ飛べ人間! 
 超絶カンフーアクションアニメ・時光代理人-LINK CLICK- II 第3話を見る。
 いやマージ、人間飛びすぎだって横にも縦にもッ!

 大ピンチを全力で殴りつけ、水平方向にぶっ飛ばすカンフーマスターの助力で危機は脱したものの、異能を用いた犯罪は証拠が上がらず、ただ取り返しのつかない悲劇だけが積み上がっていく。
 悲しみの慟哭を受け止めつつ、”時光代理人”は未来を変えず、届かなかった言葉を写真越しに手渡し、かすかな希望を新たに生み出していく。
 二期らしさと一期っぽさが、同時に襲ってくる回でとても面白かった。
 やっぱ人間飛びすぎだって時光二期ッ!

 

 スターヒーローの伏線を回収しての、老拳侠怒りの鉄拳には驚かされたものの、善良な刑事がぶっ殺され憎たらしい悪党がのさばる状況は変わらず。
 一期では条理を越えて奇跡を成し遂げる助けになってた異能が、今回は悪が尻尾を掴まれない凶器になっちゃってて、話の方向性が変わったからこその皮肉さがキラリと、邪悪に光っている。
 サスペンスとしての作り込みだけでなく、ここら辺のロジックがカッチリしているのは、一期から変わらぬ時光の強さ、面白さだなーと感じるね。
 同時に最後の餞をチェン刑事に送る、時光コンビらしい力の使い方も見れて、社会と異能がどう噛み合うか、多彩に描かれてる感じがある。

 とにっかく敵が上から下まで最悪で、死人はせせら笑うわ息子の葬式で訴訟と金の話しかしないわ、ドブの臭いがプンプン漂ってくる。
 コイツラにリベンジ決める瞬間が果たしてやってくるのか、ハラハラしながら見てもいるわけだが、チエン弁護士が新たな強敵として立ち上がってきたことで、法と知性が相手の武器になってる状況がなかなかキツい。
 あくどい搦め手も混ぜつつ、あくまで世の中動かす道理に乗っかって…あるいは逆手に握って正論で武装してくる感じ、大変タチが悪く憎たらしい。
 入れ替わり能力者との繋がり次第なんだが、話を引っ張るに足りる巨悪って感じがしっかりあって、今後が楽しみにもなる。

 とはいえまだまだ、異能と法を組み合わせて好き勝手絶頂ブッこいてる連中をぎゃふんと言わせるには遠く、超作画のチャオリンビンタをお見舞いするくらいしか、現状手がない。
 あとは奥さんの悲痛な慟哭を聞き届け、微かな救いをたんぽぽのエンゲージリングとともに届けるくらいしかッ!
 …思い返すと一期から、覆せない運命にかすかに人間の証明を刻んでいく、謙虚で健気な異能者達の話だった気もするけどさ。
 そういう意味でも、状況全部をひっくり返せないけども小さな希望を残すラストの写真ダイブは、一期の人情味が戻ってきた感じで凄く良かった。
 功夫と陰謀の二期だからなマージ…。だから飛び過ぎだってッ!!

 

 あまりの悲劇に泣きじゃくりつつ、来世で結ばれ幸せになることのみを救いと祈る奥さんの、健気な思いに応えるように、トキとヒカルが挑んだダイブ。
 同じく写真を通じて他人の運命を捻じ曲げる、顔の見えない宿敵がそういう人情味全く気にしない…つうか積極的に血で汚してくるのに対し、”時光代理人”はあくまで人間の分をわきまえた上で、異能がなければ生み出せない救いを思い出に刻み直す。
 それこそが自分たちの力の使い方なのだと、主役コンビが思い出し実証する形で二期序章が終わっていくのは、ドス黒い暴力が表に出てきた衝撃を、最後の最後で和らげてくれる感じがあった。
 なんだかんだ”時光”だなと、思える苦い人情味。

 お葬式のシーンの悲痛な感じ、それを受けて我等がヒーローが差し出す弔いのたんぽぽの温かさは、こんだけ話のスケールがデカくなり、トーンが暗くなってもなお僕が好きな”時光代理人”が元気であることを、しっかり思い出させてくれた。
 やっぱなぁ…なんだかんだエモとヒューマンドラマに惹かれてこのアニメ見始めたわけだから、どんだけ作風が変わったように感じられても、そういう暖かさが踏みにじられる厳しい状況でも、諦めず人間にとって大事なものを守り、描いて欲しいわけですよ。
 そういう願いが微かながら叶えられる描写で、大変良かったです。
 いやまぁ、死人は戻ってこないし、めっちゃ切ないんだけどさ…。

 

 でも悪党どもはこういう生身の痛さを感じないからこそ、銭金と暴力で好き勝手に暴れ、他人の大事なものを踏みつけることも出来るわけで。
 法で裁けぬ異能によって命を奪われ、悲しみと悔しさを噛み締めて運命を睨みつけるこの苦さこそが、若き異能者を”人間”に届ける最後の一線であり、大事なものなんだろうなぁと思わされる。
 人間社会の範疇を超えた力を、躊躇わず奮って悲しみを拡げている相手が暴れるほど、一期でトキ達を縛っていた倫理の鎖が、どんだけ大事だったのか改めて分かるというか…。
 守るべきものを守っている善人が、だからこそ不利な立場になる理不尽を嘆きつつも、やっぱ倫理の枷は絶対必要だ。

 そしてそんな社会規範の守り手であるべき、弁護士こそが状況のど真ん中に居座っていそうなのが、また最悪ではあるけど。
 ここら辺、刑事として正義の窮屈さに悩みつつも一線を越えず戦い続けるシャオ刑事と、刑事機構から抜け出し法を悪用して黒い金稼いでるチエン弁護士が、対比されてる部分でもあるのだろう。

 

 光と影が錯綜し、不自由な倫理と野放図な悪が対峙するサスペンスフルな状況は、葬送の後にも続く。
 やっててよかった怒りの鉄拳、暴力テイストを増した二期にも元気な人情味を確かに感じつつ、こっからどういう話が展開されるのか。
 来週も大変楽しみです。